Fate/Volsunga saga   作:じーくとるふぉ

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どうも、じーくとるふぉです。

この前に書いたジャックのやつがあまりにも難しかったのですがどうしてもFateが書きたかったのでこれを書いてしまいました。
予定ではジャックもピックアップしていきたいと思いますので今作品をよろしくお願いします。


座からの"帰還"

いつから、彼が現代に生を受けたのかはある一人の英霊を除いてわからない。

 

産まれた場所はヨーロッパとしか記憶していないし、なにより彼には数年前まで記憶を失っていたのか幼少期の記憶が全く無かった。

忘れていることは沢山あるが覚えていることも沢山ある。

 

彼は、元は"座"にいた英霊だった。

 

何故普通の人間に戻ったかは一人の女性を除いてわからない。

それが誰かの願いによるものなど、本人すらわかっていないのだ。

 

今は英雄ではなくただの人間として生きてるわけだが、限られた時間の間だけは力を使えるという変わった体質になってしまっている。

 

そんな彼の今の名はーーー

 

 

 

 

 

 

ーーーシグルド・サガ・ヴォルスン

 

現代でシグルドは"魔術師"に分類されていた今は"昔から"慣れている戦いで生計を立てるべくフリーランスをしている。

戦い方については仕事仲間の獅子劫が後ろから銃を撃ち、シグルドは強化を施した剣で前衛を務めるといういたってシンプルな戦術だ。

 

常日頃から戦場に関わっていた獅子劫とシグルドは今日もいつもと同じく知り合いと仕事話をするために時計塔に向かう。

 

が、彼等は知らない。

 

今回の仕事は一筋縄ではない、今までの中で一番HARDな仕事だということを。

 

 

 

何故かわからないがーーーいや、理由は明確か、とシグルドは時計塔の廊下でため息を吐いていた。

落ち着いた雰囲気のシグルドとは全く反対のオーラを漂わせている獅子劫、学生からの怯えは外見からもきている。

 

考え事をしていたのかよそ見をしていた獅子劫の肩に学生がぶつかってしまう。

やっと気がついたのか獅子劫が謝ろうとするが振り向いた時には既に学生の姿は無かった。

 

実際にシグルドは目にしていた。

 

 

獅子劫とぶつかってしまった学生が、まるでライオンを目にした草食動物のような顔をして一目散に走り去ってしまったところを。

 

「時計塔一の講師さん、廊下は走らぬようにと指導はしないのか?」

「将来人殺しをするような奴等にそんな指導が必要だと思うか?」

 

部屋の前で目印のように立っている講師にシグルドは挨拶代わりに皮肉をとばす。

すると講師は慣れたように返事する。

 

常に不機嫌そうな顔をしている彼はロード・エルメロイ二世、時計塔一実績を持つ講師である。

 

 

 

 

 

おっと間違えてしまった。

 

 

 

 

時計塔一"生徒が"実績を持つ講師だ。

 

 

 

今回の依頼人、召喚科学部長ロッコ・ベルフェバンの私室にシグルドと獅子劫は座っている。

 

この部屋は不気味だ。

 

「お主が笑うと確かに恐ろしいな、シグルドくんを見習ったらどうかね?」

「なんだそりゃ」

 

ヒョヒョヒョと笑いながら馬鹿にしてくるベルフェバンに獅子劫は不満そうに相づちを打つ。

 

ーーー顔が怖くない獅子劫なんて獅子劫ではないな

 

そんなことは敢えて口にせずシグルドは気を紛らわすように部屋を見渡した。

 

率直な感想を言うと、不気味だ。

 

何と何を合成させたかわからないような生物の剥製に抱いた感想は不気味、だ。

 

ーーーこれは...ホルマリン漬け?

 

そんなシグルドの疑問を獅子劫も同じく感じたらしく二人を見ていたベルフェバンはまたも馬鹿にしたように微笑む。

 

「相変わらず何でもありだな、ここは」

「何。珍しいだけだな、在ると分かっている代物だよ。貴重ではあるがな」

「ヒュドラの幼体なんて貴重っていうレベルではないだろうに」

 

今日この部屋に入って初めて声を発したシグルドに驚きながらもベルフェバンは答える。

 

「あれは偽物だよ」

 

ーーーやっぱこの人は嫌いだな

 

再びそれを再確認したシグルドを見て、狸親父は自分のことをどう思っているかを理解し更に笑みを深める。

しかしその笑みは直ぐに消え、顔は狸ではなく策士の顔へと変わっていた。

 

「さて、呼び出したのは他でもない。お主たち、『冬木の』聖杯戦争を知っているか」

「そりゃまあ、知っているが」

「同じく」

 

聖杯戦争とは万能の願いを叶えると言われている聖杯を巡る戦いのことだが、『冬木の』という枕詞がついた場合、魔術師の間では英霊をサーヴァントとして召喚し、最後の一騎になるまで殺し合う極めて特殊な戦争を指す。

 

東方の小国として協会の監視が緩かったのかこの聖杯戦争は三度と繰り返されるまでは目をつけられることはなかった。

極東の片田舎に万能の願望機が顕現するなど、冗談にも程がある。というのが魔術協会の認識であった。

 

だが違った。

 

第三次聖杯戦争で全ての認識が変わったのだがこの話は今の話とは関係ない。

現在、亜種の聖杯戦争は世界各地で繰り広げられている。

おそらく、今回の仕事はこの聖杯戦争繋がりのことだろう。

 

「冬木の聖杯戦争、その真の目的はーーー」

「で、今回の仕事は聖杯戦争に参加しろと?」

「...」

 

その時のベルフェバンは急かしたシグルドを避難するような目で見る。

ベルフェバンがシグルド達と話し始めてから初の不快感に顔を顰めるがシグルドは急かす雰囲気を消さず、獅子劫はそれに同調にベルフェバンを見ている。

 

「むう...まったくお主らは」

 

敢えて不満を隠そうとしないベルフェバンを見ても表情を変えない二人のフリーランスへため息をつき、自分が折れることに決める。

 

「ルーマニア、トランシルヴァニア地方の外れにある都市トゥリファス。その世界最古の建築物であるミレニア城壁に設置されるらしい」

「ソースは?」

「ダーニックだ」

 

今出た名前に心当たりがあったシグルドと獅子劫はその情報を完全には信じきれずにいた。

 

"八枚舌"のダーニック、本名をダーニック・プレストーン・ユグドレミアーーー彼は既に百年近く生きているらしい、ユグドレミア一族の長だ。

時計塔では最高峰の階位である"王冠"に上り詰めており、講師を勤めていたのだが...その評価は低い。

 

そんな彼が何故、この階位を手にしたのかという理由は彼の異名からわかる。

 

彼の実質講師ではなく政治の人間であった。

八枚舌の異名通り彼は言葉で人を動かすことに長けていた。

最早魔術でも使っているのでは?というほどに皆は彼に騙される。

 

ダーニックは一流の魔術師であると共に一流の詐欺師でもあったのだ。

 

そんな詐欺師の言葉をそう簡単に信じられようか?

否、できないはすだ。

 

「それは確かなのか?」

 

だが、シグルドと獅子劫の考えはある事実によって書き換えられた。

 

「ああ、その情報と同時に届いた知らせの中にこんなものがあったーーー」

 

 

 

「ーーーユグドレミア一族は時計塔から離反する、と」

 

 

 

「じゃあ別に俺らじゃなくてもいいのでは?」

 

そんなシグルドの素朴な疑問にベルフェバンは深刻な表情で答える。

 

「...一人だ」

「ん?」

「五十人の狩猟に特化した魔術師を送り込んだ結果、生き残ったのは一人だ」

「ーーー」

 

嘆息は、果たして誰のものだったのか。

 

狩猟に特化した、ということは即ちシグルドと獅子劫の同業者ということである。無論、フリーではなく協会に属する者たちだろうが、それにしても五十人は多すぎた。それは即ち当初の予定はまさしく殲滅にあったということが窺い知れる。

だが、それでも足りなかったというのか

 

「足りなかったどろこではない。次元が違ったわ。奴等、事もあろうにサーヴァントで迎撃しおった」

「なるほど...」

「そりゃあ、無理だ...」

 

ベルフェバンの言葉は五十人を殲滅できた理由としては実にもっともだった。

現代人が束になったとしても英霊には勝てなかっただろう。

それほどまでに違うのだ。

 

力も、技も、肉体も、魂も。

 

「差し向けた使い魔が全てを見ていた。そのサーヴァントは魔術師の前に突然出現し、笑いながら腕を一振りしてーーーそれで、終わりだ。次の瞬間、一人を除いて全員が長い杭に突き刺されて殺されていた」

「『ルーマニア』で『杭』...」

 

ともあれ、サーヴァントは既に召喚されているらしい。ならば、逆に好都合ではないのか。

 

「それで爺さん。ユグドレミアがサーヴァントを召喚した、というのならば自分たちもマスターとして参戦すればいいんじゃないのか?」

「同意見だ」

 

大聖杯が起動した、というのならば他の魔術師たちもマスターの資格があるはずだ。

こちら側もマスターを派遣しサーヴァントを召喚し対抗できる。

 

「遅い、既にあやつらは"七人のマスターを揃えた"。召喚はまだかもしれんが派遣した者共に令呪は宿らん」

「七人のマスターを?それはおかしいなユグドレミアの一族の中では身内殺しが流行りなのか?」

「サーヴァントと戦えってなら俺らはお断りだぜ」

 

まさか、と思いつつも念のために獅子劫はそう宣言した。ついでにシグルドの分も。戦略を練り上げ、戦術を組み立てわ幸運と奇跡をことごとく掴んだとしても、サーヴァントを一騎倒すということは分の悪いギャンブルなのだ。

ーーーシグルドは別として。

 

ましてそれが七騎となれば奇跡に等しい。それこそーーー聖杯にあいつらを殺してくれと願わなければ。

ベルフェバンはにんまりと、厭らしい笑みを二人に向けた。

 

「そうは言わん。ワシの依頼はな、お主たちに"サーヴァントを召喚して戦って欲しいということだ」

「...はあ?」

「どういう意味だ」

 

異な事を言う、とシグルドと獅子劫は思った。

冬木のルールを使うならサーヴァントは最大で七騎、そしてマスターが七人のはずだ。

そんな二人の疑問を解消しようとベルフェバンが説明をいれた。

 

「そこが今回の聖杯戦争の興味深いところでな。召喚可能なサーヴァントの数が倍の十四騎なのじゃよ」

「...何?」

「...そんなことが」

「生き残った一人の魔術師が予備システムの開放に成功したのさ」

「予備システム...」

「大聖杯は臨機応変に物事を補助する。今回のように一勢力に七騎全てが召喚されてしまった時の対抗策というわけだ」

「...七騎のサーヴァントと対抗するに、もう七騎のサーヴァントが召喚されるということか」

 

ーーー計十四騎流石トゥリファスといったところだな...魔力が桁違いだ。

 

もし、この聖杯大戦が行われるのが他の場所であったならその土地の霊脈が涸れ果ててしまう可能性もあったのだ。

そんなスケールの戦争に参加するとなると獅子劫には抵抗があった。

 

「こちらが勝った場合、大聖杯はどうなる?」

「無論、こちらで回収する。...万能の願望機を前にして生き残った魔術師が冷静でいられるかは分からんがね」

 

獅子劫は考え、思う。

 

もし、もしも全てが上手くいったなら俺の願いも叶うのか。

おそらくベルフェバンも対策を練ってくるだろう、だがそれを出し抜くことができたらーーー

 

「依頼を受けるか」

 

ーーーだが獅子劫は即答を避けた。さすがに二つ返事で受けられるような仕事ではないのだ。これが普通というものだろう。

しかし、"元"英雄のシグルドは違った。

 

「召喚に使う聖遺物を用意してあるなら、引き受ける」

「お前...チッ!俺もそうさせてもらう」

 

半ばヤケクソ気味に獅子劫も続いた。

 

「おおそうか!では、これと...これを」

 

その二人にベルフェバンは嬉々として聖遺物を渡した。

どちらも価値としては引けをとらないものだ。

 

「これは?」

「それはブリテンの円卓だ。かつての騎士たちが語り合ったな」

「ブリテンの円卓...まさかアーサー王の!?」

 

獅子劫は驚きで傾いてしまったサングラスをかけ直す。

円卓の騎士...言わずもしれた、アーサー王の配下である騎士たちである。主君と配下の区別をつけないため、アーサー王が考案したといわれている平等の円卓。

その円卓に座る騎士は、いづれも伝説に謳われた英雄だ。

 

「これは...鎧の破片か?」

「そう、それはおそらくカルナが召喚されるはず...だ」

「自信なさげだな」

「いや、確かにそうなんじゃが...なんとなく、わしの予感では他の英霊が召喚される気がするが...気のせいかの」

「...まあいい」

 

どこか投げやりな感じがするが適当なものは寄越さないだろう。何せこちらだって勝ちたいのだ。

おそらく本当にそんな気がしてるのだろう。

 

円卓にカルナの鎧の破片、十分すぎるほどに強力なサーヴァントを召喚できるであろう聖遺物を手に入れたシグルドと獅子劫は勝ち筋を見いだしていた。

 

「依頼を引き受けるか?」

「ああ、受けよう」

 

シグルドは言葉で、獅子劫は「決まりだな」と頷き、煙草に火をつける。

ベルフェバンは煙たそうにしながらも話を続ける。

 

「ならば、これでマスターは揃った。ユグドレミア一族のマスターは七人、魔術協会が派遣するマスターも七人。つまり十四騎のサーヴァントがこの世に現界するということになる。恐らく、前代未聞の規模であろうな」

「これは最早『大戦』だな」

「ーーー『聖杯大戦』か」

 

七騎対七騎。これまでは七騎が互いに相争って勝ち残る戦いだったが、今回はまさに英霊たちの全面戦争になる。

戦後のトゥリファスはどうなってしまうかはわからない。

 

「前払いでギャラを半分くれ。頷いくれれば、契約といこう」

「俺は現金と頑丈なアタッシュケースだ。指名したところに用意しといてくれ、俺は先に行く」

 

 

 




次回にブリュンヒルデ召喚となります。

ところでFGOの五章、クリアしましたか?そして何より、ガチャは引きましたか?
メイヴと李書文が欲しくて引きましたがやっぱりダメでした!でもなんだろう、慣れてしまった。悲しくもなく楽しくもなく、なんだか不思議な気持ちでした。
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