言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
奴が去ったことでトリコたちの臨戦状態が解ける。俺はすぐさま焔に近寄って無事かどうか確かめた。よし、怪我はないな・・・
(まぁ、焔はアイツの恩人だし・・・。恩を仇で返すようなことはしないだろ)
そんなことを考えながらトリコたちの方を見ると、なんか深刻そうな顔をしていた。
「何だ今の!?」
「見たことがない、あんな不気味な電磁波」
辛気臭い顔をするココに俺はなんとなく茶々をいれた。
「おーい、ココ。俺の電磁波は不気味な電磁波とか言ってなかったっけか?」
「それとこれとは別の話だよ!てか、なんで冷静でいられるんだ!?」
“冷静でいられる”ね〜・・・それは少し違うな。
「別に何もしてこなかったからいいだろ。ま、焔に手を出してたら違ってたかもしれないけどな・・・」
絶対この間のネタ(焔に助けられたという件)バラしてただろうな〜。さて、こんなとこで立ち止まってても意味ないだろうし・・・俺は立ち上がって焔の頬を突いた。
「おい焔、起きねぇと“また”落書きするz「させるか!」おっと、危ねえ」
今の行動について簡単に説明すると・・・
俺がこいつの頬を突いて“落書きするぞ”と言いかけた→焔がガバッと起き、俺にビンタしようとする→それを避けて今に至る。
「白夜さん・・・焔さんに何したんですか?」
シャーッと猫みたいに殺気立っている焔を見て小松が恐る恐る聞いてくる。俺は少し性格の悪い笑顔で答えた。
「無防備に寝てる焔にちょっとした悪戯をしてやったんだよ。んで、寝起きが悪い時によくこれやって起こしてるんだ」
「どこが“ちょっと”なの!?“あれ”で“ちょっと”なら他のことも“ちょっと”に思えてくるわ!」
ギャーギャーと騒ぐ焔を軽く弄りながら俺は帰る準備を始めた。焔も状況を察したのか頬を膨らませながら帰る準備を始める。
そして準備をし終わった俺たちは出口に向かって戻って行った。俺はまだ知らない・・・焔を起こしてしまったことに後悔することなど知る由もない
洞窟の入り口・・・焔side
私が寝ている間に(という名の酔って眠ってしまった)いろいろ大変なことになっていたらしい。そして現在、私たちは目の前の光景を呆然と見つめていた。
「こ、これ・・・」
目の前に入り口のところでフグ鯨を横取りするために待ち構えていたであろう人たちが倒れていたのだ。それも、全員死んでいる・・・私は白夜の服をギュッと握りしめた。震える体を必死に抑え込もうとしているがなかなか止まらない・・・白夜は私の手を包み込むように握った。
「焔、悪い・・・起こさなければよかった」
「違う・・・白夜のせいじゃない・・・」
白夜の温もりで少しだけ落ち着いた私は、改めてその人たちの死体を見た。ほとんどが容赦なくやられていることから、砂浜で見たというそいつはかなりの冷酷なやつだということがわかる。そんなことを考えていると、小松が声をあげた。どうやら一人だけ生存者がいたようだ。
「ティナさん!!」
生存者はティナだった。白夜は少し不機嫌になるが、別に死んで欲しいと思ってるわけでもないので近づいて手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
「あ、あたしは大丈夫・・・けど」
ティナはチラリと倒れている強盗達を見る。
「フグ鯨目当ての、強盗や殺し屋達」
「あぁ、あいつのフグ鯨を奪おうとして襲ったんだろ」
トリコのいう“あいつ”とはおそらく白夜達が遭遇した黒もじゃ?のやつだろう。なんて酷いことを・・・。ココさんがあの時ジッと見ていたのは、この人達に死相が見えたからなんだ・・・。私は私で対処していればよかった。後悔しながらも私はその死んだ人たちの周りを見た。近くにまださまよう魂がある・・・巫女として、黙って見るわけにはいかない。私は弓を出して音を出した。少しでも無念を消せるように・・・安らぎを与えるように。魂達はその音で少しは落ち着いたのか、天に昇って行った。
白夜の悪戯は少し度がすぎるのでしょうか?次回、感想でいただいたことを入れてみたいと思います。お楽しみに!