沢山の方の小説を読ませて頂き、勢いで始めた処女作になります。
誤字脱字、設定の矛盾等至らぬところは多々あるかもしれませんがお付き合い頂ければ、と思います。
入学編 1
2095年4月1日
七草家 書斎
「知っての通り、4月3日には一高の入学式がある」
七草家当主である七草弘一は、どこか疲れた表情で目の前に立つ娘に声を掛けた。
「ええ、当然知っています。これでも一応は生徒会長ですから。……それが何か?」
そう応える娘、七草真由美は僅かに苛立ちを含んだ表情で父に答えていた。
突然呼び出されたかと思えば、出てきた内容は分かりきった一高の入学式の事。
二日後に控えた入学式のために、生徒会長である真由美の仕事は通常より遙かに膨れ上がっていた。
下校時刻を大きく過ぎて帰宅し、持ち帰った生徒会の業務を終えて明日に備えて眠ろうとすればこの呼び出しである。
真由美の苛立ちも仕方がないだろう。
そんな真由美の状態を気にすることもなく弘一は続ける。
正確には、娘のその様子を気にする余裕がなかった。
「先程、とある通達が来た。一高にある方が入学するらしい」
「ある方とは?」
「
そう言って弘一は大きな溜息を漏らした。
2095年4月3日
国立魔法大学付属第一高校内
憤る妹を上手く宥め、講堂へ送り出した司波達也は一人、桜が咲き誇る中庭のベンチに座っていた。
かなり早い時間から来ていたために、入学式が始まるまでにはまだ時間があった。
時間を潰すために本でも読もうとスクリーン型の端末を起ち上げる。
その時だった。
「空いてる?」
視線を上げれば、いつの間にか一人の少女が目の前に立っていた。
(全く気配を感じなかった……!)
気を張っていた訳ではない。
それでもここまで近付かれて、声をかけられるまで気が付かなかったのは師匠を除けば初めてだった。
内心驚愕しつつ、目の前の少女を警戒しながら観察する。
身長はかなり低く、150cmもないだろう。
長く伸びた黒い髪はふわふわとしたくせ毛。
陶器を思わせる白く滑らかな肌。
恐ろしいほどに整った小さな顔に、大きな瞳は目尻の下がった垂れ目。
僅かに膨らんだバストとヒップ。
ウエストは触れれば折れそうなほどに細い。
そして、身に纏う制服には八枚花弁のエンブレムが縫い付けられていた。
(一科生か)
正直に言えば一科生とは極力関わり合いたくはなかった。
しかし、そんな理由だけで断ってしまえば後でなんと言われるか分かったものではない。
自分だけならばともかく、最悪深雪にまで余計な迷惑がかかりかねない。
それだけは避けなければならない。
(どうしたものか)
「……空いてる?」
もう一度達也に問いかける。
少女は、全く感情を感じさせない無表情でじっと見つめていた。
そのせいだろう、整った愛らしい容姿であるというのにどこか人形のような印象を受ける。
「……ああ、どうぞ」
結局、相席することを選択した。
席を立つことも考えはしたが、入学式まではまだ時間がある。
下手に校内を彷徨けば一科生に絡まれる可能性もあった。
(初日から面倒事は御免だ)
幸い、この少女は二科生と分かっている自分に話しかけてきたことから考えても、極端な選民意識は無いように感じる。
なら、隣は気にせず静かに読書をすれば良いだけだ。
そうして達也は今度こそ読書を始めた。
どれくらいそうしていただろう、ふと視線を感じて隣を見てみれば、同じベンチにちょこんと座った少女が先程と同じ様にこちらをじっと見つめていた。
ここまで視線を浴び続けるのは落ち着かない。
仕方なく声をかけることにした。
「何だ?」
「紫苑、
あまりに朴訥な言葉に面食らう達也を、紫苑は小首を傾げて問いかける。
「司波達也だ」
「そう、達也。宜しく」
本当に用件はそれだけだったらしい。
用は済んだとばかりに、背もたれに寄りかかり目を瞑る。
まさかと思えば、静かな寝息が聞こえてきた。
あまりの出来事に達也は暫く固まっていた。
(出会ったばかりの男の隣で居眠りとは。危機感が薄いのか、それとも二科生程度に何か出来るわけないという余裕なのか……)
見れば長い眉毛を称えた瞳は間違いなく閉じられており、寝息は一定のリズムで刻まれている。
狸寝入りとは思えない。
あれこれ考えていた達也であったが一度大きなため息を吐き、再び読書を再開した。
考えても分からないと結論付けたようだ。
「しーちゃん、起きなさい」
その言葉と共に優しく肩を揺すられ、紫苑はゆっくりと目を開けた。
「……ん、真由美。おはよう」
「はい、おはよう、しーちゃん。けれど、男の子の隣で眠るのは駄目よ?いくらなんでも危機感が無さすぎるわ。偶々何にもなかったからいいけれど……」
そう言って叱るように声をかけるのは生徒会長である七草真由美。
身長は155cmと小柄であるが、同年代の平均程度のバストとヒップを持つ所謂トランジスターグラマーだ。
自分と同じようなふわふわとした長い髪を風に靡かせ、腰に手を当て顔を覗き込んでいる。
「達也なら大丈夫。それに……」
分かっているでしょ?と目で問いかける。
私を傷付ける事など早々出来はしないのだ。
その事は真由美もよく分かっているはずなのだが。
「そ・う・い・う・問・題・じゃ・あ・り・ま・せ・ん」
両頬をムニムニと摘ままれる。
あら、思ったよりも柔らかいわね……。と、その柔らかさが気に入ったのか夢中になって摘まんで遊んでいた。
下手に抵抗すれば余計に長くなると経験で理解している紫苑は、好きなようにさせていた。
ひとしきり遊んで我に返ったのか、一度コホンとわざとらしく咳払いをして姿勢を正した。
「それで、しーちゃん的にはどうだったの?さっきの男の子。司波達也くんは」
「面白い子」
「へえ……。しーちゃんがそう言うってことはやっぱり」
そう言って真由美はどこか悪い笑みを浮かべながら考え込み始めた。
あれは間違いなく、ろくでもないことを考えている。
「ああ、いけない!そろそろ時間よ、しーちゃん。講堂に向かいなさい」
真由美は慌てて思い出したように時計を見る。
確認してみれば確かに良い時間だった。
「ん。真由美、後で」
紫苑はそれだけ言うとぴょこんとベンチを飛び降り、ゆっくりと伸びをして講堂へ向かう道を歩き出した。
入学編 1 如何だったでしょう?
自分としては文章力の無さに悲しくなってきましたが……。
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が、豆腐メンタルですのでどうぞ御手柔らかに……。