アーシアと出会ってから二日間、イッセーと僕はチラシ配りだけをしていた。毎回チラシ配りをしているときに叫んでいるので、短期間なのに聞いたり見た人からは「ママチャリの変人」と呼ばれていたりする。僕の姿は見えていなかったようなので、「達」にならなくてよかったと思っている。
いつも通りにチラシ配りに行こうとすると、部長から待ったがかかった。
「二人とも今日でチラシ配りは終わりよ」
要するに次の仕事をすることになるのか。チラシ配りが本来、使い魔にやらせるのならそのチラシは何に使われるか?それは悪魔を召喚するために使うのだ。つまり部長が前に言っていた契約取りと言うわけか。
「え?」
「イッセーにはそろそろ次の仕事に移ってもらおうと思うわけよ」
「部長が前に言っていた契約取りと言うやつか」
「ええ、一騎の言う通りイッセーにはそろそろ契約を取ってきてもらうわ」
イッセーはとてもやる気に満ち溢れているのと同時に、かなり喜んでいた。このやる気を無くさないでもらいたいものだな・・・たとえ契約先で何があっても。
今日で最後のチラシ配りを終えた僕とイッセー・・・いやイッセーは、グレモリー眷属専用の魔法陣に自身の魔力パターンを登録していた。
「イッセー、今小猫の依頼がちょうど二つ重なってきているの。だからそのうちの一つに行ってもらうわ」
「わかりました、部長!」
イッセーは意気揚々と魔法陣の上にのり転移するのを待ち、白い光が当たり全体を覆うとそこには・・・イッセーがいた。転移したはずではなかったのだろうか?
周りを見るとイッセーは戸惑い、他のみんなは何と言っていいのかわからない顔をしていた。
「イッセー、あなたの魔力が低すぎて転移ができないわ。本来この転移の魔法は悪魔の子供でもできる初歩の初歩の魔法なの」
まさか、イッセーの魔力がそこまで無かったとはな・・・少し予想外だ。
「つまり・・・」
「自分の足で行ってちょうだい」
これには同情せざるを得ない。あんなに嬉しそうににしていたのに、どん底まで突き落とされたのだからな。
「無様・・・」
「うがあああ!」
塔城さん、止めを刺すのはやめた方がいいのではないだろうか?
「イッセー・・・僕も一緒に行くから元気を出せ」
「慰めになってねぇよ!いいよ、良いですよ!自分の足で頑張りますからね!」
どうやら、一周回って開き直ったようだ。まあ、いつまでもうじうじするわけにはいかないからな。
「イッセー、早く行きなさい。召喚者が待っているわよ」
「はい!」
イッセーはかなりの速度で部室を飛び出していった。その速さに軽く驚いたがすぐに後を追った。
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召喚者が住んでいる場所は、年季があるアパートの二階だった。
イッセーはインターフォンがなかったので、ドアを少し強めにノックして声をかけた。
「すみませーん、グレモリー眷属の者ですけど」
そう言うと、一回ドアが開いたがイッセーの姿を見るとすぐにドアを閉めた。
「ちょっと!?呼び出されたから来たんですけど!?」
「玄関からくる悪魔がいてたまるもんか!」
確か、悪魔を召喚するときはチラシから召喚するのだから、室内から現れるのか。だとしたら今回は悪魔じゃないと思われても仕方がないか・・・
「俺だって、俺だって!こんな登場の仕方はしたくなかったですよ!仕方がないじゃないですか!魔力量が、魔力量が少なすぎて転移ができなかったんですから!」
そう言いながらイッセーは半泣きになってしまった。声がでかすぎて頭のおかしい人だと思われるぞ、イッセー。
「ああ、わかったから!わかったから、玄関先で大声を出すんじゃない。いいから入れ」
「わかってくれて、ありがとうございます・・・」
どうやら、近所迷惑になると考えたようだ。まあ、それもそうだろう一軒家だったらまだしも、ここはアパートだからな、文句の一つでも言われそうだ。
「君は?」
「僕はこのなりたて悪魔の・・・そうだな、護衛のようなものだな」
「じゃあ、君も入って行くといい。お茶ぐらいは出すよ」
「すまない、お邪魔させてもらう」
そう言ってお邪魔させてもらった部屋には様々なフィギュアや、漫画本が置かれていてそういう趣味の人がかなり喜びそうな空間になっていた。その証拠にイッセーがかなり興奮している。
「少し落ち着いたらどうだ?」
「だけど、すげぇぜこの部屋!限定版のフィギュアや、ドラグ・ソボールの最新刊まで全部そろってる!まさに夢のような空間だ!」
そう言う話から意気投合したイッセーと召喚主は、朝方になるまで語り合っていた。僕、もう帰ってもいいか?話についていけないし・・・まあ、幸いなことに部屋の主からは「少しぐらいなら寝てもいいぞ」と言われたので、ありがたく寝させてもらった。
その時は契約こそ取れなかったものの評価は最高だった。部長はこんなもの聞いたことも、見たことも今まで無かったらしい。
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時が流れるのは早く、あれから三日がたとうとしていた。イッセーはいまだに契約が一つも取れていないが、すべて高評価なので、部長も何か言いたいみたいだが言えないようだ。
そしていつも通り、契約を取りに召喚者の家に訪れた時のことだった。僕がまず異変に気付き、イッセーも少ししてからだが、異変に気付いた。
探査の魔術を使おうとしたが、何か強い力に阻まれて使用することができなかった。
「イッセー、いつでも部長たちを呼べるようにしておいてくれ、中で何かが起こっている」
「わ、わかった。とりあえず中に入ってみようぜ」
「中では不用意に動くなよ。何か罠が仕掛けられていたり、敵が潜んでいる可能性がある」
僕はナイフを作り出すと右手に持って、構えながら慎重に家の敷地内に入って行く。念のため手袋もつけておくことも忘れない。指紋を残すのはかなり厄介だからな。
玄関のドアを開けると、鍵がかけられているわけでもなければ、チェーンがついているわけでもなく、すんなりと開いた。一歩踏み出した瞬間に「ピチャッ」と言う音がしたので下を見ると、何か液体が流れていた。
最初は水でも漏れているのかと思ったのだが、よくよく見るとその水の色は赤かった。そう認識すると、鼻から血生臭い匂いがしてきた。つまりこれは・・・人の血・・・
「イッセー、神器セイクリッド・ギアを出しておけ」
「なんでだよ?」
「下をよく見てみろ」
「下?・・・っ!?」
イッセーも気づいたようなのでさらに警戒度を上げて中に入って行く。
血が流れている原因の場所にたどりついた。最初は目が慣れていなくてほぼ真っ暗だったが、不意に月明かりが差し込んだ時に吐き気がした。
その人・・・いや、それは壁に貼り付けられていて、いたるところに内臓がまき散らされていた。勿論手足などそれにはついていなかった。壁には何かが書かれていた。イッセーも見てしまったようで吐いてしまっていた。
「「悪魔を呼び出す悪い人にはお仕置きよ」」
背後から何も気配を出さずに近づいて来たやつは、僕と同じことを言ってきた。慌ててイッセーをつかみながら後方に飛びずさると、そこには僕と同じ色の髪を持った男がいた。いや、僕と同じ髪色ではないな、こいつと同じでくすんでいる。
「よぉく、わかりましたねぇ。悪魔とつるんでるいけない、いけない人間さん」
「はっ、どっちが悪魔なんだか・・・これじゃわからないな。イッセー、部長たちに連絡しろ」
イッセーに聞こえない声でそう伝えておくと、震えながらも頷いた。
「今なら、その悪魔さんを差し出せば、あなたは助けてあげますよぉ~もちろんその悪魔さんはお亡くなりになりますがね!」
「非常に魅力的な話だが、断らせてもらう」
「おろろ、断られてしまいました。じゃあ、今のうちに胴体との別れをしておくんですねぇ!」
黒いコートの内側から剣の柄と銃を取り出し、光力でブレードの部分を出すと攻撃を仕掛けてきた。
銃で牽制射撃をして僕の退路を無くしつつ、剣で斬りかかってくる。誰かを守りながら戦うのがこんなにつらいなんてな!
光の剣と僕が作りだしたナイフとがぶつかり合う。嫌な音を立てながらこちらに力をさらにかけてくるので、顔が接近する。その時にわかったことなのだが、こいつははぐれ悪魔払いのフリード・セルゼンだ。
反対側の腕が動いたのを確認した僕は、その銃をあいている片手でつかみ僕から照準ずらす。それと同時に、脇腹のすぐ横を光の弾丸が通り抜けていく感覚がした。発砲音が聞こえないのは厄介だな。
「避けるんじゃないですよぉ!人間さん!」
「そっちも、人間だろうに・・・はぐれ悪魔払いのフリード・セルゼン?」
「俺のこのかっこいぃ名前も世に広まってしまって有名人ですかぁ!いいですねぇ」
「かっこいいかどうかは別にどうでもいいな!」
フリードの横腹を蹴っ飛ばし壁際まで吹き飛ばし、そのまま追撃を入れようとするが、嫌な感覚がしたので横に飛び回避する。
「いやぁ~ちょっと今のは効いてしまいましたねぇ」
「ちっ、少し無理な体制からだったが、手加減しなかったのにな。やはり化け物だな」
「いやぁ・・・嬉しいですねぇ」
すると背後からうめき声が聞こえた。慌てて振り返ると足がやられたイッセーがいた。その撃たれた場所からは肉を焼かれている音が聞こえる。これが狙いだったのか。クソッ!まんまとやられた・・・
「悪魔さんにとっては光は弱点ですからねぇ、それは勿論人間さんにも言えることですが!ヒャハハハハ!」
僕の頭の中で何かが切れる音が聞こえた。
「フリード、ここからは本気で行かせてもらう。少々なめ過ぎていたようだ」
「何ですか、何ですか!ついにクライマックスですか?いいですねぇ、楽しくなってきましたねぇ!」
自身の体に強化の魔術をかけ、直死の魔眼を発動させる。
「生きているのなら、たとえ神様だって殺して見せる」
「何ですか?急に神だとか言っちゃって!もしかしてあなたも神様を信じていちゃったり?ハハハ、笑えますねぇ」
次の瞬間フリードは目を見開いた。いつの間にか僕が目の前に現れていたのだから。そしてナイフで首に見えている線を斬ろうとしたが、間一髪のところでフリードは剣で受け止めたが、かなりの力で腕がしびれてしまう。
「急に調子づきやがってぇ!生意気なんですよぉ!」
次々と斬撃を繰り出していく。胴体、腕、脚いろいろな個所を狙っていき、空中に飛び上がっても体を捻りながら攻撃をする。そして背後に降り立ち振り返りざまに一撃を入れる。だがそれらはすべてギリギリのところで次々と受け止めたり回避したりしていく。
おそらく第六感に頼っているのだろう。目では完全に追い切れていない。
「畜生!こんな強いやつがいるなんて聞いていませんよ!?」
そう叫んだフリード・セルゼンの声と同時に、悲鳴が聞こえてくる。その悲鳴の持ち主はアーシア・アルジェントだった。
まさか、こんな形で会うとは思っていなかったので少し驚いていると、フリードが攻撃が止まった隙を見て攻撃してきたので、それをイッセーの方に下がりつつ回避する。
「助手のアーシアちゃん、結界は張り終わったのかなぁ?」
「こ、これは!?」
「そうでしたねぇ、君はビギナーでしたねぇ~これが俺らの仕事!悪魔に魅入られたダメ人間をこうして始末するんですよぉ!」
そこまで言うとこちらの方を見てきた。
「とは言っても、そこにいる人間とぉその人間に守られている悪魔さんはぁ、まだなんですけどねぇ~」
そこまで言ってようやく気付いたようで、アーシアがこちらを振り向く。彼女は本当に心の優しいシスターなんだな・・・だが、なんでそんなアーシアがはぐれ悪魔払いと行動しているんだ?間違いなく何か理由があるのだろう。それを聞きだせればいいのだが・・・
「い、イッセーさんと、カズキさん?」
「アーシア・・・」
そこにフリードが茶々を入れてくる。
「何々?君たちお知り合い?」
そんな言葉が聞こえていないかのように、アーシアとイッセーは話をする。
「どうして、あなた方が?」
まるで悲鳴のような声でそう聞いてくる。それはそうだろう日本に来て初めての友達が、悪魔とそれに関わっている人だったのだから。
「ごめん・・・アーシア、俺・・・悪魔なんだ」
「そんな・・・」
「騙してたんじゃないんだ!だから、君とはもう二度と会わない方がいいって、そう決めてたのに・・・」
そこまで言うとアーシアは泣き出してしまった。そこにフリードが何かを囁く。僕は少し考え事をしていたので「堕天使」という単語しか聞こえなかった。
「それじゃあ、この糞悪魔と、糞みたいな人間をあの世に送ると致しましょうかねぇ!」
そう言い、フリードが剣をこちらに向けて振りかぶってくる。それを予想していた僕は、ナイフで受け止めようとしたときだった。突然アーシアが間に入ってきたのだ。
「やめてください!・・・フリード神父、この方たちをお許しください!どうかお見逃しを!」
「おいおい、マジですか?」
「たとえ、悪魔だとしてもイッセーさんとカズキさんはいい人です!それにこんなこと主がお許しになるはずがありません・・・」
「はあ?馬鹿こいてんじゃねぇよ!」
アーシアに剣を振り下ろそうとして来ていたので、僕はそれを受け止める。
「全く、その優しさと勇敢さは認めるが、さすがにこれは無謀だろう・・・」
「カズキさん!?」
僕は手を銃の形にしながら魔力を込め、それを呪いにし弾丸として指先から放った。フリードはこれに気付いたようで、横に転がり回避する。その弾丸が当たった先の壁が、大きく凹んでいるのを見たイッセーの表情が軽く引き攣っていた。
「一騎、アーシアを・・・頼んだ」
「わかった。アーシアは任せろ」
そのまま、フリードを狙いながら次々と連射していく。何かを叫びながらも回避していくフリードを見ながら、アーシアの手を取る。
「アーシア、僕が逃げるぞと言ったら逃げるからな?」
「は、はい!」
しばらく、フリードが回避に専念していると、後方から転移特有の魔力反応を感じた。それを僕は合図にした。
「逃げるぞ!」
僕はアーシアの手を引いて玄関へと向かう。後ろでフリードとか言う変なのが騒いでいるが気にしない。
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アーシアを連れて走りまわっていると、途中でアーシアの体力が尽きてしまいそうになっていたので、背負って逃げることにした。
逃げ回っているうちに堕天使の気配が、こちらに向かってきていたので、アーシアが狙いなのは間違いないだろう。だが、一人のシスターに何故そこまで執着するんだ?そこが謎だ・・・
そして気づいたら、あの時の廃工場に来ていた。さらに、堕天使が建物のすぐそばの場所まで来ているので、もうこれ以上は逃げることはできない。
『ジャック、アサシン。僕と一緒に戦ってくれるか?』
『勿論です!』
『わかったよ、おとうさん』
『ありがとうな』
僕はアーシアを建物の中でも、かなり目立たない場所に下ろして結界を張る。
「アーシア、絶対にここから出るなよ。たとえ何があってもだ」
「っ!はい、わかりました・・・」
「よろしい」
少し強めだっただろうか?そう思いながらも堕天使を迎え撃つために、武器を作り出す。
「さあ、鬼ごっこはもう終わりよ!あの時の人間さん?」
「ドーナシークの仇!」
「ここで討たせてもらうっスよ!」
二人が配置についたのを確認した僕は、二人に合図を出した。合図とは、ガンドを敵の親玉らしきやつに撃つことだ。
「こんな攻撃!」
確かレイナーレと呼ばれていたやつが、ガンドを躱しながら一人で突っ込んでくる。これで作戦の一つ目は完了だ。作戦と言ってもこれしかないのだが・・・さあ、後は殲滅戦だ。
「生きているのなら、たとえ神様だって殺して見せる」
ドーナシークと言うやつが殺されたときに、対策を取られたのかわからないが、僕の動きに苦労しながらも追いついてきていた。
空中に浮き続けているがそれがどうした?僕は廃工場の柱を駆け上がり、天井にぶら下がっている使えなくなった照明をつかみ、勢いでレイナーレに近づく。
「なっ!?だけど、空中に出たのが間違いだったわね!」
レイナーレは光の槍を投げてくるが、僕はその光の槍を体を捻りながら、ナイフで受け流しつつ、体を押し上げるようにしてさらに上に上がる。その際に上の鉄骨の一部に、もう一本作り出しておいた投合用ナイフを投げる。
かなり驚いていたが、そんなものは無視してナイフで上から突き刺そうとするが、これは避けられてしまう。
だが、アサシンがこちらの様子を見たようで、ちょうど真下辺りに堕天使の一人が吹き飛ばされてくる。それを足場にして、またレイナーレに接近する。下で、「私を足場にした!?」と言っているがどうでもいい。今はこいつを・・・殺す。
レイナーレも驚いているが、冷静に光の槍で突きおろしてくる。それを見たときにちょうど槍の先端から柄にかけて、青白い線が伸びていた。
「これで!」
青白い線に沿って光の槍を切り裂いていく。とても驚いていたようで光の槍を離すタイミングを間違えた。レイナーレの腕を普通に切り裂く。そのまま天井まで上がって行き、あらかじめ刺しておいた投合用ナイフをつかみ勢いをつけて、別の照明へと飛び移る。つかんだ投合用ナイフは回収しておく。
次々と照明の上を猿のように飛び移り、片腕を負傷しながらも、もう片方の腕で光の槍を投合してくる。それらは全て照明に当たり、照明が砕ける。他の堕天使の方は終わったようで、一か所にまとめられていた。
様子を見ながら戦っているが、やはり片腕の出血量がかなり多いみたいで、苦しそうにしていた。そろそろ終わらせるとするか・・・
投合用のナイフを一本レイナーレに投げつけて、それを防いでいる間に鉄骨の上に昇りレイナーレの上の鉄骨部分だけを斬りおとし、鉄骨の雨を降らせる。
それは普通に避けられたが鉄骨が落ちたところで埃が沢山舞い、レイナーレの視界が奪われる。先ほどいた場所からはもう移動しているため、埃がはれても僕の姿はない。
埃が舞っている間に地上へ飛びおりて、柱の陰へと隠れる。
「どこへ行った!?」
レイナーレは光の槍で僕がいると思われる場所へと、次々と槍を投げていく。
そしてレイナーレが背を向けた瞬間に地上から、空中に跳躍してレイナーレの両腕とその漆黒の翼を眼を使わずに斬りおとした。
翼を失ったレイナーレは地上へと落ちていった。
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「レイナーレ、お前がアーシアをしつこく狙っていた理由は何だ?」
「ふん!誰が人間なんかに・・・」
なかなか口を割ろうとしないのを見た僕は、あまり使いたくなかったが暗示をかけることにした。
『レイナーレ、もう一度聞く。お前がアーシアをしつこく狙っていた理由は何だ?』
しばらく、その暗示に抵抗しようとしていた様子を見せていたレイナーレであったが、暗示に負けて話を始めた。
「あの子から、神器セイクリッド・ギアを抜き出して、私に移植し至高の堕天使となるためです」
「そうか・・・アーシア、今の話を聞いてどう思った?」
「どうと言われましても・・・私には、よくわかりません・・・」
「神器セイクリッド・ギアを抜き出されたものは死ぬんだぞ?それでもか?」
「・・・」
どうやらまだ心の整理がついていないらしい。自分をこの街に連れてきてくれた人物が、自分のことを殺そうとしていたのだから・・・しょうがないだろう。
「はあ・・・アーシア、レイナーレ達の傷を治してやっていいぞ。ただしこの契約の内容を同意の下で結んでからだがな」
「ほんとですか!でも契約とは?」
「僕もそこまで鬼じゃない。「今後アーシア・アルジェントに関与しないこと」それだけだ。それでいいな?レイナーレ・・・あ、『目を覚ませ、レイナーレ』」
「私は・・・いったい何を?」
レイナーレの暗示を解いて再度聞く。
「契約書ギア・スクロールだ。内容は「今後アーシア・アルジェントに関与しないこと」それだけだ。どうだ?契約するといえば、アーシアがレイナーレを治療する。だが、これに記入しなければここで死ぬこととなる」
「くっ・・・命は惜しいから契約するわ・・・」
契約書ギア・スクロールが輝きだし、そこに僕の血を使いレイナーレの名とその他堕天使の名、僕の名を刻むと、お互いの胸辺りに入って行った。
「よし、アーシア治療してやってくれ」
「わかりました!」
その後、アーシアが三人の堕天使の傷を治療して、僕たちは帰ることになった。帰ると言ってもオカルト研究部の部室にだが・・・
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「イッセーさん!」
「アーシア!」
お互いの再開に喜んでいる、イッセーたちはひとまず置いておくことにしよう。
「とりあえず、お疲れ様と言っておくわ・・・だけどなんでシスターを連れてきたのかしら?」
「アーシアを連れてきた理由ですか?そんなの・・・治療系の神器を持った眷属は欲しくないですか?」
「まさか!シスターを悪魔にするつもり!?」
「できるのならですが・・・このことはここに戻ってくるときにアーシアも承諾しています」
そこで、部長と僕がやり取りをしていると、アーシアがやってきた。
「ぶ、部長さん!私を悪魔にしてください!」
「本当にいいのかしら?」
「はい!後悔はしません!」
そこまで言ってようやく部長は納得したようで、悪魔に転生する儀式を行った。
結果から言うと、アーシアは無事?と言っていいのかわからないが悪魔となった。
さらに・・・兵藤家にホームステイすることになったのだ。両親は渋っていたが花嫁修業と言うと、一瞬にして喜び始めた。「孫の顔が見れる」だったか?それには気が早い気がしなくもなかったりする。さらに隣にいた真奈から黒いオーラが見えたのは気のせいだと思いたい。
うちに来ると言うことは、学校は勿論駒王学園だった。あっさり転入できたことに驚いていると、部長の親族がこの学校にかかわっているらしいからできたとのこと。凄いな、悪魔って・・・
学校が始まる前に、部室でアーシアの歓迎会をすることになった。おいしそうなケーキなどが出てきたときの、塔城さんの反応はとても可愛らしかったとだけ言っておくか・・・