城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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三話目。すごく頑張ってます。褒めます自分。




吸血鬼の少女

 『吸血鬼について』。わかりやすい本だ。好評価。しかしこの身は吸血鬼なのか。なるほど。人間のような外見。媒介なしで魔法が使える。巨大な扉を開ける腕力。納得の結果だ。だが驚いた。これほど書いてあることがピンポイントに合致するとは。まさに見てきたように正確。とはいえ吸血鬼か。吸血鬼。正しくは、「始祖の吸血鬼」というらしい。

 知らなかった。そんなものがあったのか。「ネギま」。いやおそらくなかったが。作中で出た吸血鬼はただ一体、エヴァンジェリン何とかだけだったはずだ。そして彼女は、「真祖の吸血鬼」。「始祖」なぞいなかったはず。なら「ネギま」ではないのか。もしかして。だが魔法世界と旧世界、火よ灯れという魔法は「ネギま」だったはずだとも記憶は言っている。となれば「ネギま」と何かの混合。そうなのか。しかし「始祖の吸血鬼」とやらが出てきた作品は知らない。となると、どういうことだ。知らないだけのか。いや。まぁいい。それも。今は保留。

 

 とりあえずこの本で得た情報。吸血鬼は三種類。眷属。真祖。そして始祖。強さ、魔力量、不死性。どれをとってもこの順に、どうなのかは考える必要などないだろう。

 眷属は吸血鬼に噛まれ、血を吸われ、吸血鬼化の魔法をかけられることで吸血鬼となった者。そもそも血を吸われることが吸血鬼化、いや眷属化とイコールではないらしい。必要条件。噛まれた者を眷属にするのは、最後のステップ。眷属化の魔法。吸血鬼は吸った血を媒介に術式を組み、それを相手にかけることで眷属とするそうだ。つまりやることは蚊だ。その凶悪版。

 次に真祖。真祖は魔法によって吸血鬼となった者。エヴァンジェリンは確か知り合いか誰かに魔法をかけられ、吸血鬼となったはず。この真祖の定義は「ネギま」通りだと思われる。眷属は知らんが。また、この真祖化の魔法はかなり不安定で不完全。かけられた人間が吸血鬼となるかは運次第。おかげで禁術指定。失敗したら死。かけられた側が。成功してもおそらく死。かけた側が。普通殺されるだろう。その場で。

 最後に始祖。これは人工に対する自然。自然に生まれた吸血鬼。真祖を養殖とするなら、始祖は天然。普通は天然のほうがうまいし強い。それだけ。始祖は一体しか存在せず、その一体が死ねば次が生まれる。始祖も死ぬのだ。始祖が人間やほかの生物に危険な目に合わされることは、まずありえないらしい。始祖が死ぬとすれば自殺。永遠を生きるはずの始祖もその永遠に耐えられないということなのか。暇に耐えられず自ら命を絶つと理解する。そもそも本物が存在しているから偽物を作ることができるという考え方もあるのだ。なら元々いたのか。「ネギま」に始祖。謎。

 

 そして何故この身が吸血鬼、それも始祖とわかったか。それはこの記述による。「始祖は代替わりの際、自らの所有物を引き継ぐ。私も先代の城を引き継ぎ、そこに魔法図書館を建てた。そしてこの図書館もいつか次の始祖に引き継がれるのであろう。」という記述。

 吸血鬼だった。作者。見てきたのか。実際。

 ほかにもこの身が始祖であるというのを裏付けるような記述があった。気付けば玉座に座っていたとか。まず間違いはないだろう。ピンポイント。始祖か。

 ふむ。それはそうと、三代目なのか。自分は。作者が何代目だとかは書いていなかった。自分が何代目かは謎。また、本を読む限りどうも作者も現代人の意識があったようだ。城のトイレが前世に比べて少し古いくらいだったのはこれが理由なのか。

 

 これでこの身が何者かという疑問はひとまず解決。この身は、始祖の吸血鬼。残る疑問はここはどこか、今がいつか。どんな世界かを正確に。あとは魔法を。もっと派手なやつ。よし。そうと決まればすぐに終わりそうなものから手を付ける。いつだ。今は。アバウトでもいい。再び魔法球に触れる。有音。

 

 情報の確認。今は大体1400年。地図を見たときの予想と百年違う。明のせいだ。歴史が長い。時代を知るために歴史が書かれた本を探した。だか1300年代後半までしか書かれていない本ばかりだった。今がはっきり何年だと明記している本などまずないだろう。本とはそういうものだ。情報が遅れる。普通は明記などできない。

 それはそうと時代と関係はないが重大なことに気が付いた。この書庫にある本、作者がほぼ全て同じ。またお前か。吸血鬼。尊敬。

 1400年くらい。原作までおそらく600年程。600年。どうすればいい。先ほどまでの余裕は何処。時間的余裕がとか言っていたはずだ。いやメインとなるストーリーには余裕だが。予想外。何も考えてなかった。どうする。もうすぐ真祖化だ。エヴァンジェリンの。どうする。無視か。介入か。いやそもそも本当に「ネギま」と認識していいのだろうか。この世界。先ほど保留した疑問が浮上する。結局どうなのか。記憶違いではないか。不明。なら仮定。ここが「ネギま」だとしたらどうか。介入するしないは別にして吸血鬼化まで時間はない。すぐにこの疑問に答えを出さねば。ループ。ならもし「ネギま」でないならどうか。現状認識と魔法の練習くらいしかやることがない。いや待て。そうか。なら行ってみればいい。イベント会場。おそらくヨーロッパだろう。場所は。行って何もなければ「ネギま」でない。吸血鬼化があれば「ネギま」。わかりやすい。好みだ。

 

 そのために必要なことを頭のなかで組み立てる。何が必要か。行くための手段と自己防衛の力。

 そう結論づけ、行動を、開始する。

 

 




あれ。なんだこの展開。始祖ってなんですか。
わかりません。

あとこの主人公名前なんですか。
わかりません。

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