「お前たち、何を騒いでいる!」
ベルの姿を見た団員達が玄関ホールで盛大な騒ぎをしているのを聞きつけ階段の上からコツコツと足音をさせリヴェリアが降りてくる。
「休暇といっても読書をしたり瞑想をしたり自己を高めることを......!!」
バサっと手に持っていた本をリヴェリアは床の上に落とした。団員達が静まり返る中ズンズンとベルに向かって歩いていく。団員達もその迫力に左右に分かれ道を作った。護衛としてついて行った3人はベルの両わきに控えている。
「ベル、何があった?」
がしっと両肩を掴み真剣な表情でベルを問い詰める。これはどちらの意味なのだろうか......ベルが女装趣味に目覚めてしまったのではないかという心配なのか、はたまた誰かに無理やり着させられたのではないかという心配か......しかし似合っているな......などと考えているのかもしれない。
「ロキ様達に......」
スカートの裾をぎゅっと握り恥ずかしさのあまりか俯く。だがそこで言葉を止めない方がよかったと後にロキの姿を見てベルは少し反省をした。
「わかった。ベルは着替えてゆっくりと休むがいい。後は私が引き受けよう。誰か私の仕置き用の杖を持って来てくれ」
リヴェリアの凄味のある声を聴き一人の団員が走って一本の杖をリヴェリアに手渡す。
年代を感じさせるこの杖は昔から仕置き用としてリヴェリアが使っているものだ。8割はロキが仕置きされているのだが......
黄昏の館の扉の内側に立つとリヴェリアはドンッ!と杖を床に突き仁王立ちした。
ふぅぅぅーーっっと深い息とともにリヴェリアの目つきが鋭くなる......
ちなみになぜ内側かというと外でこの体制でまっている時にロキが帰ってきたためしがないからだ。威圧を放つ立ち姿は見たものをちじみ上がらせること間違いなしだ。
しばらくするとよたよたと千鳥足で黄昏の館に向かってくるいつもの姿が見えてくる。酒を飲んで、おいしいものを食べて、かわいいベルを見て、さぞかしいい気分なのだろう......扉をあけて入った瞬間仁王立ちのリヴェリアを見るまでは。
「ロキ、今日は言い訳を聞いてやるわけにはいかない。後ろを向け」
ぎぎぎぎっと壊れて錆びついた機械のように後ろを向いた瞬間、
「ぎにゃぁぁぁぁっぁぁっぁ!!......」
黄昏の館に盛大な叫び声が聞こえたのは言うまでもない......しかも複数回......
翌朝朝食で尻を抑えながら入ってくるロキを冷ややかな視線が射抜いた......
食事も終わりベルは今日も皆にお礼をしてまわる予定だ。
一日で終わらない予定が多いがベルの訓練が再開されるまでには全て完了させることができるだろう。
食事を終え各々が食器を片づけ一息ついている。フィンに指名された何人かはアキやラウルと交代する為都市外の工場へと向かった。まだ神会の許可が出てない為潰すことはできないが時間の問題だ。隠し通路等ないかどうか付近の捜索も抜かりない
「......今日の予定は......」
ベルはそんなことをいいながら手帳を開いて予定とにらめっこをしている。
皆のお願いを手帳にまとめるまではよかったが一日かかる予定があったりと順番に悩む。
「ベル、今日の予定はどうするの?」
私服姿のアイズがベルに声をかけた。髪を後ろで一つ縛り、いわゆるポニーテールにして今日は私と一緒にっという気配が周囲にビンビン伝わっている。
「ええと......お昼はティオネさんに料理を教えてその後刹那さんと買い物をして、ルナさんと魔法の練習の予定をたてて......夜はロキ様にステイタスの更新をしてもらう予定です」
アイズは自分の名前がでてこないことに膝から崩れ落ちそうになる......
「アイズさんとは少しゆっくり二人だけで話がしたいことがあるので......」
ベルの言葉を聞いたアイズはピクッと反応し頬を染める。
「!うん......うん!!じゃあ一番最後でいい!でも午前中は空いてるの?」
「午前中は食材の買い出しがてら市場の人達にお礼をしにいこうかと思ったます。ヴェルフのところに行こうとしたんですが今工房に籠って何かをずっと作っているようなので少し時間をおいてから行こうかと思っています。ヴェルフは集中している時声かけても全然反応してくれなくて......でも槌を振る姿はすごくかっこいいんですよ!」
にこにこと笑う姿をアイズは目を細めて眺めていた。もし万が一にもベルが死んでいたらアイズやベート、ティオナは間違いなく神会を無視して今回の件に関わった者を皆殺しにしていただろう。もちろん大罪である神殺しもだ......
「なんだ、お前市場に行くのか。じゃあ俺が付きやってやる」
背後からやってきたベートがポンっとベルの頭に手を乗せた。
何か言おうとしたアイズだったがベートの真剣な顔に押し黙る......
「少しベルに聞きてえこともあるしな、ってことで行くぞ」
そのまま立ち上がったベルと肩を組むとニッと軽く笑った。
「おまえは女と出かけることは多いがたまには男どおし出かけんのも悪くねえだろ!」
「!!はい!!」
アイズに手を振って黄昏の館を後にした。
オラリオの町をベートと二人で歩くのは新鮮だ。朝市で賑わう市場に行き顔なじみの皆に挨拶をする。
「お、兎ちゃんじゃねえか。もう体はいいのかい?」
ベルが市場に来たことを知った皆はわらわらとベルとベートの周囲を取り囲む。
「大丈夫です、皆さん先日はありがとうございました。皆さんや家族のみんなのおかげでなんとか命をつなぐことができました」
「いやいや俺たちは、心配してただけで何にもしてやれなかったからなぁ......」
肩をおとす市場の人たちにベルは答える。
「そんなことありません、僕の事を思ってくれたり、祈ってくれるだけで僕は力をもらえますから。本当にありがとうございました」
ぺこぺこと頭を下げて回るベルを腕を組みながら眺めているベート。
「兎ちゃん、この人は......」
ベルの後ろで控えているベートの方を全員が見つめた。
「僕のおにいちゃんです!」
振り向いてにぱっと笑うベルの顔をみて顔に手を当て何かを我慢した後でベートが皆に声をかけた。
「......弟が世話になった。こいつが買う分は俺が支払うから昼までに食材を黄昏の館まで届けてくれないか?」
何かいいたそうなベルの頭に手を置き買い物用のメモを市場の人に渡した。
「代金はこれで足りるか?」
そういうと懐からじゃらりとヴァリス金貨の詰まった袋を取り出し手渡した。
袋の中身をおそるおそる覗いた市場の住人達は目を見開く、昼までに届けてもらう運賃や礼金も含まれているようだ。
「これからもこいつが世話になる、よろしく頼む」
ぶっきらぼうにそうつげるとベルの肩をトンっと叩き市場を後にした。
ベルもペコッとお辞儀をするとたたたっと走ってベートの後をついて行く。
「あれがロキファミリアの凶狼......噂とは随分と違うようだ」
ベルと仲良く歩くベートの後姿を市場の人たちはほほえましく眺めていた......
「ここに寄るぞ」
ベートの後に続き路地を何回も曲がり一つの店に辿り着く。隠れ家のようないでたちで【一匹狼亭】という看板がかけられている。
「俺だ、いつもの席を、それと人払いを頼む」
カウンターにいた獣人の主人がグラスを拭く手を止め表の看板をかけ替えた。
ベートと主人の様子を見る限りかなりの常連のようだ。
店の奥の方の席に座ると注文する前に店の主人がドリンクと軽くつまめる物を持って来てくれ自身はベートに向けて手をあげると店の二階へと上がっていった。
「ここは俺のお気に入りの店だ。ロキファミリアの他の連中もこの場所は知らねえ。それとあの看板は特殊でな、反転させると多少の認識阻害の効果があるから便利なんだ」
ドリンクを飲みながらそんな話をする。少しの間たわいない話をしつつ時間をつぶしたところでベートの表情がスッと真剣なものに変わる。
「ベル、少しお前に聞きたいことがあるんだがいいか?答えれない、答えたくなかったらそれ以上は聞かねえから安心してくれ」
真剣な表情のベートにベル居住まいを正した......
いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます。
今回すこし短めですが書いてみたので読んでいただけるとうれしいです。
お気に入り、評価も増えているようです皆様のおかげです、ありがとうごじます。兎魂にやる気が注入されます<m(__)m>
次回もなるべくはやめにあげられるように頑張ります<m(__)m>
PS
少し考えたことがあり、いつも読んでくださっている皆様へお礼もかねてプレゼントを送りたいなと......本来なら呼んでくださっている皆へと思うのですが、さすがに厳しいので数人限定ですが、私の考えているベル君の二つ名と同じ二つ名を考えてくれた方に兎魂クオリティで申し訳ないですがその人の為に短編小説を書こうかと思います。もちろん今書いているこの話が優先なので時間はかかりますが......
またそのうち詳細を活動報告に書きますので見てみてください。またはメッセージ、ツイッターへDMでもかまいませんので何か聞きたいことなどありましたら連絡ください<m(__)m>