城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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十五話目。

お気に入りが450を超えていました。
恐縮です。

アリスはオリキャラです。
クロスではありません。
モデルは、特にないです。
何処かにいそうなキャラです。


妹と吸血鬼

 アリスの教育。まず、辞書と百科事典を読ませた。言葉や物を知っているのか、不明だったため。アリスは黙々と読んでいた。読んでいるだけで、理解をしているのか。謎。そして、その後は魔法の練習。ベースが私だからか。アリスにも魔法の才はあった。ホムンクルスはベースと材料で出来が決まる。アリスは私の魔法適性のある属性以外にも「火」を使えた。おそらく。火竜の内臓をぶち込んだ結果。使えるのが多いに越したことはない。さすが私。

 本を読ませ、魔法を教える。手早くするために、魔法世界で手に入れた「別荘」にアリスをぶち込む。目標はエヴァンジェリンクラスの戦闘力。家事は諦めた。現在、エヴァンジェリンが出て行ってから数ヶ月。アリスの教育は順調。しかし。問題も浮上してきた。

 アリスが起きない。言葉通り。一度寝たら、なかなか起きない。睡眠魔。ヤマネをいれた覚えはないが。放っておくと半日以上は確実に寝る。通常で14時間睡眠。何故だ。やはり失敗作なのか。こいつは。魔法に関しては失敗作ではなさそうなのだが。他。ふむ。アリスに期待しているのは戦闘。なら。生活面での問題はいいか。特に害があるわけでもなし。エヴァンジェリンもいることだ。と自分に言い聞かせ、本を読み始める。アリスは寝ている。日常。

 

 半月前。エヴァンジェリンは「人形」の核となる宝石を探しに行った。帰ってこない。まだか。遅い。と姉がお使いにでた妹の帰りを心配。いい姉だ。そんな姉の来ているドレスを、くいくい、と引っ張る、末妹。

 見つめ合う。

 「どうした。」

 見つめ合う。

 「何かあったか。」

 無言。我慢。すると、アリスが手を差し出してきた。何だ。と思い、見てみる。宝石。

 なろほど。考える。何故これがここにある。アリスは魔法世界の転移は自分では不可。私は行かせていない。城のゲートも使わせていない。では、旧世界でとってきたのか。まさか。アリスは城から出ていない。はず。なら。何か。城にあったと。もとからか。そんな馬鹿な。まぁいい。この愚妹2号に聞けば分かる。答えろ。

 「アリス。どこでこれを。」

 見つめ合う。

 「どこにあった。」

 私が聞くと、ゆっくりとアリスが動きだす。小さな影に、ついて行く。

 一階。廊下を歩き、書庫の近くの部屋。確か、物置。家具やら武器やらが置いていた。そこに、箱。なるほど。この箱。何と言うんだったか。この特徴的な形。確か。

 「ほうせきばこ」

 そうだな。妹よ。というか。覚えていたのか。指令。

 

 人形の大きさと宝石の大きさは比例する。エヴァンジェリンが作ろうとしているものは小さめのもの。宝石もそこまで大きいものは不必要。ここにある宝石はそれよりは小さいが、大量。何個も使えば作れるだろう。核。

 しかし。さすがは私の作ったホムンクルスだ。今は昼寝をしているが。いざ、という時にはしっかり働く。プロのよう。それはそうと、どうするか。問題。エヴァンジェリンと連絡が取れない。電話などない。メールもない。仮契約をしようと、城に帰ってきたとき、話が持ち上がったが。流れた。何故、私が従者なのだ。憤慨。その点、アリスは黙って従者になった。利口な奴だ。

 どうするか。アリスに迎えに行かせるか。本当に。気は確かか。私。と自問自答。無理だ。仕方ない。私が出向くとしようか。面倒だが。仕方ない。

 

 「アリス」

 起こす。叩き起こす。

 小首を傾げ、こちらを見る。

 「私は魔法世界に行ってくる。お前は留守番をしていろ。」

 小さく頷く。

 「万が一。誰か来たら。」

 無いだろうが。どうするか。来るとしたら、変態か。

 「殺せ。」

 小さく頷く。よし。

 「では行ってくる。」

 アリスの部屋を出、魔法陣に向かう。

 転移。

 

 魔法世界に着く。エヴァンジェリンも私がここに来たことに気付いているだろう。さっさと合流して、帰ろう。転移魔法を繰り返し、愚妹のもとに向かう。

 一週間。エヴァンジェリンとはすぐに合流できた。向こうもこちらに向かってきていたからだろう。そして、開口一番。

 「どうした?」

 「それが、お使いに出た妹を迎えにきた姉に対する態度か。妹よ。」

 「どうされたのですか?お・ね・え・さ・ま?」

 丁寧になっただけ。言葉が。まぁいい。

 「宝石が見つかった。帰るぞ。」

 「え?」

 整った顔が台無し。

 「ど、どうして!?そんな!?ど、どこで?どこで見つけた!?」

 台無し。

 「私がこれだけ探しても見つからなかったんだ!言え!!今度は何をした!?」

 どういう意味だ。しかも、さらに口が悪くなっていないか。あと放せ。

 「城にあった。」

 「は?」

 「城にあった。」

 おそらく、先代が結界に使ったと言っていたもの。今は世界樹に魔力を供給させている。その前のもの。忘れていた。

 「帰るぞ。」

 「……何故だ。何故いつも。くそ」

 転移。こいつも教育する必要があるか。

 

 城に着くと、違和感。城は森に囲まれているためか。いつも静か。自然の音しか聞こえない。しかし、爆音。連続。悲鳴。何だ。何をしている。あのバカは。

 「何だ?アリスに何をさせているんだ?」

 何も。留守番を命じただけ。

 「留守番だ。」

 「……どう考えてもおかしいだろう」

 「ふむ。仕方ない。見に行くか。」

 「はぁ……やはり私が教育係をすべきだったか」

 城の外。音の鳴る方へ。向かう、二人。吸血鬼。

 

 なるほど。戦闘。アリスVS見知らぬ誰か×複数。誰だ。

 「おい!あいつらは誰だ!?」

 「知らん。」

 はしゃぐ妹。遊園地に初めて来た幼女か。というか、私に聞くな。魔法使いだろう、どう見ても。魔法を使っているのだ。

 「アリス。」

 「なに」

 少し早くなった、返事。いいことだ。

 「誰だ。そいつら。」

 「?おきゃくさん?」

 何故、戦闘。

 「何をしている。」

 「ころしてる」

 「あぁ。なるほど。」

 そんな命令も出したか。相手が変態であるという想定のもとだったのだが。まさか、他の人間が来るとは。

 「なるほど。ではないわー!!このバカがー!!早く何とかしろ!!」

 騒がしい。何とか。とは。いったい、何をする必要があるのか。まぁ、あいつらが誰なのか知る必要はあるか。

 「アリス。命令変更。殺害ではなく、捕縛しろ。」

 「わかった」

 「そういう意味じゃない!!止めろといったんだ!!」

 「いいから。お前も行って来い。」

 うるさい愚妹を魔法の飛び交う戦場に飛ばす。何か聞こえた気がしたが。気のせいだ。

 

 ここは「ネギま」の世界。結局、始祖については不明。始祖がもとからいたのかどうか、不明。不明のまま置いておくとして。現状。ここは麻帆良、城、世界樹の下。そして、忘れていた、厄介事。学園が建つ。こいつらはそれの視察団らしい。メガロ何とかという組織だか国だかの。妹たちが捕縛した奴らが話した。困った。視察団ということは、軍ではないのだ。なら敵ではない。と思う。どうするか。考え込んでいると、声。

 「貴様らは何だ!?こんなことをしてどうなるか分かっているのか!?」

 どうなるか、か。ふむ。

 「どうなるのだ。」

 「決まっている!すでにSOSを送っている!救援部隊がもうすぐ来る!最高峰の魔法使いの中隊だ!諦めて私たちを解放しろ!!」

 親切な奴だ。教えてくれるとは。

 「はぁ。で、どうするんだ?」

 エヴァンジェリンが疲れた声で、尋ねる。どうするか。考える。戦闘をしてもこちらに得はない。逃げるか。城の転移はまだ出来ない。もっと先だと思っていたから、習得していない。本だけ持って行く。城は必要なら後で回収するか。それがいいか。と考えていると。

 「貴様らは人間ではないな!それに普通の亜人にしては強力すぎる!悪魔か吸血鬼だろう!!」

 騒がしい。

 「ほう。よくわかったな。私たちは悪魔だ。」

 嘘だが。しかし、捕まっても情報収集とは、仕事熱心な男だ。

 

 「うそ。きゅうけつき」

 小さな声。ふむ。やはり失敗作だったか。

 


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