私、絡繰茶々丸はガイノイドである。私の事を端的に表すのならばその一言に集約出来るだろう。
ガイノイドーーーつまりは女性体のロボット。我が創造主である超鈴音、そのご友人兼開発者の葉加瀬聡美の両名によって生み出された科学と魔法のハイブリット。それが私という存在です。
「おい茶々丸、早く夕食を用意しろ。あと私の部屋を清掃しておけ。それと明日は弁当の気分だから作っておけ。最後に風呂も沸かすんだぞ」
「……了解しました、地獄に落ちてくださいマスター」
この偉そうに命令を下してくる金髪幼女こそ、我がマスターであるエウ゛ァンジェリン・A・K・マクダウェル。非常に愛らしいツンデレ。キティと呼ばれるとツンデレるのはご愛敬ですね、今日も今日とて録画に勤しみましょう。
今日もマスターは相変わらず授業をサボタージュなう。登校地獄のせいとはいえ、中学生を既に10年以上も繰り返しているのならば致し方ないのでしょうか。私はまだ製作されてから1年と経つ事がないので、見ること聞くこと全てが新鮮味溢れていて楽しいですが。特にサブカルチャーはだだハマりしました、最近は主従系として執事モノや使い魔などを見たりしておりますね。キティの使い魔は私と姉さんですし。
あぁマスター。寝るのでしたら私のひざ枕をお使いください、人工スキンの柔らかさには少々自信が、ハカセに頼んで無理に作っていただいたので餅肌すべすべなのは保障出来ます。
「……少し寝る。放課後になったら起こせ」
「了解」
あぁマスター、とても愛らしい寝顔ですね。保存、保存、保存。おや、スクショを保存するための容量が限界に近い。ハカセに頼んでメモリの増設と圧縮をしてもらわねば、マスターマスターマスターマスターマスター。ムービーフォルダもそろそろヤバいです、超鈴音ももう少し頑張っていただきたい。しかし私をマスターの元に遣わせていただいたことには心からの感謝を。
そして放課後。文字に表せば数行にも満たないというのに、時間の流れは正しく矢の如しと言った所でしょうか。もっとマスターの寝顔を堪能していたいのは山々だが命に反する訳にもいかないため起こすことに。
「マスター。お目覚めの時間です」
「……う、む。分かった」
ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、スクショが、スクショフォルダが埋まってしまった。とてつもなく愛らしい寝ぼけマスターという今この瞬間を残せないなど何という未練、身を引き裂かれるような胸の痛み。これが理不尽な運命への憎悪? それともきちんと計画管理的にしていなかった己への自己嫌悪? あぁ、どうでもいい。そんなことは関係ない。私の真理はただ一つ。
マ ス タ ー 超 可 愛 い
今日のマスター
茶々丸から「地獄に堕ちろ」と言われた。欝だ、死のう
次回なんて(まだ)なかった