言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
海に潜った私は先ほどと同じく絶句した。洞窟の砂浜も綺麗だけど、海の中もすごく綺麗だったからだ。遠くまで澄み切った水の中で、私はトリコ達がフグ鯨を捕獲する姿を見る。トリコは始め気配丸出しで追いかけ回して毒化してしまった。なんだか可哀想なんだけど・・・すると、ココさんが前に出て気配を消す。いや、あれは意識を海中に溶け込ませたと言ったほうがいいのか。ココさんがそっと近づいてノッキングガンでフグ鯨をノッキングした。ああいう風に捕獲するんだ・・・初めて見て私はマジマジと様子を見る。そして、次はトリコの気配が消えた。そちらを見るとトリコはおらずいつの間にかココさんのすぐそばまで来ている。
(見ただけでコツを覚えるなんて・・・トリコって才能あるんだ)
そんなことを考えていると、トリコが指の形を変えてフグ鯨をノッキングした。体を使ってのノッキング・・・凄い。私はフグ鯨を捕獲していくトリコとココさんの姿から目が離せなかった。トリコ達は本当に凄い。それに比べて私は・・・
-そんな顔しないで-
ふと聞こえた“声”に私は振り向いて驚いたそこには、複数のフグ鯨達がいたのだ。
-そんな悲しい顔しないで、遊ぼ?-
フグ鯨達は私に警戒しないで周りを泳ぎまわった。それを見ていると、私も泳ぎたくなる。私はフグ鯨と一緒に海の中を泳ぎ始めた。
なんだろう・・・とても楽しい。
ココside
僕は目の前の光景に驚愕した。隣にいるトリコも同じく驚いている。目の前では、水着を着ている焔ちゃんがフグ鯨と一緒に泳いでいるのだ。フグ鯨は焔ちゃんに警戒せずに一緒に泳いでいる。そして何より・・・
「綺麗だね・・・」
「あぁ・・・」
水中で舞う髪や、フグ鯨に触れる手など・・・見ていて飽きない舞を目の前で舞っている焔ちゃんは、実に楽しそうに泳いでいた。
「・・・そろそろ戻ろう」
「そうだな。小松達も待ってるだろうし」
僕たちは一足先に地上に戻った。彼女のことは大丈夫だろう・・・
水から上がると白夜は壁に背を預けて眠っている。
「小松!白夜!取れたぞ!」
トリコがフグ鯨の入ったそれを掲げた。小松くんは目を輝かせ、白夜は「ん?」とつぶやいて目を開ける。
「わー!凄い!」
「10匹もよく取れたな・・・焔は?」
焔ちゃんの姿がないことに気づいて訝しげな顔をする白夜。白夜は心配性なのか?
「フグ鯨と泳いでるよ。彼女、フグ鯨に警戒されずに懐かれてた」
「ええぇ!!?フグ鯨って警戒心が強いんじゃ・・・?」
驚く小松くんに比べて白夜は「なるほど」とつぶやいた。
「アイツ動物に懐かれやすいからな・・・そのうち戻ってくるだろ。今のうちに捌いてしまったらどうだ?」
白夜は背伸びをして立ち上がる。なぜ冷静でいられるんだ?心配じゃないのか・・・?
「でも、一人で大丈夫でしょうか?」
「平気だよ。ここの生物は焔に危害を加えることはない・・・」
僕は尚更わからなくなった。そこまで信頼できる根拠はどこにあるんだろう?僕はそう思いながらもフグ鯨を捌くことにした。だが、くたびれたせいか手元が狂ってしまう。仕方ない、ここは・・・
「小松君、僕の代わりに捌いてくれないか?」
僕は小松君に捌いてもらうことにした。彼ならできる・・・そんな気がするのだ。
次回、白夜が試したいことが明らかに!