言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
出会いと始まり
ここはバロン諸島・・・
約5万種の生物が生息している場所。その中にある森が一瞬眩く光り、その場に二人の人間が落とされた。一人は紅白の巫女服に身を包み、黒い髪を流した少女、もう一人は綺麗な着物を着た男だ。男はすぐに起き上がり、周りを見回した。そして短く溜息を吐く・・
「はぁ・・・簡単な仕事だと鷹を括ってたが、面倒なことになったな・・・」
男・・・白夜はチラリと横で倒れている少女・焔に目をやった。緊張がほぐれたのか、寝息をたてて寝ている。
「とりあえず場所を変えるとするか。情報も集めねぇと・・・」
白夜はその場を去ろうとして一度止まり、焔の方を見た。しばらく考えた後、肩を竦めて焔に近づくと抱き上げる。
「軽いな・・・これならおぶっても平気か」
焔を背中におぶった白夜は薄暗い森の中を駆けて行った。
白夜side
俺は走りながらおぶっている小娘を盗み見た。あの時は標的に気を取られていたから気づかなかったが、よくよく見れば綺麗な顔立ちしている・・・。寝顔に少し幼さが残っているところを見ると、さっきまでの凛々しさが嘘のようだ。
「一生を森で過ごす巫女か・・・」
外の世界を見たことのないコイツにとって、この世界はどんな風に映るんだろうな・・・
そんなことを考えていると、広い場所に出た。そばには湖があり、そのそばで火を焚いている人間が二人・・・一人は小柄でもう一人はかなりの大柄の男だ。小柄のやつは弱そうだなと失礼なことを考えていると、小柄な男が声を出した。
「えぇ!?人!!?」
おいおい、そこまで驚かなくてもいいじゃねぇか・・・てか
「人じゃないと思ったなら何が来ると考えたのか是非とも教えてほしいな」
皮肉たっぷりの言葉を使うと「すみません」とあっさり謝ってくる。気が弱いのかと思っていると、さっきから俺たちのことを見ていた大柄な男がこんなことを聞いてきた。
「お前らどこから来たんだ?今時着物なんて珍しいぞ」
あー、この世界はあの“かごめ”って女の住んでる現世の服装が当たり前なのか。これはどう誤魔化せばいいか・・・よし、一か八かでやるか。
「それが俺も状況を上手く掴めてねえんだ。変な光に包まれたと思ったらここにいた。こいつも起きる様子ねえし・・・」
嘘は言ってない。あの妖怪の力で飛ばされたことはわかっているが、そのことを話せば面倒なことになるのだ。男は「そうなのか」と呟くと、ニカッと笑った。
「とりあえずこっちきて座れよ。俺はトリコ、こいつが小松だ」
コイツは人懐っこいのか、単純なのか分からないが・・・まぁ、関わりを持つことは出来たからよしとするか。俺はトリコと小松に近寄って焔を下ろして座った。
「俺は白夜だ。んで、寝てるのが焔」
とりあえず自己紹介して二人のことを教えてもらうことにした。話によれば小松は料理人って職業で、あるパーティ(いわゆる宴)に出す食材を捕獲するために美食屋であるトリコを雇ったらしい。
「で、その捕獲する食材がこの島にいるってわけか」
「あぁ」
そういえば、この島にはたくさんの生物がいるって聞いたがここに来る時には生き物なんていなかったな・・・
そんなことを考えていると、湖の中で何かが動く気配を感じた。
「どうしたんですか?白夜さん」
「あぁ・・・湖の中に何かいるなと思ってな」
そう言うと、小松が「えぇ!?」と驚く。ビクビクしすぎだろ・・・俺はそんなことを考えながらジッと湖の方を見た。すると、水面が浮上する・・・そこから出てきたのはでかい蛇のような生き物。
「ギャアア!!?」
小松が悲鳴をあげている中、トリコは警戒した様子で動かない。そいつは俺たちを襲うことはせずにそのまま倒れた。こいつから生気を感じないことから死んでいることに気づく。
「なんだこの傷は・・・一噛みでやられてやがる」
トリコの声にそちらを見ると、かなり大きめの噛み傷があった。ついでにこいつは沼蛇というらしい。そこの近くに赤い生き物が・・・こいつは蛭か?
「トリコ、こいつ蛭に血を吸われてるぞ」
「!そうか!バロンヒルに血を吸わせて血の匂いをたどったんだ!」
んなことできるってどんだけ知性があるんだよそいつは・・・そんなことを考えていると沼蛇が湖に引きずり込まれ、その代わりに現れたのは・・・トリコ達の捕獲対象、ガララワニだった。
ガララワニ編は短くなりそうです。これから頑張って書いていこうと思うのでよろしくお願いします。