言霊の巫女は食の世界へ? 作:セシア
私はトリコたちの近くにある席に座ってからずっとうつむいていた。さっきのアレはなんだったのか・・・ただの幻?いや、そんな感じしなかった・・・
「焔、何を悩んでるんだ?」
白夜に話しかけられた私は言うべきかどうか悩んだ。そんなことをしていると・・・
『続いて本日のメインイベント!選手達の入場です!!』
司会の人の声が会場内に響き、それと同時に会場全体が盛り上がりを見せる。いつもの私ならビクッとなって白夜の裾をつかむだろうが、今はさっきのアレが気になってそれどころじゃない。
『第一ゲートからは!北の大陸の暴れ者!エレファントサウルス!!』
『第二ゲートからは!水陸両用の悪魔!ガウチ!』
『第三ゲートからは!トロルコングのボス!シルバーバックだ!!』
『第四ゲートから異様な鳴き声で現れたのは空から来た死神!怪鳥ゲロルド!!』
次々に現れる猛獣たちはそれぞれ敵である相手に威嚇しあっている。トリコ達は何か話しているようだが、私はジッと一つのゲートを見ていた。なんでだろう・・・すごく嫌な予感がする。
「す、すごい!!」
「どれも捕獲レベルが高い猛獣達ばかりだな・・・よく集めたもんだ」
私がそんなことを考えている中で小松は感嘆し、白夜は少し呆れた顔で眺めている。
「驚くのはまだ早いぞ!今日の主役は第五、第六の伝説の猛獣達だ!」
「伝説・・・?」
マンサム所長の言葉に、私は首をかしげた。伝説って、砂浜の洞窟で会ったデビル大蛇みたいな・・・?そう思う中で、私の鼓動が早くなってくる。嫌な予感が現実になりそうな感じがするのだ。
『お待たせいたしました!第五ゲートからは、古代が生んだ最大最強の狼!!バトルウルフ!!!』
「〜〜ッ!?!?」
そして、その予感は・・・現実になった。五と書かれたゲートの中から現れた真っ白い毛並みを持つ狼・・・バトルウルフ。
《わぁ!仲間がこんなところに!》
「ボソッ)へー、シリウスの元となるバトルウルフか・・・ん?焔、どうした?」
ポーチから顔を出して大喜びするシリーに、興味深そうな顔をしていた白夜は私の様子がおかしいことに気づいた。トリコたちがバトルウルフの話を聞いていることを確認して白夜が私の頭に手を置く。
「白夜、どうしよう・・・嫌な予感がする」
「!・・・まさか、予知か?」
白夜は最近私の力が高くなっていることに気づいており、フグ鯨で自分に起こりかかった危機を感じてから予知能力が目覚めたことも知っていた。私はコクンと頷き、先程見た光景を話す。白夜はその内容を知ると、少し考えるような仕草をしたかと思えば私の頭に手を乗せた。
「安心しろ。その時は俺がなんとかしてやる・・・今は、行く末を見守ろうぜ?」
「!・・・うん」
白夜の言葉に、私は少し安心した。予知で起こることが実現するということは、これから生まれてくるであろう子供は目の前で親を失うということなのだ。
(親を目の前で失うなんて・・・辛すぎる)
あの時のことが頭をよぎるが私はそれを振り払う。重ねてはダメだ・・・それを覆すことだけを考えなくては。私がそんなことを考えている間にも、会場内はすごい盛り上がりを見せていた。バトルウルフが現れただけでこの盛り上がり・・・それだけの存在感があるのだ。
久しぶりに投稿しました。なんか白夜の性格がどんどん丸くなっていたり、焔と白夜の距離がかなり近づいてきたりしているこの状況・・・
これからも更新が長いごと遅れたりすることがあると思いますが、読んでいただければ恐縮です。