悪魔城ドラキュラ Dimension of 1999   作:41

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幻夢宮
♥Welcome・Sweet・Paradise♥


 

「な……何だこの娘達は?何でこんな所にメイドがいるんだ!?」

 

 ラングが目をこすり、何度も瞬きをする。だがこれは夢でも幻でもない。長い廊下の両端には何十人ものメイドが列をなし、まるで数十年ぶりに帰った主人を出迎えるかのようにうやうやしく頭を垂れている。

 

 一方ユリウスにとってもこの状況は予想外だったらしく、かなりの動揺を見せていた。それでも何とか師から伝え聞いた情報を思い出しラングに伝える。

 

 

「プロセルピナ……魔族のメイドだ。いいか油断するなよ?見た目はかわいい女の子でもれっきとした魔族。おまけに伯爵専属のメイドだ。何をしかけてくるか解らないぞ……」

 

 ユリウスに言われよくよく観察してみれば、確かにメイド達は耳が人間に比べ少し尖っている。だがそれを除けば全く人間と変わらない、何処にでもいる……とは言えないくらい美形だが、それ以外はごくごく普通の少女達だった。

 

 この城に乗り込んでから味わってきた恐怖とはまた別種の恐怖に、二人とも呆然と立ち尽くす。しかしこのまま手をこまねいている訳にもいかない。こうしている間にもアルカードの体は核の毒によって刻一刻と蝕まれているのだ。まずユリウスが一歩足を踏み出し、少し遅れてラングも銃を構え後に続く。

 

 

 長い廊下を慎重に、警戒しながら歩みを進める。その間も魔族のメイド達は礼をとったまま微動だにしない。その慇懃な態度に言い知れぬ不安を覚えつつも、どうにか廊下の半分位まで進んだ。

 

 ふと……それまで顔を伏せていたメイドの1人がおもむろに姿勢を正し、ユリウス達に向かい朗らかな笑顔でこう告げる。

 

 

「ようこそ地獄の二丁目(げんむきゅう)へ❤」

 

 

 その言葉を合図にそれまで一様に押し黙っていたメイドたちが一斉に飛び掛ってきた!

美しい魔族のメイド達が、二人の手といわず足といわずまとわりつき、細長い廊下はあっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図(というにはいささか楽しげだが)へと変わる!

 

 鞭や退魔道具を取り出そうにも10人近いメイドにしがみつかれてはどうする事も出来ない。ラングも銃を撃とうとしたが、まともにスコープも覗けないこの状況では同士討ちの危険がある。しかもメイド達は中途半端に素手のみで攻撃してくるのでやり返す大義名分を得る事も出来ず、やりづらい事この上ない。

 

 

「ラング逃げるぞ!ドアまで走れ!」

 

 

 メイド達に揉みくちゃにされて姿は見えないが、少し離れた場所からユリウスの声が聞こえた。ラングはさながらディフェンスに群がられながらタッチダウンを目指すアメフト選手の如く、幾人ものメイドを引き摺りながら重機関車のように出口を目指す。

 

 時計塔では不覚を取ったが、さすがに現役軍人のパワーは並では無かった。体にしがみつくメイド達を無理矢理振り払い、なんとかユリウスと供に出口のドアまで辿り着く。

 

 メイドの群れとの距離が少しだけ空いたのを見計らい、ユリウスが聖水の入った小瓶を床に向けて投げつけた。たちまち青白い火柱が両者を隔てるように立ちのぼり、その火勢にメイド達が一瞬怯む。

 

「よし今だ!」

 

二人はその隙に脱兎の如く奥の部屋へと逃げ込んだ。

 

 

 

 

 いくら見目麗しい妙齢の女性とはいえ、さすがにあの人数に纏わりつかれるのは堪える。

二人は即座にドアに鍵をかけると、額の汗を拭い、とりあえず窮地を脱した事にホッと胸を撫で下ろす…………………………事は出来なかった。

 

 

 

 

「いらっしゃあい……坊や……❤」

 

 

 ドアの先で二人を待ち構えていた者……それはコウモリの羽を持つ女の悪魔だった。

 

 そのあられもない姿を見て二人の体が硬直する。一応服は()()()()……着ているのだがその服が問題だった。

 

レザーのコルセットのような服なのだが、あまりにも面積が狭すぎて服の意味を成しておらず、隠すべき場所が隠せていない……というかはみ出してはいけないものが色々とはみ出してしまっている。かえって裸よりもいやらしい姿だった。

 

 この女悪魔の名はサキュバス。相手が望む理想の姿になって近づき、精気を吸い取る淫魔だ。おそらくユリウス達には目の前の女悪魔が理想の美女の姿に見えている事だろう。

 

 

目の前に突如として現われた魔族版のプレイメイトに、ユリウスとラングの頭は真っ白に……いやどちらかというとピンク色に染まってしまった。悲しき男のサガか……時間にしてほんの数秒ほどだが、サキュバスの放つ濃厚なフェロモンにあてられ二人は不覚にも完全に無防備な姿を敵の前に晒してしまう。

 

呆然と突っ立ったままの二人を尻目に、件の女悪魔はするすると2人に近寄ってきた。

 

 幸いラングは既婚者で、妻を深く愛していたせいかすぐにサキュバスの誘惑から逃れられた。

しかしどうした事かユリウスは目前に敵が迫っているというのに全く動こうとしない。

――サキュバスが大きく腕を広げユリウスに迫る!

 

「ユリウス!」

 

 掴まれる直前ラングがタックルでユリウスを突き飛ばした!だがその結果ユリウスと入れ替わりにラングがサキュバスに捕獲されてしまう。

サキュバスはラングの頭を掴むと力づくで振り向かせ、避ける間もなく濃厚な口づけをした! 

 

「むぐぐぐぐぐぐッ!?」

 

 女悪魔はその細い腕からは想像もできない万力のような力でラングを無理矢理押さえつけ、蛇のように長い舌でその口内を蹂躙する。

 生命力どころか意識まで持っていかれそうになるサキュバスの超絶テクに、ラングはあらゆる意味で昇天しそうになっていた。だがかろうじて意識を保ち、傍らにいるユリウスに必死に救援を求める。が……

 

「ぐッ!……ユリ……ウス……むぅ!?」

 

 ユリウスの様子を見てラングが愕然とする。ユリウスは突如目の前で始まった濃厚なラブシーンに目が釘付けになり、何も出来ずにその場に立ち尽くしていた。

 

 そんな初心な青年に見せ付けるように、サキュバスの絡みはより一層激しさを増す。

濃厚なディープキスに飽き足らず、そのしなやかな指先でラングの際どい部分まで丹念にまさぐり始めた。ラングの体が思わずビクッと震える。

 

 

もはや堕ちるのは時間の問題。しかしその時ラングの脳裏に一人の女性が現われる――

 

 

 

 

 

「ラングッッ!!」

 

 サキュバスの底なし沼からラングを引き上げた声。それは愛する妻マリアの物だった。

……それもお気に入りのティーカップを割って散々絞られた時の……

 

 

 マリアの叱咤によって自分を取り戻したラングは、 快楽の闇に堕ちるギリギリの所で女悪魔を突き飛ばす!だがサキュバスは恨めしそうにラングを一瞥した後、あっさりともう一人の青年にその食指を伸ばす。

 

 「まずい!」ラングはユリウスを助けるべく飛び出す!が、1歩踏み出しただけで足がもつれ、その場につんのめってしまう。

 

 「な……ッこれは……!?」

 

 体がまるでフルマラソンを走った次の日のように言う事を聞かない。足が震え、声を出す事もできない。サキュバスの接吻により、ラングの体力はほぼゼロになっていた。

 

 それでも這いつくばりながら必死でユリウスの救援に向かう。だがとても間に合いそうに無い。しかしここでラングは自分の目の前に転がっている物に気がついた。レライエの魔銃だ。

 

 這いずりながらどうにか銃までたどり着くと、銃を構える力さえ残っていなかったラングは床に転がったままの銃にどうにか手をかけ、震える指で引き金を引いた。

 

”パアァァン”

 

 普段よりも幾分頼りない銃声がホールに響く。レライエの銃から発射された弾丸は明後日の方向に飛んでいってしまったが、かろうじてユリウスを正気に戻すことに成功した。

 

「!?」

 

 ユリウスが我に返った時、目の前にはサキュバスの赤く濡れそぼった厚い唇が吐息がかかるほどの位置まで迫っていた。間一髪でサキュバスの抱擁から身をかわし、返す刀でヴァンパイアキラーの一撃を叩き込む!途端、女悪魔の体はまるで手品のように無数の花弁となって散ってしまった。

 

 意外にあっけない幕切れにいささか拍子抜けしたが、ユリウスはすぐに頭を切り替え足元でうずくまっているラングに肩を貸した。まごまごしていれば他のサキュバス達が仲間が倒された事に気付いて襲ってくるだろう。

 

 どこか避難できる所はないかと辺りを見回す。どうやら下の階には扉がいくつかあるようだ、取りあえずそのうちのどれかに逃げ込もうと走り出す。

 

……が、そうは問屋が降ろさない。ユリウスの気つけの為に放ったラングの跳弾は、

あの後ホールを縦横無尽に駆け回り、フロアにいる女魔族全てを轢きつけていたのである。

 

 魔女、メイド、サキュバス、ヴァルキリー、女ゴースト……色とりどりの美しい女魔族達がユリウス達に気付き、無骨な侵入者を排除しようと我先に襲ってくる。

 世の男共が知ったら「なんて羨ましい!」と羨望の眼差しを向けられるような状況だが、当のユリウスにそんな余裕は無い。何しろ相手は魔族だ。捕まったら最後、搾りカスになるまで吸い尽くされる。

 

「喰われてたまるかッ!これでも喰らえッ!!」

 

ユリウスが半ばヤケクソ気味に幾つもの退魔道具をばら撒いた!ナイフ、クロス、聖水、跳鉱石、斧、手榴弾、手裏剣、くない、etc…………このなりふり構わない攻撃は功を奏し、魔族たちの追撃が少しだけ緩む。

 

……魔族たちが怯んだ一瞬の隙をつき、ユリウス達は何とか扉まで駆け込む事に成功した……

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだユリウス!しっかりしてくれ!」

 

 ポーションを飲んで何とか喋れるまで回復したラングがユリウスに詰め寄る。

 

 

 ユリウスとラングが駆け込んだ扉の先は、埃の積もった燭台やテーブルが無造作に置かれた倉庫だった。女悪魔達はしばらくドアの前で何かガチャガチャやっていたようだったが、ユリウスの張った結界に侵入を断念したのか、しばらくするとその気配は無くなっていた。

 

「悪かったよ……だからもういいだろ……」

 

ユリウスは部屋の隅で膝を抱えながら何ともバツの悪そうな顔をしている。ふと、ラングは前から気になっていた質問をぶつけて見る事にした。

 

 

「お前……女とつきあった事はあるのか?」

 

「はあ!?いきなり何言ってんだお前!?」

 

唐突なラングの質問にユリウスがそれまで伏せていた顔を上げる。

 

「ここに来てからの挙動不審っぷりはちょっと異常だ。お前そういう経験無いのか?」

 

「な……ッこの非常時に馬鹿じゃないのか!答えられるかそんな事!」

 

 

ユリウスはそう言い放つと再びそっぽを向いてうずくまってしまった。……誤魔化したつもりだろうが答えは明白だ。「やっぱりな……」とラングは思った。

 

 

この若さであれだけの力を持っているのだ。才能もあるにしても普通の暮らしをしていてはとてもあの領域までたどり着けまい。きっと……文字通り血の滲む様な試練を自らに課し、その過程で普通の人間なら当たり前に手に入る様々な物を犠牲にしてきたのだろう。

 

ましてや周りにいるのは表面上はお堅い聖職者ばかり。アルカードもあまりそういう話はしないだろうし、ハルカ以外に女性もみかけない。…………つまりはそういう事だ。

 

 

今まで畏怖と羨望の眼差しで見ていた青年が、今は少しだけ哀れに見えた。

 

 

 

「……もし無事に帰れたら良い所に連れてってやるよ」

 

「!?ハアッ!?」

 

ラングから飛び出た唐突な提案に、ユリウスが思わず素っ頓狂な声を上げる。

 

「お前結婚してんだろうが!嫁さん放っぽいてそんな所行ってるのか!」

 

ユリウスが自身の赤毛と同じくらい顔を真っ赤にしてラングに詰め寄る。

 

「はあ?俺は何処とは言ってないぞ?一体何だと思ったんだユリウス」

 

ラングが珍しくニヤつきながらユリウスを見る。からかわれた事に気付いたユリウスはさっきとは別の意味で顔を真っ赤にしてラングに殴りかかった。

 

「冗談だ。そんな怒るなよ、悪かった、悪かったって」

 

思いのほか本気で殴りかかってくるユリウスに、たまらずラングが謝罪の意を示す。だがその後もしばらくユリウスの怒りは収まらなかった。

 

 

――数分後、どうにかユリウスをなだめるとラングが話しかけた。

 

 

「からかったのは謝るよ。だがたまには息抜きも必要だ。張り詰めてばかりじゃ緊張の糸も切れちまうぞ?もし()()()帰れたら何処か遊びにでも行くか?って話しだよ。ま、お前が嫌じゃなければだけどな。…………!」

 

 

……ラングは何かの意図があってその発言をしたわけでは無かった。

だが何気なく口から出た自らの言葉に思わずハッとする。そしてそれはユリウスも同じだった。

 

 

「生きて帰れたら、か……」

 

「…………ああ、絶対に生きて帰らないとな」

 

 

さっきまでのふざけた空気は、いつのまにか神妙な物に変わっていた。やがてどちらと言うわけでも無く腰を上げる。

 

 

「アルカードを助けて、ドラキュラを倒し」

 

「城を封印して、元の世界に帰る!」

 

 

二人は互いの拳を合わせると、決意を新たにドラキュラを倒す事を誓う。

 

 

 

「……ところで」

 

と、ここでラングが大きな体を小さくしてユリウスに言った。

 

「もし帰れても……さっきの事はマリアには黙っていてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの事ってなぁに?」

 

『!!?』

 

いつの間にかハルカがラングの後ろに立っていた。本当にこの子は神出鬼没で心臓に悪い。

 

「ど……どうして俺たちがここに居る事が解ったんだ?」ユリウスが尋ねる。

 

「これのおかげだよ」

 

ハルカが差し出したのは軍の追跡装置だった。

 

「ホールを出る時におじ様に渡されたの。これを辿れば追いつけるって」

 

そういえば突入する際、隊員に発信機が配られていたのだった。この城に入ってから全く反応しなかったのですっかり忘れていたが、今頃になって復活するとは何とも皮肉な話だ。もっとも今回はそのおかげで役にたったようだが。

 

「っていうか、何でわたしを置いて先に行っちゃうの!?起きたら二人はいないし、

アルカードさんは倒れてるしで、ほんとにワケわかんなかったんだから!」

 

ハルカが顔を大きく膨らませて積もり積もった不満を訴える。すまない、でも仕方なかったんだと必死に説明し、どうにか機嫌を治してもらう。だがその説明は新たな火種を投下する事になった。

 

 

「はあ!?あいつ(赤タキシードのスケルトン)が生きてた!?しかも薬をくれるのがそいつ!?大丈夫なの?騙されてない!?」

 

ハルカがもっともな反応を示す。

 

「俺たちもそれぐらい解ってるよ、でも今の所これしか方法がないんだ」

 

ユリウスが顔をしかめながら説明する。それを聞いてもハルカは釈然としない様子だったが、眼を閉じ、軽い溜息をつくと無理矢理納得させたようだった。やがて諦めたように口を開く。

 

「ま、しょうがないね。でも油断しちゃダメだよ?特にユリウスはアイツに目をつけられてるみたいだから」

 

ハルカの忠告にユリウスの顔が思わずひきつる。正直あんなバケモノとは頼まれても関り合いになりたくは無い。望まぬ相手との望まぬ縁に、ユリウスは目の前が真っ暗になる気分であった。

 

……それはともかく、これで再び3人が揃い、戦力は整ったわけだ。ユリウスとラングはいざ錬金棟を目指そうとドアの方へと踵を返す。しかし少女の質問はまだ終わっていなかった。

 

 

 

 

「…………で、さっきの話って何?」

 

ハルカがさっきの話題をぶり返す。二人は話を有耶無耶にできたと思っていたようだが、この少女からはそう簡単に逃げる事は出来ない。

 

 

「な……何でもないよ、男同士のくだらない世間話って奴さ……なあユリウス?」

「は?……そ、そうだな、とりとめもない話だ。何も面白い事なんてない」

 

しどろもどろになりながらユリウスに話をふる。ユリウスも合わせてくれたので取り敢えずこの話は有耶無耶にできたとラングは思った。……だがその考えは甘かった。

 

 

「ふうん……で、」

 

「……その唇についてる赤いモノは一体何なのかなぁ?」

 

「!」

 

ハルカのじっとりとした視線に気付き、ラングが慌てて口を拭う。手には赤い染料がベットリと

ついていた。冷静になって考えればサキュバスにあれだけ丹念にキスをされたのだ。

奴の口紅がついていない方がおかしい。

 

「何で言ってくれなかったんだ!」とユリウスを振り返る。が、件の青年は ”お返しだ” と言わんばかりにニヤリと口元を歪ませこちらを見ていた。

 

 

今度はラングが殴りかかった。 しかしユリウスは笑いながらこれをかわす。

 

ラングが追いかける。 またユリウスが逃げる。

 

この狭い倉庫でいい大人の追いかけっこが唐突に始まった。

 

 

そのあまりに馬鹿馬鹿しい大きな子供のじゃれ合いを、ヤレヤレと……ハルカが呆れたような目で見つめていた……

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばここに来るまでかなりの数の魔族がいただろ、どうした?」

 

「え?燃やしたけど?」

 

 何気なく言った少女の言葉に二人は絶句する。だが考えようによってはこれは逆に好機だ。ハルカによって魔物の数が減っているというならば、手薄になっている間にこんな所さっさと通り抜けるに越した事はない。外の様子を警戒しながらゆっくりドアを開ける。

…………が、

 

 

『ワアアアアアアアアアアッ!!!』

 

「!!!??」

 

 

ドアが開いた瞬間、百を越える女悪魔の群れが一斉に部屋の中へと雪崩れ込んできた!!

 どうやって魔物達が気配を消していたのかは解らない。だが狭い倉庫は一瞬で満員電車並みの超すし詰め状態になる。

 

汗と怒号と肉体が絡み合い、自分が今どういう状況なのかも解らない。銃や魔法を撃とうにも魔力を集中させる事すら難しい状況だった。離れた場所からかすかにユリウスの声が聞こえる。

 

「誰か1人でもいい……どうにかして錬金棟に辿り着くんだ……!」

 

ユリウスの仲間達への必死の呼びかけは……やがて酒池肉林の渦の中へと消えていった…………

 

 

 

 

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