「おお、アイズたん。リヴェリアよう来たな!」
ロキが満面の笑みで二人を出迎えた。
「単刀直入に...アイズたん。ステイタス更新するで!」
アイズは首をかしげる。それもそのはず、アイズは先日の遠征の後にステイタスを更新したばかりである。経験を積まなければステイタスは上がらない。まだ更新してから何の経験も積んでいないアイズのステイタスを更新する意味はない。
「いいけど...なんで?」
「まあまあええから更新しよー」
アイズは若干不安になりながらも傍にリヴェリアがいることから何かしらの理由があるんだと思うことにした。
服を脱ぎ上半身裸になったままベットにうつ伏せになる。染み一つない美しい肌。均整のとれたすばらしい肉体である。
「おおっと...手がすべっっいだぁーー」
ロキがいやらしい笑みを浮かべてアイズの体を弄ろうと手を出したとき背後からリヴェリアの手刀が脳天に突き刺さる。ロキは目に涙を浮かべて頭を押さえてリヴェリアに抗議する。
「なにすんねんリヴェリアぁー。頭割れるとこやったやないか」
「お前がアイズに如何わしい事をしようとするからだ」
リヴェリアママは厳しいのである。
ぶーぶーいいながらロキが自分の手に針を刺しアイズのステイタスの更新を行う。
滑稽な顔をしたピエロのエンブレムが浮かび上がる。
「さてさてステイタスは...やっぱりウチの予想通りや。見てみいやリヴェリア」
・
・風の力を己の体に付与することにより身体能力向上
・風を体に纏い攻撃力上昇 防御力上昇
・
「同調というのが追加されているな。同調か...ただ同時に詠唱すればいいのか、それとも何か他に発動条件があるのかこれだけでは判断できないな」
「ロキ...何かあったの?」
ロキとリヴェリアの二人だけで話しているのを不審に思いアイズが声をかける。それにいつまでも上半身裸なのは恥ずかしいようだ...
「おお、アイズたん。これ見いや!」
そういうとアイズのステイタスを記した羊皮紙を手渡した。アイズは上から順にステイタスを確認していき特に変わっていないステイタスを眺めた。魔法のところまでいった段階でピタッと止まる。
「ロキ、同調ってなに?」
「驚いたやろ!アイズたん。実はな...アイズたんにいってなかったんやけど豊穣の女主人でアイズたんがベルに抱き着いたん覚えとる?その時な...」
アイズはベルに抱き着いたという単語を聞いた瞬間顔を赤くしてボフっと枕に顔を埋めて足をバタバタさせて悶えている。
「おーいアイズたん...聞いてやーーー」
アイズは羞恥のあまり涙目で上目使いでロキを見上げる。
(アイズたんその表情絶対男の前でしたらあかんやつや。か...かわいすぎるぅぅぅぅ!)
ロキは萌えーーー!と叫ぶのをなんとかこらえた。
リヴェリアはベルと出会ってからのアイズに今までにないくらいの変化が起きている事に驚きを隠せないでいた。ただ強さを求めるあまり自分の感情をころしていたアイズがこんなにも感情を表に出すなんて考えられない事だった。
(ベルには本当に感謝をしなければならないな。母親代わりとしてアイズを見てきたが...私達ではできなかったことをベルはほんの少しの時間でアイズを変えてくれた。ベル...お礼でというのも変な話だが最大限お前の力になろう...)
「大丈夫かいなアイズたん...んじゃあ説明の続きやけどあの時ベルからアイズたんに。アイズたんからベルに魔力が流れ込んでいたんや。それがこの魔法に反映しているみたいなんよ」
「ベルから私に...?」
「ああそうだ。アイズはこの同調という単語をみて何か思うことはないか?」
んーと考えているアイズであったがわからないようだ。
「ふむ。アイズでもわからないか...まあ明日ベルの魔法と一緒に確認してみよう。」
「ん...わかった。」
「んじゃあウチからの用事は以上や。明日はウチも魔法見に行くさかいよろしく頼むでぇ」
アイズとリヴェリアは頷いてロキの部屋を出て行った。
ロキは自分のベッドに身を投げて目を瞑る。
(ゼウスよ...ベルはさすがあの英雄達の子供やで。あの子の意志の強さは半端やない。だけどまだまだこれからや...あの子はウチが絶対守ったる。だから安心しいや...)
夜がふけていく...
翌日 ベルの部屋
コンコン...遠慮がちにベルの部屋の扉がノックされる。
「ベル...起きてる?」
現在の時刻AM5時ベルはまだ寝ている。顔色も良くただ寝ているだけのようだ。ロキファミリアの朝食は朝7時からなのでまだ大分はやい。なぜアイズがこんな早く来たかというと...
「うーん...むにゃむにゃ...」
このベルの寝顔をを見るためである。あどけない寝顔は見ているだけで心が癒されるようだ。
おもむろにアイズはベルの頬を指でつつく
「うーん...」
(ベル...かわいい...)
そうしてしばらくの間アイズはベルの寝顔を堪能した。
AM6時
「んん...」
「ベル、おはよう」
「んー...おはようございます。アイズさん...ってええ!?ななななんでアイズさんがここに!?」
がばっとベルが起き上がる。
「んと...ベルはまだ黄昏の館の中のこと知らないと思ったから...案内してあげようかなって...」
大声に多少驚いたアイズであったが特に気にすることなく会話を続ける。
「あ...ああそういうことだったんですか。すみません大きな声出してしまって」
ぺこりとベルはアイズに頭を下げる。
「ん...気にしないで。私が早く来たかっただけだから」
「あの...着替えるので少し後ろを向いていてもらえますか?」
アイズはわかったとうなづき後ろを向いた。かちゃかちゃしゅるしゅると着替えの音が聞こえる。
アイズはドキドキする胸を押さえ首をかしげている。
(ちょっと照れくさい...かな)
「お待たせしました。アイズさん」
「大丈夫...じゃあ行こっか」
部屋を二人で出て黄昏の館内を歩き回る。ロキの部屋。フィンやリヴェリアの執務室。武器や防具が置いてある倉庫。中庭。図書室。いろいろな場所を案内したもらったベル。たまにすれ違う団員達に挨拶を行う。ベルの元気のいいあいさつに団員達も表情をやわらかくし挨拶を返してくれる。ただ隣のアイズのベルを眺める優しい笑顔に皆驚愕する。
(((あの無表情なアイズが笑っている...)))
それほどまでにアイズは今まで感情を表に出してこなかったのだ。
「ベル。そろそろ食事の時間になるから行こうか」
アイズはベルの手をとって食堂に入って行った。食堂に入るとすでに大勢の団員達が席についておりそれぞれ談笑していた。アイズがベルの手を引いている姿を見ても最初は驚いていたが皆微笑ましく眺めていた。
しかし一部の数人が険しい表情で眺めている。アイズ親衛隊の面々だ。アイズ親衛隊隊長であるレフィーヤ ・ウィリディス レベル3の冒険者にてリヴェリアの愛弟子でありロキファミリアの準幹部を務めている猛者だ。基本的に準幹部はレベル4からであるがレフィーヤの場合魔力に特化しており魔法の威力のみだとリヴェリアに匹敵することもあり準幹部を努めているのだ。
そんな彼女であるが彼女は美しく強いアイズを心から崇拝していた。遠征で危ないところをアイズに何回も助けられたこともあり彼女はアイズの心を少しでも癒そうと何年も前から積極的に行動してきた。それでもほとんどアイズに変化は見られなかった。
(あの少年に感謝はしている...アイズさんのあんな笑顔今まで見たことない。でも悔しい...私だってアイズさんの力になりたいな...)
レフィーヤはベルを認めてはいるが複雑な心境のようだ...
アイズはベルと一緒にフィン達のいるテーブルに座った。
フィンはベルとアイズが来たことを確認して席を立って団員全員に向かってベルを紹介した。
「皆、朝食の前に紹介したい人物がいる。知っている者も多いかと思うが昨日僕の入団試験を突破して正式に僕達ロキファミリアの仲間になったベル・クラネルだ。皆これから同じファミリアの仲間として仲良くしてやってほしい。じゃあベル。一言いいかな」
ベルはフィンが話し始めた瞬間に瞬時にフィンの隣に立ち緊張からかプルプルしていた。
「はっっはい。ベル・クラネルといいます。まだわからないことだらけですしご迷惑をかけてしまうかもしれませんがこれからよろしくお願いいたします」
ぺこりと頭を下げた。
「よろしくなぁベル!」
「ベルかわいいぃー」
「一緒に頑張ろうぜ!」
団員達から多くの声が寄せられる。
「ではこれからベルにはパーティを組んでもらおうと思うんだが...」
ロキファミリアではレベル毎や攻略する階層毎に安全面を考慮して数人単位でパーティを組むシステムになっている。
「ベル俺のパーティ入れよ!」
「駄目よ!ベル!私らのパーティに入るよね!?」
「いや俺たちのパーティーに...」
レベル1 レベル2 レベル3の団員達も自分たちのパーティにベルを入れたい。ベルと一緒に冒険したいと考えていた。フィンとの熱い攻防をみたものはみんなベルに興味津々である。
皆が盛り上がっている中アイズがすっと立ち上がりベルの後ろまで行きおもむろにベルを後ろから抱きしめた。
(!?ああああアイズさん!?何を...背中に柔らかいものが...)
ベルは顔を真っ赤にして硬直している。
アイズはきっぱりと宣言した。
「ベルはしばらくの間私が面倒をみるって約束しているから...私がパーティーを組む」
(((な...なにぃーーー!?)))
幹部達はわかっていたことであるが他の団員達はレベル5であるアイズが直々にベルの面倒をみるなど想像もしていなかった。ただ アイズの一言で場の空気は完全に変わりベルを欲しがっていた面々もアイズに意見する気にはなれず諦めるのであった。
まだアイズのオラリオでの人気や実力を正確にわかっていないベルは今自分がどんな状況に置かれているかがよくわかっていないようだ。
(ぐぎぎ...ウチらもまだ一緒に鍛錬してもらったことないのに...くやしぃー)
アイズ親衛隊副隊長であるリリーアルトリア レベル2の冒険者だ。彼女の種族はアマゾネス 彼女はアマゾネスにしては珍しく男より女が好きという感性の持ち主である。そして強く美しいアイズに恋をしていた。故に彼女の心の中はベルに対する嫉妬の嵐が巻き起こっていた。彼女がベルを認める日は来るのであろうか...
ベルは朝食の間中他の団員達にいじられアイズとの関係を聞かれ照れたり慌てたり忙しかった...
朝食も終わりリヴェリアがロキとともにベルの元に来た。
「ベル、これからお前の魔法の確認を行いたいんだが予定は大丈夫か?」
「はい!アイズさんから聞いていたので大丈夫です。リヴェリアさん!僕魔法に憧れていたんですごく楽しみなんです!」
ベルはにぱぁと満面の笑みを浮かべる。
(うっっ...この笑顔は母性本能をくすぐるな...アイズの手前抱きしめたくなるのは堪えなくては)
リヴェリアはベルの頭に手を置いてわしゃわしゃ撫でてからついてこいとにやにやしているロキの腕を掴んで訓練所に歩いて行った。
アイズは意識してかしないでかわからないがベルの手をしっかり握ってその後を追いかけて行った。
訓練所まで行く最中に唐突にロキが声をあげる。
「そやベル!訓練するのにそんな服装じゃいかんやろ。この前ファイたんが自分とこの団員が造った試作防具何個か置いていったからそん中から好きなの選んでいいでー!」
「ええ!?いいんですか!?ファイたんってあのヘファイストス様ですよね...高いんじゃ...」
ベルもヘファイストスファミリア製の武器や防具が高額なのは知っている。遠慮するのも無理はない。
「大丈夫やでー!今回持ってきたんはまだまだ駆け出しの作品や。ファイたんところはどんどん防具や武器を造らせて眷属に機会を与えるようにしてるんや」
それでも遠慮しているベルであるが、家族の安全を守る為やからというロキの言葉に納得した。
倉庫内には様々な防具が置いてあった何かの皮で造られた防具、重厚なプレートメイル、籠手などもある。
その中でもベルは一番隅に置いてある防具が気になった。手に取ってみると何故かしっくりくる気がした。
「なんやベル...そのライトアーマーが気に入ったんか?んじゃあ装備してみようや!」
ベルが頷く。
(これは製作者のサインかな?えーと...
防具の名前のセンスがベルには理解できなかった、ロキは名前を見て大爆笑している。
(名前はともかくとりあえず装備してみよう)
「ほう...似合っているじゃないかベル」
「うん...私もいいと思う」
「ウチもいいと思うで!
ロキはつぼに入ったらしくまだ笑っている。
(この防具軽いし動きやすいな...ヴェルフ・クロッゾかぁーどこかで会ってみたいな)
「その防具気に入ったんなら今度ウチと一緒にファイたんとこ行って会ってみよか!自分が気に入った防具作ってくれる人物は貴重やで」
「その時は私も一緒に行く」
アイズもベルの身を護る防具なので心配しているようだ。
「では防具も装備したし行こうか」
リヴェリアを先頭に再び訓練所に向かい歩き出した。
訓練所
「アイズ。まずはベルにおまえの魔法を見せてやれ。その方がいいだろう」
アイズは頷くと詠唱を行った。
「
アイズの周囲に風が生まれ美しい金髪が風になびく。
「すごい...これがアイズさんの魔法なんだ...英雄禄に出てくる風の精霊みたいにきれい」
ベルの素直な感想にアイズが恥ずかしそうに頬を染める。
「コホン...それではベル。詠唱はわかっているな?我々もついているから安心して唱えてみるといい」
「ベルの魔法どんなもんやろな」
ロキも興味津々だ。
ベルは一度深く深呼吸をして魔法を詠唱する。
「
ベルの周囲に雷が生まれバチバチと音を立てて放電する。ベルの髪の毛も逆立ち気味になる。
(す...すごい。これが僕の魔法...全身の感覚が研ぎ澄まされているようだ)
「おお...すごいやんベル!」
「ふむ。やはりアイズと同系統の補助呪文のようだな」
小声
「ベル...かっこいい...」
「さて、問題はここからだ。
リヴェリアは腕組みをして考え込む。同じ空間で魔法を使うということではないようだ。もしそうなら何かしらの変化が二人に見られるはずだがそんな様子はない。
「んー二人同時に詠唱するんとちゃう?」
ロキが提案する。他のメンバーもなるほどっと納得したようだ。
「じゃあ一回魔法を解除する...ベル大丈夫?」
「大丈夫ですアイズさん。思った通りにできるみたいです」
ベルはなんなく魔法を解除してみせた。初めて使った割にはうまく魔法を制御できているようだ。
「じゃあ同時に詠唱するけどいい?いくよ?」
「はい!」
「せーの【【
特に二人の魔法に変化は見られない。うーんと皆悩み始める。
「んと...もしかしたら心を...気持ちを同調させるってことなのかも...」
「なるほど!心の同調ということか。やってみる価値はあるな」
気持ちの同調...お互いを想う気持ちということだろうか。とりあえず試にということでやってみた。
「ええと...僕はどうすれば...」
「ベルはえと...あの時いってくれたよね...?」
ベルは首をかしげる。
「あの時っていつのことですかアイズさん?」
アイズは照れてもじもじしながら言った。
「あの...私の英雄になるっていってくれたよね?」
ベルはボンっと赤面した。アイズの英雄になる...ベルの心の奥底からの想いである。
「はい...え...えと...僕はアイズさんの英雄になりたい...です」
あの恥ずかしいセリフをもう一度いうのはとんだ羞恥プレイである。
(ええーなんやねんこの空気...ウチまで恥ずかしくなってくるわ...)
(母親代わりとして私はこの状況をどうしたらいいのだ...アイズ...成長したな...)
「私もね...ベル...もっと強くなってベルの事を護りたいの。私も...ベルの英雄になりたい。一緒に強くなろ?」
「...はい!アイズさん!」
二人は手を重ね合わせた。
二人を静寂が包む。お互いの瞳を見つめ合い精神を集中させる。
「これは...くるぞロキ...何が起こるかわからないから私の後ろにいろ」
ロキも何かを感じ取ったようで素直にリヴェリアの後ろに隠れた。
「「【【
ドォーンと衝撃が走る。ビシッバリバリバリッッッ
アイズとベルを中心に嵐が巻き起こり雷が訓練所の壁に何本ものヒビを入れる。
「ちょおおおーーいなんやねんこの魔法!!アイズとベルは大丈夫なん!?ってかリヴェリアの後ろにいなかったら下手したらウチ死んでるやん...危なー...」
「なるほど...アイズとベルの魔法が混ざり合いすさまじい威力になってるな。しかし発動しただけでこの威力か...全力の魔力を込めたらどんな威力になるやら」
リヴェリアは自身の杖で雷を捌いてロキを護りながら冷静に状況を分析していた。暴風が巻き起こっているがそこはレベル6の冒険者である。しっかりと踏ん張っている。ロキは必至の形相でリヴェリアのマントにしがみついている。
「すごい...私の魔法の威力より遥かに強い...でもこの魔法今の私でもうまく扱えないかも...」
アイズは自身の体をみてこの魔法の威力を大まかに理解する。
「あれ...私でも扱えないくらいの威力なのにベルは...」
目の前のベルに目を向けるとベルは俯いて動く気配がない...
「ベル...?大丈夫...?」
「....うう....」
ぶしゅっとベルの全身から血が吹き出し魔法が解除されその場に崩れ落ちた。
「ベル!?」
アイズも魔法を解除しベルに駆け寄る。
「ベル、ベル大丈夫!?リヴェリア...ベルが...」
「落ち着けアイズ。」
リヴェリアは回復魔法を使ってベルのケガを治療する。
「すまないベル...私が失念していた...ベルはまだレベル1。レベル5のアイズの魔力がお前に流れ込んだらこうなるのは必然だったな...」
考えても見てほしい。レベル1のベルという器を水の入った風船に例えよう。レベル5のアイズを水の入った25メートルプールに例える。風船の中にそのプールの水を入れたらもちろん風船は破裂する。
今回はアイズが無意識的に魔力を抑えた為この程度ですんでいた。
「ベルの傷は治った。今はマインドダウンで意識を失っているだけだ。この魔法はしばらくの間使用を禁止した方がいいな。少なくともベルがレベル2...いやレベル3になるまで待った方がいいだろう」
アイズはリヴェリアの言葉を聞きながら涙をながしてうなずいた。
「ごめん...ごめんねベル...リヴェリア、私ベルに償いをしたい...どうすればいい?」
「アイズ。お前が謝ることはない。この魔法の威力を侮っていた私の責任だ...本当にすまない。ただ償いをしたいとおまえが思うのならこれをしてやれ...お前のなら嫌がる男などいないだろう」
そういうとリヴェリアはアイズに耳打ちをした。
「そんなことで償いになるの?わかったやってみる。」
「ロキ、我々は席をはずそう。ベルの魔法のことは私からフィン達に伝えておこう。それにこの有様では訓練場の強化をしなければまずいということがわかった。そちらの手配も私がしておこう」
訓練場の壁は先ほどの魔法の威力でボロボロになっていた。
「そやなーすまんなベル。ウチも調子に乗ってたわ...ウチもなんかお詫び考えとくで」
そういうとロキとリヴェリアは訓練場を後にした。
アイズはリヴェリアにいわれたとおりベルの頭を自分の膝に乗せ膝枕する。
ベルはマインドダウンの影響で苦しそうな表情をしていたがアイズが膝枕をし髪をなでていると次第に表情が柔らかくなりすやすやと寝息をたてはじめた。
(よかった...ベルの顔色よくなってきた...。)
しばらくの間そのままベルの頭をゆったりと撫でながら時間を過ごした。
「うーん...」
ベルの目がうっすら開かれる。
(いい匂い...なつかしい匂いがする)
「お...お母さん...?」
「ごめんね、私はベルのお母さんじゃないよ?」
「!!あ...アイズさん!僕はいったい...う...」
まだマインドダウンの後遺症で頭がくらくらするようだ。
自分の置かれている状況に気が付いて動こうとしたがまだ動けないようだ。
「いいよベル...もう少し寝ていて?」
アイズも自分のしている行為が恥ずかしく思え頬を赤く染めるがそのまま膝枕を続けた。
「う...すみません。アイズさん。もう少しだけこのままでいいですか?」
アイズはこくんと頷きそのまま膝枕を続けた。
アイズ達の魔法を見ていたもの達がいた。ロキファミリアの幹部達だ。
「ベルとアイズすごいね!あんな威力の魔法実際に戦ったらどうなるんだろ?」
「けっっ、ベルを見ろよ?アイズの魔力に負けていやがる。今のままじゃ使えねえだろ」
小声
「ったく無理すんじゃねえよ...」
「ベートも素直じゃないねぇ全く...しかしベルがこのまま強くなったらきっと僕やアイズをも超える存在になるだろう」
ベートの声が聞こえていたフィンは苦笑していた。
「私たちも強くならなきゃね!」
ククリ刀を振り回しながらティオネが気合を入れる。
「ふむ。儂らもベルに抜かれないようにせねばな。誰か稽古をつけてやろう!」
やるーとティオナが嬉しそうに手を挙げる。
「久しぶりに僕も本気でやろうかな...ベート!相手をしてくれないか?」
「フィンが相手なら本気でつぶしにいくぜ?」
いいだろうっとフィンが答える。団長私もっとティオネも手を挙げる。
それでは準備をして後で集まろう...団員達は頷いてそれぞれ準備に向かった...
読んでいただいている皆様いつもありがとうございます。
今回は多少長くなってしまいましたがロキファミリアのみんなにベルを紹介してユニゾン魔法を試しました。
このユニゾン魔法 ロキが命名しようと考えているようですがルビ付きで何にしようか検討中です 疾風迅雷とかいいかなと考えています。
次回は日常系かオラリオの案内かベルの訓練かそのあたりを描きたいと思います。
こんな場面のシーンのイラストが見たいって要望ありましたら検討します。