Fate/Volsunga saga   作:じーくとるふぉ

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今回は少し短いかもしれません


多分、味方「上」

特に行きたくもない話し合いのため、大事な時間を階段を登ることに費やす。あまりにも長いこの教会の階段はジギショアラの名所である。だがそんなシグルドの憂鬱な気分はブリュンヒルデからかかる声によってさっぱりとなくなった。

 

『シグルド、欲しいものがあるのですが...』

『ん?珍しいな、何が欲しいんだ』

 

いままでになかったことに、そしてブリュンヒルデから欲しいものを聞くのは初めてだったのでシグルドはかなり気になっていた。

 

『服です』

『服?』

『はい、この霊体化した状態ではシグルドと並んで歩けません...だから、普通の服が欲しいのです』

『勿論だ』

 

こんな可愛らしい頼み事、断れる男がいるだろうか?少なくともシグルドは断れない。何故ならブリュンヒルデがブリュンヒルデであるから。とりあえず、一つの会話が終わったのだがシグルドはある大事な質問を思い出す。

 

『そうだブリュンヒルデ、お前...なんか話と違って大人しいんじゃないか?』

『?』

『昔聖杯から手に入った情報だと...お前の宝具って俺みたいなやつを自動的に狙ったりーーーみたいな感じだったと思ったが』

 

 

 

『いえ、今回は違って...私、キャスターとしても召喚されているのでランサーとしての宝具と能力がランクダウンしていて...』

 

どこか嬉しそうに、実際シグルドにとっても朗報ではあるのだがランクダウンの理由がなんにせよ一つの問題ができた。

 

ーーーじゃあ前に出られている時間は限られているって訳か...参ったな

 

『ん、そうだ...ランクダウンの理由は』

『はい、どうやら私たち"赤"の陣営のキャスターが魔術も使えない無能だったらしく...私がその役を押し付けられたわけなんですが...よかったです』

 

"二重召喚"それは二つ以上のクラス適性があるサーヴァントが現界する際に稀にその二つのクラスとして召喚される時所持しているスキルである。

 

とてもウットリと、恍惚した顔でサラッと毒を吐いたブリュンヒルデにシグルドは何も言えない。そんな顔で言われたら文句の一つも言えない、とシグルドもブリュンヒルデと同じくメロメロだったのだ。...全く、呆れたカップルである。

 

あんなに長かった階段も終わりを告げ扉の前には一人の神父が立っていた。

 

「ーーーようこそ」

 

 

 

シグルドと獅子劫は会議室ともいえる広場に招かれた。そこに置いてあった椅子に二人は座る。

 

『ブリュンヒルデ、サーヴァントの気配は』

『いえ...確認できません、ごめんなさい』

『謝ることはないさ』

 

ーーーアサシンのサーヴァントがきっといる。

シグルドは直感的にそう思っている。そう言えばと神父の顔を見るとその顔は二十歳も超えていないのではと思わせるほどに若かった。

 

「初めまして。シロウ・コトミネです。今回、聖杯大戦の監督役を務めさせていただきます」

「シグルドだ」

「獅子劫界離。自己紹介は省略、どうせ調べてるんだろ?」

「はい、その通りです」

 

シグルドに合わせ挨拶した獅子劫だが流石に愛想がなさすぎたな、と感じる。まあシグルドほどではないのだが。だが笑えば愛想があるというわけではない。実際今挨拶をしていたシロウ神父の笑いかたは胡散臭すぎる。

二十歳を超えていない少年が浮かべていいものではないとシグルドは内心苦笑いしていた。

 

「サーヴァントは実体化させないんですか?」

「いや別にーーー」

 

獅子劫は「いや別にいい」と言いかけたがそれを取り消しモードレッドを実体化させる。

 

「シグルドさんは?」

「いい」

「そ、そうですか」

 

流石にシロウ神父も少しどもってしまう。だがシグルドが気にした様子は全くない。何故ならーーー

 

 

『ブリュンヒルデ、どんな服が欲しいんだ?』

『そうですね...』

 

 

ーーーこの男は真顔でブリュンヒルデとこんな話をしているのだから。シグルド自体、愛想がないわけでも社会に合わせる気がないわけでもない。"優先すべきこと"に集中しているだけなのだ。

 

しかし、そんなシグルドの様子を快く思わない人物がいた。

 

「おやアサシン、実体化したのですか」

「うむ...シグルドとやら、何か他のことに夢中のようだが?」

 

獅子劫はその姿を見て思う。女は怖い、とその隣にいるモードレッドも「嫌な女だ」と声に出し敵意を露わにしている。

 

「...離れてくれ、頼む」

 

シグルドが初めて気を引き締め始める。それを"赤"のアサシンは好機とみなしたのか更にスキンシップを取ろうとする。

 

例えばーーー

 

 

「...マズったか!」

 

 

ーーー体を触ろうとしたり。

 

シグルドが叫び力を開放する。あまりにも突然の開放に体に負荷がかかるがそんなことを気にしてる場合ではない、シグルドは即刻熱に耐えるように体を"作った"その刹那、シグルドと"赤"のアサシンがいた場所に燃え盛る青い炎が。"赤"のアサシンはその場を既に離れていてその中心にいたのはブリュンヒルデとシグルド。

 

「...それ以上、シグルドに近づかないでください...さもなくばーーー」

 

今のブリュンヒルデは炎の中でも冷気すら漂わせるような目とオーラを持ち合わせていた。

 

「ーーー殺します」

 

既に、"赤"の内部分裂は始まりかけていた。




名状しがたいシロウ神父との会議のようなものは諸事情により二話に分けさせていただきました。次の話かその次に初めての戦闘をいれようと思っていますので少々お待ちを。
あと補足なんですがブリュンヒルデの何故"赤"のアサシンにむけての攻撃が小さくないのかというとブリュンヒルデロマンシアのランクが下がっているから好きと嫌いの差が小さくなった。という理屈なんですが...無理"槍"でごめんなさい

それでは次回でお会いしましょう

4/30 20:45 二重召喚についての加筆修正を行いました
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