とある転生者の試練   作:雷灯かがり

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fate/編と書かず、fate/stay night編と書いている時点でお察しです、かね?

では本編、始まるよ!






第18話 英雄王 VS 贋作者 & 暗殺者

「随分と殊勝な心掛けではないか、贋作者(フェイカー)。それにあの雑種も暗殺者(アサシン)を供物として(オレ)に捧げるとはな。

まったく、こうも貴様らが我に殺されようと動くとは想定外だ。

では慈悲をくれてやる、いま我が宝物庫から取り出した剣を使い、疾く自害せよ。

我は人類最古にして唯一無二の英雄王だ。この我からソレを与えられたことを誇りに思いながら逝け、雑種共」

 

「フッ、笑わせないでくれよ英雄王。

私たちは君を倒すためにここに残ったのだ。それをわからないとは、もしや阿呆なのではないかね?」

 

「ならば死ね。

他人の真似事だけで出来上がった偽物は、疾くゴミになるがいい」

 

英雄王(ギルガメッシュ)の背後から数えきれないほどの剣や槍、斧などがまた出現する。

それらはアーチャー一人を集中的に狙っており、アサシンに向けられている宝具は一つとしてなかった。

そして三十の宝具はアーチャーを串刺しにせんと、雨のように降り注いだ。

 

 

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

 

しかし、ソレらで串刺しされることに甘んじるアーチャーではない。

「“熾天覆う七つの円環(ローアイアス)”――――!」

 

大気を震わせ、真名が展開された。

黄金のサーヴァントが最初に射出した剣が当たる刹那、何処かより出現した七つの花弁がアーチャーを守護する。

 

「な――――――!?」

 

その驚愕は何に対してか。

たった一枚の盾をも突破できぬ自らの宝物に対してか、それとも―――――、目前に奔る魔力の流れにか。

 

そして彼は(アイアス)が守護している間に言葉(じゅもん)を紡ぐ。

 

「―――I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

 

Steel is my body,and fire is my blood(血潮は鉄で、心は硝子)

 

I have created over a thousand blades(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

Unknown to Death(ただの一度も敗走はなく)

 

Nor known to lancer(ただの一度も理解されない)

 

Have withstood pain to creat many weapons(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う)

 

Yet,those heads will never hold anything(故に、その生涯に意味はなく)

 

So as I pray,UNLIMITED BLADE WORKS(その体は、きっと剣で出来ていた)

 

彼が詠唱を終えたとき、世界が塗り替えられた。

夜明け前の瑠璃色の空は、世紀末のような赤銅色に。

 

瓦礫と緑が広がる地上は、剣が無数に突き刺さる赤土の荒野に。

 

そして天と地の間には、巨大な歯車が出現していた。

その現象は固有結界、魔術協会に知られれば術者は封印指定にされ、彼らに捕まればホルマリン漬けにされること間違いなしの大禁呪。

魔術師たちにとっては最大級の奥義であり、魔術の到達点の究極の一。

その結界は術者―――いまはアーチャーだが―――の心象風景が、現実世界を侵食して具現化されたモノである。

 

その光景は英雄王にはどう見えたのか。

世界最古の王は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。

 

「――――固有結界。それが貴様の能力か……!」

 

「……ああ、だがここにある剣は全て贋作だ。

君にとっては取るにたらぬ存在ではないのかね?」

 

「ハ、身の程を弁えろよ雑種。

我は貴様との問答をする気はない。

ただ、真作と贋作の格の差を見せ付けるだけだ」

 

黄金のサーヴァントの背後から数多の宝具が出現し、目前の敵に照準を合わせるが、

 

「なに―――――!?」

 

赤い外套を着たサーヴァントは剣の丘からそれらの贋作を引き出して、英雄王の出した宝具と相殺する。

 

「そう驚くことはなかろう。

贋作が真作に打ち負けるという道理はない。

オマエが本物というのなら、私という偽者はソレの悉く(ことごとく)を凌駕してその存在を叩き落とそう…………!」

 

「ハッ、思い上がるなよ。フェイカー!」

 

百を超える真作が宝物庫の中から幾度となく外へ射出される。

しかしソレらは悉く偽物に相殺されて、砕け散る。

その間、アーチャーは黄金のサーヴァントと距離を詰めていく。

流石に不味いと思ったのか。

苦々しい顔をしながら、彼の英雄王は本気を出すことに決めた。

 

「ええい、業腹だが貴様はエアを使わなければならん相手らしい」

 

後ろから石柱のような奇怪な剣を取り出した。

それは見ただけで圧倒的な死の気配を感じさせる。

 

投影 開始(トレース・オン)

 

あの歪な剣の真名が発せられる前に倒さんと、アーチャーは干将莫耶を投影し黄金のサーヴァントの首に向かって投げつける。

 

だが。

 

その二刀は突然現れた盾によって進路を封じられ、地に落ちる。

 

「ではな、フェイカー。

貴様では我が乖離剣に到底太刀打ちできまい」

 

彼がエアと呼ぶ奇怪な剣の三つの円筒が回転し、風を巻き込み暴風を作り出す。

乖離剣エアが創成するは原初の地獄。

円筒の回転から溢れた旋風は、周囲の剣を巻き込み、町一つ消し飛ばしかねない竜巻を成す。

 

I am the born of my sword(体は剣で出来ている)

 

最速で工程を踏み、(アーチャー)の知る限り最硬の盾を造り上げる。

 

「“熾天覆う七つの円環(ローアイアス)”―――――――!」

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)――――――――!!!」

 

究極の一が作り出した暴風は、圧縮して鬩ぎ合い(せめぎあい)、擬似的な時空断層となってアーチャーに迫る。

 

「ハアァッ――――――!」

 

アーチャーは自身の盾に全神経・全魔力を集中し、烈帛の気合いで向かい打つ―――!

 

一枚目、二枚目、三枚目、四枚目、五枚目、六枚目。

 

だがその決死の気合いを嘲笑うかのように、乖離剣は容易く最硬の盾を紙のように破っていく。

 

伝説によると、かの『大神宣言(グングニル)』でさえ決して貫けなかったとされる七枚目までソレは侵攻した。

 

平坦だった荒野はさながらグランドキャニオンのようにヒビ割れ、アーチャーの魔力も盾に集中させているため、本来戦闘の影響を受けないはずの空には(ひび)が入り、浮いている歯車は所々欠けてきている。

そして、七枚目は未だに無事でもアーチャーの肉体は断層の影響から完全に免れたわけではない。

最後の盾の守護の範囲外、つまり体の内部。

盾に膨大な魔力を注いでいるため、それを制御する右腕は風前の灯のような状態であり、いつ破裂してもおかしくない。

無論、ソレが破裂すると同時に盾は消えて、アーチャーは終わる。

よって彼は、盾を維持するために魔力をこれ以上注いでも死に、さりとて魔力を注がなければ最後の盾が割れて死ぬという、まさに詰み、である。

 

「ぬ――――ぬぁあああああ……………!!!!」

 

それでも、アーチャーは諦めない。

『エアの攻撃は永遠に続くわけではない。七枚目が割れようが、腕が破裂しようが、その時にこの攻撃が止めば私たち(・・・)の勝ちだ』

 

すでに手は打ってある。

自分が耐えきれれば、英雄王を確実に倒すことが出来る。

その一点を希望とし、最後の盾に自身が今持っている全魔力を注ぎ込む―――――!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誉めてやるぞ、よくぞ我が乖離剣の一撃を耐え抜いた」

 

黄金のサーヴァントは宝物庫から剣を抜き、敵の首にそれを合わせる。

「よって、我手ずから殺してやる。

我にエアを使わせたことに満足して死ね、フェイカー」

瀕死のアーチャーに向かって剣を振り上げ――――、

 

「………妄想心音(ザバーニーヤ)

 

後ろから心臓を握り潰されたことによって、その行動は出来なくなった。

 

「アサシン………、オノレッ!」

 

「油断は大敵ですぞ、最古の王。

これで私たち、………いえ、私とマスターの勝ちですな」

 

「………どういうことだ、アサシン?」

 

「アーチャー、まだ意識がありましたか。

いや、これだけの傷を負って消滅していないということは、意識がないほうがおかしい」

 

「どういうことだと、訊いている」

 

「簡単なことですぞ。自陣の勢力は大きく、敵の勢力は小さい方がいい」

 

「貴様ら、凛に手を出すつもりか?」

 

「それは有り得ませんな。

貴方が死ぬ以上、私たちが彼女に手を出すことは有り得ない」

 

「ふん、暗殺者の言うことが信じられるか。

……いや、マスターの指示か」

 

「そういうことですぞ。

……意外なことにお二人ともしぶといですな。 私の予想では今頃どちらとも消えているは、ギッ!?」

 

「油断したな。

まったく、暗殺者風情が我を殺すなど片腹痛いわ」

 

「英雄王、貴様まだ動けるとはな。

案外タフじゃないか」

 

「我と我の財を嘗めるなよ、フェイカー。

あと、いくら暴れても無駄だぞ雑種。この鎖から貴様ごときは逃れることなど出来ぬ。

せめて散り様で我を興じさせよ」

 

黄金のサーヴァントが、暗殺者に向かって無数の剣を射出する。

「グ、ギギャァッーーーッーーーー!!!!」

 

人ならざる絶叫が響く。

絶叫に応じて剣の数は増し、その数に応じて絶叫は大きくなっていく。

 

 

そして剣の嵐が止むころには、アサシンの体はただの肉の塊と化していた。

 

「ふん、貴様はもしや道化ではと思ったが的外れか。

道化でもなくば、雑種でもない。ただの三流だ、つまらん」

 

「………………」

 

「さて、まだお前が残っていたな、フェイカー。

………我も貴様も現世に留まれる時間は残り少ないとみた。

ではアレのせいで遅くはなったが、引導を渡してやる」

 

黄金のサーヴァントは宝物庫から剣をもう一度引き出して、右手に持つ。

が、しかし。

 

「残念だったな、英雄王。

私にはもうこの体を維持することは無理らしい」

 

そう、彼――――赤い外套を着ていたアーチャーはとっくに消えてもおかしくない、むしろまだ現世に留っていることが不自然なのだ。

「貴様が我の許しなしで逝くだと?

ふざけるのも大概にするのだな、フェイカー。貴様は我手ずから殺すと決めている」

 

「いや、私が消えるのは君の宝具が原因だろう」

 

「フン、なら勝手に死ね」

 

「ああ、そうさせてもらうとしよう」

 

遠坂凛のサーヴァントも消え、瓦礫と化したアインツベルン城に残っているモノは英雄王ただ一人。

 

「……まさか全力では無かったとはいえ、本気のエアを防がれるとはな。

最後に止めを刺せなかったのは残念だが楽しませてもらったぞ、フェイカー」

 

そう、彼が消えたところを見ながら語りかける。

だが黄金のサーヴァントもまた、彼と同じように消えつつあった。

 

「綺礼よ。お前のことを最後まで見届けられぬが、目的を果たせるとよいな」

 

少なくとも、あの小僧が聖杯を手に入れるよりは面白い結末が見れるだろう、と笑う。

 

「だが、あの番犬が主を守ることは無理か」

 

あの狗の相手はセイバーだろう。

何かの間違いで彼女のマスターが相手になる可能性もあるが、あの雑種はそのような局面で危険な賭けをしないと、英雄王は見抜いていた。

 

「心残りがあるとすれば、セイバーに―――――」

三人の内、最後の一人が消滅した。

 




次回、~警察と愉快で優雅(笑)な逃走中~(仮)

お楽しみに!
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