とある転生者の試練   作:雷灯かがり

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予約投稿は便利。はっきり分かんだね。


とある魔術の禁書目録編
プロローグ


松明一万個を一点に集中、圧縮させたせいで起きた、白い爆発のごとき光が視界を奪う。

この空間に時間の概念があるか知らないが、その極光のごとき光の連続は時を経るごとに明滅する閃光に変化し、最終的には眼を細める程度の燐光となった。

唐突かつ刹那的な思考のふけりだが、ここでは五感のうち聴覚と視覚のみが使用できる。前者は神様とやらの声を聴くため。後者が利用可能な理由はないと思うのだが、あえて言うならば、それは不安にさせないためだろう。触覚、嗅覚、味覚、そして視覚はこの部屋において意味をなさない。触れるものは無いし、嗅ぐものもないし、味わうものも、さらに見るべきものも無いからだ。だが、見るべきものが無くとも、今まで見えて当たり前だったはずの景色が見えなくなるのは、考えるまでもなく精神にくる。

よって、聴覚を除いた五感のうち、視覚しか使えないのは精神にダメージが来るため。証明完了。

さて、こんな思考の暇つぶしをしているのには訳がある。第一の試練を突破し、意気揚々と凱旋してきた俺を待っているはずの神が鎮座していないためだ。

十六年以上異世界で頑張った俺を労うどころか待ってすらいないのは人として、いや神としてそれはどうか。

……それは一旦思考の片隅に置いといて、新たな暇つぶしとして次の試練について考えよう。確か第二の試練は、とあるシリーズこと《とある魔術の禁書目録》。さっきまでいた世界と構造や理論こそ異なるが、魔術が実在する世界だ。初期は主人公の人数は一人で、チンピラに絡まれたり第三位(メインヒロイン)に電撃を飛ばされたり魔術師と死闘を繰り広げたりと、比較的規模は小さくマトモだったが、巻を進めると、主人公が三人に増えたりその全員が戦争に参戦したりアクセロリータを除いてハーレムしたり世界終わったりハーレムしたりするカオス時空と化したライトノベルである。

その世界では、一部の例外を除いて、生まれつき持っている幸運値に全てが左右される。不運な星のもとで生まれたら、上半身と下半身を真っ二つにされたり肥溜めになったりと、ひどい最期を迎えてしまう超一級危険地帯だ。

原作知識の記憶が復活したのでfate時空もかなり危険だと改めて思い知ったが、とある時空は別ベクトルでヤバイ。魔術サイドもヤバイが、科学サイドの闇もえげつない。ミキサーにかけられるのが普通とか何それ怖すぎ。

そんなわけで、死なないこと最優先で次の異世界も張り切っていこーう!

 

『いや、すまんすまん遅れた。fgoのイベントに熱中しすぎてお前が来たことに気付かなかったわ。

つーか今回のビースト、バフ多過ぎ。KP(カルマファージ)がそんな重要なものだと知っていればクエスト最初から周回したのに。ま、メルト来たから良しとする』

 

神様死すべし慈悲はない。

 

『ひどっ! 遅刻したくらいでそれはないよ!」

遅刻は少ししか気にしてない。

平行世界からあいつを送り込むとか絶許案件。

『いや、僕が送り込んだお陰で結果的に運命は良く回ったじゃないか。うっかりで殺しかけたお主に言われたくはないぞ』

 

――――あの《球体》は音声送信のための媒体か。本体の姿は、またしても見れず仕舞いだ。

てか神様もスマホゲーしてるのか。どんなアカウントを使ってプレイしてるのか。それ以前に、契約とかの問題があるだろうに、一体どうやって。

 

『都合が悪くなったからって、無視すんなよぉー。まーいいかー。高度を上げるだけだしー。

えーっとー、質問への答えだがー。

お主のブツを複製したー。充電とかも問題ないー、雷神達が供給してるしネー。

そもそもー、ここの空間次元は《比較》の獣と同じような原理ー。干渉する他の次元より一次元高くなる結界が働いているのでー、基本あらゆるトコロからも察知されないのだー。よってー、あらゆる問題は全てオールクリアーされるー。アンダスタンー?」

 

今度は脱力系か。(せわ)しないな。

で、そんな(どうでもいい)ことよりも、早く次の試練に移りたい。いや、複製したとか何とか無視しておけないことを聞いてしまったが、そんなことは後回しだ。

 

『気が早いっスね。茶は出せないケド、ゆっくりしていけばイイのに。まぁいっカ』

 

ゴホン、と咳払いしてから神は続きを話す。

 

『ザックリ言うと、次の試練は聖杯探索。《とある》の世界のどこかにある聖杯を探して願いを叶える感じ。試練を続けるでもいいし、巨万の富を望んであちらの世界で優雅に過ごすのも良し。

もっとも、辿り着けずに野垂れ死ぬ確率が八割越えてるから求めないほうが賢明さ』

 

『ヒント無しってのは絶対死ぬから、何かしらの形で助け船は出すし、記憶の一時消去もなしだ。ついでに、特典として《聖人》の力を渡そう。それで九……じゃなくて、八割』

 

『くれぐれも簡単に死んでくれるなよ。うむ、これをもって黄泉路への餞別とする』

 

視界を光芒が覆う。

隙間は消えていき、完全にホワイトアウトする。

その前に。

 

『死への罠は用意した。転移先も特典も肉体も設定した、異常なし問題なし。今回は赤ん坊のスタートではなく、少年期から始まる試練だ。まずは、社会的に死ぬがよい―――――』

 

 

 

 

 

☆ー☆ー☆

 

 

 

 

風が頬を切り裂く。

圧が内臓を圧迫し、猛烈な吐き気に襲われる。

ひとは矮小であるが、徐々に大きな存在となる。

どこに着くか不明だが、クッションあれば良し。

いつ陸に到達するか。自由落下(フリーフォール)はもう勘弁して。

「泣いていいかな?」

 

あまりの事に悲鳴も恨み言も出ない。

いったい俺が何をしたと。

つい、無視してしまっただけじゃないか。

許してとは言わない、しかし。

せまる脅威(衝突)を何とかしてくれませんか!

んぐ……っ! 口を開けたせいで空気が喉にっ!

 

「ガホッ、衝突までカウン、のこ、十びょ」

 

舌を噛んだ。

ヒリヒリするが、これからの痛みに比べれば。

「ご……、ギッ、ッ、さン」

 

やらないよりはマシと、受け身の姿勢をとる。

「いち、ゼロ」

 

煉瓦が舞う。

俺も舞う。

石畳の道をゴロゴロ転がり、三十メートルくらいでようやく止まった。

 

「俺、生きてる…………?」

ジンジンとカラダの内側が痛む。

骨が何本か逝ったが、構わない。生きているだけで儲けもんだ。

朧気としていた意識と、明滅していた視覚が回復していく。顔は腕を折ったのを代償に無傷。眼を擦って、パチパチとまばたきする。

 

「んんん……………?」

 

女子に囲まれているでござる。

それだけなら悪くない、むしろ良い。

だが物騒なことに、炎やら氷やら悲鳴やらが飛んできているのは気のせい―――ではない、残念ながら。

「病い………いや、待て、まさか」

 

戸籍が無いのでは。

神はそれについて言ってなかったし、希望を捨てるのはまだ早いが、その可能性はある。

お金も無いのでは。

ズボンのポケットを漁っても出てこない。カバンもない。ないないずくしだ。

一人慌てていたら、何者かに声を掛けられた。

その人はリモコンのボタンを押すと言った。

「貴方が女の園への侵入者ねえ? 悪いけどお、一回捕まってもらうわあ」

 

暗転。

金髪、星の眼。

最後にそれらが瞳に映る。

学園都市第五位の超能力者。食蜂操祈は、まるで小悪魔のような笑みを浮かべた。

 

 




聖杯ゲットだぜ!
ってなわけで始まったぜ《とある》編。
着陸するとそこは聖杯と縁もゆかりも無さそうな学園都市。そこで見目麗しき女子に囲まれ、一瞬で捕まってしまう。
うん、字面だけ見ると羨ましいな(白目)!

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