Fate/Volsunga saga   作:じーくとるふぉ

4 / 7
多分、味方『下』

 

ブリュンヒルデと"赤"のアサシンは熱く見つめ合っていた。まあそれは勿論一触即発な空気も漂わせているわけで。

 

「どうしたのじゃ?妾は味方だ、そんな怖い顔をしなくてもよかろう」

「...黙りなさい」

 

言葉通りのブリュンヒルデに言葉とは反対の表情をしている"赤"のアサシン、もう帰っていいかと獅子劫は聞きたかったが立てば殺されてしまいそうな空気でそんなことを言えるほど獅子劫はサーヴァントを見くびっていなかった。

 

「ランサー、落ち着け」

「...で、できません」

 

シグルドの仲裁の言葉をブリュンヒルデは"必死"に拒否した。彼女にとってシグルドの言葉、一言一言は全て令呪に等しい力を持っている。それを拒否するということは"赤"のアサシンにそれほどの不快感を感じているということだ。

 

「ほれ、シグルドとやらもこう言っておるぞ?」

 

"赤"のアサシンがクスリと笑った時だ。

 

「...っ!!やはりーーー」

「おい、うるせえぞ」

「...なんじゃと?」

 

ブリュンヒルデが決断の言葉を口にしようとしたとほぼ同時にモードレッドが憎悪を露わにした声で暴言を投げる。

獅子劫がモードレッドを見た。モードレッドはそれに気付き一瞬目をやったもののすぐに"赤"のアサシンに目線を戻す。

ブリュンヒルデはモードレッドを不思議そうに見ていた。

 

「勘違いすんなよランサー。俺がムカついたから言っただけだからな」

「...」

 

モードレッドが補足するようにブリュンヒルデに言い放つ。先ほどのそれは優しさか、それとも本当に自分の為だったのか。少なくともシグルドと獅子劫には自分の為というよりブリュンヒルデの為に言ったように聞こえていた。

 

その様子を見てシグルドは微笑みを浮かべる。

 

「話し合いにならなそうだな。帰るぞランサー」

「...はい」

「じゃあ俺たちもこれで」

「あばよ」

 

四人は揃って部屋を出ようとしている。シロウと"赤"のアサシンは唖然としていた。こんなことになるなど予想していなかったのだ。

 

「我らは仲間だぞ!戦いに勝つ為には作戦を練る必要がーーー」

「なら鳩を伝って教えてくれ、あと監視は不信感を招くだけだ。覚えておいてくれ」

「ーーーくっ...!つくづく気に食わん奴め...」

 

シグルドはこの街に来てすぐに監視されていることを知った。索敵の為に度々力を開放するのだがその時シグルドには鳥の声が聞こえるようになる。力を開放している間はサーヴァントとしての能力を取り戻すことができるのだが、シグルドのスキルには"動物会話D"というものがありその力によって監視されていることを知ったのだ。

 

その時から既にシグルドは"赤"のアサシンのことを味方だとは思っていなかった。

 

「会議を投げるのは悪いと思っている。何かやってほしいことがあったら出来る範囲で受けよう」

「...わかりました。それでは後ほど」

「了解」

 

シグルドを最後にその一行は教会を後にしそれぞれの拠点に戻った。

 

 

獅子劫は一人で作業をしていた。武器の手入れやヒュドラの幼体の加工などだ。

 

「本当、冬じゃなくてよかったよなあ...」

 

もし今が雪の降る冬だったのならあの三人は暖かい室内で団欒し獅子劫だけは寒さに震えていただろう。一人は慣れていたがーーー

 

「ーーーマスターを放ったらかすサーヴァントなんているか?」

 

獅子劫が愚痴を零した時だ。

 

「いるわけねえだろうよ」

 

声の方に目を向けるとそこには自分のサーヴァントが立っていた。

 

「お前...まさか俺を心配してーーー」

「ちげえよ」

「だよなあ」

 

一瞬でも少し感動してしまった自分が馬鹿だった、そう獅子劫は思い落胆する。が、獅子劫はモードレッドも浮かない顔をしていることに気付く。

 

「...どうかしたのか?」

 

あまりにも重い空気を漂わせる顔つきに獅子劫はつい聞いてしまった。

 

モードレッドは答えた。

 

「...アイツらが...な、なにしてんだよ」

 

獅子劫は首を傾げた。"質問"の意味がわからないのだ。

 

「何って別に何も」

 

一回で理解できない獅子劫にモードレッドは怒鳴り声に近いほど大きな声を真っ赤な顔で発した。

 

 

「だーかーらー!ナニしてんだよ!男女のアレだよ!隣の部屋でヤるもんだから寝れねえんだよ!言わせんな恥ずかしい!」

 

 

空気が凍った。片方は理解すると同情しもう片方は頭から煙が出るほどの羞恥心で声が出ない。

 

初めて気が合った二人だったが、お互いの気分は最悪だった。

二つのため息が重なった。

 

 

 

 

気がつくともう陽は完全に上っていて鳥も鳴いていた。隣にはブリュンヒルデが寝ている。殺し合いの戦争中に何を、と言う者もいるだろうが何しろもう約千五百年も待ったのだ。これくらいは許してほしいというのがシグルドの思いだった。

 

ふと窓の方を見ると一羽の鳩がとまっていた。

 

『お盛んですね』

「覗き見か...趣味が悪いな。なんか用か?」

『お願い、聞いてくれるんでしたね?』

「ああ」

 

『近々この街にルーラーがやってきます。それを殺してください』

「わかった」

 

鳩が飛んで行く。シグルドは思わず笑ってしまう。

 

「...シグルド?どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」

 

ーーーやはりあの神父普通じゃない。

 

「まあ聖杯戦争に参加する奴に普通なやつなんていないか」そう自分の考えに補足をいれ、身支度をする。

 

「ブリュンヒルデ、出かけるぞ」




皆さん、FGOのzeroイベ楽しんでますか!?私は詫び石+備蓄分でイスカンダルを引こうと試みましたが勿論引けず(この時、僕はブリュンヒルデを待とうと決意した)でした。

配布鯖(ネタバレ防止)の方は再臨終わりましたがまだ引けたエミシンさんは終わってません。早く再臨させたいですねえ。

ではまた次回で
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。