言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
馬に乗ったことのない私は普段見る景色とは違う景色に目を輝かせた。こんなに早く走れるなんて、馬ってすごいんだと思う。しばらくすると、目的の一つである矢な木が見えてきた。
「すごい!本当に矢がなってるんだ・・・」
「ここは仲間がよく矢を調達しに来るからそのときに教えてもらったんです」
滝丸さんに馬から下ろしてもらうと、私は馬の体を撫でてやった。
「ありがとう、二人も乗せて疲れたでしょ?」
《お前は軽いからなんともない》
私あれから結構食べるようになったんだけどな(白夜に軽すぎるからちゃんと食べろと言われた)。
「その子はなんて?」
「えっと・・・軽いからなんともないって」
やっぱり人と話すのは苦手だ・・・どう話せばいいのか分からなくなる。
「そっか。あ、そろそろ行かなきゃ仲間が心配する・・・僕はもう行くよ。帰りは大丈夫?」
「う、うん。あの広い道を通っていけば帰れるって書いてあったから・・・」
どうやら私は森の中を歩きすぎて人が通る道とは違う道を通ってきてしまったのだ。でも、帰りはちゃんと人が通る道を歩いて行くから大丈夫。
「そうだね。それじゃあ行くね・・・バイバイ、焔ちゃん」
「さよなら・・・滝丸さん」
滝丸さんは馬に乗って去っていくのを見送り、私は矢な木から少し矢を調達しておいた。これでしばらくは大丈夫だ。
「さて、滝丸さんには言ってなかったけど・・・これから行くのは絶命の洞窟・・・覚悟決めていかないと」
私はパンパンと頬を叩いて気合いを入れる。そして、洞窟のある方向に歩き出した。今回はちゃんと案内板があるから大丈夫だろう・・・。
しばらく歩いて私はとても暗い洞窟の入り口にたどり着いた。
「ここが絶命の洞窟・・・」
命のユリは奥の方にあるんだよね?私はゴクリと唾を飲み込んで洞窟に入っていった。
中は暗くて入り組んでいるので私はリュックから持ってきたランプに火をつけて歩く。所々に行き止まりがある中、私は慎重に足を運んだ。時々猛獣が出てくるが、弓の音を聴かせて落ち着かせて敵意がないことを教えることでやり過ごす。
「あの猛獣と話だと、命のユリは奥の方に咲いているんだよね・・・」
そう呟きながら歩いていると、途中で猛獣ではない気配を感じて立ち止まった。この気配は動物ではなく人の気配だ。それも少し弱ってきている・・・。私は急いでそちらに向かう。消えそうな命があるなら助けないと!ふとよぎったのは名も知らぬ病に倒れた私の両親。外の薬草があれば助かったかもしれないのに出ることを拒んだことで失った。もう誰かを死なせたくはない・・・後からやって後悔するのはもう嫌なんだ!その想いだけが私を動かしていた。
主人公のちょっとした過去が入りました。簡単に言いますと、森の外に出ることを拒んでまた今度にしようと思った矢先に両親が亡くなったという形になります。次回、いよいよあの人が出てきます!そして、主人公が奮闘する話になります。どうぞお楽しみに!