※11月12日、誤字修正しました。
一、セイバーを呼ぶ。
令呪でセイバーを呼ぼう。下にはサーヴァントが居そうだし、サーヴァントには同じサーヴァントのセイバーをもって対抗するべきだろう。
……目を瞑り、左手に意識を集中させる。
「――――来い、セイバー!」
ぎち、と左手の甲が熱く焼ける。
それと同時に、すぐ真横に異常な重さを感じて振り向くと、そこには銀色の騎士が存在していた。
「召喚に応じ参上しました。
マスター、状況は……? 貴方が令呪を使う程のことなのですね?」
「ああ、見ての通り結界を張られてる。おそらく下の階にサーヴァントがいると思うから、一刻も速くソイツを倒して結界を解きたい」
「承知しました。確かに、下のフロアにサーヴァントの気配を感じます」
「下ってことは、三階以下よね。結界の起点は一階にあるからサーヴァントがいるのは、ほぼ一階に間違いないわ」
「そうか、わかった。でも俺は一応三階と二階も見ておくべきだと思う。行くぞ、セイバー、遠坂」
「いえ。サーヴァントがいるのは一階に決まっているんだから、さっさとそっちを叩くべきよ。今は一刻も速くこの結界を張っているサーヴァントを倒さないといけないんだから」
「じゃあ悪いけど遠坂は先に一階に行ってきてくれ。二階と三階にいなかったら俺たちもすぐ一階に行く」
「わかったわ。でも、わたしが一階でサーヴァントを見つけてもアーチャーを呼ぶつもりはないから。貴方たちが来るのを待っているわ」
「じゃあそういうことで。また生きて再会することを願うよ」
「凛、御武運を」
「ありがとう、セイバー。生嗣、それ死亡フラグっぽいわよ。絶対死なないでね」
「もちろん。ここで死ぬつもりなんか毛頭ないよ」
そう、
と、考えていたら三階に着いた。
遠坂は三階の様子は見ず、もう一階に行ったようだ。何故そう分かるかというと、
「やあ、随分と遅かったじゃないか。いい加減退屈だったしさ、大切な人質なのに思わず殺すところだったよ」
俺の十メートル先に間桐慎二がいる。それは問題ないのだが、ヤツは妹である間桐桜を片足で踏み、そしてボロボロになっている士郎の首にカッターナイフを押し付けているのには殺意を覚える。
そんな光景を見て遠坂が黙っているはずはないのだ。
「間桐。人質ってどういうことだ」
「言葉通りの意味だよ。そこにいるお前のサーヴァントを自害させたら、お前の兄弟の衛宮を引き渡してやるよ。ほら、そんな難しいことじゃないだろう? 令呪で命じるだけの簡単なことさ」
だが、その言葉を安易に信用することは出来ない。そして、仮にセイバーを自害させて士郎を渡してきたとしても、その後はどうなる?
俺はライダーに殺されて、この学校にいる生徒たちも最終的に溶けてしまうのは目に見えている。
それ以前に、セイバーが対魔力で令呪を弾いたら?
それこそ最悪だ。令呪を一つ失い、セイバーのパラメーターも落ち、士郎も帰って来ないだろう。その後、もう一度令呪を使えば、聖杯戦争に出る権利を失うことになる。
よって、俺が取れる手段はただ一つ。
一、間桐慎二を殺害、もとい攻撃。
二、間桐慎二を殺害、もとい攻撃。
三、間桐慎二を殺害、もとい攻撃。
というわけで、早速念話でセイバーに作戦を話す。
『――――――……よし、やるぞ』
『ええ。無事、成功することを願っています』
まずは、間桐慎二に突撃する。
「はっ、お前バカだね! 殺さない程度にブチのめせライダー!」
とりあえず第一関門は突破した。ライダーが殺しに来ていたらその作戦は失敗しただろう。そしてさらに手加減してくれるのか、ライダーの手には鎖がない。素手で倒しに来てくれるらしい。
………ライダーの拳が迫ってくる。
それが、鳩尾にふれる少し手前で右に避け、
「
右に避けてから三倍速で廊下の壁を走り、一瞬でヤツがナイフを持っている手を握ってからヤツの首を掴み、そのまま床に押し付ける。ヤツの手から離れたナイフの軌道は見えなかったが、恐らくその辺に転がっているだろう。
そして、固有時制御をやったときの激痛に襲われるが、それを顔には出さず、ヤツを見る。
「えっ、え?」
酷く狼狽している様子だ。
なので、
「間桐慎二。今すぐライダーを自害させろ。そうしたらお前は殺さないでおく」
と言って、さらに追い打ちをかける。
今の間桐はとても混乱しているだろう。三秒で立場が真逆になったのだ。混乱しないはずがない。
だが、このとき俺は一つ見落としをしていた。
否、気付きたくないから気付いていないフリをしていたのかもしれない。その見落としも、彼女の叫び声でイヤでも気付いてしまうことになる。
「――――先輩?」
そんな声が聞こえたので、慎二の首を掴みながら後ろを振り向くと、
「いやぁーーーーあああ…………!!!!」
まるでこの世の終わりが来たかのような顔で泣き叫んでいる桜と、
首の血管を切られて大量出血している士郎がいた。
………途端に頭が真っ白になる。
何をどうすればいいのかがわからない。
頭がそんな状態だったので、手を強く握って喝を入れた。いや、入れてしまった。
「ぐぁっーーーー!!! 誰か助け」
彼の首を握った右手が赤に染まる。故意にではないが、人を初めて殺してしまった。
そのことへの後悔と、士郎を間接的にだが殺してしまったことで真っ白だったのが更に真っ白になる。だが、その間にも時間は進んでいて、それが進んでいる限り自分を取り囲んでいる状況は常に変わる。
よって
「マスター! 気持ちはわかりますが、呆然としていないで、一刻も速く気を切り替えてください! でなければ、この学校の生徒が皆死んでしまいます!」
「―――――!?」
セイバーの言葉で思考を無理矢理切り替え、辺りを視て、何がどうなっているのかとにかく考えて、一つ一つ箇条にしていく。
一、間桐桜は正気を失っている。なお、これはずっと叫び続けているため推測が出来た。
一、ついさっきよりも廊下が赤い。どうやら、結界がより強力になったらしい。
一、ライダーはマスターが死んだため消えているはずなのに、まだ消えてない。
一、ライダーは消えたどころか、パワーアップしている感じがする。セイバーには敵わないと思うが、結界を解かなければマスターである俺が死に、この学校にいる人たちが死ぬため、ライダーを一刻も速く殺す必要がある。
一、ライダーが消えていないということはマスターは慎二から誰かに移った。
一、その誰かというのは、間桐臓硯が死んだため、間桐桜である可能性が大。
一、マスターを殺せばソイツのサーヴァントも消える。
結論:よって、この状況を破るためには仲がいい後輩である間桐桜を殺すのが最適解と思われる。
その結論を出した瞬間、俺は桜を殺すか迷った。何故なら、間桐桜がライダーのマスターである可能性は高いが、僅かながらそうではない可能性がある。その可能性があるのに、桜を殺していいのだろうか?
………だが、このままこの状況を放っておくと生徒や先生たちが死ぬのも事実。つまるところ、選択肢は三つある。
一、桜とライダーを助けるためこの状況を傍観する。
二、セイバーでライダーを倒して、桜は生かす。
三、桜を殺して、出来るだけ多くの人を助ける。
一つ目の選択肢は論外だ。そんなことをしたら自分が死ぬし、この学校の生徒や先生全員死ぬ。
二つ目の選択肢は魅力的だが、ライダーが万が一消えなかったら、結果は一つ目の選択肢と同じになってしまう。多くの人命が死ぬかもしれないのに、『万が一』というのはいただけない。
こうなると、三つ目の選択肢しかなくなる。
………はあ、1日の内に二人もこの世界で大事な人を殺してしまうとは。他にも一人いたが、あれはどうでもいい。
制服のポケットから黒鍵の柄を出す。これは言峰神父から八極拳の型をマスターしたときの祝いでもらったものだ。勿論、黒鍵の扱いはその後時間をかけて学んでいったのだが。
それはともかく、柄から刀身を出し桜の心臓のある部分に突き刺した。
「――――あ」
ライダーはセイバーと戦っているため俺が桜を殺そうとしたことに気付いてなかったが、流石に桜の心臓を突き刺したら気付いたようだ。
「桜――――!」
ライダーが桜に向かおうとセイバーに背を向け俺に向かってくるが、その隙を突いて、セイバーはライダーを両断した。
ライダーが消滅すると同時に、結界が解かれる。
士郎が、万が一の可能性に懸けて生きているかどうか調べる。
「………呼吸してない。いや、それ以前に大量出血で死んでいるか」
……殺してしまった。
「桜は……、あれ?」
桜の心臓部分から、異形の虫が出てきた。その体には穴が開いていて満身創痍だ。
気味が悪いから殺してしまおう。
「ま、まテ。ヤメロ、ワシはマダシニタク―――」
「
意志があることが確認出来たので、黒鍵で殺してそのまま放っておくということはせずに火葬しておいた。
普段あまり鍛練していない魔術だったため、規模の調節が出来るか心配だったが、心配は無用だった。
「………桜と慎二、一応死んでしまったか確認したけど、やっぱ死んでるか」
……殺したのなら、
「セイバー、どうだ?」
「まだ息はあります。後遺症が残る人もいると思いますが、少なくとも死ぬことはなさそうです」
……俺は俺が殺した彼らを弔い、
「―――そうか。それは、良かった」
……彼らの分まで生きなければ。
・『Fate/staynight編』クリアルートの他に新たな生存ルートが出現しました。
・『正義の味方』ルート
・『人類の天敵』ルート
・一定条件を満たすと、クリアルートからこれらのルートへ移行します。
二、ライダーは、俺一人で倒す。
このルートは、ifルート集3ー1と、その続きから見れます。