城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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初めまして。ノスタルジーと申します。前書きって何書けばいいんでしょうかね。昨日の夜思いついたものなんで前書きまで考えてませんでした。

ユーザーページ?のほうで自己紹介とかすると思います。


なるほど。この身は吸血鬼か。
城の中の少女


 転生。または憑依。現状を端的に表せばどちらかになるだろう。50秒前に目が覚め、20秒前にこの体が自分のものではないと認識した。同時に自分のものだとも認識した。この女性というより少女というべき体を。自身の記憶ではこの体は日本人男性であるはずなのだ。しかし自分の意思で動くこの体の目を下におろせば胸元に赤いリボン、黒いドレス、小さな手足。声をあげれば高く美しい声。明らかに女。体の大きさからして少女。TS転生。またはTS憑依。20秒前、目が覚めてから30秒でこの判断を行った自身の冷静さを褒めてやりたい。もともと冷静で落ち着きのある人だとは言われていたし、そう自己評価もしていたが、こんな状況でも落ち着いていられるとは。

 しかし何故自分がこんな状況に陥っているのかが全く分からない。前の体はどうした。死んだのか。記憶にないが。普通に普通の健康体で普通に普通の生活をしていたはずだ。事故か。神なぞ信じてはいなかったが、こうなっては神がいるのではないかと思ってしまいそうだ。会っても見てもないが。

 

 まぁいい。今大事なことはここはどこで、この身はだれか。そしてこれからどうするか。この三つだろう。情報を集めることが先決。そう自身に言い聞かせ、前を見据える。斜め下に段差。続く赤い絨毯。前方。少し遠くに大きな扉。後ろにはステンドガラスと差し込む光。自身が座っている高級そうな椅子の背もたれ。左右を見れば壁といくつかの扉。

 城。城か。日本人がイメージするようなThe お城。西洋風。するとこの体は王女か姫なのか。どう違うのだったか。どちらにせよかなり高い身分のお嬢様か。この体は。となると世話をする人間がいると思うのだが。

「誰か。誰かいないか。」

 美しい声が響く。出来るだけ偉そうに声を発してみる。しかし何も反応がないと非常に虚しい。この城には誰もいないのだろうか。たしかに人の気配はしないが。

「動くか。」

 そう自分に対して言葉を発し、立ち上がる。目線が低い。身長は150と少しといったところか。中学生。それくらいの年齢だろうと推測し、歩きだす。立ち止まる。どうするか。扉がいくつかあるのだ。どこに行くべきか。この身は一つ。なら行ける場所も一つ。どこを目指すべきかと考える。情報を集めるなら人のいるところか、メディアがあるところ。しかしここには人がいるかわからない。すると後者。ここが城ということを考えれば書庫や書斎になるか。パソコンは、期待できそうにない。どう見ても現代に建てられたものではない。では書庫やら書斎はどこにあるのか。わからない。そもそも西洋の城など行ったこともないし、見たことさえない。どこになにがあるかなど知るわけがない。考えてわからないなら勘でいくしかないか。仕方ない。右の一番近い扉に向かい、開ける。

 

 廊下だった。それもそうかと一人ごちて、また考える。右か左か。右には下階への階段。左は廊下が続く。右。何となくそう感じ階段へ。下りる。階段を下りているとき先ほどの部屋から外を見ればよかった。と後悔。しかし今更戻るのは面倒なので後で戻ればいいじゃないか。と自分を説得。階段を下りると目の前には廊下。少し歩くと左に大きな扉。さっきの部屋の下か。そういえばあそこは玉座の間、とでもいうのだろうか。おそらくそうだと思うが。それも今はいいか。とりあえずあそこは玉座の間(暫定)。今はここだ。こんな巨大な扉の先にいったい何があるのか。まぁそんな疑問の答えは実際見れば分かるのだからと両手を扉に添え、押す。軽い。軽すぎる。こんな細腕でこんなにも楽に開くとは思わなかった。驚きながら扉の開いた先を、見る。

 

 書庫。図書館。どちらが正しいのか、どう違うのかは知らないが言葉の響きがいいので書庫にする。馬鹿みたいな量の本が、これまた馬鹿みたいな量の本棚に立っている。それはまだいい。量が多すぎる気もするが書庫なのだから本が大量にあってしかるべきだ。しかし。何だあれは。私の名前は魔法球というのが適切ですよという感じの、球は。

 何故薄く光って浮かんでいるのか。それも何個も。魔法。魔法ではないのか。いや魔法であってほしい。SFよりファンタジー派なのだ。柄にもなく興奮しているなとキャラ通り冷静に自信を分析し、球を見る。触ってみるか。大丈夫な気がする。感覚的にそう感じるし、まさか書庫に危険物はないだろうと理性も考える。

 

 一番低く浮かぶ球に、触れる。パソコンが立ち上がる時のような変な音がしてその丸い体に文字が浮かぶ。search。その下に長方形。この書庫の検索機能なのか。SFに近づいた気がする。何故だ。いやいや落ち着け。調べてみればいいではないか。その長方形に魔法といれて検索をかければわかることだ。本当に魔法のある世界なら何かしら出てくるだろう。そうだな。しかしどうやって。使い方がわからない。と頭の中で一人芝居。どうやって使うんだろうか、この球。もう一度触って見ても反応がない。ならば音声か。

「検索。魔法。」

 球からまた変な音がして、長方形の中に魔法と出る。成功。光のパターンが変わる。すると本棚に並ぶ本がいくつも光りだす。その一つの前に立ってみると、『魔法と精霊について』とあった。そして魔法と書かれた部分が赤く光っている。別の本を見る。『魔法の属性と特性』。これも魔法の部分が赤く光っている。おそらく検索の結果だろう。検索ワードの部分が赤く光るようだ。本そのものはただ光っている。心臓は速く動いている。

 

 ふと光っていないものを見れば『旧世界地理』。

 

 旧世界とは何だ。気になったので手に取り中を開く。世界地図があった。普通の。これまで見てきたものだと思う。ただ国がおかしい。たとえば中国がない。中国があるはずの場所には明とある。ヨーロッパも明らかに国がおかしい。知らない国があったり、あるはずの国がなかったりしている。古い。歴史に詳しいわけではないから具体的な年はわからないがおそらくこの地図は1500年前後のものだろう。だが今は。今は何年だ。地図からして少なくともここは完全なる異世界というわけではないようだ。パラレルワールドとかそういうものだろう。魔法のある。

 どうするか。何を調べるべきなのか。魔法があるとわかって上がったテンションを急降下。冷静に。冷静に考える。魔法か。時代か。この体か。この場所か。それとも「旧」世界か。いや、なんにせよ全て知るべきことだろう。ならば手当り次第に。そう決意し先ほどとは別の魔法球に、触れた。




はい。後書きって何書けばいいんでしょうかね。
次回に見送りでお願いします。

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