あの後、ホームルームが終わった後、僕は考え事をしていた。とはいってもどうやって真奈とアーシアの仲をよくするかだが。真奈はアーシアが僕に気があるのではないかと、そう考えているらしく、ことあるごとに敵視している。いや、正確にはわからないのだが・・・初めて会ったときはかなり仲よさそうだったのにな。
「なあなあ、一騎。知っているか?今日二年に超可愛い金髪美少女が来たんだってさ!見に行かないか?と言うか行くよな?絶対に行くよな!」
「そう興奮するな、三枝木。それにアーシア・アルジェントのことだろう?それなら、知っている・・・と言うか友達だな」
「な!?いいよな~やっぱりイケメンだからなのか?そうなのか!?」
今騒いでいるのは三枝木謙佑。僕が知る中で唯一、敵対せずに仲良くしている転生者だ。能力なども教えてもらったのだが、ほとんど自衛用だった。こちらから手を出さない限りは何もしてこないだろう。
ひとまず、三枝木のことは無視しておき、友人と談笑している真奈の方を見る。こちらと目が合うと微笑んで手を振ってくる。
「なんだ?真奈ちゃんと何かあったのか?」
変に鋭いなこいつは、まあ相談に乗ってもらうとするか・・・
「いやな・・・今、さっき話に出てきたアーシアと真奈の仲が、あまりよろしくないみたいだから、それについて考えていた」
そう言うと小声で話しかけてきた。こいつが小声で話すときは、あまり他人に知られたくないようなことだ。
「それってさ、この世界の裏に関係してるんじゃないかな」
「どういうことだ?」
「つまりだ、よくは理解していないけどアーシアが自分の兄・・一騎と秘密を共有していると思っているんじゃないか?」
なるほど、真奈は明るい性格だけど僕に関してべったりで、意外と嫉妬深い性格だからな・・・だけど裏についてはあまり話したくはないんだがな。真奈には裏に関わらずに、幸せに過ごしてほしい、それが兄としての願いだし・・・
「まあ、できるだけ早めに教えておいた方がいいと思うぜ。俺はあまり原作と言うのを覚えていないから、よくわからないんだけどな。それに一騎がこれからも関わるのなら、やっぱりもし何かあった時に真奈ちゃんの性格だからな・・・」
「そ、そうだな」
それだけ言うと、「授業だから、戻るわ~」と言って自分の席に戻って行った。おそらくこれからグレモリー眷属に関わらないというのは、この駒王町にいる限り不可能に近いだろう。だとすると、要所要所だけを真奈に伝えるか・・・
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真奈SIDE
放課後・・・
「一騎さん、部活に行きましょう」
「ああ、わかった」
私の愛しの兄さんは同じクラスの小猫ちゃんに連れられて、今日も部活へと向かいます。私は兄さんが所属しているオカルト研究部が、とても危ないことをしている部活だと思っています。
今まで言ってはこなかったですが、最近兄が血の匂いをつけて帰ってくることがあるのです。これも全てオカルト研究部に入ってからです。おそらく・・・と言いますか、絶対に危ないことをしているに決まってます!前から隠し事をしているとは思っていましたが、もう我慢ならないです!
そうことで今日は兄に気づかれないようにつけてみようと思います。兄は結構気配には敏感なので、できるだけ息を静めていきます。
結構、楽しそうに小猫ちゃんと話をしています。邪魔をしたいです!すっごく邪魔をしたいです!兄さんに近づく女性は私が安全だと判断するまで、油断できないからですからね!
おっと、そう脳内にいる誰かに話しているうちに、兄さんがどこかへ入って行きました。ここは・・・確か旧校舎だったような気がします。ちょっと変な感じがしますが気にしません。龍牙真奈、兄さんの安全を守るべくオカルト研究部に乗り込みます!
一騎SIDE
塔城さんと主にお菓子について話を一方的に聞かされていると、いつの間にかオカルト研究部の部室についていた。きちんとノックをしてから入ると、部長たちの声が聞こえてきた。
「こんにちは、部長」
「ええ、こんにちは」
一応挨拶をしておき、僕がこの部室の中でのお気に入りの場所である、隅っこに置かれたソファーに座る。そこでいつもは本を読んでいたり、安全を取って魔術回路を生成したりしている。
だが、今日は違った。オカルト研究部のメンバーは全員そろっているのに、少しだけ扉が開いたのだ。他のメンバーは気づいていないようだが、念のため敵対勢力かもしれないので探査を行う。
すると、僕は目を見開いてしまった。何故・・・真奈がここにいるんだ。僕は慌てて立ち上がると扉の方まで向かう。
「どうかしたのかい?」
「ちょっと、僕にとって厄介なことになりました」
扉を開けると、こちらに倒れながら真奈が姿を現した。ほんとに僕は馬鹿だな・・・部室に来てから真奈が来ていることに気付くなんて。真奈は体質的に人払いの結界や暗示はほとんどを無効化してしまうのだ。
「それで、真奈。どうしてここにいるんだ?」
ここまで来てしまったので、中に入れソファーに座らせて、話を聞くことにした。
「だって・・・兄さんが最近・・・」
「僕が、どうかしたのか?」
ちょっと威圧気味に話していたため部長から声をかけられた。
「一騎、そんなに威圧気味に話してはダメよ。真奈さん?どうしてあなたはお兄さんの後をつけてここに来たの?部活の様子であれば、家で聞けばいいことでしょ?」
「うぅ・・・兄さんがオカルト研究部に入ってから、またかなりの頻度で血の匂いをつけて帰ってきていたから、心配になって。それで、もしかしたら、オカルト研究部の人達は何か危ないことをしているのかと思ったらいてもたってもいられなくなって」
僕の思考はそこで完全に止まった。まさか真奈が血の匂いをわかるとは思っていなかったからだ。もし、血の匂いがわかっていなかったら、ここには来ていなかっただろう。いや、もしの話をしてもしょうがない。今はどうやってこの状況を切り抜けるかだ。
「要するに、真奈さんは毎日のごとく不良みたいな人達と、喧嘩をする部活だと思ったわけね?」
「そういうわけではないのですが・・・」
「安心しなさい。『そう言ったことは一切していない、安全な部活だから。血の匂いと言うのも真奈さんの気のせいでしょう』」
「でも・・・昔から兄さんは私に隠し事をしていますし」
部長たちは思わず目を見開いてしまった。普通の人間なはずなのに、暗示が効かなかったのだから。
「・・・今ので、確信しました。兄さんからは何をしてでも秘密をすべて吐いてもらいます」
僕をじっと見つめると、突然立ち上がると何かをかけてきた。これは・・・魔術!?とっさに無効化すると、真奈は特に驚いた様子もなくこちらに何度もかけてくる。
「ちょ、ちょっと待て、真奈」
「い・や・で・す!待ちません!」
何をしているのかがわからないようで全員唖然としている。
「今は亡き、母様から教えてもらったこの・・・催眠術でしたっけ?それをかけて兄さんにはすべて吐いてもらうんですから!」
「母さん!?何を真奈に教えているんだ!」
とりあえずこの状況を打破しなければどうにもならない。魔術を使いすぎるのも体に悪いと聞いたことがあるからな・・・こうなったら!
真奈の方に素早く近づき思い切り抱きしめる。
「に、兄さん!?嬉しいですけど、嬉しいですけど、大胆すぎます~♪」
「真奈、要所要所だがすべて話すから、それで納得してくれないか?」
「わかりました」
その様子を見ていたイッセーは視線で聞いてきていた。『本当に教えてもいいのか?』と。僕はしっかりと頷く。
真奈にソファーに座りなおしてもらい、話を始めた。
「まず、話し始める前に・・・この話を聞いたら今までの日常には戻れないが・・・それでもいいのか?」
「はい。後悔は一切しません」
「兄の立場からすると、話したくはなかったんだがな・・・言っておくが、今から話すことはすべて事実だ」
この世界には天使、堕天使、悪魔が存在していることを話し、それぞれで争っているとも教えた。そしてここにいる僕と真奈以外のメンバーは全員悪魔であり、この前とあることに巻き込まれたとも・・・他にも教えたが、全部しっかりと聞いていた。
「一応、話したが何か聞きたいことはあるか?」
「大丈夫だよ。兄さん」
はあ・・・どっちが後悔しているんだか。真奈が後悔していなければそれでいいじゃないか。
今まで気づかなかったが、外から不気味な視線を感じた。窓はあいていたので、瞬時に作り出したナイフを外にあった木の枝に放り投げる。
すると、その木から変な鳥らしきものが飛び立って行った。
「どうしたの!?」
「今・・・誰かに見られていた」
「あらあら、あれは使い魔ですわ」
「誰かから見られていた・・・と言うことか」
その時に僕は心の中でこう思った。なにかひと悶着ありそうだなと・・・
それから、真奈は念のためオカルト研究部の部員となり、姫島先輩からお茶の入れ方などを教わっていた。その様子を見て、これからは真奈に最低限自分の身を守れる、技術を身に着けてもらうか、そう考えていた。