私は嬉しさのあまりガッツポーズを取り、その後ふなっしーのような動きで喜びの舞を踊ってしまいました!
これからも、『とある転生者の試練』をよろしく、よろしくお願いいたします!
※3月19日、サブタイトルを変更しました。
セイバーとアーチャーと共に、彼女―――遠坂凛はアインツベルン城に玄関から入り、ロビーに堂々と立ち入った。
それを見た城の主―――イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは
「こんばんわ。あなたの方から来てくれて嬉しいわ、リン」
イリヤスフィールの声は愉しげに弾んでいる。
その笑みは五日前の夜、衛宮士郎がまだセイバーのマスターだったころに彼と共闘したときのものと同じだ。捕まえた昆虫を串刺しにする、無邪気で無慈悲な裸の感情。
そして、奇しくもその夜と今は同じような状況だ。イリヤスフィールとバーサーカーは、ロビーから二階へと移動するための階段に陣取っており、対する凛たちは彼らの下方に位置する玄関の前だ。
だが、あの時と違うこともある。
まず一つめは、セイバーのマスターが士郎から衛宮生嗣に変わったことで魔力供給が十分に行き届いていることだ。それによって、宝具を二回くらい撃っても戦闘に支障をきたさないようになった。しかし、生嗣はサーヴァントを二体保有していることで、セイバーの戦力を増強する代わりにアサシンのそれが下がった。
例えば生嗣がサーヴァントに供給できる魔力量を十とすると、これまでアサシンは十の魔力をセイバーと契約を結ぶまでは供給されていたが、彼のマスターがセイバーと契約してからはアサシンが二、セイバーが八の比率で魔力を受けとるようになった。
生嗣は、アサシンには隠密行動に徹してもらって情報を集め、セイバーには戦闘で役に立ってもらおうとした。戦闘は隠密行動よりも消費魔力が大きい。よって、今のアサシンのステータスは召喚されたときより宝具と幸運以外は一段階ずつ下がってしまっている。
そして二つ目は、あの夜とは違いここが敵の本拠地、ということだ。あの夜の戦いの最初はバーサーカーにとって有利な、広く障害物がない地形で始まったが、セイバーが墓という障害物が多い墓地にバーサーカーを誘導したことで、セイバーとアーチャーはバーサーカーを何回か殺せた。
だが、今日の場合はバーサーカーにとって有利な地形であるここから移動しても、凛たちに有利になることはない。何故ならアインツベルン城の外は樹海であるためにアーチャーは弓でバーサーカーを攻撃できず、その上イリヤスフィールは凛たちがいるところを手に取るようにわかるからだ。さらに、逃げようとしても今は樹海の外には警察がいる危険性があるため、逃げることもできない。
………まあ彼らは、バーサーカーから逃げるという選択肢を全く考えていないので、万が一にも逃げることは無さそうだが。
「ええ、この前は逃がしたけど今日は貴女を倒すわ。降参して令呪を放棄するなら今のうちよ」
「その言葉をそっくりそのままあなたたちに返すわ。でも、イキツグは別だけどリンとシロウはそうしても生きて帰すつもりはないから」
「へえ、生嗣は別なんだ。やっぱり実の弟だと殺す気にはなれないのかしら?」
「そうよ。イキツグは殺さないで、ずぅっーと人形にしてわたしの隣に置いておくの。そうすれば、わたしもイキツグも幸せになれるわ」
「……………」
「あら? 急に黙ってどうしたの、リン。
……そっか、じゃあ殺すね。やっちゃえ、バーサーカー」
黒く大きい弾丸が階段から跳び、ロビーの中央で黄金に光る剣を構える青の剣士に肉薄せんとする―――!
「シッーーー!」
しかし、それはまるで稲妻のごとく飛翔する白く光る矢によって黒い弾丸の進行は止められた。
だがその矢は、弾丸が持つ剣の範疇に収まらない巨大な斧剣によって弾かれる。
そして黒い弾丸―――バーサーカーは地面に着地するが――――。
「
セイバーが、星によって鍛えられし神造兵装を放ち、それが作り出す光の断層によって、バーサーカーは消滅した。
☆―☆―☆
「…………………」
「…………………」
「―――――――」
………ひまだ。
全くサーヴァントが来る気配はしないし、もう俺たち城の中に入っていいだろう?
「だめですぞ、魔術師殿。私たちはバーサーカーとの戦いの邪魔になる者たちを止めるためにここにいるのです。そもそも、それを提案したのは他ならぬマスターでしょうに」
「いやぁ、そうなんだけどさ。
でもこんなに、暇だとは思わなくてな。いっそのこと、ランサーとか来ないかねー」
「………………」
「――――――」
「………無視しないでよ」
「………………」
「――――――」
「………だれか来ないかなー、っ!?」
うわ、眩しっ!
これは、セイバーの宝具か。
あの光の断層から離れているにも関わらず、あまりの光の強さにより失明するのではないか、と考えてしまうぐらいだ。
さらに、聴覚にもキツい刺激が来たが一体何なのだろう。
……数十秒後に光が収まったので、眼の周りを覆い隠していた手をどけて城がどうなったかを見る。
「うそ………だろ………!?」
それは誰の声だったか。
士郎が言ったのかもしれないし、他のだれか、もしくは自分自身が言い放った言葉なのかもしれない。
そのくらい唖然としていたし、また驚愕していた。
――――アインツベルン城は瓦礫と化していた。
その事実は俺、または俺たちをそうさせるのに十分だった。なにしろざっと見積もって、高さが五十メートル近くある城である。
そんな城がたった数十秒で倒壊したのだ。
驚き呆れるに決まっている。
そして俺の体は、無意識に瓦礫の中心部に向かっていた。
「――――――!」
やはり近くで見ると凄まじい迫力に圧倒されるが、今は遠坂たちが無事かどうか確かめなくては。
遠坂は――――――、いた。
アーチャーに抱えられて、俺と中心部を挟んで反対側にいる。彼と口論しているらしく、とても元気そうだ。
セイバーは―――、見つけた。
彼女も自分のことを発見したらしくこっちに走ってきて、ちょうど握手できるくらいの位置で止まった。
「――――マスター」
「ん、無事で良かった」
「すみません、マスターたちの城を瓦礫に変えてしまって」
「謝るんなら、イリヤに謝ってくれ。
俺には謝らなくていい。このアインツベルン城はイリヤのものだからな」
「……そうですね。ですが、彼女はどこにいるのでしょう? 一面瓦礫でどこにいるのか見当がつきません」
「バーサーカーの近くにいるだろうな、たぶん」
「あ、発見しましたマスター。攻撃を仕掛けますか?」
「そうだな、アーチャーと挟み撃ちにしよう」
「了解しました……………。あれは、シロウ?」
…………!?
衛宮士郎は、肉体が完全に回復しつつあるバーサーカー目掛けて一直線に向かっている。
バーサーカーは、走るアイツを瞬時に気付き、間合いに入るやいなや凶器を振るった。だが、ソレを士郎が驚異的なスピードで避け、尚且つ投影したバーサーカーの斧で人間の八つの急所を全て射ち抜いた。
そして、バーサーカーは塵へと還った。
「なあ、セイバー」
「なんでしょう、マスター」
「あれ、なに?」
「バーサーカーが持っていた宝具をシロウが再現して、バーサーカーを倒したのでしょう」
「そっか、そうなのかー。嘘だと信じたいなぁ」
「はい。しかし、シロウが別のシロウになってから随分と強くなりましたね」
「不味いな、俺死ぬかも」
「……頑張って下さい」
バーサーカーを倒した士郎と決闘……………。
死ぬ未来しか見えない。
「……魔術師殿」
「今、俺には何が見えていると思う?」
「さあ……………何でしょう?」
「これまでの人生だよ。走馬灯のように駆け巡っている。俺、もうすぐ死ぬかもな」
まず思い出したのは前世の記憶。
産まれたときの記憶など、とっくに忘れた記憶が思い出される。
そして、産まれてから車に轢かれるまでの輝かしい? 人生を昔の写真を見るような感覚で懐かしむ。
次に思い出したのはfate/の世界に来てからの記憶。
『生嗣』という名前を付けられてから、この瞬間までの記憶を思い出す。
「そんな不吉なことを言わないでください、魔術師殿!
諦めては………、諦めては駄目ですぞ!」
「もういいんだ、アサシン。俺がここで死ぬのはきっと宿命だったんだよ」
後ろでアサシンが自分のことを励ましてくれているのは有難い。
だが、実際いまの士郎には勝てる気がしないのだ。
「士郎、果たし合いするぞ」
「ああ、ようやくこの時がきた」
士郎が慢心していたらまだ勝ち目はあったが、彼の眼を見てそれはないと確信した。
慢心どころか―――――、
「じゃ、セイバーが『始め』と言ったら始めるぞ」
「――――わかった」
彼の眼は、鋭く光っていて決死の様だった。
??「これでヤツは詰みだ」
????「(いや、それ言ったら生存フラグになるんじゃ……)」