遊戯王-孤独に巻き込まれた決闘者-R   作:秋風

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今日でGWは終わりですが、劇場版はまだ終わらない……レモンがあと1枚と、マハードが欲しい……あと2回観に行くのはいいんだが、うーむ
給料日までが少し遠い(汗

最近はクトゥルフTRPGのシナリオも構築しているのでかなり時間がカツカツ……その上、明日から月曜日……辛い(汗

ヴァイロン様 NOGAMI壱様 日光岩新アカ様 白の精霊様 藍色様 シュウキ様 真っ白様 万屋よっちゃん様 うさぎたるもの様 読み専太郎様 暗色様 0・The Fool様

感想ありがとうございました。これからも感想、ご意見、ご指摘などお待ちしております

haruki_th
小説評価ありがとうございました。頂いた評価をしっかりと受け止め、頂いた評価以上の小説を書けるよう努力してまいります

26話です。ようやく、秋人と雪乃、ツァンの3人に変化が。書いて思ったのは私、やっぱり恋愛とか書くセンスが無いな、というのが正直な感想です(汗 そんな不安いっぱいな26話ですが、宜しくお願いします


26「夏休み」⑥

「――私のものになって、秋人」

 

 そんな艶のある声が、俺の部屋に響き渡る。雪乃が普段、突然俺へ腕を絡ませて来たり、いつも近くにいたりというのは日常茶飯事であり、彼女が俺をからかう悪ふざけだ……と、最初は思っていた。少なくとも、あの廃寮で行動を共にしたあの日までは。ただ、それ以降の日から……雪乃が俺に対してしてくるスキンシップや言動は少しずつ変化していた。いくら雪乃といっても、異性が寝ている布団の中に潜り込んでくるなどこの年頃の女の子がやる行動ではない。ファーストコンタクトで押し倒されていたあの時も、あれ以上の進行をしようものならその雪乃の足によってあのオベリスクブルー生徒の息子は潰されてお亡くなりになっていただろう。俺があの時雪乃を助けなかったのはそのためだ。それくらい彼女は男性に対して容赦がないし、俺以外の男子生徒……十代たちと話す時は男性に対して「ボウヤ」とつける。さすがに、先生にはつけないが。が、俺にはそれが無い……故に、予感はあった。だが、気が付かないフリをしていた。

 

「……いつもの冗談にしては「冗談に見えるかしら? 私は本気よ」雪乃」

 

「驚いたかしら? いいえ、驚いてはいないでしょうね……私の気持ちには、とっくに気づいていた…………そうでしょ?」

 

 言いながら雪乃は俺の手を強く握る。まるで、俺を逃がさないとでもいうかのように。逃げないで聞いてくれと言うかのように。

 

「どうしてそう思った?」

 

「貴方が自分で言っていたじゃない? 私の行動に対してもう少し恥じらいを持てと……恥じらいを私が捨ててまで貴方の布団に潜り込んでいるのか。貴方ならもうわかっているはずよ。貴方と伊達に一緒にいたわけじゃない……私なりに、貴方の事は理解しているつもり。貴方はいつも、みんなとどこか一線を引いていたのも、知っているわ」

 

「…………」

 

 雪乃の言葉に、俺は答えられなかった。その通りだからだ……俺も、あそこまでされて気が付かないほど鈍感ではない。でも、それでも雪乃の呟きも、行動も、すべて気が付かないフリをしていた。そうすればいつか雪乃が呆れて自分から離れて行ってくれると。

 

「貴方の思っていることを当ててあげるわ。そこまでわかっていてどうして、って感じね?」

 

「……その通りだ。お前の望む、“真の男”とやらには、遠い存在だろ?」

 

 以前、そんな話をしたことがある。簡単な恋愛の話……青春を謳歌する学生であるみんなからすれば他愛のない話である。十代とかに関してはそういうのは考えたことが無いという話で終わるが、雪乃は違っていた。自分が求めるのは『真の男』だ、と。たくましさとしなやかさを持ちながら自らの力で光り輝いているような男、それが真の男ということらしい。いつか自分はそんな人間を見つけるのだ……そう言っていたのを覚えている。

 

「確かに普段のアナタなら……ね。でも私は貴方の幾たびのデュエル、特にあの廃寮のデュエルであなたの中にある真の男としての力を見た……そう思っているわ」

 

「馬鹿な……雪乃が恐怖で正常な判断が出来ないゆえに、そう見えただけだ。それに、たったそれだけで……」

 

「ふふ、そうね。そうかもしれない……でも、あの時見た貴方が私は忘れられない。それ以外でも、多くのデュエリストと闘ってきた貴方の強さの他にも、人間としての強さに私は惹かれている。この留学だって、貴方がいたから先生に無理やりお願いして入れてもらった……女子生徒の枠は本来1つだけなのを、響先生にお願いしたんだもの」

 

 言いながら雪乃が俺の事を押し倒す。何とか起き上がろうとするが、そうする前に手を首に回され、動けなくされた。雪乃、こんな力があったのか?

 

「私では、貴方を満足させられないから、私が嫌いだから好意を避けていたの……? それとも、マックのような女性の方が好みで、私では魅力不足、かしら?」

 

「違う、そんなことはない……俺は……お前の事が嫌いだとか、魅力が無いなんて、微塵にも思ったことはない……」

 

 今まで聞いたことのない、雪乃の不安そうな声が部屋に響く。実際、雪乃は可愛いし、なにより女性として魅力がある。俺もそれは十分理解しているつもりだ。彼女から好きだと言ってくれたのだって嬉しい。その理由は俺がこの世界では「たった一人」だからだ。故に、人からこのように好意を受けるのは俺にとってはその孤独を打ち払ってくれる光みたいなものでもある。出来ればイエスと返事をしたいと思う……しかし

 

「じゃあ、何故?」

 

「俺を好きになってくれるのは……嬉しいよ、素直に。でも、ダメなんだ、雪乃……」

 

「何が、ダメなのかしら?」

 

 俺は前にいた世界に帰り、この肉体を本物の武藤秋人に返さなければならない……だからこそ、俺はデュエルアカデミアに来た。自分がこの世界に来た理由を知るために、その謎を追う為に……間違っても、2度目の青春を謳歌したいがゆえに来たわけではない。それに何より……

 

「俺には、この世界で誰かに愛される権利も、俺が誰かを愛す権利も、ないんだ……」

 

「まるで意味が分からないわ」

 

 もういっそ、全部喋ってしまおうか……? 俺の秘密を、俺の目的を、俺の願いを、そうすれば雪乃は俺の事を頭のおかしい人間とでも言って離れてくれるかもしれない。俺の言葉に絶望し、拒絶してくれるかもしれない。そうすれば、雪乃はきっと俺の事を諦めるだろう……

 

「……雪乃、聞いてくれ。俺は」

 

 意を決し、雪乃にすべてをぶちまけて話そう、そう思った時。俺の部屋の扉の前でガタン、と大きな音がする。とっさに俺からどく雪乃を見て、俺も体を起き上がらせる。すると、そこには顔を真っ赤にした……ツァンの姿があった。

 

「ツァン……? いつからそこに」

 

「あ、あぅ、あの……ボク、秋人を夕食だから呼びに来て、えっと、それで雪乃の声が聞こえていて、あの……あぅ、あぅ……」

 

 そう必死に言ってくるツァンだが、どこか様子がおかしい。床にはデュエルディスクが落ちており、先程の音はそれが落ちた音だろう。それだけならまだいいのだが、その床にはデュエルディスクの他、彼女の六武衆のカードたちがぶちまけられていた。カードを大事にしている彼女がそれをすぐに拾わない、というのはおかしい。その上、さっきから顔を真っ赤にしていて、焦点も定まっていないし、言葉もはっきりしていない。

 

「雪乃!」

 

「っ! ええ、ツァン、ちょっとこっちに座って……」

 

 異変に気づき、俺と雪乃は慌ててツァンへと駆け寄る。しかし……

 

「きゅぅ……」

 

 ツァンはそんな言葉と共に、その場に倒れてしまった。俺は慌ててツァンの体を抱き起すが、すでにその意識はない。辛そうに呼吸をしているのがわかる。その体は異常なまでに熱い……頭を触ると、とんでもないほどの熱を帯びているのが判る。

 

「雪乃! 保険医のドクターを呼んでくれ!」

 

「ええ、わかったわ!」

 

 そう言って雪乃が医務室の方へと走って行ってくれた。俺はそのままツァンを抱き上げ、ベッドの上に横にさせるのだった……雪乃に、言いそびれたな。

 

 

 

 

 

 ボクは講習会が終わった後も紅葉とデュエルをしていた。憧れのプロデュエリストの人とデュエルをできるなんてこんな機会は滅多にないし、ファンとしては願ってもないことだった。そんなデュエルが終わった後、ボクは夕食の時間ということで秋人や雪乃を誘って夕食に行こうと考えていた。でも、心なしか頭がボーっとしていた。3連戦のデュエルはさすがにやりすぎたかな、と思いつつ秋人の部屋をノックしようとした時、雪乃の声が聞こえてきた。

 

『――私のものになって、秋人』

 

 聞こえてきたのは雪乃の声、雪乃の秋人への告白とも取れる言葉。以前から雪乃が秋人の事が好意を抱いている、というのは知っていた。中等部の時代から雪乃を知っている人から見ればあそこまで1人の男に執着する雪乃を見るのは初めてだったから、ボクや明日香はすぐ気が付いたし、雪乃も特にそれを隠すようなことはしていなかった……でも、雪乃が秋人と仲良くしているのを見るたび、ムカムカしたり、胸が締め付けられるように苦しくなったりした。この気持ちはなんなのか……あまり明確に答えを導けなかった。

 

「雪乃……」

 

 でも、昨日秋人がマックにキスをされたのを見た瞬間、ボクの中で何かがはじけ飛んだ。反射的に、『秋人のバカ!』そう心に叫びながら秋人を殴り飛ばしていた。どうしてそんなことをしたのか? 秋人には公共の場で何をしているんだと反射的に、と説明したけど本当は違う。簡単なことだ……ボクは、マックに嫉妬した。あんな大胆なことをできるマックに。本当は、心のどこかで知っていたはずの感情……でも、知らないフリをしてきた秋人への感情。秋人が好きだという、その想い……屋上でボクを助けてくれたあの時が全ての始まり。みんなとの絆を繋げる橋となってくれた秋人の優しさに、デュエルで見せる逆境の時の不敵な笑みに、十代たちと馬鹿なことをやって笑っている秋人に、ボクは惹かれていた。でも、その想いを拒絶されることが怖くて、今の関係が無くなってしまうのが怖くて、ボクはそれを秋人に打ち明けることはできなかった。空いた隙間からは雪乃が秋人を押し倒しているのが見える。どうしよう、どうすればいいんだろう、頭が、痛い、熱い……

 

――ガシャン

 

「ぁ……しま……」

 

 ボクはその頭痛のせいで手にしていたデュエルディスクを落としてしまった。さらにはそのせいでカードまで……ひ、拾わないと……

 

「ツァン……!? いつからそこに」

 

「あ、あぅ、あの……ボク、秋人を夕食だから呼びに来て、えっと、それで雪乃の声が聞こえていて、あの……あぅ、あぅ……」

 

 案の定というか、当然というか、秋人と雪乃が驚いてボクを見ていた。だめだ、気が動転してか、何を喋っているのボクは……それに、上手く呂律が回らない……雪乃がなんて言っているかもよく聞こえない。視界がグラついて、目の前が真っ暗になってしまった。最後に見たのは、秋人がボクを抱きかかえてボクを呼んでいる所だけだった……

 

 

 

 

 

「旅の疲れから来る風邪ね」

 

「風邪、ですか……」

 

 ツァンをベッドに寝かし少しして、雪乃が学校のドクターを呼んできてくれた。当然ながら女性のドクターから部屋を退出するように言われて外で待った。しばらくの診察の後、1時間くらいだろうか、それ位経ってから入っていいという許可を貰ってから部屋に入る。ツァンは雪乃が持ってきていたツァンのパジャマに着替えさせられ、俺のベッドで眠っていた。

 

「ええ、旅行者にはよくあることよ。この子、ずっと調子悪かったんでしょ?」

 

「はい。てっきり、飛行機が怖かった時のストレスだと思っていたんですが……」

 

「それもあるでしょうね。精神的ストレスと、疲労……にも関わらず今日の講習で響紅葉と3連戦他、うちの生徒とデュエル連戦……そんな無茶すれば誰だってぶっ倒れるわよ。これは残りの解熱剤と薬。これで2日もすればよくなるわ。それじゃ、お大事に」

 

 そう言ってドクターは部屋を出ていく。雪乃は水などを買いに出てくれているのでこの場にはいない。なんとも、タイミングの悪い。それにしても、雪乃にどう答えたものか……今更冷静になって考えてすべてを話してもアイツの事だ。『それがどうした』と一蹴してしまいそうで……俺が望む結果になるとも思えない。そんなことを1時間ほど考えていると、ツァンが薄らと目を開ける。

 

「あ、れ……? ボク」

 

「ん、目が覚めたかツァン」

 

「あ、きと? どうしてボクの部屋にいるの?」

 

「……ここは俺の部屋だよ。俺の部屋で倒れたのを忘れたか? 一応検査結果はただの風邪だとさ。薬飲んで寝れば治るって」

 

 俺の言葉に、あ、と思い出したかのように起きようとするツァン。しかし、その体ではそれは叶わず、ポスン、と枕の上に頭が戻ってしまう。

 

「これ、秋人のベッド、よね……ゴメン、ボク……自分の部屋に……」

 

「気にしなくていいから寝ていろ。その熱じゃ動けないだろうし」

 

 俺はそう言いながら頭に濡れたタオルを置いてやる。しかし、ツァンは寝る様子もなく、ジッと俺の事を見ているままであった。

 

「ねえ秋人……?」

 

「ん?」

 

「雪乃に、なんて返事したの……?」

 

 ツァンは俺の服の袖を引っ張りながらそんなことを聞いてきた。まあ、あそこにいたのならやっぱり聞いていたよな。

 

「……返事は、してないよ。それに……俺は雪乃の想いには答えられない」

 

「なんで? 秋人、好きな人がいるの? やっぱりマックが好き?」

 

「いや、そういうわけじゃ……雪乃のことだって嫌いじゃないし。でも、俺には誰かを愛す権利はない。誰かに愛される権利だって……本当は、誰かを好きになりたいよ、俺も」

 

 俺がそう言葉を返すと、ダルそうにしながらも俺の服を引っ張りながら体を起こすツァン。いきなり何を……

 

「じゃあ……今ボクが秋人を好きって言ったら……秋人はボクを受け入れてくれる?」

 

「ツ、ツァン……!?」

 

 言いながらツァンが俺の手を強く握ってくる。どういう、ことだ? だって……

 

「お前、紅葉さんが好きだって……」

 

「……バカ、それは憧れの人であって、好きな人じゃないわよ」

 

 雪乃の事は、予想していたが……ツァンの事は完全に分からなかったぞ。昨日ぶん殴られたのだって、あんな公共の場所であんなことするな! と怒られたからだと思っていたのに……まさか

 

「昨日、ボクが……殴ったのだって……秋人がマックにキスされて、デレデレしてたから」

 

「してない……」

 

「ボクや、雪乃には……そう、見えたんだから」

 

 いいながら、ツァンが俺の服を更に引いて俺はバランスを崩す。そして、俺の頬に、何か柔らかい何かが振れた感触が伝わってくる。

 

「っ……!? ツァン、お前」

 

「今は、風邪……ひいているから……口は、勘弁してあげる。これで、マックのは、帳消し……」

 

 言わずもがな、それはツァンのキスだった。熱で赤かった顔は恥ずかしくなったのか、さらに顔を赤くする。

 

「なんで……」

 

「ボクも、秋人が好き……友達になってから、ずっと」

 

「っ……!」

 

 今にも泣きそうな顔をしたツァンの顔がそこにはあった。彼女は勇気を振り絞って俺にそう言葉を投げかけているのだろう。俺は、どうすればいい……? 気持ちは、すごく嬉しい。それは、雪乃もツァンも、そしてマックの言葉も真意は知らないが……それでも、嬉しかった。俺を知る者などいないその世界で、俺を好きと言ってくれたのは嬉しかった。その気持ちに嘘はない。本当なら受け入れてもおかしくはない……しかし、それでも踏みとどまらなければならない。俺は「武藤秋人」という人間の器にいる「日向明人」という別世界の住人だ。仮に2人のどちらかを受け入れたとしても……もし、本物の武藤秋人の魂が帰ってくれば俺の魂は別の場所に行くことになる。そうなったとき、二人が好きだといった「武藤秋人」はいなくなってしまう……

 

「秋人……ボクの事、嫌い?」

 

「ツァン……それは、そんなことは、ない……お前の好意だって、俺は嬉しいけど……」

 

 離れようとしても、ツァンは俺の手を離さずにその瞳に涙を貯めて俺の事を見つめてくる。っ……! どうすれば、いい……!?

 

「ツァン、俺は……「ただいま」っ……!?」

 

「わひゃあ!?」

 

 どう応えるべきか、そう思った時、俺とツァンの間に雪乃がいた。何時の間に帰ってきたんだこいつは。その手にはスーパーで買ってきてくれたであろう飲み物などが入った袋がある。しかし、そんな雪乃の表情はどこか不機嫌そうだった。そして、ツァンが掴んでいる逆の腕を雪乃がガッチリとホールドしていた。

 

「ツァンが秋人の事が好きなのは知っていたから、今更驚きなんてしないわよ? さてさて? さっきの続きを聞こうかしら? 私も」

 

「……あのな、この状況で答えるなんて「答えて」……なんでそんなに答えを急ぐんだ?」

 

「当たり前……でしょ、私だって秋人、貴方が欲しいの。そして、私は貴方のものになりたいの。告白したのだって、ツァンより先なのに……ずるいじゃない。ツァンに応えようとするのは、どうなの?」

 

 そう頬を膨らませる雪乃……そこに、いつもの雪乃の姿はない。あるのは1人の少女の表情だけ。そして驚いてよろめいたが俺の事を離さないツァン。逃げようにも双方からホールドされて動けない。紅葉さんがこのタイミングで入ってきてくれないかとも考えるが紅葉さんは講義の後にプロリーグの方へ用事があると出て行ってしまっている。ミラたちに頼もうにも時間がかかる……打つ手、なしとは……

 

「ねえツァン? 秋人は何て言っていたかしら?」

 

「ボクと雪乃の好意は嬉しいって……でも、自分には誰かに愛される権利も、愛す権利もないって、よくわからないこといってる」

 

「なるほど? 私と同じ回答、と。仮にそうだとしても……私たちが誰を愛するのか。それを決めるのは私たちよ。秋人ではないでしょう?」

 

「それは……そうだけど」

 

 だけど、と俺が言おうとするも、その口を雪乃の指によって塞がれてしまう。

 

「ならいいじゃない? 私も、ツァンも、貴方を求めているの」

 

「だから秋人……誰かに愛される権利が無いなんて、言わない、で」

 

 雪乃はそう優しく微笑むみ、少し辛そうにしながらも、ツァンも俺の手を握る力を一層強くさせていた。しかし……

 

「結局、俺はどうすればいい? 俺は一人しかいない……二人の想いは嬉しいが……」

 

「……そうね、その通り。ねえ、ツァン?」

 

「……何? ボク、結構今、つらい……けど」

 

「ええ、もうちょっと頑張って。私が決めた案に乗ってくれる?」

 

 そう言いながら雪乃はツァンに耳打ちをする。なんだ? 数秒の沈黙の後、ツァンがなにやら雪乃に呆れた様子でため息を吐く

 

「よく、思いつくわね……アンタも」

 

「そう? 確実に秋人といて、私たちやみんなの関係が壊れない素敵なプランでしょ? 私だって本当はただ一人、秋人の物になりたいもの」

 

「……そうね。賛成してあげる。でも、『一番』は」

 

「それは、私たちと秋人の今後次第ってことで」

 

 何を相談したんだこの二人はこの短時間で。そして、なんだろう、嫌な予感がプンプンするのは気のせいではない。雪乃が離れているなら病人のツァンの掴んだ手ぐらいならば引きはがせる。直感的に離脱を考えた俺だったが、それは叶わなかった。

 

「逃がさないわよ?」

 

「逃げちゃ、だめよ……」

 

 すさまじい速さで俺が逃げることを感じ取った雪乃が空となっていた俺の手を握り、ベッドの上へと引きずり込んだ。しかも、ツァンもまた同じように俺の事を引っ張っているので動けない。

 

「協議の結果を教えてあげるわ、秋人。私たち二人の愛を受け止めてもらうことにしたの」

 

「どうしてそうなる!?」

 

「貴方の事よ。どちらかを選んでどちらかが傷つくことも考えたんでしょ? それなら両方を受け入れてもらう……そうすれば私たちは幸せ、みんなとの関係も崩れない。一石二鳥ね?」

 

 それは、日本の法律的にどうなんだ!? 俺が反論しようとするも、ツァンが「それに」と言葉を遮ってくる。

 

「両方から固めておけば、他の女が入る隙間なんて、ないでしょ? 一番がどっちかは、これから秋人が決めていけばいいから……だから、秋人。もう観念して?」

 

 拒否権もなしかよ……ここでなお拒めば、この二人は今度何をしてくるのかわからないし、先程からもう打つ手はないのは分かっている。観念しろ、か。

 

「いつか、俺がこの世界から消えることになったら?」

 

「「地獄の果てまで追いかけてあげる」」

 

「後悔するかもしれないぞ? 俺なんかを好きになったことを」

 

「「後悔が怖くて恋はできないわ」」

 

「……もう、好きにしてくれ」

 

 二人の揃った言葉に、俺はもうあきらめるしかなく、ため息と共に吐かれた俺の呟きは言葉と共にされる二人のハイタッチによってかき消されるのだった……

 

 

次の日、俺がツァンの風邪を移されるのは言うまでもない

 




完全新規の為リメイク前との比較なし

ツァンの風邪
実は空港の時からすでに風邪をひいてました

雪乃、ツァンの告白に対しての秋人の想い
正直、秋人は雪乃のは気付いていましたが、ツァンの想いには気が付いていませんでした


ちょっと無理やり過ぎない?
前作のくっつく話のほうがもっとひどかったと思ってます……

次回からハーレム?
一応。ただ、レジーがまだ終わりません

Next 27「夏休み」⑦

次回、ノース校編は……

  • 十代と万丈目のデュエルが見たい
  • デュエルよりも修羅場が見たい
  • レジーを付け狙う生徒と秋人がデュエル!
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