言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
男にしては髪が長いな←人のこと言えない
男が私を見た瞬間・・・いや、私ではなく腕の中で眠る少女を見て顔色を変えた。
「焔!」
男がそう叫んで駆け寄ってくる。この娘は焔というのか・・・?それより安心させた方がいいか。
「大丈夫、疲れて眠っているだけだ」
そう言って娘・・・焔を男に手渡した。男はそれを受け取って一安心したような顔をする。そして、私の方を向いた。少し警戒している様子だ。
「そうか・・・アンタは?」
「その娘・・・焔に命を救われた人間だ」
それを聞いて少し警戒を解いた。納得いった顔をしたと同時に呆れ顔をする。
「そうか。悪かったな疑って。・・・ったく、心配かけやがって」
そう文句を言いながらも、その男は焔を愛おしそうに見ているのを私は見逃さなかった。
「私はこれで失礼する・・・これはその子の持ち物だ」
私は男に持っていた荷物を渡した。命のユリは中にあった小瓶に蜜を絞り入れておいたから大丈夫だろう。
「悪いね、持ってもらって・・・」
「いや、救われたのは私の方だ。その娘に感謝していると伝えてくれるか?」
私がそう言うと、男は苦笑いを浮かべた。何か変なことを言ったか?
「その言葉、本人に行ったら面白かったんだがね・・・もし会うことがあったら言ってやってくれ。面白い反応見れると思うし」
男はそう言って焔を背負い、荷物を持ってその場を去って行った。私は無言に立ち尽くし、しばらくしてからその場から去る際にポツリとつぶやく。
「焔・・・か。また会えるかわからないが、覚えておこう」
呟いた言葉はザワザワと風に揺れる矢な木の音に掻き消されていった・・・
焔side
私は体が揺れる感覚に目を覚ました。目を開けるとそこは洞窟の中ではなく森の中。そして、私は見覚えのある背中に背負われていた。その背中はこちらに来て毎日のように見るようになった男の背中・・・
「白・・夜・・・?」
「ん?・・・ようやく目が覚めたか」
いつもよりトーンが低い白夜の声にビクリと体が強張る。そうだ、私は絶命の洞窟に一人で行って・・・あの人に命のユリの蜜を飲ませた。あの人の傷が治ったことで溜まった疲れが押し寄せてきてそのまま眠ってしまったんだ。でもなんで白夜に背負われてるの?
「お前が家に帰ってもいないし、置き手紙見てまさかと思って矢な木の森に行ったらお前が寝てたんだよ」
私の疑問に察したのか簡単に話してくれた。でも、その声は未だに低く顔は不機嫌顔だ・・・絶対に怒ってる。
「ごめんなさい・・・心配かけて」
「まったくだ、絶命の洞窟なんて危険な場所に一人でなんて・・・これからそういう所行くときは言えよ?俺と行くの嫌ならトリコとか誘うから」
ムスッとしながら言う白夜は何気に私のことを気遣ってる。確かに白夜は奈落の分身で信用できないし警戒はしてるけど・・・
「白夜も一緒じゃなきゃダメ」
思わずそう言ってしまった。白夜の顔が怒りではなくからかうような顔になる。
「あん?なんだよ、急に」
「白夜も一緒じゃなきゃ、私うまく話せないの!だから、一緒じゃなきゃダメ!」
自分で恥ずかしいことを言ったことに気づいた私は白夜の背中に顔を隠した。滝丸の時もうまく話せなかったし、動物とならともかく人と喋るときは白夜と一緒にいたらなんとなく話せたのだ。当の本人は吹き出して笑っている。コイツ・・・(−_−#)
「ククク・・・じゃあ、今度は一緒に行こうな」
白夜は器用に私の頭をポンポンと軽く叩いた。まるっきり子供扱いだ。
「バカ・・・(白夜と一緒にいると落ち着くのはなんでなんだろ?)」
そんな会話をしながら私たちは家に帰って行った。私がこの気持ちの正体を知るのはまだ先の話・・・
おまけ
「ほい、これが虹の実だ。ついでに言うと、トリコのフルコースメニューのデザートになったぞ」
白夜はテーブルの上に持って帰って冷やしておいた虹の実を出した。それを見て焔は目を輝かせる。
「綺麗・・・!虹が出てる」
「トリコと小松なんか、涎をダラダラ出してたぞ」
白夜の呆れた様子に焔は首を傾げた。
「え、そうなの?もしかして、白夜も食べた?」
その質問に白夜は焔の額にデコピンをして答える。
「バーカ、なんで二つあると思ってんだよ。一緒に食うために決まってんだろ?」
「白夜・・・痛い(泣)」
焔は額を押さえて涙目で睨みつけた。白夜はそれを見て頭を撫でる。
「悪かったよ。ほら、早く食おうぜ」
「うん・・・(嬉しくて涙が出たなんて死んでも言えない)」
その後、虹の実を食べた焔がまた涙を流したのを知るのは本人と白夜だけだった・・・
オリジナル編終わりました!何気に白夜とあの人を接触させてみましたがいかがでしたか?主人公が気持ちに気づいたときどういった反応を見せるのか楽しみですね!次回からはフグ鯨編です!どうぞお楽しみに!