『君』 ~中学最後の半年間~   作:My11

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――とある県のとある市にある市立上ヶ浦中学校に通う中学3年生の風間望。

夏休みが明けた2学期初日、その日から彼の日常が少しずつ変化していく――。


第1章 転校生は……!?

あなたは今、好きな人がいますか?

 

誰にでも好きな人、もしくは好きという感情でなくても一緒にいたいなあと感じる人が一人はできると思います。

そんな感情がたくさん出てくるのは出会いも多い学生の頃が一番かと思います。

そんな青春まっただ中の学生時代にいろいろな体験をして出会いや別れを経験し、やがて成人していく。

 

そうやって、好きな人や大切な友達と過ごす時はとても大切だと思います。

 

 

これは、そんな大切なことを少しずつ知り体験していくとある少年の物語。

 

 

 

 

 

「そんじゃ、いってきまーす」

「は~い、いってらっしゃぁい」

 

いつものように朝食を食べ終えた俺はしっかりと学校へ行く支度を済ませ、母さんに声をかけながら玄関で靴を履く。

 

俺の名前は風間 望。上ヶ浦中学校に通う中学3年生だ。

クラスは2組で、一応クラスの学級長(略称:級長)を務めている。身長はクラス内ではけっこう高い方に属する。父さんが高身長なのでその遺伝だろう。

 

昨日で夏休みが終わり今日は2学期の初日。

3年生のほとんどは部活を引退。残り半年ほどとなった中学校生活を高校受験に向けてみっちりと勉強に身を投じなければならない時期だ。

 

靴を履き終え、玄関を開けたそこにはいつものように恵の姿があった。

 

恵「あっ望、おはよう!」

望「おはよう、恵。相変わらず元気だな」

恵「当然だよ~。今日から新学期なんだから、元気よく行かなきゃ!」

望「そうだな。そんじゃ、行きますか」

恵「おう!」

 

この元気いっぱいで明るいのは幼馴染の野口 恵。

家が隣同士で、小さい頃から兄妹のように過ごしてきた。どっちかと言うと恵の方がお姉さんって感じかな。俺よりはかなりしっかりしているから。

学校は毎日ほぼ一緒に登下校している。クラスでは人気者で、副級長を務めている。よく級長である俺のサポートをしてもらったりしている。

なかなか気が利くのでとても助かっているんだなこれが。

身長が低い事をかなり気にしていて、背が低いと言うと機嫌が悪くなる。ま、そんなこと言うやつはいないけどな。

髪が背中の真ん中ほどの長さまであるのが特徴。

 

恵「どう?今日は三つ編みにしてみたんだ。似合う?」

 

髪を見せながら恵は言った。

 

望「ん、いいんじゃないか。似合ってると思うぞ」

恵「ふふ、ありがと。苦労したかいがあった」

 

恵はとても嬉しそうに笑った。

 

恵「今日は2学期の始めだからね。身なりはきちんとしないと。ところで望、宿題は終わっているの?」

望「おう。バッチリ終わってるぞ。英語も恵に教えてもらいながらやったしな。そう言う恵は終わったのか?」

恵「終わりましたよ~。あたしが終わらないわけないじゃん」

望「そうだな」

 

そんな話をしながら俺と恵は学校へと向かって行った。

 

こんな感じにいつもの日常は始まる。

毎日がただ何の変哲もない日々が訪れる。

 

そんな日常が少しずつ変わっていくことなんて、今の俺には予想もできなかった。

 

『あいつ』の登場で。

 

 

教室に着くと何人かの生徒がもう来ていて、夏休みにやったことなどを話したりしていた。

 

俺と恵はそれぞれの席へ。

恵は前の方の席。俺は窓側から数えて二列目の一番後ろという、なかなか良い位置だ。

左隣は以前から空席だ。

 

席に着くと恵と他に二人が俺の席にやって来た。

 

一人は渡辺 和也。中学1年の時に同じクラスになり、親友と呼べるほどの仲になった。

体育が得意で、あらゆるスポーツをそつなくこなせるほどに運動神経は抜群。人当たりも良く、クラス内のムードメーカー的存在でもある。

 

もう一人は佐藤 香織。恵の一番の友人で、とても友達思いな女子だ。

おおざっぱな面もあるが、面倒見が良い。噂話などには目がなかったりたりする。

恵と吹奏楽部に所属していて、二人でフルートを担当している。

 

この二人と俺、恵を含む四人はよく一緒になって遊んだりしている。いわゆる仲良し四人組と言ったところである。

 

香織「ヤッホーお二人さん」

恵「おはよ~香織」

望「よっす」

 

香織の挨拶にそれぞれ答える。

 

和也「よっす望。夏休みは楽しめたか?」

 

隣の空席に座りながら和也は言った。

 

望「うーん、まあまあってとこかな。和也はどうだった?」

和也「俺もそんな感じ。結構親に勉強しろ!ってよく言われてた」

 

そう言って和也はふーっとため息をつき、やれやれという仕草をした。

 

香織「あ、和也ん家も?家もそうだったよ。確かにもうすぐ高校受験だけどさあ、あんまりガミガミ言わないで欲しいよね」

恵「どこの親も、この時期になるとよく言うよねえ」

 

香織は同意するように言い、恵は苦笑いしながら言った。

 

望「行きたい高校はもう決まってるのか?」

和也「俺は二、三個に絞ってある。そのうち受験希望のやつが訊かれるだろうからその辺までにはもうちょい絞ろうかなと」

香織「私もそんな感じかな」

恵「あたしも同じ~。そういう望は?」

望「俺も似たようなもんかな。あんまり遠くには行きたくはないし、まあ自分の能力に適したとこは選ぶつもりだけど」

 

そう言いながら実は大体あそこに行こうかなとは考えていたりする。

 

和也「まあその話はまたにしようぜ?この後テストあるんだしさ、受験云々は今はまだいいだろ。他に夏休み中に何かなかったのか?」

 

 

それからしばらくは夏休みの思い出話になった。

四人で行った花火大会の話や、プールや海で泳いだ話。親の実家に泊まりに行った話や旅行でどこに行ってきたなどの話をした。

 

 

望「……まあつまりだ、夏休みはあっという間に過ぎ去ったわけだ」

和也「ごもっともだな。これからは勉強三昧が待ってるぜってか。憂鬱だあ」

恵「まあまあしょうがないじゃん。高校行くには勉強しなきゃ」

 

投げやりな和也に恵は慰めるように言った。

最終的にまた受験の話に戻ったな。

 

和也「あ!そうだ忘れてた!おまえら、今日このクラスに転校生が来るって知ってたか?」

 

和也がさらりと言った。

 

三人「「「転校生!?」」」

 

俺たちは教室中に響くような声で言った。

 

「何?転校生だって!?」

「それ本当なの!?」

 

クラス内で談笑していたクラスメイト達が何人か俺たちの近くに集まってきた。

 

和也「そうなんだよ!今日学校に来た時に玄関で先生に会ってさ。そん時に話してくれたんだ。なんでも親の都合でこっちに引っ越して来たんだってさ」

『へえぇ~』

恵「それで?男子か女子かわからないの?」

 

恵も少し興奮気味に訊いた。

 

和也「おう。それなら女子だぞ」

 

この答えに一部の男子はガッツポーズした。

 

「やっふー!やったぜぇ!」

「見たのか和也!?可愛かったか?」

和也「ああ偶然見たんだよこれが。校長室の前を通る時にそこに入って行く見ない顔の女子が学年主任といたから間違いないだろう。

見た目は結構可愛かったかな。髪も長めで肩にかかるぐらい。身長がそうだなー、香織よりちょい大きいくらいかな?そんな感じ。

あ、なんでだかとても嬉しそうな顔してたぞ」

 

そう言って和也は説明し終えた。

これでクラス中はまた散らばり、それぞれで転校生について話始めた。

 

望「へえ、そうだったのか。でもなんで嬉しそうな顔してたって?」

和也「なんとなく雰囲気がそんな感じだったのさ。なんか目が輝いていた感じ?緊張はしてなかったと思うぞ」

 

ほお、なかなか度胸のある女子もいたもんだな。

 

香織「まあ最後の半年に転校生ってのもいいじゃない。恵、副級長としてしっかり転校生のサポートしてやんなよ」

 

香織はそう言いながら、恵の肩をポンと叩いた。

 

恵「わかってるって。それで、名前はわからないの?和也」

 

恵がそう訊くと、和也はしまったというような顔をした。

 

和也「あ~、それ訊くの忘れてたな」

望「おいおい、肝心なところを忘れてんじゃないか」

 

俺は半笑いしながら言った。

 

和也「悪い悪い。まあでもすぐわかることじゃん。それに席はどうせここなんだし」

 

そう言いながら和也は座っている席の机をポンポン叩いた。

そうだったな。このクラスの空席は俺の隣のそこだけ。必然的に隣になるわけか。

 

香織「そっか、じゃあまずは望がしっかりとエスコートしなきゃね!級長なんだしさ」

望「エスコートって、まあそうだな。一応でも級長だからいろいろと教えてやるか」

 

香織の茶化しに俺がそう答えると、チャイムが鳴り響いた。

 

恵「あ、先生が来る!じゃ、がんばってね。望」

 

そう言って恵は自分の席へと戻った。香織と和也もそれにならって戻った。

 

 

しばらくして、先生が教室に入ってきた。

 

先生「よーし、じゃあ朝のHR(ホームルーム)を始めるぞ。風間、号令」

望「起立、礼。着席」

 

号令に合わせてクラスのみんなは礼をし、着席した。

 

先生「みんないるなー。夏休みも終わっていよいよ君たちには受験が待っている。残りの半……」

 

ああ、朝からそんな話するのかー。早く転校生を紹介しろよー。

 

先生「……だから残りの日々をしっかり勉強に注ぎ込むように!

それでは、知っている者もいるだろうが(望 ほぼみんな知ってるって)転校生を紹介する。あー、入ってくれ」

 

先生の合図で教室のドアが開いた。

俺はタイミング悪くいじっていたシャーペンを落としてしまい、拾って前を向くと転校生は黒板に名前を書いていたので後ろ姿だった。

 

その後ろ姿を俺は知っていた。

 

まさかそんなはずないだろうと思ったが、名前を書き終え振り返った女子を見て思わず声をあげそうになった。

その女子はクラスを見回し俺を見つけたかと思うと、ニッコリして正面に向き直り自己紹介を始めた。

 

「水野 結菜(みずの ゆな)と言います。北城中学校から父の仕事の都合でこっちに転校して来ました。残り半年ほどですが、どうぞよろしくお願いします」

 

その場で一礼した。

クラスからは拍手が起き、何人かの生徒はよろしく~と言った。

顔をあげた水野はまた話し始めた。

 

水野「あ、いろいろとわからない事とかは、彼氏の風間望くんから聞くんで心配しなくて大丈夫ですよ」

 

そう言って水野は、ニッコリと笑った。

 

俺はその場に凍りづいたよ。

 

クラス内『えぇ~~~!!!』

 

それはもう、学校中に響き渡るような叫びだった。叫んですぐみんな一斉に俺を見たし。

教卓のところに立つ以外で、みんなの視線を集めるなんて思いもしなかったなー。

 

和也は口を開けて唖然。香織は目をこれでもかと見開いて呆然。恵は口をぱくぱくさせてそんなバカなと言わんばかりの顔をしている。

 

俺は今、引き攣った様な顔をしているのだろう。

……水野。何そんな爆弾発言してんだよ……。

 

水野の突然の爆弾発言に絶句していた先生がやっと口を開いた。

 

先生「あ、じゃっじゃあ水野さん。風間の隣の席に着いてくれるかな」

水野「はい」

 

ニッコリと笑った水野は俺の隣の席に来て座った。

 

水野「よろしくね、望くん」

望「あ、あははハハ……」

 

 

 

こうして、中学校生活最後の半年間は始まったのである……。

 

 

 

一体これからどうなっちゃうんだ、俺は!?




登場人物紹介

この物語の主な登場人物を紹介します。(9月1日現在)


・風間 望(かざま のぞむ)

11月9日生 14歳
血液型 A型 男
3年2組 級長
部活:剣道(引退) 備考:団体戦では主に中堅

・この物語の主人公。男女共にそれなりの人脈があり、2組の学級長を務める。数学が得意だが、英語がまったくできない。この物語は基本望視点での進行になります。


・野口 恵(のぐち めぐみ)

2月5日生 14歳
血液型 A型 女
3年2組 副級長
部活:吹奏楽 備考:担当楽器はフルート

・望の幼馴染。家が隣同士で、学校の登下校はほぼ毎日一緒に通う。クラスの人気者でとても明るい性格。背が小さく気にしている。髪が長く背中の中ほどまである。三つ編みやポニーテールなどいろいろな髪型によくする。


・渡辺 和也(わたなべ かずや)

7月27日生 15歳
血液型 B型 男
3年2組
部活:陸上(引退) 備考:専門は短距離

・望の親友。中1の時に知り合ってからずっと同じクラス。体育が得意で、いろいろなスポーツをそつなくやりこなすほど運動神経は抜群。人当たりが良く、クラスのムードメーカー的存在。


・佐藤 香織(さとう かおり)

3月17日生 14歳
血液型 O型 女
3年2組
部活:吹奏楽 備考:担当楽器はフルート

・恵の親友。面倒見がよく、クラスのみんなはよく香織に悩み事を相談にのってもらったりしている。おおざっぱな面もあるが、とても友達思い。噂話に目がなかったりする。吹奏楽部で恵とフルートを担当する。


・水野 結菜(みずの ゆな)

12月13日生 14歳
血液型 A型 女
3年2組 (転校生)
部活:剣道(前北城中学校)

・新学期に上ヶ浦中学校へ転校してきた。前にいた北城中学校では剣道をしていて、大会などを通じて望と知り合う。自分では望の彼女と言っているが、実際は……。勉強はかなり優秀らしい。
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