遊戯王-孤独に巻き込まれた決闘者-R   作:秋風

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はい、比較的早くに投稿ができました。秋風です。
早乙女レイが巻き起こした恋する乙女編、最終話となります
前回は久しぶりの投稿だったのでもう見る人もいないだろう、とか思ってたら、すごい反響があって驚きました。ありがとうございます。

あと、前回言っていたデュエリストパックが買えたので買ったのですが、封入率が酷過ぎて結局シングル買いとなり、そのせいで蘇生やヴェーラーなんかの汎用カードを買う余裕がなくなる始末……デッキ完成はまだまだ先になりそうです。とりあえず、マジシャンズ・ソウルは3枚確保
(5箱開けて出たのは1枚)
その辺はあとがきにて改めて……

では、最新話の恋する乙女編⑤、どうぞ
お話の感想、お待ちしております


37「恋する乙女」⑤

秋人 手札 2枚 フィールド 真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン

LP3700            魔法・罠  真紅眼の鎧旋 伏せ1

 

 

十代 手札 0枚 フィールド E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン

LP4000            E・HEROバブルマン

         魔法・罠  伏せ4枚

 

 

「俺のターン、ドロー! 悪いが十代、そのシャイニング・フレア・ウィングマンには退場してもらう」

 

「お? やっぱり、そのエビル・デーモンってカード、ただのデーモンモンスターじゃないんだな」

 

 フィールドに並び立つ2体のモンスター。フィールドの秋人さんのモンスターは攻撃力2500の真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモンで、十代さんは攻撃力4000になっているE・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン……状況では秋人さんは不利だけど、デーモンの効果っていったい?

 

「今度発売の新カードジャンル、それのお披露目をしてやるよ。十代」

 

「お、やっぱりな! さあこい!」

 

 ……なんで十代さんはそんなワクワクしているのか。いや、ボクもワクワクしている。いったいどんなことをするんだろう。

 

「俺はフィールドにいるモンスター、真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモンを『デュアル』! これにより、エビル・デーモンはモンスター効果を得る!」

 

「「デュアル?」」

 

 それが新しい効果? デュアルってどういう意味だろう? エビル・デーモンが光り輝いて、その真紅の目を光らせていた。てっきり、またボクの知らないエクシーズみたいなものが出てくると思ったんだけど……

 

「デュアルは『二重』っていう意味。デュアルモンスターはルール効果をもったモンスターだ。デュアルモンスターはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。凱旋の効果が使えたのはそのためだ。そして、通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚、つまり再召喚でデュアルにできる。その場合カードは効果モンスター扱いとなり、効果を得て発動できる。ちなみに、デュアルするときはそのモンスターは現在の表示形式のまま、テキストに書かれたモンスター効果を得る。何か質問は?」

 

「いや、大丈夫だぜ。続けてくれ」

 

「そうか。なら効果を発動する! 1ターンに1度。このモンスターの攻撃力より守備力が低いモンスターを全て破壊できる!」

 

「なるほど、やっぱり効果破壊系か! くっ……だが、まだまだ! 罠発動! 『エレメンタル・ミラージュ』! 相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時に発動!このターン、破壊され墓地へ送られた「E・HERO」を、召喚条件を無視して全て自分フィールド上に特殊召喚する! 戻って来い! E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン! E・HEROバブルマン!」

 

「悪いが読んでいた! 罠発動! 『神の警告』! 自分のライフ2000を払い、自分、または相手の特殊召喚を無効にして破壊する!」

 

武藤秋人 LP3700→LP1700

 

 フィールドで消えては現れ、また消えてしまうシャイニング・フレア・ウィングマンとバブルマン。十代さんが使っていたカードもとんでもなかったけど、秋人さんのカウンター罠もすごいし、デーモンの効果もとんでもない。確かに、守備力2500以上のモンスターはなかなかいないもんね。これで十代さんのフィールドはがら空き……と言いたいけど、3枚も伏せが残っている。

 

「ちなみに、デュアルをしたということは、このターン、真紅眼融合は使えない……俺は手札から『天使の施し』を発動。デッキから3枚ドローして2枚捨てる。さらに真紅眼の鎧旋の効果も発動し、真紅眼の黒竜を蘇生」

 

真紅眼の黒竜 ATK2400/DEF2000

 

「真紅眼の黒竜、初めて見たぜ……!」

 

「ちなみに、この真紅眼の鎧旋は破壊されると墓地のレッドアイズを1体特殊召喚できるからな。この場合は効果モンスターも蘇生できる」

 

 うわぁ、それなんてインチキ効果? フィールドを見るだけなら攻撃力合計4900だから、十分倒せる範囲内だ。けど、十代さんのあの余裕……まだ、倒される気はないってことなのかな

 

「バトルフェイズ! まずは真紅眼の黒竜でダイレクトアタックだ! 『黒炎弾』!」

 

「ぐっ……!」

 

遊城十代 LP4000→LP1600

 

「罠発動! 『痛恨の訴え』! 相手モンスターの直接攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる! 相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が一番高いモンスター1体のコントロールを次の自分のエンドフェイズ時まで得る! 真紅眼の黒竜を守備表示でもらうぜ!」

 

「くっ……仕方ない! デーモンで黒竜を攻撃!」

 

 フィールドから十代さんへ寝返った黒竜がデーモンの攻撃を受けて消えてしまう。真紅眼の黒竜はまた真紅眼の鎧旋で呼べるとはいえ、防がれた……

 

「へへっ、今日は秋人に貰ったカードや、買ったカードが大活躍だぜ」

 

「うぐっ、そう言われると渡したことを後悔しそうになるからやめて」

 

 あ、やっぱり。見たことないカードだもんね。それにしても、痛恨の訴え……ボクの持っている「恋する乙女」のデッキで使えそう。

 

「俺もカードを2枚全て伏せてターンエンドだ」

 

「俺のターン! ここからだぜ! 魔法カード『デュエル』を発動! 互いのプレイヤーは手札を6枚になるようにデッキからドローする!」

 

 ……へ? それって『天よりの宝札』と同じじゃないの? と、思っていると、秋人さんがなにか悩んだように考えていた。

 

「うーむ、やっぱりそれ、変だよな。十代? それ、天よりの宝札だよな?」

 

「おう、俺もそう思う……っていっても、ディスクも反応しているし……なんなんだ?」

 

 6枚のカードを引きながらも、二人して首を傾げている。どういうことだろう?

 

「あの、どういうこと?」

 

「お? おう、レイ! このカードのことでな!」

 

 思わず階段を下りて近づいたボクにそう言って使ったカード『デュエル』を見せてくれる十代さん。書かれている効果は、十代さんが言った通りのものだ。

 

「そのカード、天よりの宝札と同じテキストなんだが、カード名が違うんだ。十代が拾ったカードらしいんだが……俺もそのカードは実は見るのは初めて見た。後で海馬コーポレーションに送ってみよう。代わりと言っては何だが、後で天よりの宝札やるよ」

 

「マジか! やったぜ!」

 

 このデュエルではひとまず、そのままゲームは続行という事になった。ボクもせっかく近くまで来たので、近くのベンチに腰を下ろす。十代さんのターンでゲームが再び始まる。

 

「まずは、フィールドのデーモンをどうにかしないと! まずは魔法カード『HEROの遺産』! 1ターンに1度、墓地のHEROを素材とする融合モンスターを融合デッキに戻してカードを3枚ドロー!」

 

「まだ引くのかよ」

 

 本当だよ。もうそのインチキ効果には驚かないぞ、ボクも。どうせ秋人さんがあげたんだろうから。十代さんの手札は一気に8枚。これだけ引けば何か打開策はあるだろうけど……

 

「魔法カード『融合』! 手札の『E・HEROワイルドマン』と『E・HEROエッジマン』を融合! 来い! 『E・HEROワイルドジャギーマン』! さらに、魔法カード『魔法石の採掘』を発動! 手札2枚を捨てて墓地の『融合回収』を手札へ! そして発動! 墓地の融合とエッジマンを回収! そして、E・HEROエッジマンを手札に戻し、墓地のネクロダークマンの効果! 1ターンに1度、E・HEROの召喚に生贄が必要なくなる! エッジマンを通常召喚!」

 

E・HEROワイルドジャギーマン ATK2600/DEF2300

 

E・HEROエッジマン ATK2600/DEF1800

 

 うえええ……一気にカードがグルグル回って、十代さんすごく早口でカード使ってる。あれ大丈夫? 8枚あった手札は3枚に。そして、フィールドには上級モンスターが一気に並んでいた。どちらも攻撃力はデーモンを超えている。まあ、そもそもスカイスクレイパーあるから関係ないけど……

 

「バトルだ! E・HEROワイルドジャギーマンでエビル・デーモンを攻撃! 「インフィニティ・エッジ・スライサー」!」

 

「くっ……攻撃前に真紅眼の凱旋の効果! 黒竜を蘇生する!」

 

「甘いぜ! ワイルドジャギーマンは相手フィールドモンスター全てに攻撃できる! 全部のモンスターを粉砕しろ!」

 

 次々と破壊される秋人さんのモンスター。あれ、これエッジマンの攻撃で詰みなんじゃ!?

 

武藤秋人 LP1700→LP1600

 

「そしてトドメだ! 秋人にエッジマンでダイレクトアタック! 『パワー・エッジ・アタック』!」

 

「だろうな、十代! お前ならそうすると思った! 罠カードを2枚オープン! 1枚目『死魂融合』! 2枚目『DNA改造手術』! チェーンの逆順でDNA改造手術で指定はドラゴン族! そして、次に死魂融合の効果発動! 決められた素材を裏側表示でゲームから除外し、融合を行う! 墓地の真紅眼の黒竜とバスター・ブレイダーで融合!」

 

 こ、ここで罠融合!? 確かに黒刃竜ならエッジマンより攻撃力は上だけど、スカイスクレイパーが……

 

「俺が出すのはこのデッキ2体目の切り札! 来い! 竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー!」

 

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ATK2800/DEF2500

 

 バ、バスター・ブレイダーの融合モンスター!? こんなカードもあるんだ! って、攻撃力2800じゃスカイスクレイパー対象内じゃ……!?

 

「ドラゴン族……!? なっ……俺のモンスターが守備表示に……」

 

 十代さんの2体のヒーローの体から角が生えたり、羽が生えたりしてる……のは、ともかく、そのワイルドジャギーマンも、エッジマンもまるでそのバスター・ブレイダーを畏怖するかのように、体を縮めて守備表示になってしまった。

 

「このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのドラゴン族モンスターは守備表示になり、相手はドラゴン族モンスターの効果を発動できない。そして、このバスター・ブレイダーはフィールドのドラゴン1体につき1000ポイント攻撃力を上げる」

 

「くっ……俺の今の手札じゃ……メインフェイズ2だ! 『ホープ・オブ・フィフス』発動! 墓地のヒーロー5枚をデッキに戻し、2枚引く! 『エッジマン』『ネクロダークマン』『スパークマン』『クレイマン』『ワイルドマン』を戻して2枚ドロー……よっしゃ! 『サイクロン』発動! DNA改造手術を破壊! これで、ターンエンド!」

 

 せっかく、2体ともドラゴンになったから攻撃力が4800にもなったのに……いや、それ以前に十代さんまだドローカード握っていたんだ。すごいな、あの人……しかも、ピンポイントにサイクロン引いているし。

「俺のターン、ドロー! ……DNA改造手術を破壊したのはさすがだな。けど、俺が対抗策を用意していないとでも?」

 

「「え?」」

 

 ニヤリと笑みを見せる秋人さん。思わず十代さんと同時に「えっ」っていったけど……なに? まだ何かやる気なの、あの人

 

「俺は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地より『バスター・ブレイダー』を特殊召喚! そしてチューナーモンスター、『破壊剣士の伴竜』を通常召喚! ちなみに、素材として除外したのは天使の施しで墓地へ送った方な」

 

バスター・ブレイダー ATK2600/DEF2300

 

破壊剣士の伴竜 ATK400/DEF300

 

フィールドに現れたバスター・ブレイダーと小さいドラゴン。いや、それよりチューナーって何? 十代さんもなんか驚いているけど。

 

「なぁ!? それ、融合デッキだったんじゃないのか!? シンクロもいたのか!?」

 

「俺は一言もこのデッキに融合以外入れていないとは言ってないぞ。破壊剣士の伴竜の効果! デッキから「破壊剣士の伴竜」以外の「破壊剣」カード1枚を手札に加える。『破壊剣士融合』を手札に! そして、レベル7のバスター・ブレイダーに、レベル1の破壊剣士の伴竜をチューニング! シンクロ召喚! 現れろ『破戒蛮竜-バスター・ドラゴン』!」

 

 突然、バスター・ブレイダーが7つの星に別れ、小さなドラゴンが円になったかとおもったら、変な光と共に巨大なドラゴンが出てきた!? え、何あれ!? あれも、エクシーズ召喚とかいう奴とは違う別の召喚方法!?

 

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ATK1200/DEF2800

 

「すげぇ……でっけぇな……けど、攻撃力、レベル8なのに低くないか?」

 

「まあな、けど、効果は今この局面で大切なんだ。このカードがフィールドにある限り……相手フィールドのモンスターは、このカードが表側表示で存在する限りドラゴン族になる。つまり、バスター・ブレイダーは再び力を取り戻す」

 

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ATK2800/DEF2500→ATK4800/DEF2500

 

「バトル! 竜破壊の剣士-バスター・ブレイダーでエッジマンを攻撃! この時、相手の守備力より自分の攻撃力が上回っていれば、貫通ダメージを与える! いけ!」

 

「なにっ!? うわああああっ!!」

 

遊城十代 LP1600→LP0

 

 ライフを削りきり、そのエッジマンを両断された勢いで吹っ飛ぶ十代さん。悔しそうにしつつも、どこか満足そうに立ち上がった。

 

「くっそー、俺の負けかぁ……」

 

「ああ、俺の勝ちだ。よって十代。5日分の飯、ご馳走さん。それと、レイの事は追及なし」

 

「そういえばそうだった……でもま、こんな楽しいデュエルが出来たんだ。それくらい安いもんさ! それに、レイの事も黙ってるぜ。約束だ!」

 

 デュエルが終わり、そんな会話をしている二人。そのあと、十代さんはそのまま寮へ戻り、ボクも秋人さんと一緒に部屋に戻る。その途中、シンクロ召喚のことも教えてくれたけど……なんというか、すごかったな。決闘していた時の秋人さん。すごく、かっこよかった……それこそ、亮様の決闘を見ていた時みたいな……

 

「レイ? どうした、大丈夫か?」

 

「ふぇ!? あ、うん、大丈夫! なんでもないです!」

 

 ボクの顔を覗きこんできた秋人さんに対して、ボクは思わず顔を逸らした。な、なんでだろう!? 秋人さんの顔をまともに見れない! さっきまで普通に見れたはずなんだけど……あれ? あれぇ?

 

「顔真っ赤だぞ? 熱でもあるのか……ちょっと待ってろ、今、体温計を……」

 

「へ、平気です! 大丈夫だから! 気にしないで秋人さん!」

 

 何とかその場を誤魔化して、顔を冷やすために洗面所で顔に冷たい水をかけるけど、その顔は真っ赤だった。ちなみにこの後、帰って来た雪乃さんとツァンさんを誤魔化すのもまた大変だったのは、言うまでもなかった……

 

 

 

 

夜 レッド寮 秋人の部屋

 

「ふぁ……眠い」

 

「レイ、早めに寝ろよ。明日の定期便で帰るんだからな」

 

「……あ、はい。ごめんなさい、荷造りも手伝ってくれて」

 

「やったのはツァン達だから、俺じゃないからな」

 

 あれから、3人はボクのために小さなお別れパーティを開いてくれたり、デュエルをしたりもしてくれた。楽しい時間はあっという間に過ぎて、もう夜になってしまった。明日とうとう、帰ることになる……眠たそうにベッドに入る秋人さん。部屋にはなんと、ボクと秋人さんしかいない。というのも、雪乃さんとツァンさんは二人とも今日だけ女子寮の当番になってしまい、仕事をしてそのまま向こうの部屋で寝るのだという。

 

「じゃあ、お休みレイ」

 

「あ……」

 

 そう言って目を閉じる秋人さん。ボクはなぜか、そのまま無意識のうちに、秋人さんのベッドに入っていた。

 

「おい、レイ? 寝ぼけているのか?」

 

「あの、今日もその、一緒に寝てもいいですか?」

 

 散々迷惑をかけてしまったのに、こんな我儘をいって許されるだろうか? 多分、本当なら怒られる。けど、やっぱり、もう少し秋人さんに甘えたい……そう思っていると、秋人さんはため息を吐きつつも、体を半分起こしてボクの頭を撫でてくれた。

 

「わかったよ、今日で最後だしな……いいぞ」

 

「ありがとう、秋人さん」

 

 そうお礼を言って秋人さんに引っ付く。短い時間だったけど、楽しかったアカデミアの生活。みんなに迷惑をかけたけど、もっと秋人さんや雪乃さん、ツァンさんや十代さんたちとこの学園でいろんなことをしたい……どうして、ボクはもっと早く生まれなかったのかな……そうすれば、みんなと一緒に……なにより、秋人さんと離れることだって……そう思うと、悲しくなって、自然と涙が溢れていた。その悲しみは、亮様にフラれたときよりも酷かった。

 

「レイ?」

 

「……」

 

 あうっ、泣いているのを見られちゃった……必死に涙を拭こうとしたけど、秋人さんは何も言わず、ボクを優しく抱きしめて、頭を撫でてくれる。とても、心地がいい……どうしてこんな気持ちになれるのか、ボクは理解していた。だから、ボクはそのまま目を閉じて秋人さんを独り占めにする。お休み、秋人さん……でも、やっぱり、帰りたく、ないなぁ……もっと、こんな風に、好きになった人と一緒にずっと……ずっと……グゥ……

 

 

 

 

 ……どこで間違えたのか。俺は眠るレイの頭を撫でながら、そう思っていた。

 

『お疲れ様でした、マスター』

 

「(ミラか……いや、そうでもないよ)」

 

「ふみゅぅ……あきと、しゃん……」

 

 抱きしめていたレイが、嬉しそうに俺にうずくまって寝息を立てていた。とりあえず泣き止んでくれたが、なんというか、今回は彼女の気持ちを明確に察してしまったので、泣き止んでもらう為とはいえ、気が重かった。

 

『今回は、流石に自覚されたんですね』

 

「(雪乃とツァンの視線と、レイの俺への態度を見れば、流石にな)」

 

 よくよく考えてみれば、最終的に世話焼いていたの俺だったしな。懐かれる程度は予測したものの、ここまでとは思わなかった。

 

『でも、雪乃さんやツァンさんとお付き合いをしているのをご存知ですし……流石に、諦めるのでは?』

 

「……そうだといいんだけど」

 

 ミラの言葉に、俺はそう呟きつつも、同じように目を閉じて眠ることにした。心に傷を負った、恋する乙女と共に。

 

 

 

翌日 アカデミア 港 定期便乗り場

 

「じゃ、元気でな、レイ」

 

「向こうでもしっかり頑張りなさい。それと、謝ることも忘れずにね」

 

「文化祭もあるから、またその時に来なさいよ? ボク達は変わらずいるから」

 

「はい。秋人さん、雪乃さん、ツァンさん、あの、色々とありがとうございました。あと、迷惑かけちゃって、ごめんなさい」

 

 翌日の朝。定期便にレイの両親が迎えに来た。俺達3人はもう反省しているのでレイをあまり叱ってやらないでくれと、レイの両親に頼むことにした。そんなレイの両親は3人が言うなら、と今回の件についてお礼をいいつつ了承し、船でレイを待っている。ちなみに、レイは今まで着ていたアカデミアの制服ではなく、ご両親が持ってきた白いワンピースである。

 

「あの、秋人さん」

 

「ん?」

 

「ボク、本当に楽しかった……このデュエルアカデミアに来たこと。その、いっぱい怒られちゃったけど……でも、後悔してないよ。みんなと友達になれたから!」

 

「……次同じことしたら、アイアンクローじゃすまないわよ?」

 

 ため息を吐きつつレイの言葉に笑うツァンは、そういって指を鳴らす。レイが「ぴぃ!」と小さく悲鳴をあげるも、俺達は笑っていた。そんなやりとりをしつつも、俺は1つのデッキケースを渡す。

 

「じゃあ、これから頑張るレイに、俺からのプレゼントだ」

 

「これは……デッキ?」

 

「ああ、使うかどうかはお前に任せる。一応、前に聞いたお前のデッキだけだと、戦うの大変そうだったからな。恋する乙女だけだと……流石にな」

 

 探したけど、なかなかいいサポートを見つけてやれなかったのが本音だが……あと、新作カードのテスターとしても彼女はきっと優秀だしな。渡したのは記憶を掘り起し、彼女がゲームで使っていた気がする『ライトロード』である。

 

「っ……! た、大切にする! ありがとう、秋人さん!」

 

 そう笑顔を見せてくれるレイ。ああはいっていたが、少し落ち込んでいた様子だったからな。これで機嫌が直ってくれるなら安いもんだろう。

 

「さ、そろそろ時間だ。これでわざと乗らないなんてやったらツァンのアイアンクローじゃマジですまねーぞ」

 

 この定期便、次に来るのが2週間後になっているし……さすがにそこまで面倒は見られない。そんなことを思っていると、レイが俺をジッと見ていた。

 

「ねえ、秋人さん。ちょっと」

 

「?」

 

 何やら俺に屈むように、と手で動作をするレイ。なにか嫌な予感を感じ取りながらも、言われた通りに屈む。この時、俺は完全に油断していたのだ。ミラの言うとおり、流石に俺に対しては好意を諦めるだろう、と。そんな俺の手に何かを握らせてくる。手を開くと、そこにあったのはレイが最初にカイザーへ渡し、そして返却されてしまった髪留めであった。

 

「え、ちょっと待て、レイ、お前これ……っ!?」

 

 なんのつもりだ、と言いかけた途端。俺の唇に暖かい感触が触れ、レイの顔がそこにあった。何をしてきたのかは、言うまでもないだろう。

 

「えへへ、これまでのお礼! それと、秋人さん! 大好きだよ! バイバイ!」

 

「なっ!?」

 

 そう言って逃げるように走り、定期便に乗り込むレイ。それと同時に、本土へ向けて船が動き出す。そして、船のデッキからレイが手を振っているのが見えた。

 

「また必ず、必ず来るから! 待っててね! 秋人さん! それと、雪乃さん! ツァンさん! “私”だって、負けないからねー!」

 

 そう言って笑顔で手を振ると、そのままレイは船の中へと消えて行った。その直後、俺の両肩をがっしりと何かが捉えていた。

 

「秋人、ちょっとお話ししましょうか?」

 

「私たちを前にしていい度胸ね? 見直したわよ、秋人? ええ、本当に……」

 

 ぎちぎちと俺の肩の骨がきしんでいる。特に、ツァンから掴まれている方がめっちゃ痛い。

 

「まて、落ち着け!」

 

「「落ち着けるかぁぁぁぁ!!!!!」」

 

「いだだだだだだ!!!」

 

 とある日の港で、一人の悲鳴と二人の怒号が響き渡るのだった。レイがまた来た時、大変なことになるだろう、と思ったのは言うまでもないだろう。

 

 

―― 一歩、また一歩と近づく戦いの足音を聞きながら

 

恋する乙女編 完

 

 




リメイク前との相違点とツッコミどころ

十代が使用したカードたち
痛恨の訴えは遊馬の使ったカードですが、なんとなくイラストに描かれているのがヒーローっぽかったので採用。あと、「デュエル」に関しては、元は漫画版で紅葉VS十代にて、紅葉が使用したカード。当時、なぜにこれは天よりの宝札じゃないのだろう、と首を傾げました。
実は、このカードは今後の物語でも役割があります

チョロイン?早乙女レイ
個人的には某ストラトスのイギリス代表候補と同じくらいチョロイのでは?と思ってしまう彼女。アニメでも明日香を出し抜いて十代にお姫様抱っこされたり、十代が「レイがこの解毒薬を待っているんだ!」と言わしめるほどヒロインしてましたよね。ただし、TFの赤レイルート、お前だけは許さん

早乙女レイの今後
一応、原作と同じく出てくるのと、文化祭などでも登場予定
あと、最後のボクから私になったのはわざとです。一応、3期では一人称は「私」なんですよね。これは、雪乃やツァンには負けないぞ、という意思表示でもあります

大幅カットシーン
リメイク前作品を見て頂いている方々にはどこがカットで、どこが追記かはよくわかるでしょう。読み直して蛇足多すぎて大幅にカットしました


 と、いうわけで、今回で恋する乙女編は終了。万丈目サンダー帰還編、秋人の妹騒動などを経て、セブンスター編へと突入します。これ、今年中に一期終わるか? 不安だ……

 さて、それにしても久しぶりに遊戯王カード買いましたけど、封入率ってここまで露骨なんすね。驚きました。以下、当たったカードですが……URで察して頂けると思います。偏りが酷い。そして、どこのカードショップに行ってもBMGがない。100円前後でストレージにあったはずなのに……立川を基本拠点としているですが、ほぼ壊滅でした
 加えて、他の死者蘇生とかも揃ってないのでデッキのような紙束になってもうた……遊戯王の大半が無くなってしまっているのでまた来月まで待たないとダメかなぁ……(汗
当たったUR SR
サンライザー3 天空の魔術師2 サテライト2 マジシャンズ1 ガガガガ2
マジシャンズソウル1 コンバータ3 オッドアイズ4 リキッド1 オノマト2 ジェネレーション2 魂のしもべ2
と、こんな感じでした。ある程度戦えるくらいで構わないので、楽しく作れそうなブラック・マジシャンデッキがありましたら是非メッセの方へ(笑)
次回更新は、今月中に描きあげられればと思います。(主に、お絵かきとポケモン剣盾のせい

では、また次回にお会いしましょう。ではではノシ

とある落とし神様 赤鉄様 ファイネス1様 navi様 zyamu様 ノウレッジ様 keyblade様 コジマ汚染患者様 ワッカース様 神薙改式様
感想ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします

死にたがり様 魚座の司書様
評価、ありがとうございました。今後も、頂いた評価以上の作品を作れるよう頑張っていきます

NEXT「他校試合交流戦選抜」

次回、ノース校編は……

  • 十代と万丈目のデュエルが見たい
  • デュエルよりも修羅場が見たい
  • レジーを付け狙う生徒と秋人がデュエル!
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