ご期待には添えないかもしれませんが、一生懸命書いていくので、よろしくお願いいたします。
第四次聖杯戦争が終わってから1年たつ。同時にドイツのアインツベルン城から冬木市の深山町にある純和風建築の元武家屋敷に移り住んで半年たつ。
俺の目標は第五次聖杯戦争における大聖杯の破壊なわけだが、それまで残りあと九年だ。そろそろ大聖杯を破壊するために今の父である、衛宮切嗣から魔術とやらを教えてほしいのだが、何度説得しても納得してくれない。
よって俺は最後の手段として、衛宮家の養子となった衛宮士郎とともに、これから説得しにいくのだった。
☆―☆―☆
「父さん、頼む、俺に魔術を教えてくれ!」
ちなみに今の俺の状態は、縁側に座っている父に向かって直角にお辞儀をしている。我が人生でここまできれいなお辞儀は今までで一度もしたことがないぐらいである。
が、我らが父は首を横に振る。
「だめだ、魔術を生嗣に教えることはできない。」
この一点張りである。
だが今日は一つ、今までと違うところがある。
「じいさん、俺に魔術を教えてよ!」
そう、対父宝具衛宮士郎だ。
ふっふっふー、昨日俺が教えた上目遣いプラス小さい体を存分に生かした甘える仕草はこの親ばかには効果が抜群のはずだ!
「だめだ、二人に魔術を教えることはできない。」
よし! 勝っ……え?
「なんで、教えることができないのさ?」
と、口をすぼめて士郎が訊くと。
「普通に生活するのには、魔術なんて代物は必要ないからだよ」
そう言って、切嗣は街の方に行ってしまった。
☆―☆―☆
あれから二年間、二人で頼みこんだがなかなか魔術を教えてくれない。魔術を教えてくれないことにやや焦りつつも、諦めずにチャレンジしたら、
「しょうがない、そこまでいうなら、魔術を教えよう」
よし、やったぞ。今度こそ俺、いや俺たちの勝利だ!
「でもね。いいかい、二人とも、魔術を習うとは常識からかけ離れるということだ。死ぬときは死に、殺すときは殺す。僕たちの本質は生ではなく死だからね、魔術とは自らを滅ぼす道に他ならない」
それを知った上で魔術を習うか決めなさい。もしそれでも魔術を教わりたいというのなら、今からちょうど一時間後に土蔵に来なさい―――――、と言われた。
よく意味はまだわからないが、魔術を習っていくうちにわかるだろう。勿論きっかり一時間後、土蔵に直行した。
☆―☆―☆
士郎と一緒に土蔵の中へ入る。
「「おじゃまします」」
「じゃあそこに座って」
と言って、あちらこちら物品が散乱している中で、比較的きれいな床を指し示す。
「じゃあ二人とも、まずは自分が五大元素のどの属性に適正があるか調べてみようか」
「五大元素って?」
「いわゆる地水火風空といわれる大抵の魔術師が持つ属性だよ。ちなみに、僕は火と地の二重属性を持っているんだ」
風水のようなものだろうか。元の世界ではオカルト系にはあんまり詳しくなかったので、そんな属性なんて言われても分からない。
「「へー、そうなんだ」」
何が何だかサッパリ分からんが、いつか魔術を使いこなせる日はきっと来る。それまでは辛抱だ。
「じゃあ、調べてみようか」
☆―☆―☆
「生嗣は、風と火の二重属性で、士郎は、どれにも当てはまらないみたいだね」
あ、士郎は少ししょんぼりしている。
「でも心配はいらない。士郎の起源を調べてそれに従って魔力を引き出せばいい」
その後士郎の起源はどうやら『剣』であることが判明してから、俺と士郎は『強化』という魔術を鍛練することになった。どうやらそれは初歩の魔術らしい。
「じゃあ二人とも、強化の魔術の鍛練を始めようか」
そして、この時から毎回泣きたくなるような鍛練が始まった。
☆―☆―☆
そう言えば魔術刻印についての話を聞いたことがある。
確か、一族の後継者の証だかなんだか。
そう言えば父さんは魔術刻印を持っているのだろうか?
「父さん、魔術刻印って持ってる?」
父さんは少し目を見開いたあと、心なしか声をいつもの三割増しくらい震わせて、俺に問う。
「どうしてそのことを知っているんだい?」
「アハト翁から聞いたことがあるから」
そう、現アインツベルン当主のアハト翁から聞いたのだ。なぜアハト翁が俺に言ったのか真意は掴めないが、そんな疑問は魔術刻印への興味で吹き飛んだ。
「あのさ、俺に魔術刻印を移植してくれませんか?」
「……移植するのは、痛いぞ?」
「別に問題ないよ」
「移植してからも、移植した部分を切り落としたくなるくらい痛いぞ?」
「そんなの平気だよ」
すると切嗣父さんは何故かため息をつき、
「わかった、移植手術をしよう。」
と言って、説得することを諦めた。
俺はこのとき満面の笑みを浮かべたはずだ。
☆―☆―☆
魔術刻印の移植手術を決めた日から四年経ち、切嗣父さんは満足した微笑みでこの世を去った。
その日、俺と士郎は様々なことを話しあって夜を明かした。
自分としてはどういう理由かは知らないが、どうしても聞きたいことがあった。
「士郎、将来何になりたいんだ?」
「俺は―――正義の味方になりたい。誰かを助けて、誰も死なせないような正義の味方に」
「……そうか」
☆―☆―☆
もう、こちらの父が鬼籍に入ってから一ヶ月経つ。俺は本当の意味で今日、生まれて初めて教会に来た。
俺がなぜ教会に来ているかというと、今日はここでバザーがあるからだ。安く売られている服をゲットすれば、新町で売られている服より節約になる。
何はともあれ、なにがいいか確かめるのみである。
「ん?」
同じクラスの遠坂凛が、教会の前にいる。
いったい何の用事があって中に入っていくのだろうか?
面白そうなので、俺も中に入ってみることにした。
そうして教会の中に入ってみると、ちょうど遠坂さんと神父が奥に入るのが見えた。
もうここまで来たんだし、と自分に言い訳してから奥にも入ろうとした瞬間、威圧感のある神父に見つかった。
待ち伏せした、としか思えないような感じだ。
「ここには何の用で来た、少年」
「えっと……その、道に迷ってしまいまして~」
我ながら苦しい言い訳である。
「道に迷った、ということは目的地があるのだろう。どこに行こうとしたのだ?」
まずい、絶体絶命のピンチだ。誰でもいいからこの選択肢に迷える子羊を助けてくれ………!
「彼は同じクラスの衛宮生嗣。魔術師よ」
えっ、なにとんでもないことをバラしちゃってるの?
というか、俺は一度も「自分は魔術師です。今後ともよろしく」とか言ったことはないのに何故バレた?
「衛宮――――――――――生嗣」
なんだろう、この神父に悪寒を感じるのは気のせいだろうか。すごい背筋がゾクッとした気が。
「衛宮生嗣、君はどうしてここに来た?」
助けて遠坂、という万感の思いをこめて彼女を見るも、現実は常に残酷である。
「いったい何の用でここにきたのかしら?」
追い討ちをかけてきやがった。
よし、こうなったら覚悟をきめて、正直に事の次第を話すしかない。
「えっと、ここに来た理由は…………………、」
二人とも、そんなに見つめないでくれないか?
とても緊張して言い出しにくくなるから。
「ここに来た理由はなんなのよ?」
「そんなに溜めるとは余程重要な話のようだな、衛宮生嗣」
くっ、なんだこいつら、息ぴったしじゃねぇか……。
「…………面白そうだったからです」
「ほう、どのようなところに愉悦を感じたのかな?」
「えっいや、愉悦ではなく、興味」
「興味があってこその愉悦。興味とはすなわち、人の関心をそそる面白み。そして愉悦とは、それを楽しみ、悦ぶこと。つまり、興味と愉悦はつながっているのだよ」
「あぁ……、なるほどぉ……」
「どうだ少年、これから私と愉悦談義をするというのは。ついでに一食奢るが」
「止めておいたほうがいいわよ、こいつの説教はかなり長いんだから」
おお、助けがきた。そうだ、遠坂に聞きたいことがあったから聞いてしまおう。
「遠坂さん、何で俺が魔術師だってわかったんだ?」
「あなたから魔力を感じたからよ」
「もしかしたら遠坂さんって魔術師なのか?」
そしたら彼女は何故かため息をついた。心外だ、そんな呆れさせるようなコトは言ってないのだが。
「あのね、魔力を人から感じることができる人間が魔術師じゃないとおもう?」
「へぇ、そうなのか。そう言えば遠坂さんは、何で、教会の奥になんか来てるんだ?」
「私は綺礼の弟子なのよ。ま、コイツに魔術は習ってないけどね」
「…………?」
よく分からない。魔術の弟子では無かったら、他の何の弟子だというのか。剣ではないだろうし。
けれど、弟子を持てるぐらいの腕前は有るはずだから頼んで損は無いと思いたい。
「言峰神父、俺を弟子にしてくれませんか?」
「ほう、それは何故だ」
「なんというか、今俺がやっている鍛練は間違っているような気がしまして……。だから、言峰神父と遠坂さんに診てもらって、それが間違っているのなら、合っている方法を教えて頂きたいんです」
毎晩あんな痛い目に遭いたくないというのが本音だが、魔術師は皆大変な思いをしていると門前払いされたら困る。
それに、鍛練の方法が間違っているという確証は無いが、無いのだが、無いけれど、たぶん間違っているに違いない、きっと。
「何で私も見なきゃいけないの?」
「なんとなく、神父一人だと嫌な予感がするので」
「そうね、確かにコイツ一人だと不安よね」
「ひどい言われようだな。まあいいだろう、ではまず、ソレを見ようじゃないか」
「つまり、弟子にしてくれるってことですか?」
「出来によってな。私に教えることが何もなかったら弟子にはしない」
「はい、わかりました。言峰神父」
「では、早速その鍛練方法とやらを見せてくれ」
☆―☆―☆
「これはひどい鍛練法だな。これをよく続ける気になったものだ」
「この方法しか知らなかったので……」
「まったく遠回りにも程があるわよ! あなたの我流なの、これは?」
「いや、前の師匠から教えてもらった方法だ」
「あなたの師匠は魔術を教える気がなかったんじゃないの?」
「そうだな、魔術を教えてくれと言ってもなかなか教えてくれなかった」
「はい、これ飲んで」
遠坂はため息を吐きつつ、ドロップのようなものを俺にさしだした。なめてみるが、何の味もしない。飴というよりか石の感触がする。
それでもなかなか小さくならないので、飲みこむ。
「本当は薬を使うのがいいのだけど、もう手遅れみたいだから」
「まて、今飲ませたのってなんだ?」
「宝石に決まっているじゃない」
「宝石!? 何だってこんなものを飲ませたんだ!?」
「あなた今まで魔術をつかうのに一々魔術回路をつくっていたでしょう? 本来だったら、魔術回路は1回つくったら、今度はそれを切り替える鍛練をするのよ。
だけどあなたの師匠はそれをしなかった」
「そうだったのか」
「そろそろ宝石が溶けるころね、気合い入れたほうがいいわよ、じゃないと、気絶するから」
「気絶って、物騒d……………!?」
体が熱くなり、手足が麻痺していく。
俺はこの状態を知っている。魔術回路の作成に失敗したときの状態だ。
「おま……、これ…………」
少しでも、気を抜いたら、本当に気絶しそうだ。
「大丈夫、苦しいでしょうけど、今の状態を維持してゆけば、少しずつ楽になるわ。もっとも二、三週間はその熱っぽさは抜けないだろうけど」
何か言い返したいがそんな余裕はない。
「いい、衛宮くん。あなたの魔術回路は長年違ったて鍛練をしたあなたのスイッチはずっと閉じている。そうなると、こうなっちゃうと、力づくでこじ開けて、あなたの体の中に『スイッチ』があるって知らせなきゃいけないのよ」
「今の宝石はね、スイッチを強制的にオンにするものよ。オフにしたかったら、自分の力でオフにするしかない。それが出来たのなら、後は宝石の力なんていらないわ。以後は比較的簡単な精神の作用で貴方は魔術回路を操れるようになる」
少しずつ楽になってきたぞ。今ならもう話せるかもしれない。
「具体的にスイッチのオフって、どうやるんだ?」
「あら、もうしゃべれるようになったの。意外と早く元に戻れるかもね。スイッチそのものは、体が、速く楽になろうってしてくれるから、後はあなたの意志でそのスピードをはやくするだけ。簡単でしょ?」
「いや……だが、スイッチって言われても実感わかないぞ? おれ」
「今はそうかもしれないけど、そのうち明確にイメージできるようになるわ。頭の中で明確にスイッチのイメージができたら、後はそれを切り替えるだけで簡単に魔術回路を開けるようになるわ」
「わかった。ありがとうな、遠坂」
そういうと遠坂は顔を背けてしまった。
「話は終わったかな、凛」
「ええ、終わったわよ。……アンタ、途中から空気だったわね」
「遠坂、宝石を一つもらえないか?」
「なんでよ?」
「うちに士郎っていう魔術師がいてな、そいつもさっきの俺と同じ状態なんだよ」
「えっ、あいつも魔術師だったの!?」
「そうだけど、どうかしたのか?」
「いえ……、なんでもないわ」
「だから、今のことを士郎に教えたいんだ。だめか?」
「彼には私が直接教えるわ。だってあなた、頼りないもの」
うっ……、自覚していたけど面と向かって言われるときついなぁ。
「家の場所は知っているからついて来なくていいわよ。あなたは、綺礼に八極拳を習いなさい」
「えっあっうん、わかった」
なぜ家の場所を知っているかとか聞きたいことはあるが、もう遠坂は韋駄天のような速さでいってしまった。
「凛に頼まれては仕方がない、八極拳を教えよう」
仕方がないとか言いつつ嬉しそうにしているのはなぜだろう?
「だが、もう昼だ。どうだ、八極拳を教える前に泰山の麻婆豆腐を食べるというのは。無論、私がおごろう」
「師匠、ありがとうございます」
だがこの選択を俺は泰山で麻婆豆腐を食べたとき、後悔することになるのだった。
☆―☆―☆
そして三年後、俺は命の危機を迎えることになる。
第4話から第5次聖杯戦争を書く予定です。