言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
私はしばらくフグ鯨達と泳いでいると、あることを思い出した。フグ鯨達はこの浅瀬に卵を産みに来たのだ。それに・・・
(そろそろ戻らなきゃ。連れが心配しちゃう)
-そうだね。遊んでくれてありがとう!巫女様-
フグ鯨達は私の頬に擦り寄ってから本来の目的である産卵をして去って行った。
(バイバイ・・・ありがとう、フグ鯨)
私はそれを見届けてから水面の方に泳いで行った。
-バシャッ-
「プハッ・・・ただいm『やったぁ!!!』ひゃっ!!?」
いきなりの声に私はビクッとなってしまう。声がした方を見ると、紫色のそれを掲げる小松と両手を上にあげているトリコとココさんがいた。白夜はこちらに気づいたのか苦笑いを浮かべながら私に近づいてくる。
「おいこら3人とも、焔ビビってるだろ」
私にバスタオルをかぶせる白夜は呆れた様子で3人を見ていた。
「あ!焔さん!見てください、毒袋を取り出せました!!」
「え、あ・・・うん。おめでとう、小松」
ビクビクと白夜の後ろに隠れる私は小松の手の中にあるそれをじっと見ていた。白夜はため息を吐いて私の頭をポンポンと叩く。
「とりあえずそれおいて刺身の準備でもしてろ。焔はあっちで着替えてこい」
「はい!」 「うん」
私は脱いでいた着替えと鞄を持って着替えに行く。途中で毒かしたフグ鯨を見て少し胸を痛めたのはいうまでもない。あれはもう食べることはできずに捨てられるのだろう・・・可哀想に。でも、白夜の言ってた試したいことってなんだろう?
そんなことを考えながらさっさと着替えて私はトリコ達のところに戻った。
「よし、焔も来たことだし・・・試してみるか」
白夜がそう言って笑みを浮かべるのを見てトリコ達はもちろん私も首を傾げた。
「試したいことってなんだ?」
「まぁ見とけって。焔、針に浄化の力を込めてこいつを刺してみろ」
白夜が指さしたのは毒化したフグ鯨だった。もしかして、白夜が試したかったことって・・・
「毒を浄化できるか試したかったの?」
「あぁ」
笑みを浮かべながらも白夜の目は真剣そうだ・・・もしこれが成功すれば、このフグ鯨達も捨てずに済むかもしれない。私は頷いて一本の針に力を込めた。
(お願い、成功して・・・!)
力を込めた針を毒化したフグ鯨に刺す。するとどうだろう・・・毒々しい色をしていたフグ鯨が白に戻り、そして金色に輝きだした。
「「「え〜〜!?」」」
「成功だな」
トリコ達が驚き、白夜は私の頭を優しく撫でる。毒化したフグ鯨を、元の状態から毒袋を抜いた状態へと戻せたのだ。
「小松、こいつも捌いてやってくれ。残りはIGOの研究にでも使ってくれればいい。1匹はもらうけど・・・」
「は、はい!」
1匹はもらうって何する気なんだろう・・・?私は針を片付けながら笑みを浮かべる白夜をまじまじと見ていた。そんなことをしているうちに、小松がフグ鯨を捌き終える。
「よーしそんじゃあ食うか!」
トリコの声に少しビクッとなったが、内心では少し嬉しかった。私にしかできないことが見つかったのだ。
「この世の全ての食材に感謝を込めて」
「「「「「いただきます」」」」」
手を合わせてそう言う。この時、一瞬だけど声が聞こえた。
-ありがとう-
この声は、フグ鯨の声だ。おそらく、毒を浄化したフグ鯨の・・・
「じゃあ早速刺し身を!」
「あぁ!取りすぎですよ!」
目の前でたくさんの刺し身を取って頬張るトリコを見て、少し小松に同情した。結構きれいな形だったのに・・・そう思いながら私は刺し身を口に運んだ。
ト(甘い、何て油の甘味だ。最高級のミンク鯨の霜降り肉と、黒マグロの大トロが合わさったみたいだ。 うめえ、噛んでも噛んでも味がで続ける噛みすぎて顎がいてぇ、でも止められねえ)
なんだかトリコの内心がわかる気がする・・・私もそんな感じだから。そう思いながらみんなで飲み込んだ。
(ゴク)
「!??うぉお、疲れが一気に吹っ飛んだ!滋養強壮の効果があるとは聞いていたが、これ程とは」
トリコ達の体から疲れが消えたみたいだ。白夜の方を見ると、すごく驚いていた。
「マジかよ・・・(寝てても取れなかった疲れが消えた。すげぇな)」
白夜のことを観察していると、小松が
「トリコさーん!ヒレ酒出来ましたよ!」
「オォ」
ヒレ酒を煽るトリコ。私も初めて飲むので恐る恐る飲んでみた。すると、頭がボーッとしてきてクラクラする・・・
「ふにゃあ〜///」
「焔!!?」
白夜の声が聞こえる中、私の意識は闇に落ちた。
次回、ココが白夜の正体に急接近!?白夜はどうするのか?そして、3人に迫る影とは一体・・・?お楽しみに!