はぐれ悪魔バイザーの討伐に無理やり連れていかれることになったのだが、他の部員は魔法陣で転移して一瞬だが、僕は眷属ではないため転移魔法陣が使えない。そのため徒歩で行くことになったのだが、途中家に帰ってしまおうかと考えた。
見張りがいないかどうか確認すると、誰かの使い魔が付けてきていたのを確認した。仕方がないので素の身体能力の全力で走ってそちらに向かった。
道中警察に見つかり車で追いかけまわされたが、それを何とか目的地に向かいながら振り切った。
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はぐれ悪魔バイザーが潜伏している場所は、街のはずれにある廃工場だった。探査の魔術をばれないように使うと、確かに二つの気配を確認した。おそらくやつがはぐれ悪魔バイザーなのだろう。
だがもう一つの気配がわからない。何かこの世のものではないように歪んでいる感じだ。だがこれには依然遭遇したことがある。その者は自身のことを『オリ主』と呼んでいた。気になって調べると、『転生者』と呼ばれるものだった。
その依然遭遇した転生者は、「あいつをよこせ!」など「モブのくせに生意気なんだよ!」しまいには「死ねぇ!」とか言いながら攻撃を仕掛けて来たので、逆に殺しておいた。ちなみにあいつとは真奈のことである。
それから、転生者の気配を感じた時は注意している。敵対するかどうかは実際に会ってその後に決める。一応警戒しておくように言っておくか・・・
「おい、部長。はぐれ悪魔バイザーの他に何かがもう一人いる」
「まさか、人間!?」
「ああ、だけど戦ってはいない。それにバイザーは気づいていないみたいだ。注意は・・・しておいた方がいいだろう。なかなかの手練れかもしれないからな」
「わかったわ」
オカルト研究部の全員が先ほどまでの余裕な表情を変えて、警戒しながら入って行く。僕もその後に続く。
廃工場の中は薄暗く、歩くたびに埃がたち少し・・・いやかなり不愉快な気分になってくる。何故なら先ほどの転生者の気配が僕のことを観察してくるからだ。さきにそっちをつぶしてやろうかな?
「はぐれ悪魔バイザーあなたを討伐しに来たわ。姿を見せなさい」
ケタケタと笑う声が聞こえてきて、柱の陰から姿を見せる。上半身は人間だが、明らかに下半身がおかしい。まるで蜘蛛みたいな形をしているからだ。
「ケタケタ、美味しそうな匂いがするぞ~不味そうな匂いもするぞ~・・・お前らは美味いのかな?それとも不味いのかな~!」
イッセーが残念そうな顔をしていたのはまあ、変態だからな仕方がないだろう。
「イッセー、一騎。今から悪魔の駒についての説明をするわ・・・祐斗」
「はい、部長」
木場先輩が突然その場から消える。
「消えた!?」
まあ、普通の人や悪魔になりたての者には、わからないだろうがただ単に高速で移動しているだけである。
「祐斗の駒は騎士ナイト。騎士ナイトの駒の特性はスピード」
バイザーの目の前に現れたと思いきや両腕を斬りおとした。普通だったら致命傷だが、蜘蛛みたいな物と混じり合っているおかげか、悲鳴を上げただけで行動を開始してくる。それどころか斬られた部分がうごめいて生えてこようとしていた。
「これは厄介ね・・・」
まあ、再生するのはとても厄介だろう。いくら攻撃しても瞬時にとまではいかないが、徐々に回復してくるのだから。長期戦になるのはまず間違いないだろう。
そう考え、ふと顔をあげると塔城さんがバイザーを投げ飛ばしたところだった。バイザーは廃工場の隅まで投げ飛ばされダウンしていた。
「小猫の駒は戦車ルーク。戦車ルークの特性は馬鹿げたパワーと耐久力」
馬鹿げたパワーと耐久力か・・・殴られたらやばそうだな。
「小猫ちゃんには逆らわないようにしよう・・・」
「それが賢明な判断だな」
そして姫島先輩がバイザーに近寄って行くと、魔力で生み出した雷を落とし続ける。顔を見ると若干顔を赤く染めて、嬉しそうにしている。
「朱乃の駒は女王クイーン。さっき言っていた騎士ナイト、戦車ルークとさっき出てこなかった、兵士ポーン、僧侶ビショップすべての駒の特性を持つ最強の駒よ」
「チェスに倣っていると言うことか・・・キングは勿論のことながら部長として、イッセーはおそらく兵士ポーンだろうな。こんな性格をしていて僧侶ビショップだとは考えられない」
「それって俺のこと貶しているよな!?」
「勿論だ」
僕にそう言われて、悔しがるイッセー。なんとなく嫌な予感がして、先ほど斬り落とされた腕の方を見ると、バイザーと瓜二つの者がいた。
おそらくだが自身の肉体を使った分身だろう。だとすると力も何も一緒みたいなものか。全く面倒なことをしてくれる。
ナイフを生み出しバイザー(分身体)に向ける。そこまでして部長たちは気づいたようだった。
「うへぇ!同じやつが二体もいるぞ!」
イッセーが言うことは他の皆も思っていることだった。何故こんな魔法をバイザーが使えるのかと・・・
「はぁ、部長、ここは任せてもらえるか?正直言って一人の方がやりやすい」
「わかったわ。あなたの力、見させてもらうわ」
「そうしてくれ」
魔術は基本的に一般人には明かしてはいけない。神秘性が失われ魔術が使えなくなってしまうからだ。魔術をあまり使わずにどうやって勝つかと言うと、この眼を使うのだ。
身体能力的には先ほど見た限りだと問題はなく戦える。というか全力を出すにはこの程度の相手じゃまだ足りないくらいだ。
「ケタケタ、人間ごときが俺の分身体に勝てるわけないだろう!まずは貴様から殺してや、ガアアアアア!?」
「あらあら、もっと虐めて欲しいようですわね?」
一番逆らってはいけないのは姫島先輩のような気がする。そんなことは、とりあえず捨てておいて、戦闘に集中するとするか・・・
「じゃ、死なない程度に頑張りますか」
すると今更イッセーが反論してきた。
「ほんとに戦うのか?あんな化け物と?悪魔でもない普通の人間なんだぞ一騎は!」
「心配してくれてありがとなイッセー。だけど、普通の人間が堕天使を殺せると思うか?答えは否だ。僕は普通の人間の皮を被った、人間の道を外れた者だな。だからあんな奴に負けるわけがない」
「イッセー、これは一騎が決めたことであって、あなたが口出しできる問題ではないわ。それにもし危なくなった時は責任を持って私が守るから、安心してちょうだい」
イッセーは部長の言葉で渋々引き下がった。だがその目は納得していないようだった。まあ、義理とはいえ弟が危ないことをしようとしているのだから当然か。
「相手が生きているのなら、たとえ神様が相手であったとしても殺して見せる」
戦闘の前によく言う言葉だ。まあ、この前の堕天使の時は言わなかったがな。
そして直死の魔眼を発動させる。周りでは突然瞳の色が変わったことにより、驚いているイッセーがいた。
「魔眼の類ねあれは・・・」
「よくわかったな、部長」
「勿論よ、伊達に悪魔家業をやっているわけではないわ。だけどそんな魔眼は一回も見たことがないわ。ますますあなたを眷属にしたくなるわね」
勘弁してくれと思いつつ、ナイフをバイザーに向ける。そして、一方的な殺戮が始まった。
相手を格下の人間だと思い、明らかになめ腐っているバイザーはかなりの速度で近づいてきて足で踏みつぶそうとする。だが、もう僕の姿はその場になくバイザーの後ろにいた。踏んだと思っていたバイザーはこちらを憎々しげに見て、再度こちらを攻撃するために振り返ろうとした瞬間に、脚が一本切断されていた。
分身体のバイザーにも痛覚があるらしく悲鳴を上げながら、強酸性の液体を飛ばしてくるがそれも全て余裕を持って回避する。
バランスを崩しながらも、腕で攻撃してくる。その表情はもうなめ腐ったような顔ではなく、敵を見る目へと変わっていた。
「まったく、面倒くさい」
木場先輩よりも速く腕の部分に近づくと、見えた点を突き、見えるようになった線を切り裂く。
バイザーのことを蹴り飛ばし、巨体が吹き飛ぶ。ふと見えた光景では本体がすでに消滅していた。つまりこいつは分身ではなくもう一つの本体と言うことか・・・
まあ、そんなことはどうでもいいし気にもならない。と言うかそろそろこいつの方を倒しておかないと、もう一体が出てきそうだ。木場が斬り落とした腕は二つ、つまり後もう一体倒さなくてはならないのだ。
「さて、そろそろ終わりにするかバイザー」
「ケタケタ、俺を斬ったところですぐに・・・」
「すぐになんだ?」
「何故だ!何故再生しない!」
「再生しないか、そうかそうか。それは残念だったな」
僕は一歩踏み出す、また一歩、また一歩と踏み出すたびに、徐々にバイザーの顔が恐怖のあまり歪んで行く。
「来る・・・な!来るな!」
「なんだかこれじゃ僕が悪者みたいじゃないか・・・」
強酸性の液体を僕に打ち出していくが、それを全て回避する。切り払ってもいいのだが、それではナイフがダメになってしまうし、飛沫が服にかかって服もだめになってしまうからな。それにナイフは魔力から作り出している物とはいえ、元は刀と同じで自分で作り出した物だから、とても勿体なく感じてしまう。
さすがにこれ以上恐怖で怯えさせるのもあれなので、こいつを終わらせるために一気に走り近づいた。
「これでお前は終わりだ」
「ギャアアアアアアア!」
心臓部分を突き刺すと断末魔を上げながら倒れていった。イッセーの顔を見ると多少顔が引きつっていたが、それと同時に安堵の色も見えた。
「さてと・・・完全に止めを刺すか」
ぼこぼこと膨れ上がっていた腕にを斬り裂くと、膨張が止まりついにバイザーを完全に討伐した。
「お疲れ様。一騎、ほんとに私の眷属にならない?」
「僕が死んだら任せるが生きている間は悪魔になるつもりはない」
「そう、残念ね」
先ほどから不愉快だな、やっぱり。他人から観察されるのはあまり好きじゃないからな。
僕はその視線を向けてくる人物の方を見て睨み付ける。すると拍手が聞こえてきた。
「お見事ですね。まさか『普通』の人間が悪魔を倒すだなんて」
陰から出てきたのは、黒色の髪を持った一見どこにでもいる日本人だ。
「さっきから、観察してきやがって何が目的だ?」
「おや気づいていらしたんですか?それは申し訳ない。あ、自己紹介もまだでしたね?私の名前は加藤綾斗と言います」
「僕のことはわざわざ話す必要はない、だろう?観察していたぐらいなんだから」
「そうですね・・・原作にいない人物だったので気になっていただけですので気にしないでください」
やはりこいつは転生者だな。しかも何かを発動していやがる。全くこういうやつはさっさと殺すに限る。
気配が変わり、眼の色が桃色に変わる。
「さあ、女たちよ我がしもべになるがいい!」
不味いと思いながら振り返ると、塔城さん以外の目から生気が消えうせた。おそらくやつの操り人形となってしまったのだろう。
「イッセー、木場先輩、塔城さん。部長と姫島先輩を少しでもいいので抑えてくれ、今からやつを殺る」
「どういうことだよ?」
「そのままの意味だ、っと、危ないな」
リアス・グレモリーから魔力弾が僕に向かって放たれる。僕はと言うと攻撃をするわけにもいかないのでそれを回避し続ける。
「「「部長!?」」」
とりあえず、伝えておくことは伝えておくか・・・
「いいか、よく聞け。今、部長と姫島先輩はやつによって操られている。だから僕たちの声は届かないし、聞こえない。ようするにやつの操り人形と言うわけだ。だから、気をつけろ。眷属であっても、殺される」
「そんな・・・!」
塔城さんが絶望しきった声を上げる。
「だから、抑えててくれ。いいな?一分だけでいい」
「一分抑えれば部長を助けれられるんだね?」
「勿論だ」
木場先輩は力強く頷く。その返答さえ聞ければいい。ナイフを消し僕の最高傑作である刀を取り出す。僕の行動を無視してぶつぶつとつぶやいている。
そして僕がとっている行動を見てこういってきた。
「一分だなんてよくそんなことが言えますね?ちゃんと私んとの実力差を理解してください。あんな奴に手こずっている時点で私には勝てませんよ?それに私自身無敵なのですから!」
「そうか・・・お前も馬鹿だな。あれが本気だと本当に思っているのか?」
「なんだ、負け惜しみですか、醜いですね!」
「勝手に言ってろ」
緊急事態のため魔術を使い、手加減無しで行く。それほどまでに転生者と言う者は侮れないのだ。前のやつはとにかく剣や槍、斧の弾幕を張りまくりなかなか近づかせてくれなかったからな。おかげで結構なダメージを負ってしまった。
僕は音を置き去りにしてやつに近づいた。そして胴体に見えた線を斬り、後ろに抜けた。
「何をしているんですか?私は無敵なのですから、そんな攻撃は、ガハッ!な・・・ぜ・・・私は!オリ主な、のに・・・」
「一分・・・話でほとんど使ってしまったな。それにこいつは慢心していてさらに弱すぎだ」
イッセーたちの方を見ると、まるで糸が切れたように気絶していた。これでおそらく『支配の魔眼』は解除されただろう。念のためこの眼を誰かが使わないように消しておくか・・・
絶命した転生者へと近づき両目を潰しておく。これでもう大丈夫だろう。
「大丈夫だったか?」
「な、なんとかね・・・」
「ぎりぎりでした・・・」
返事が返ってこなかったイッセーの方を見ると、真っ黒焦げになっていた。生きているかどうか確認すると、心臓が動いていたので、問題ないという判断を下した。
空気が悪くなってしまったので、とりあえずこの廃工場から出ることにした。
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外に出ると満月が綺麗に真上に出ていたのを見てため息をつく。
しばらくすると、イッセーたちが気が付いた。操られている時の記憶はないみたいなので心が傷ついていると言うことはなさそうだ。
「気が付いたか?イッセー」
「ああ・・・それよりも部長たちは!?」
「問題ない、魔眼は解除した」
「よかった・・・ほんとによかった・・・」
そう安堵しているイッセーを見て思うことがある。やはり転生者は敵だと・・・
塔城さんと木場先輩には口止めをしてあるので、このことが漏れる心配はないと言っていいだろう。
意識を失っている間のことを部長と姫島先輩が疑問に思っていたが、先ほどの謎の男の魔眼で気絶させられてと言うことにしておいた。
服についた返り血は姫島先輩の魔法で落としてもらった。今更だが、魔術師が言う魔法と悪魔や他勢力の魔法は全く違う物だ。
オカルト研究部の活動はもうかなり遅いので現地解散になった。はあ、憂鬱だ・・・
家に帰ると案の定、真奈に怒られたが、部活に入ったのでその活動と言うとあっさり引き下がったのだが、少し嫌な予感がするのは気のせいだろうか?
余談だが、次の日起きると真奈が僕の布団の中に潜りこんできていた。嫌な予感とはこれだったか・・・