言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
白夜side
俺は顔を赤くなりながら目を回して倒れそうな焔を受け止めた。もしかして焔のやつ・・・酒を飲んだことがないのか?
(俺も飲んだことはないがそこまで酔わなかった)
「焔さん大丈夫ですか!?」
「あぁ、大丈夫だ。とりあえず寝かしとくぞ」
小松が焦る中、俺はため息を吐いて一番涼しそうなところに寝かせた。全く、世話の焼ける巫女様だぜ・・・そう思いながらも俺は焔の頭を優しく撫でる。そしてトリコ達のところに戻った。
「焔、酒飲んだことなかったんだな・・・」
トリコが少し苦笑いを浮かべながら焔を見ていた。
「らしいな。ま、俺も初めてだけど?」
「えぇ!?白夜さんも!?でも酔ってませんよね?」
小松が驚いた様子で俺を見る。ココはさっきから黙ったまんまだが何か考え事か?
「なんで酔わないなんて俺が知るか(どうせ奈落が取り込んだ奴の中に酒に耐性がある奴がいたんだろう)」
「なんで自分のことを知らないんだい?」
俺が呆れていると、ココが口を開いた。言葉にどこか棘がある・・・
「俺は捨てられた身でね、親がどんなやつなのかも知らない(生みの親は奈落だし捨てられてないけど)酒を飲む暇なんかなかったしな」
「本当にそれだけかい?」
ココの目が疑っていることにようやく悟った。ココは俺から感じる電磁波のことを焔の前では言わないようにしていたんだ。焔が眠った今、気を使う必要もないってことか・・・上等だ。
「なんだ?ココの目には俺の電磁波は普通には見えないってか?」
「ッ!あぁ、そうさ。君から見える電磁波は普通ではあり得ない」
ハッとなった後、ココは鋭い目をして俺を見た。まぁ、普通じゃないからな・・・
「まぁ、そう見えても仕方ないか・・・。けど、あまり詮索しないでほしいね。俺の事もコイツ(焔)のことも」
俺はお猪口を置いて立ち上がった。ココの目が疑い深くなる・・・
「どういう意味だい?」
「そのまんまの意味さ。何者かは言えないが、少なくともあんたらと敵対するつもりはない」
そう、こいつらと誰かが争うかなんてどうでもいいことだ。俺はただ・・・
「俺は、ただこいつを守ってやりたいだけだよ。この小さな巫女をね・・・」
もう二度とあんな目には合わせたくない。こいつは・・・焔は俺が守る。この世界に来て、俺は初めて奈落の命令とはまったく関係ない目的を見つけ出した。
「「白夜/さん・・・」」
「・・・僕はどうやら君を誤解していたみたいだ」
呆然とするトリコと小松、ココはしばらく黙った後にフッと笑った。
「何処をどういう風に誤解していたのか是非とも教えてほしいね」
俺は引きつった笑顔を見せている。ココは俺をなんだと思ってるんだ・・・
「そうだね・・・てっきり僕たちを騙して何か良からぬことをするかと思ってたんだけど、僕の勘違いだったみたいだ」
ココはニッコリと笑いながら言う。なるほどな・・・確かに奈落の命令だったらしていたかもしれねえな。けど今は奈落の命令じゃなくて俺の意思で動いている・・・だからそうしたことはしない。てか、したら後が怖い。
「んなことしたら俺が焔にどやされるわ。こう見えてこいつ怒ったら手をつけられねえんだぞ?」
前に面白半分で焔の顔に落書きしてみたら破魔の矢連射してきたし・・・おかげで幻術を連続で犠牲にしちまった。しばらく口聞いてくれなかったな・・・
「なんか僕たちの知らない焔さんを知った気がします」
「「同感」」
小松達の呆然とした表情に苦笑いを浮かべている。こいつらは本当に面白いやつらだな。
「そろそろ帰ろうぜ。焔は俺が背負って・・・!」
背負っていくといいかけて俺はこちらに近づいてくる気配を感じた。なんだ・・・?
(バチャ)
俺が気配の出所を探っていると、水の音がした。そちらの方を見て俺は顔が引きつる。そこにいたのは黒い毛むくじゃらの鳥人間みたいな奴。だが、そいつから感じた気配は俺が知っている気配だったのだ。
「「!!!???」」
ココとトリコがそいつから危険な何かを感じたのかすぐさま臨戦態勢に入った。
ココは致死性の猛毒を使えるようにし、トリコはトリコで威嚇する。トリコの威嚇で小松は吹き飛ばされたので俺はうまくキャッチして後ろに置いた。そいつは俺のことをしばらく見た後に砂浜を歩いていく・・・何もする気はないようだ・・・って、そっちには焔が!!
焔の方を見ると、まだ眠ったままだ。そいつは焔に何もせずに通り過ぎる。安心したその時・・・!
「ん・・・」カシッ←何かを掴む音
「「「「Σ(゚д゚lll)」」」」
あろうことか焔は寝ぼけて近くにいたそいつの毛を掴んだ。まずい・・・!あいつは邪魔しなければ何もしないが妨害されたら何するか・・・!俺は冷や汗を流す・・・頼むから何もしないでくれよ・・・
「・・・・・・」
そいつはしばらく焔のことを見た後に頭を描く仕草をした後にしゃがみこんで焔の手を自分の体から離した。そしてそのまま手を置いて焔の頭をポンポンと叩く。なんかデジャヴなんだか・・・まぁ、何もしなかっただけマシか。そいつは焔から離れて洞窟の奥へと消えていった。
次回、黒い毛むくじゃらが去った後の話です。どうぞお楽しみに!