闇と影   作:春の雪舞い散る

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舞姫の平行世界ですが始まりは舞姫より前の時間から始まります


人魚姫と呼ばれる少女
光なく闇でもなし


① 二人

 

 ナゼ、ダレがいったいナニを考えたら、ナニが目的でこんな事をする…否、こんな非道な仕打ちができると言うのか?

 

 この幼い子達に一体どんな罪咎があると言うのだろうか?

 

 生まれてから間もないだろう産衣を着たこの二人の赤子達が寝かされて居るのは光が一切届かない地下牢獄とでも言う空間の石の寝台の上

 

 無論、こ布団はおろか敷布すら敷かれてなどいない状態なのだから二人のその扱いを思うと…

 

 真新しい産衣を着せて貰ってはいるもののここには人が出入りしている形跡は全く見られないどころか命の気配すらなく

 

 ここに連れられてきた当初は母を…乳を求め泣き喚いていた赤子達

 

しかし… 今ではすっかり虚ろな目で天井を見詰める子とそれでもなお諦め切れずに弱々しく泣いているもう一人の子と各々異なる反応を見せる二人の赤子…

 

 その二人の赤子の足元の床から浮かび上がる人影がひとつ…

 

 二人の赤子の様子を伺う人影は人ではなく女剣士を象った人形 ( ひとがた ) の石像だった

 

 その変わらぬ硬い表情からは何を考えているかは不明だが呪文を唱え始め

 

 その呪文は召喚魔法だった様でそこに現れたのはかなり不機嫌そうな魔族の人魚だった

 

 「お前なんぞに呼び出される謂れは無いんだよ!全く…忌々しい、一体何様のつもりなんだい?

 

 ましてやこんな水気の無いとこに呼び出すなんてさっ!嫌がらせにも程があるよっ!」

 

 そう言っていきり立つ人魚に向かい

 

 「済まないとは思うがあの御方からの伝言を伝える」

 

 その表情筋の無い無表情な風貌からは全く済ま無いと思っている様には見えないが…

 

 「そこの二人の赤子に乳を飲ませてやってくれ…だ」

 

 「はぁ、何で私がそんなことをしなきゃいけないんだいっ?全くさっ!」

 

 そうボヤキながらもとんぼ返りをすると下半身が人魚のそれから二本の足に変えそして一人ずつ抱き抱えて順番に乳を与え

 

 それが終わるとやはりぶつぶつ文句を言いながらその場から消えた

 

 石像からの又頼むと言う言葉には見向きもせずに空中に消えた人魚

 

 石像も又お腹が一杯になり健やかな寝息をたてる赤子達の寝顔を見て現れた時とは逆に静かに地中へと消えていった

 

 

 二人の赤子は双子の姉妹らしく一人は産衣に真琴と書かれておりもう一人には命と書かれていた

 

 日の光も射さず時計等も有るわけでないこの洞窟内ではこの姉妹が生後何ヵ月になるのかは判らない

 

 ただ、人魚が授乳は卒業の頃合いだからと言ってそれ以後の呼び出しを一切拒否するようになったのでおそらく一才前後なのだろう

 

 双子のはずだった二人が次第にその違いがはっきりしだしていた

 

 真琴は貪欲なまでに食事を求めて泣きながら訴えていたが命はお世辞にも美味しいとは言えない食事を嫌がり我慢の限界まで口にしようとはせず

 

 だからと言って別の食事の要求をする事もしないで自分の食べない食事を真琴に譲っていた

 

 そしてナニも求めず、ナニも訴えることもなくただただ暗い生気の無い目で洞窟の天井を見るともなく眺めているだけだった

 

 その二人の成長率の違いは月日を重ねるほど大きくなりそれは二人の成長にはっきりと現れていった

 

 と、言っても真琴自体も満腹と言うにはほど遠い量の食事量しか与えられるだけで命の手付かずの食事を食べてさえなお足りないくらいでしかなかった

 

 そんな二人の体格は勿論比較したわけではないが同じ年齢の子供よりかなり小さいよう思えた

 

 

 

 

② 幼いその目に見えるのは

 

 物心が付き始め好奇心が芽生え始めた真琴が知りたい事だらけの疑問だらけだったから石像に向かい色々話し掛けていたが会話が成り立つわけでもない

 

 石像には真琴の疑問に答える為の知識と情報が与えられてないからだ

 

 一方の命にとって真実とは知らない方が良い物と感じるのか…

 

 全てを拒否するように心を閉ざし、座り込み何処を見るでもなく視線を漂わせ日長ぶつぶつと独り言のように呪言を呟くだけの日々を過ごしていた

 

 そして、時が流れ真琴が歩き始め暫く経ったある日の事

 

 「二人に私からのプレゼントが有ます」

 

 そう言って石像から渡されたのは白い勾玉のネックレス、一組の数珠ブレス、数珠アンクレットだった

 

 特別な宝石と言うわけでもなく、磨かれてもいないそれは余りパッとしない物ではあったが生まれて初めてのプレゼントであるそれを早速着けてみて

 

 満面笑みを浮かべる真琴と、滅多に反応を示さない命も無表情のままではあったが本人にとっては精一杯の速さで身に付けてみた

 

 が、命の反応はただそれだけで終わった

 

 小躍りして喜ぶ真琴に対し命は着け終えると直ぐに関心を失いまるで何事もなかったかの如く寂しげに抱える膝に顔を埋めその表情を見せるのを拒んでしまった

 

 そんな本人達の思いはお構いなしにそれは突然起こった

 

 命の数珠の全てが一瞬にして黒く染まり黒い煙が数珠から沸き立ち千切れ飛んで半分に分かれた数珠達の半分

がその煙を吸い込み始めその姿を変え始めた

 

 黒い煙を吸収した珠はホンの少し大きくなって禍々しい魔力を放つ勾玉に姿を変え命の周囲に散らばったそれに興味を示す事の無い命

 

 それに対真琴は今の現象が気になって仕方無かったから命の数珠から外れた勾玉を拾い集めて手に取りまじまじと見つめてみた

 

 しかし…今の現象にに対する命の反応は全く興味を示すこともなく知っているのかいないのかすら伺い知れない命に聞いてもナニも返事もしないのはこれまでの経験で解っている

 

 まして石像にいたっては時期がくればわかるとしか答えないのはこれ迄の経験でわかっている

 

 ただ、自分の方はなんの変化もみられず命と自分の違いが全く理解できなかったし寂しかった

 

 それでも得られない答えにいつ迄も執着することはしない真琴は今すべき事を…

 

 つまり、今の自分がすべき事が修行中の回復系の呪文と体術の稽古に励むしかないと理解できる真琴にとってはそんな事に過ぎない

 

 大切なのは謎解きをする事ではなく誰かに今すぐ答えを求める事でもない

 

 そんな事よりいつか命と二人でここから出る事の方が余程大事で重要なことだし、今の自分に理解できない事をいつ迄も気にするより力が欲しい…

 

 命を守る力が…命とここから抜け出し一緒に生きていくための力を求めるべきだと思うし修行すべきだ思うのが真琴なのだ

 

 今はまだ、その日のおとずれを夢見ているだけで我慢していた…

 

 未々修行が足りない自分にはどれ程気に入らなくてもここから出て命を守って生きていける自信ががあるなどと言う自惚れはない

 

 だから、散らばっている数珠と勾玉を拾い集めたネックレスを修復して命に手渡すと、小さく頭を下げると後は又再び顔を伏せ呪言を呟く命

 

 二人の受難の日々は未々終わりの時を迎えてはいなかった

 

 

③ 最初の試練

 

 「真琴…いよいよ貴女達が外に出る時が来たようですね」

 

 真琴に体術の稽古を着けていた石像がそう言い命の方をチラッと見たが石像の言葉に喜んだ真琴が

 

 「みこっ、僕達やっとここから出られるんだよ

 

 さぁ立って、そして一緒に出口を探しに行こう…僕達はやっと自由になれるんだよっ!」

 

 いつもの呟きを止めず真琴の声に全く反応しない命を訝しげに見ながら悲しげな目でみながら

 

 「私にそんな資格は無い…一人で行きなさい」

 

 そう呟く命に

 

 「 どうしたってゆーの命?ここを出たくないの? 」

 

 真琴の視線に対し興味無さげに

 

 「 逆に私は問う…何故、私がここを出なくてはいけないの?

 

 否、私がそれを許されるのか?と…

 

 外の世界は厭わしき黒き魔女の私の存在を許さず人は誰も私が生きることを…存在する事を望んではいないのに? 」

 

 真琴に視線を合わせること無く問いかける命に違和感を覚えつつも

 

 「 僕がみこに生きてて欲しい…傍に居て欲しいってだけじゃ理由にならない?

 

 逆にこんなとこに押し込められなきゃいけない理由の方が僕にはもっと意味わからないよ? 」

 

 かろうじてそう答えた真琴だがその言葉には全く反応すること無く

 

 「 ここは罪深い私を閉じ込める牢獄、私と違い心に光を持つ巻き添えの貴方には不当であっても私には相応しい場所

 

 だから貴女はここを出て行き私の事なとさっさと忘れ光の下で幸せを探し求めなさい… 」

 

 命にそう言われた真琴はかっとして

 

 「 僕一人でかっ!?みこ独りをこんなとこに置き去りにして幸せになんかなれるもんかっ!

 

 そんなのは幸せでもなんでもないしそんなモノが幸せだとゆーのなら僕は幸せなんか要らないっ! 」

 

 その真琴の悲痛な叫び声にも

 

 「 大丈夫、すぐに忘れられるし忘れてしまうのが貴女の為なのだから私の事など嫌な思い出と共に忘れてしまいなさい…

 

 私が貴女に出来るのは、精々貴女の足枷になら無い様に気を付ける事と、ここから貴女の幸せを祈り続ける事しかないのだから…

 

 それが貴女の為でありお互いの為でもあるのだから…

私に許されているのはここで貴女の幸せを祈る事のみ」

 

 全くの他人事の様に言う命に苛立ちを隠すこと無く

 

 「僕の為とゆーのなら…」

 

 そう言い身動きひとつしようとしない命の小さな身体を抱き上げて

 

 「 黙ってついてこれば良い、説得が無理だとゆーのなら実力行使有るのみっ! 」

 

 そう言い放ち石像の方を振り返ること無く

 

 「 さっさと出口に案内してっ! 」

 

 そう告げ弱々しく抗う命の身体を力一杯に抱き締めながら歩き始めた

 

 「 下ろしなさい、私に此処から出る資格も権利もないのだからっ!降ろしてっ! 」

 

 その弱々しい命の訴えには一切耳を貸す事無く無視して歩き出した真琴に向かい

 

 「真琴…命を渡しなさい」

 

 あまり抑揚のない声で石像は言われ

 

 「 まさかアンタも命をここに置いて行けってゆーんじゃないんだろうね? 」

 

 そう言って石像を睨み付ける真琴に

 

 「 それはあり得ない…時、至らば貴女方を外の世界に送り出すのが私の使命

 

 もし命や貴女が未だ力不足、そう判断したのなら二人に修行を続けていただくだけで未だ時至らず

 

 と、そう結論付けるだけなのですからそうではなく此処から出るには幾つかの試練を経ねばならずその試練を受けてもらわねばならず

 

 その試練を受けてもらう祭に真琴の手が塞がったその状態は好ましくないのだから命は私がつれていくべきだと判断しただけの話 」

 

 その感情の欠片も見出だせない石像を睨むのを止めしぶしぶ命の身体を引き渡した真琴は

 

 これまで全くと言っていいほど身体を動かして無かった命の小さな身体はか細く軽すぎて全く生気が感じられず人形の様にも見える

 

 

 

 魔女の命

 

 三人がこの凍りついた断崖絶壁を登り始め、いったいどれ位の時間がたったのだろうか? 元から時間の観念はなかったがいよいよ麻痺してきた三人

 

 見下ろしても眼下の地面わ遥かに遠く視界の外に有り頭上に在る筈の頂上わ全く見通す事は叶わない

 

 ただひたすら登り続ける石像と真琴に構わず誰も居ない筈の空間に視線だけ一瞬向け

 

 「 この茶番、いつまで続けるつもり? 」

と呟く命の声に深い溜め息を吐き

 

 「 みこ…僕達は真剣に頂上目指して… 」

 

 ― 茶番とは失敬な ―

 

 話を遮られた真琴がその声のした方を見るとそれまでは全く気が付かなかった僅かな空間の歪みがあること気付いた

 

 「 さっさと姿を現しなさい…さもなくば… 」

 

 空間の歪みから三人を嘲笑う気配をさせながら

 

 ― 現さなければどうなると言うのですか… ―

 

 ー 我が敵は汝に捧げし貢物なり… 燃やせ、食らえ焼き尽くせっ!… 黒炎竜(こくえんりゅう)

 

 命が放った禍々しい黒い炎の竜に食らわれた愚者の思念お嬢ちゃん?そう続けるつもりの思念はその主の消滅と共に失われた…永久に…

 

 「 み、命…一体…何を? 」

 

 いつ現れたのか解らない両手に持つ二本の短剣に戸惑いながら聞く真琴に

 

 「 愚者が一人…貴女の行く手を阻んでいただけで気にするほどのモノでは有りません…がっ! 」

 

 命の表情が一変し先程とは又異なる方向を睨みながら

 

 「 貴方も試練とやらですか? 」

 

 冷やかな声で問いかける命に

 

 ― 立場上試練を与える者ではあるが…

 

 私にお前を引き留める力が無い事も理解出来ぬ様な愚者では無い ―

 

 そう、消滅させられた事すら気付かぬ愚か者と違ってな… ―

 

 「 ならばさっさとここを通して貰いたい…力ずくで通れと言うのならばそうするのだけど? 」

 

 嘲笑うように言う命に

 

 ― それをされたくないからこちらから姿を現したのだから焦るでない …

 

 ほれっ、この空間の出口はお前さん達のすぐ上に在るからこれ以上この空間を揺さぶらんで欲しい

 

 お前さんが放つ巨大な魔力は、余りにも凶悪すぎるのだから…

 

 このままここに居続けられては崩壊されかねんのだからな… ―

 

 「 ならばさっさと通り抜けさせてもらう 」

 

 命のその言葉に

 

 ― そうしてくれるのならこちらとしても助かる…

 

 本来我も含め五つの試練を経て貰うのだが最終関門以外は役不足過ぎて申し訳ない ―

 

 「 お前にそんな権限が有るというのか? 」

 

 疑がう響きのその問いに

 

 ― 権限があるわけではない、ただ単に消されたくないしこのお気に入りの空間を壊されたくないだけだ

 

 消えた愚者と違い他の監視者は我の忠告に耳を貸さぬ程愚かではない

 

 が…あれのお陰で忠告を受け入れる気になったのだから結果的には役にたったというべきか? ―

 

 「 では最後試練は? 」

 

 その当然の問い掛けに

 

 ― あれに知性は無く、我の呼び掛けに応える理性もない…

 

 それ故後は健闘を祈るとしか言いようがない ―

 

 そう伝えると一切の思念を閉ざすのを感じたた命は

 

 「 先に進みなさい 」

 

 と、告げるのみで詳しい説明を一切しようとしない命に相変わらず溜め息を吐くしかできない真琴

 

 「 命を頼むね… 」

 

 彼女にはそうとしか言えなかった

 

 時空を越え抜け出た先には何もない虚空だった…

 

 「 命…ここわ一体… 」

 

 その真琴の呟きに応える代わりに

 

 「 来たっ! 」

 

 そう短く呻いた

 

 えっ?と呟く間も無くそれが襲ってきた…

 

 真っ黒なのに艶々で…ぬるぬるしてそうな巨大な触手(?)が唸りをあげて近付いて来るのが見えた

 

 ―”八叉の黒炎竜っ!“―

 

 間髪をいれず先程より更に凶悪すぎる程の大呪文を放った

 

 黒炎は八っつの鎌首をもたげた怪竜となり触手達を喰らったけれども風穴を空けたほどにしか影響を与えることしか出来ない

 

 それなりに修行してそれなりの力をつけていたつもりの真琴にそれなり力では何ともなら無い敵の出現に

 

 「 命…あれは一体…あんなの相手に僕は一体どうすれば… 」

 

 自分の力のなさを思い知らされ悔しさの余りに血が滲むほど強く握りしめた手を震わせる真琴に

 

 「 この神剣が貴女に力を貸してくれます 」

 

 そう言って先程の呪文の残り火が収まりつつある命が握っている剣を真琴に投げつけた

 

 三尺は有ろうその剣は身長四尺五寸位の真琴には長すぎる様にも見えた

 

 その剣が、真琴の手に収まるとまるで何年も前から握っていたかの如くしっくり馴染み

 

 「 神剣… 」

 

 と、無意識のうちに呟いた真琴

 

 「 神の力宿りし天叢の剣、貴女の魔力に呼応してその神通力を解放します 」

 

 その言葉に頷き剣を一旦背負い鞘から抜き放ち触手に向かい飛び込んだ

 

 「 私はどうすれば? 」

 

 石像のその問い掛けに振り向くこと無く

 

 「 私達の試練のはず…貴女が今すべき事は未だ何もない

 

 このまま私と成り行きを見守っていればよい 」

 

 と、そう答え魔力を高め始めた

 

 最初に放った黒炎竜ですらかなりの最上位の部類に入る魔法であるのにも関わらず今の命が高めている魔力はそれすらもちっぽけに感じるほどに凄まじく感じられた次の瞬間

 

 ―真琴、退きなさいっ!―

 

 そう叫ぶと呪文の詠唱を始めた命

 

 ―黒き炎の竜頭はぜる時…禍の炎が全てを焼き、喰らい尽くす災厄の炎とならん…“爆竜炎っ!”―

 

 八つの竜頭を合わせてさえ及ばぬ程巨大な竜頭が真琴の横をすり抜け触手の本体近くで大爆発した

 

 大爆発で拡散する黒い炎が次々に再生し続ける触手に負けじと触手を喰らう

 

 ― 今です真琴…奴に止めを刺しなさい ―

 

 「 解った 」

 

 そう短く答え白魔法の魔力を高める真琴

 

 その魔力を神剣が浄化の光に変え触手を照らすと徐々に崩れ去りみるみるうちに小さくなっていった…

 

 「 命? 」

 

 爆炎竜を放ち力尽きた命を抱き止めた石像が声を掛けた

 

 その瞬間命の目が怪しく光り…

 

 左右の手に持った勾玉を石像の額と心臓辺りに埋め込み

 

 「 これで私達のお守りからから解放されるつもりだった?

 

 残念ながら貴方を解放してあげる気はない 」

 

 悲し気に表情を歪め

 

 『お前の主がお前を使役する為の契約を打ち消し私との主従関係を結ばせて貰いました

 

 その過程で貴方に外の世界で差し支えの無い様な仮初めの命と身体を与えましたのでしばらくは違和感もあるだろう…」

 

そう言って溜め息吐き石像を見て

 

 「 さすがにこの身体であれだけの呪文を放つのは無理が有りすぎた様です

 

 これ以上意識を保てない私に抗う術は有りませんから此処から出るのは本意ではありませんが…

 

 真琴好きにすれば良いと伝えれば良い

 

 そしてこれらをお前に預けますから真琴の神剣の束にこれを埋め込みなさいと言って真琴に渡しなさい…では後の事は任せます―

 

 最後の方は言葉ではなく念話に切り替わり石像に伝えるとそれきり命の意識は途絶えた

 

 触手を浄化し終えた真琴が二人の元に戻ったのはその暫く後の事で

 

 「 貴女は誰?命…は全く動かないけどまさか… 」

 

 ぼんやり命を抱き抱え立ち尽くしていた石像だった者が真琴の問い掛けに

 

 

 そんな俺が、最初の目標だった影分身の術をマスターしたのは小町と小梅の満一歳の誕生日が過ぎた頃でアタシの修行は木登りをしていたな

 

 保育園じゃよくうんていや登り棒で遊んでたから身が軽いって思われていた

 

 まぁ、特に反論することでもないから放っておいたが母ちゃんはあまり良い顔はしてなかった

 

 チャクラを使って張り付いてるから間違っても落ちる心配はないんたがな…

 

 その気になれば登り棒なら歩いて上れるんだからさ、登り棒位の高さなんかね

 

 さすがにそれは言えない秘密だけどな

 

 とにかく、見た目は地味でチャクラを感知できないヤツにはわからないチャクラコントロールの修行を密かにしていた

 

 もちろん、いつだって園庭を一人で名一杯走り回っていたがな

 

 だからチビの大食いで、インドア派であまり体を動かさない八幡よりもたくさん食べていたけどナゼだか身体の成長にはあまり回らなかったよ、残念ながらな

 

 そんな俺が、分身の術を覚えてからは平日は分身に家の中で壁や天井に張り付かせる修行をさせて俺は相変わらず保育園で走り回る日々を送っていた

 

 走り回っていた成果がでてきたんだろうか?

 

 「 今の私が真琴の目にどう映っているかは解りませんが貴女方姉妹の世話を任されていたモノでした…

 

 命様は意識を失われているだけで命に別状有りませんが命様からのご伝言です…

 

『 意識を失っている私に抗う術は無いから勝手に連れ出せば良い 』

 

 と、真琴に伝えるように申しつかりました

 

 主無き今ならこの空間を神剣で切り裂き脱出できしましょう…やってくれますね? 」

 

 言われて列泊の気合いで大上段から切り下ろすと空間が避けて新たな空間の入り口が見えた

 

 「 聞きたい事は山程有るけどここを出て落ち着いてからにしよう…命を頼めるね 」

 

 頷くのを確かめ二人は空間の裂け目に入っていった




元々舞姫はこの作品から派生したものですがこちらは未だ未完成です
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