言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
それでは、どうぞ!
私は走っていた。道を間違えないように慎重に、同時に早く行かなくてはと体が急かす。そして、ようやくあの人のところにたどり着いた。さっきと同じ格好だが、顔色がさっきより酷い・・・私は男の人に駆け寄って命のユリの花を少し絞る。花弁から出てきた蜜が男の人の口に入った瞬間、男の人の体が眩い光に包まれた。そして傷がみるみるうちに塞がっていく・・・これが命のユリの効力なの?そんな疑問が浮かんだが、それ以前に嬉しかった。目の前の消えそうな命を、救うことができたのだから・・・!
「良かった・・・!助けれた・・・」
あれ?なんだかすごく眠い気がする・・・溜まってた疲れがどっと押し寄せてきた感覚に耐えられず、私は意識を失った。
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私は朦朧とする意識の中で確かに声を聞いた。その声は幼く儚い声のようだったが、それでいて凛とした声でもある。
-待ってて、絶対に助けるから!-
助ける?私を?私は助けられることなどした覚えはない。今も裏切り者を始末した後に隠れていたその仲間に不意をつかれてこのザマなのだ。もちろんその仲間を一瞬で屠ったが、傷が酷く人の来ない洞窟で休んでいた。
この傷を治すには何か食べなければならないが体に力が入らない・・・これで終わりかと思った私の口の中に甘い何かが流れ込んできた。それが喉に入った瞬間、私の中の細胞が一気に活性化したのだ。傷ついた細胞の一つ一つが活性化して私の傷は完全に塞がった。
そして意識がはっきりしようとした時に聞こえた声・・・先ほどと同じ声だ。
「良かった・・・!助けれた・・・」
私は私を助けようと思った変わり者を一目見ようと目を開けた瞬間に飛び込んだな来たのは、今にも倒れそうな少女だった。とっさにその少女を抱きとめるとその少女は目覚めることなく眠りにつく。脈を見てみると、正常に動いている・・・どうやら疲れて眠ってしまったようだ。それにしても・・・
「さっきのアレは・・・ん?」
私は少女を見てその手の中に収まっているものに気付いた。白い花びら・・・
「これは・・・命のユリか?なるほど、これの蜜だったわけだ」
命のユリの蜜は一滴で体の細胞が活性化するという・・・たまたま私の細胞に適応してさらに活性化したのだろう。
「このまま回収したいところだが・・・やめておくか」
私は未だに眠る少女を見て命のユリを諦めた。この花は私ではなくこの娘を選んだ。それを私が取ってもなんの意味も成さないだろう。傷口のあったところを見ると、何かを染み込ませたタオルが置かれている・・・。
「傷に効く薬草を染み込ませたのか・・・」
ユリを手に入れるまでの時間稼ぎのつもりだろう。私はそれを取って周りを見た。ランプに照らされて見えたのは置かれたリュックと弓矢・・・これは少女の持ち物だろう。
「弓矢を使うのか・・・面白い」
私は持っていたタオルをそのリュックに入れ、弓矢を回収すると少女を抱き上げた。
「この矢は“矢な木”の・・・あそこなら猛獣は少ないな」
私は少女を横抱きにしたまま“矢な木”の森に向かう。猛獣どもは私の牽制が効いたのか、それとも別の理由か襲ってくることはなかった。この娘に何かあるのか・・・?
はい!タイトルには謎の人とかきましたが、誰かわかりましたか?次回はオリジナル編の最終話です!白夜と謎の人の遭遇・・・次回をお楽しみに!