※4月30日 誤字修正しました。
第1話 プロローグ
部活動が終わり友達とたわいのない話をしながら、駅へ向かう。
駅の階段を降りながら俺とそいつは話をしていた。
「なぁ、大学どこにいくんだ?」
「俺は○○大学に行こうと思っている」
「じゃあ僕もそこにしようかな…」
「あ、俺は電車が来たから、またな!」
俺は手を振り、そいつも手を振り返す。いつもの日常である。そして電車に間一髪で乗る。少し冷たい目線で睨まれたような気がするが気のせいだろう。
☆―☆―☆
……そういえば今日は塾の振り返りで、それがある途中の駅で降りなければならなかったのだ。
もう家の前まで来てしまっている。
今から塾に行ってもすでに遅刻だ。だが、遅刻するにしても早ければ早い方がいいに決まっている。
そして俺は家の脇にある自転車を使って急いで塾へ向かう。時間がないので車道をつかい、全力でペダルを漕ぎ、坂道を下る。
いつもならば後ろに車がいないかちゃんと確認をするのだが、このときは冷静さを欠いていたため、その確認をしなかった。
―――そうして、事故は起こった。
気が付くと、ボロ雑巾のようになった自分の体を上から見ていた。
なぜかそのときの自分の姿は客観的に見えたから、『幽体離脱』というやつかもしれない。
だからこのとき俺は思った。
(もうすでに、自分は死んでいるのかもしれない)
まだまだ現世には未練があるのに、こんなところで死にたくない。
だが、そんな思いとは裏腹に、俺の意識はだんだん遠のいていくのだった。
☆―☆―☆
……目を覚まして辺りを見渡すと、そこはとても眩く荘厳な雰囲気を持つ部屋だった。
「つーか、ここはどこだ、天国なのか?」
答える声はない。
もしかしたらここでずっと過ごすのかなー、と思って途方に暮れたとたん、その声は聞こえた。
『もう一度、復活するチャンスを与えようか』
チャンスってもしかしたら現世に生き返るチャンスだろうか。
だとしたら、とんでもないビッグチャンスだなと思った瞬間、再びその声が聞こえた。
『だが生き返るには、いくつかの試練をくぐり抜けなければならない』
むむっ、思った考えが言わずとも伝わるとは便利というべきか。ある意味怖いが。では、胸中で問いを投げつけるとするか。
まさか、その試練とは十二の試練?
『その通りだ、よくわかったな』
なんだか頭が痛くなってきた。確か十二の試練といえば、かの大英雄ヘラクレスがくぐり抜けた難行・苦行。
確かそれらの試練の中の一つには、触れただけで全生物を絶命することができるほどの宇宙最強の猛毒を持った9つの頭(100という説もある)を持つ水蛇を殺す、というものもなかったか。
とあるサイトで見た殺り方も忘れたし、チャンスを掴める気がもしないのだが………、ハァ。
またもや途方に暮れていると、またその天から降ってくる声が聞こえた。
『冗談だ』
なぜだか嗤い声も聞こえるのは、気のせいではないだろう。これが愉悦というのなら、神様って意外に笑いのツボが浅いことが判明する。
『これからお主はいくつかの世界に転生して、それらの世界でわしが与える目標を全てクリアしつつ、そこで死ななかったら、もう一度もとの世界で生きるチャンスをくれてやろう』
具体的には、どの世界なんだ?
『うむ、Fate/と、とあるシリーズと、ソードアートオンラインじゃな』
特典みたいなやつはあるのか?
『あるわけねェだろうが、自力でなンとかしろ』
言葉づかい変わってません? てか、キャラぶれしすぎですよ?
『くだらんことを聞くからつい……な』
で、どの順番で転生するんですか?
『余がさっき言った順番だ。わかるな?』
どこの誰に転生するんですか?
『向こうに行けばわかる。さっさと逝ってこい』
今、発音変でしたよね?
『―――――』
……応答無し。ただの屍のようだ。
『屍とは失礼な!わしを誰だと思っている!』
神、さま?
いや、こんな威厳のないのが神だと思ってもみなかったが。これでいいのか神様が。
『秘密じゃ』
ところで最初の、fateの世界での試練ってなんですか?
『第5次聖杯戦争に参加して、大聖杯を破壊することじゃな』
どうやって向こうの世界に行くんです?
『ポチッとな』
あれ? 体が光に包まれている、まるでこの前とあるゲームで転移結晶を使ったときのようだ。
なんだか、意識が遠のいてきたぞ。
『じゃあ、楽しい(笑)旅へ、レッツ・ゴーじゃ!』
☆―☆―☆
…………知らない天井だ。
ここは一体どこなのか、そのぐらいは転生するときに教えて欲しいと思う。
だが、その疑問はすぐに解決された。
「キリツグ、新しい子どもが産まれたわっ!」
突然体が横に強い力によって傾き、目の前に女性の巨大な顔が現れる。
それはfate/zeroの最重要キャラクターの一人、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの顔だ、間違いない。
さらに彼女はキリツグ、と言っていた。
つまり、ということは。
「髪の色がキリツグにそっくりよ!」
「目の色や顔つきは、アイリにそっくりだね」
「名字は衛宮……でいいわよね、名前はどうしようかしら?」
「衛宮生嗣、というのはどうだ?」
「生かして、嗣なぐ………うん、なかなかいい名前だと思うわ!」
「ああ、その名前はこの子の起源からとったんだよ」
「じゃあ早速、イリヤにも見せないとね!」
「いや、今は深夜だから明日にしよう」
「……………………だめ?」
「――――――だめだ。イリヤの背が今起こしたせいで伸びなくなったら困る。
ただでさえ、あんな性質を持っているんだ。
伸びるときに伸びてもらわないと」
「……そうね、それが正しいわ。
イキツグと違ってイリヤには、小聖杯になるために魔術的操作を施したから、その副作用があるものね」
……なるほど、俺は衛宮切嗣とアイリスフィール・フォン・アインツベルンの間の息子で、ロリブルマことイリヤスフィールの弟に転生したわけだ。
―――っていうか、俺ってまだ産まれたばかりの子どもじゃん。そういや今って第5次聖杯戦争の何年前だろう?
『ざっと16年ぐらい前じゃな。』
……まさか答えてくれるとは思わなかったぜ。
『そういえばこれからお主のfate/における知識をすべて抹消しなければならぬな。』
……えっ、いやなんで?
『なぜなら、fate/世界の未来をわしが知る限りじゃが、お主だけが知っておるからな。そういうのをチート、というらしいぞ?』
……いや、そうかな?
『お主がなんといおうと、それについての全ての意見は採用しない。以上!』
『というわけでここにある記憶抹消ボタンを押す』ポチッ
『まぁ心配するな、今消したのはfateの世界についてだけの記憶じゃからな!』
『それに、見事試練をクリアしたら、記憶も元に戻す予定だ』
『まぁ記憶抹消ボタンの副作用で、消した後の記憶は飛んでしまうから、何をいっても仕方ないのじゃが』
☆―☆―☆
そして六年が過ぎ、六歳になった。切嗣は聖杯戦争に参加するため冬木市に向かうらしい。
「じゃあ僕は先に行くよ。アイリ、イリヤ、生嗣」
切嗣は言う。
アイリスフィールは後からセイバーを伴って行くらしい。正直、切嗣が浮気しないか心配だ。
「ええ、わたしもすぐそっちへ向かうわ、キリツグ」
「キリツグ、行っちゃイヤ!」
「イリヤ、父さんは必ず帰ってくる。約束する。」
「父さん、必ず帰ってきてね、母さんも……」
「ああ、必ず帰ってくる」
何か両親に言わなければいけないことがある気がする。
絶対に何か伝えなければならないことが………。
だが、何も思い出せない。
思い出そうとしても思い出せない。しかし、何らかの条件が揃ったら記憶の鍵が開く気がする。
けれどもそのときになったら既に手遅れのような………、そんな気がする。
更新は毎回遅めになると思いますが気長に待っていてください。