更新スピードくらいしか取り柄がないのに。最近徐々に落ちてる。
あの人の話。
陰謀とか謀略とか。無理です。
原作に書いといてください
前話に最後加筆しました。
少し。見なくても全く問題ないです。
感想とか返信返せていませんが。すみません。
読ませては頂いています。よろしければ、どしどし頂けたらと。
麻帆良学園の創設。それから四十年と少しのある日。アイリス様はいらっしゃいますか。という女の声。部屋の外。
「何だ。」
「上層部の皆様に召集がかかっております」
召集。何かあったか。融和の反対派の一派が反乱でも起こしたか。それとも東との軋轢が生まれ始めたか。ふむ。
襖を開け、部屋の外に出る。いつもの会議室に向かう。若い巫女が後ろに付く。
木の廊下を渡り、目的の部屋の前。ついてきた巫女が一声上げて、襖を開ける。先には四十年前とは変わった上層部の面子。並ぶ高級そうな座布団。誰も座っていない一つに腰を下ろす。
長の声。
「反対や!!」
若い男が音量の大きな言葉を発す。
「うちも反対ですなぁ」
「俺もだ」
次々と不満を含んだ声が耳に入る。
「長の息子を麻帆良に留学させるやなんて何を考えてはるんや!?」
協会の長。その息子、次男。近右衛門。現在十二歳。彼を麻帆良に留学させると長が言い出した。それに対して反対多数、様子見少数。賛成皆無。
「東との融和策の一環らしい。魔法交流、文化交流を活発にするための交換留学だ」
「と向こうが言ってきたというわけか。体のいい人質ではないのか?」
「別に東との融和には反対せぇへんけど、今回はやりすぎちゃうか?」
「これに対して長は賛成ということか?」
矢継ぎ早に質問が飛ぶ。長は黙って座っているだけ。そうすると、失礼しますという声がし、襖が開く。そこから一人の少年が入ってくる。
「今回の融和策に乗ったのは僕です」
少年が言う。
「…坊ちゃん。それはどういうことですか?」
突然の参加者に驚いた様子の面々だったが。すぐに落ち着きを取り戻し、言葉を発す。
「今回の融和策を言い出したのは東側。皆さんご存知の通り、東はこちらとのパイプを手に入れたがっているようす」
「あぁ。しかし向こうの目的が変わらない以上、一定の距離を保つという結論に至ったはず。今回の話はそれに反するだろう」
「はい。ですが、いつまでもそのままではいられないでしょう?」
それは確か。消極的融和を掲げる西。積極的融和を掲げる東。東の方が力関係で上であることは明白。なら。いずれは力に流されるという可能性は少なからずある。それを承知で打ち出した消極的融和。もしもの時のために打開策を用意近しておくべきではある。近右衛門の考えはそういうことか。
「つまり坊ちゃんは今後のためにこちらも手札を増やしておこうと?」
「はい。その通りです」
にっこりと。少年らしい笑顔を見せる近右衛門。
「だがそのための案が坊ちゃんの留学とは…如何なものか」
渋い顔を見せた男。近右衛門はそれを見た後、こちらをちらと見る。何だ。
「失礼ながら申し上げますが…顧問殿から得られる魔法の情報は有益ですが、いささか古い部分もあるかと」
そう近右衛門が言うと。皆が何とも言えない顔をして、こちらを盗み見る。
「顧問殿に四百年ほどお力添えをしていただいていますのは、京の人間として感謝の言葉ありません。ですが、今日の西洋魔法、および魔法社会の情報を得るにはやはり実際に足を運ぶべきではないでしょうか?」
沈黙。
顧問という役職は特殊だ。偉さが分からない。私にも。誰にも。皆は私たちに敬語を使う。協会の長であっても。それは年上に対するものか、権力に対するものか。ここにいる誰もがよくわかっていない。その上。保有する戦力は化け物が三体。一体、というか私は戦力にはなれないという設定もあるが。
協会で陰陽術を学べば長女に優しく教えられ、神鳴流に席を置いた者は次女にいたぶられ、前線に出ると三女に火葬される。という言葉が裏では囁かれている。確かこんな感じだった。はず。
「確かに。近右衛門の言うことは正しい。」
私が気を使ってそう言うと。面々は少し安心した様子を見せた。感謝しろ。
「しかし。今回は交換留学なのだろう。なら何者かがこちらに来るのではないのか。」
それは困る。どうも魔法世界で吸血鬼として指名手配されているらしい。城を脱出した時から。全く姿を見せないために今や忘れられているらしいが。それが無くとも。吸血鬼ということが東に露見すれば面倒が起る。間違いない。それは困る。
「顧問の皆様の正体が東にばれては拙いというのは承知しています。それは西にとって多大な損害を生む。それにこちらの情報を渡すのも避けたい。ですから僕が行くことにしたのです」
ふむ。長の子とは組織において重要人物。そんな人物をこちらが出すのであれば。向こうもそれに見合った人間を出さねばならない。どういう魂胆が向こうにあるにしろ。それは嫌だろう。しかし。こちらの身分が高いために断ることも難しい。
「僕が行くとなると、東もそれ相応の人物を出さないといけません。それに対して東は渋るでしょう。そこから交換留学ではなく、留学という形をねじ込みます。僕が西洋魔法や社会に対して興味を持っているということをすでにアピールしておきました。こちらとのパイプを持ちたい東にとっては」
良い話。人質になるような人材は出さなくていい。一方的に最高級の人質が手に入り、そいつは人質としてだけではなく、パイプとしても有用。上手い話だが欠点もある。
「しかし坊ちゃん。坊ちゃんが東に行くというのは危険もあります。さっき誰かが言いましたが、坊ちゃんを人質として利用される可能性がかなり高いのでは?」
「それは否めません。ですので、その為に情報を流します」
「……情報とは?」
「僕と兄、次期長は長子である兄にちがいない。東洋魔法の才は兄の方が優れている。さらに僕は西洋魔法に興味を持つ、一種の裏切り者。そんな裏切り者だから西にとって有害と判定されれば、切り捨てられる可能性大。そうなれば人質としての価値はもはやない」
なるほど。人質として利用されないようにするための予防線か。人質として使えなければパイプとして使うしかない。兄がいる限りないだろうが、返して次期長になれば儲けもの。ならなくても長の弟。上のポストに就く可能性はある。
「そして、もし本当に僕が西にとって有害な存在になったら切り捨ててください」
少年の決意。
「……坊ちゃん。それは――」
「僕は西を東に対して有利にするために向こうに行きます。それなのに逆になれば本末転倒でしょう」
組織の一員としての覚悟。
沈黙。
「甘い話には裏がある。向こうがこの話は甘すぎると判断して乗ってこない場合もあるが。」
そう口にすると。近右衛門はこちらを見て、微笑む。
「はい。その場合もあるでしょう。そのために向こうにも対価を支払ってもらいます」
条件を付けることで少しでもハードルを上げ、甘さをごまかす。ということか。
「金か?」
「いえ。教育です」
「は?教育やて?」
「はい。教育です」
「えーっと?どういうことや?」
「東での僕の教育に関わる全てにおいて、最高峰のものを用意しろという条件を付けます」
「条件を付けるというのは確かにいい案だと思いますが…何故教育なんです?」
「あくまで僕らの目的は情報収集です。東の情報を向こうから垂れ流してくれるのが教育です。まぁどうせ自分たちに都合の言いことしか話してくれないでしょうから、裏のことは自分で調査する必要はありますが…それは別問題ですので置いておきます。そして教育というのはこの一例でもありますが、大事なことはこちらの意見を通すことです。例えば護衛などの人数や人材に関して無理を通しましょう。他にも細かい注文を重ねて甘さを上から徐々に塗りつぶします」
「大きなことは要求しない代わりに小さなことをいくつも要求すると?」
「はい」
「確かに誤魔化しにはなるやろうなぁ…」
沈黙。
少年の考えたプラン。西を強くするための策。
「これが僕の案です」
「では、みなさん。賛否を問うていいでしょうか?」
静かで力強い少年の声が、部屋に響いた。
そういえば。PCからアクセスできるように。
サーバーのほうが問題あったのか。
わかりません。
まぁいいか。