闇と影   作:春の雪舞い散る

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華やかに歌う人魚姫は踊りをならい始めますがそれもまた運命?


噂の主②

「お、お前達は何をしているっ!お客様の前でみっともない姿を見せるなっ!」

そう部下達を叱責する御法に

「後は私と御法様とで話をもう少し具体的に詰めておきますからみこはお兄さんやお姉さん達とお茶を頂いて待ってなさい」

そうたしなめられ畏まる御法に

「噂ばかりが先行してしまった今の命は何処に行ってもあんな感じでしょうね」

そう笑って言うのを聞いて

「やはり観月様の所でさえそうなのでしたか?」

と聞くと

「みこが水の精霊の巫女で有ると言う事実は分家である大公家が本家の国王を差し置いて公表して良いものではない

そう判断し一部の重鎮と命の身の回りの世話をする極一部の侍女のみが知る極秘事項でしたし

公女宮にいた頃は臥せっていることが多く今と違い中々人に馴染めない子でしたから…

今日のように私についてくるような子では無かったのでわかりません」

と言われ驚いたものの

「確かに水の精霊の巫女で有ると言う事実は入国した翌日の公表でしたね…」

観月の言葉に感心しながら用意したパンフレットを渡しながら

「これが毎年この時期に行われる海難事故防止の強化月間初日に行われるイベントのです」

そう言って手渡されたパンフレットじっくり読み込むむ観月に

「いかがでしょうか?」

不安気に聞く御法に

「趣旨は理解できましたからその日はみこのスケジュールを空けておきます」

そう答えるとホッと息を吐き出し

「それと広報の者が写生大会にお邪魔して命様の絵を描かせて貰いそれでその絵を広報用のポスターの絵に使いたいのですがよろしいでしょうか?」

そう尋ねられた観月は

「明日の写生大会の入場料を払って頂ければその後は描いた人の良心に任せますが貴方達のそれは良心に何ら恥じるものではないと思いますが?」

との答えに

「ご理解頂き恐縮です」

と、言って頭を下げる御法

「心身ともに幼いみこは未だ知らないことばかりですから色々体験させたいのでこちらからお願いします」

そう言って貰った局長は感激し

「局員逹も皆みこちゃんの虜になったようですから何かの折りにはお声を掛けて戴ければお手伝い致します」

そう言って観月の手を握りしめた

観月と御法には少し温くなったお茶を飲み干すと

「私はこの後準備の始まっているはずの会場、それに市庁舎にも訪れて市長にも挨拶にに行かなければならないのでそろそろ失礼します」

そう言って頭を下げる観月に手を差し出しながら

「又お会いしたいものですね…」

「明日会場にお越し頂ければ私の方は陣頭指揮を執ってますからご遠慮無く顔を出してください…みこ、嵐、移動します」

互いの手を取り合い別れの挨拶を済ませると局員達が敬礼するなか観月を先頭に馬車に戻った一行

会場の中央広場ではみことミナは馬車にお留守番

観月は会場設置責任者に大まかな会場の見取り図を手渡して宜しくお願いしますと頭を下げた

「おう、任しときな!明日は待望の人魚姫様の御光臨なんだろ?

皆楽しみにしてるんだからこちこそ宜しく頼むぜっ!」

と威勢良く答えを返した

そして市庁舎…

こちらは市庁舎前が大騒ぎになり早速治安局のお世話になることに…

命の挨拶は局長の時と同じでやはり観月の意思を読み取りみこちゃんと呼び掛けたのでヘソを曲げること無く対応した

そして市長が

「私の妻と娘逹がみこちゃんに是非とも会いたってるのでお昼でもご一緒に如何でしょうか?」

「嵐、ミナ、みこをお願いします

市長、私は明日の準備のため戻らなければなりませんがみこと世話役にこの嵐とミナを置いて行きますので宜しくお願いします」

観月のその言葉にがっかりしながらも観月の多忙さは有名な話なので

「それは残念ですが…又後日お会いしましょう」

そう挨拶すると

「みこ、未だ帰らなくて良いの?」

「みこは今から市長さんと市長さんのご家族とお昼ご飯を食べるのよ」

ドアを叩く音がして

「失礼します…市長、奥様とお嬢様方がお見えで…

再びドアが開き五人の女性達が入って来た

「約束の時間はとっくに…

今度は市長夫人の話が末娘の声によって遮られた

「あ゛~っ、もしかしてもしかする~っ?」

驚く娘達に

「急な訪問で市長にはご迷惑お掛けしました」

少し自慢気に

「ちょっと遅くなってしまったが命様が一緒にお食事する事になったが良いかい?」

市長は末娘に訪ねると

「一緒に?じゃあ早くいこ!」

嬉しそうな娘を見ながら

「では後の事は任せるから宜しく頼む」

秘書に言い残すと市長室を後にした

「私は雪華、人魚姫様にお会い出来とっても嬉しいです」

と喜びを隠さずに言う雪華に

「あのね、みこお姫様じゃないよ?だからみこで良いんだよ」

と言われて嬉しそうに

「それじゃあみこちゃん…って呼んでも良いですか?」

と言うと

「うん、そんで良いしお姉さん達もそう呼んでね…」

命がそう答えると

「そう、私は長女の春蘭宜しくねみこちゃん」

「私は次女の美潮、みこちゃん宜しくね」

「三女の弥空…宜しくね、みこちゃん」

「私は嵐と言います…」

「ええ、存じてますよ…大公領国境警備隊の隊長さんでしょ?王女様」

「え?今の王家には王女様は居ないはずじゃあ?」

「ええそうですよ、この方は前国王の娘にして現在の国王の妹君ですからね」

「昔の話しです、今の私は泉の女神を護る騎士ですから

今日はみこのお守りですが」

と笑って言った

「貴方、街がざわついてますが何か有ったのですか?」

と聞かれて

「何かは明日起こるのさ、美月のファッションブランドのファッションショーとみこちゃんがモデルの写生大会等のイベントを開くのだそうだ」

嵐は頷き

「私達はそのご挨拶に市庁舎へお邪魔してました」

「明日何か気にいった服があれば買ってあげるよ」

と市長が言うと

「え~っ、美月ブランドって高いから無理しなくて良いよ」

と遠慮する雪華に

「そうでもないですよ、私やみこが着ているのは木綿の服ですから美月のブランドでは安い物です」

頭を下げ

「侍女の私が口を挟むのをお許しください

今回の試みはブランドとして確立した観月の服をもっと多くの方に楽しんで貰う為と観月様とデザイナーのユカ様が仰ってました」

とミナが説明すると

「貴女は確かミナ…さんと言ったね?私は市長と言っても一役人に過ぎないのだからその様な遠慮は無用だよ?

が、まぁそれは良いとして世界中の宮廷に愛される美月が一般市民向けの服をデザインするとなると…」

とぶつぶついい始めたのを呆れ顔で

「今日位仕事を忘れ市長ではなく娘達の父親で居てくださいな」

と妻に言われて頭を掻きながらに苦笑いする市長だった

やがてそれぞれに頼んだ料理が供されミナ以外の者が食事を始めた

ミナは熱々の鍋を盛った椀をまず嵐に手渡しついで命用の椀に魚を入れ細かく解して命食べさせ始めた

それを見た雪華羨ましそうに見ていたが

「ミナさん…本当の誕生日は過ぎちゃってるけど今日はその代わりのお食事なの…

だから今ミナさんがしてるみこちゃんのお世話、私の我が儘と思って変わって下さい」

と言われて

「命様はものすごい猫舌だから良く冷ましてあげてね」

と言われて満面の笑みで

「はいっ、判りましたっ!」

と答えると

「ズルい」

と姉達が言い出して市長夫人までが一緒なって命の世話を取り合った

「お父さん、最高のお誕生日プレゼントありがとう

今みこちゃんが私の目の前に居るなんて最高に幸せだよ」

それは他の四人も感じている事だが嵐は命に

「お誕生日プレゼントって何」

と聞かれて答えに困っていると市長夫人が

「その人に生まれてきてくれて有難うの気持ちを伝える物ですよ」

と言われて自分の誕生日すら知らぬ命は

「祝福されなかったみことまこちゃんには関係無い事なんだ…」

その微かな呟きに気付けた者はない

「おじさん、みこ何も用意してないからお歌歌って良い?」

命の突然の申し出に

「ここはお店だから他の人達も居る

だからお店の人に聞いてみないとね」

と言って偶々通り掛かった中居に

「女将を呼んでほしい」

と頼むと勘違いした彼女は

「市長が深刻な顔で女将を呼べと言ってます」

と伝えものだから女将も泡食って市長の座敷に駆け込んだが市長から事情を聞き

「他の客には私逹の方からこういう事情だからと言って理解して頂きます」

と請け合った

女将からすれば噂の人魚姫が自分の店で歌いたいと言ってくれていると知ってそんなチャンスを逃す女ではない

急いで手の空いている中居を集め事情を話し他の座敷客達の了解とるよう命じた

歌う人魚姫と呼ばれ始めていた命を師事するのは世界的にも有名なアリア女史だと言うのは既に知れ渡っていた

偏屈な女史は才能が無ければ何処の誰だろうがいくら積まれようが教えない

と、言うのも有名だが裏を返せば今教えを受けている命の才能は彼女が認めるものだと言える

だから誰も反対する者がないばかりか逆にその幸運のお裾分けを受けたいと言い出し

二階テラスの演舞台で歌って貰えたらと言う話で纏まったので市長にその旨を伝えた

そして人達リクエストに応え演舞台の手すりに座ると

「雪華ちゃんお誕生日おめでとう、知らなかったみこはプレゼント用意してないから代わりにみこの歌聞いて

そう祝辞を述べて歌い始めた

雪華は幸せを噛み締め思った

(今命様の歌を聞いているのは私だけじゃない…

でも命様は私の為に唄うと言ってくれたのだと…)

その歌声に引き寄せられお昼のピークが終わった店はそろそろ暇になる時間帯にも関わらずどんどん増えていった

命の歌が始まると座敷から芸妓が出てきて即興の踊りを舞った

芸妓逹は命の様子を見ていたが命が一瞬驚いただけで更に嬉しそうな顔になって歌うのを見て喜んだ

命が歌い終わると大夫が拍手をしながら現れたのを見た命は大きく目を見開き一言

「キレイ…」

とだけ呟きじっと魅入った

そして我に返ると

 

「お姉さん達が着てる服…みこ初めて見るけど素敵だね、みこも着てみた…あ、一人じゃまともにお着替えできないくらい不器用なみこには無理っぽいね」

と言って頭を掻きながらあははと笑うと

「女将、あんたのお宝の…あの人形の着物ならこの方に合うサイズなんじゃないのかい?」

言われて大夫の考えを理解し側にいた中居に取りに行かせ大夫は更にミナを手招きし

「貴女はこの方のお付きの侍女だね?この方にアタシ等の我が儘で着物を着せちまっても構わないのかい?」

とミナを探るように見ながら問い掛けると

「観月に叱られますから…」

そう言って止めようとする嵐に

「命様が興味を示されてますから私が反対する理由は有りませんがもし仮にこの事で観月様がお怒りになられたのならそのお叱りは私がお受けするつもりです」

と命に支える意気込みを聞かされ

「そんだけの覚悟があるのなら一度に全ては覚えきれないだろうけど貴女に教えながら着付けをするから着いてきなさい」

そう言って運ばれてきた着物と一緒に控え室に消えた

その間に市長を知る者達が雪華本人を知っているいないに関わらず祝い言葉を述べに集ま祝福した

そうして暫く待って居るとようやく着替えを終えた命が姿を現した

その命の姿を見た人々からため息が漏れた

夜の食材まで使わねばならなくなった板場はパニックに陥っていたが泣き言を言う者は一人として居なかった

そしてそろそろ日もくれようとする頃命のお迎えが来たことが告げられ市長の家族と店を出た

座敷を出る時に太夫がお誕生日のお祝いですと貰ったばかりの…

命とお揃いのかんざしを髪に挿した雪華の笑顔は眩い位に輝いていた

「こらっ、みこの瞼がくっつきそうだぞ」

笑顔で言う鬼百合に

「だからと言ってみこは渡さないがな」

お互いに笑い合ったがその鬼百合達に雪華が

「ミナさん、私…みこちゃんのお友達になれるのでしょうか?」

不安げに問い掛けると

「新しくお友達になってくれたとみこは言いましたよ?」

と、嵐がそう言えば鬼百合も

「みこの左手を見ろ」

簡潔に言う鬼百合の言葉に促された人々が命を改めて見ると

「あっ…」

と、呻く雪華に

「みこはもうお前を友達って思ってるんだぜ?もっと自信を持ちな」

そう言われて嬉し涙を流しながら

「はい、有り難うみこちゃん…」

と答える雪華だった

「さてと、みこも完全に寝ちまったからアタイ等もいい加減帰らねぇと観月も煩かろう」

そう言って肩を竦めて馬車に乗り込む鬼百合に続き馬車に乗り込む一行だった

帰り着いた一行は鬼百合が命部屋に運びマイに着替えさせ観月に呼ばれた三人

「私の独断で命様に着物を着せましたから処罰は私だけにお願いします」

そう言って頭を下げるミナに

「みこが着物を着たいと言ったのでしょ?

なら何故貴女を処分しなくてはいけないのですか?

その程度の判断の出来ぬ者にみこを任せた覚えは有りませんからこれからもみこの意思優先で判断しなさい

着物の仕舞い方はユカが心得てますから心配要りません」

と言われて

「そう言えば大夫もユカ様が踊りを習っていると太夫が仰ってましたが…」

とミナが言うと

「正確には習っていた…ですね

デザイナーとして急がしくなり今回の様に私に同行することが増えて中々稽古の時間が取れなくなり久しいですからね」

そう残念そうに言う観月に

「命様も芸妓の方達に指導を受け踊りを経験され嬉しそうにお稽古されてました」

その話話を聞いていた王妃は

「みこが踊りを…」

その呟きを辛うじて聞き止めた観月は

(伯母様の推測が正しければ偶然ではなく必然の出会いなのかもしれませんね…)

そう考えながら

「取り敢えず今日はお疲れ様です…

侍女逹の食堂に貴女達三人の食事を取ってありますからたべてきなさい」

そう言うと三人の退出を促した観月だった

 

王宮に戻ったものの起きる気配の無い命はユカとマイが寝間着に着替えさせ瑞穂にベッドに運ばれ本格的な眠りに就き

その報告を受けて空き部屋だった隣の客室を借り受けたユカ達美月スタッフは仮事務所とし

ユカとユキはイベント準備を、ユウとユミは各々にドレスのデザインをしミナはユカがデザインしたエプロンの製作に当たっていた

取り敢えずりん友達や家族が鍋の屋台と魚介類の販売に参加すると聞いている

「ですから屋台で働く少女達に着けて貰うのが一番の宣伝になるのではないでしょうか?」

そのユカの言葉に賛同し観月も許可を出したので新作の製作を止めてる今の有る意味丁度良い作業かもしれない

もっともユキやユミからしたら

「この機会に私達の仕事も手伝わせて欲しいんだけど?」

そうユカに一言言いたかったけどこのイベントが終わるまではユカ専属のアシスタントと言われては諦めざるを得ないし

逆に観月にそう言わせるミナと組んで仕事をしてみたいとも思わせるミナだったが本人は余り自覚無い話だった…

五人がその日(?)の作業を終え命の寝顔を見てからベッドで眠りに落ちる頃目覚めた命

その命の起きた気配に気付いたチサも目を覚まし目覚めたものの未だ寝惚けてボーッとしている命に

「お腹空いたの?」

と聞くとコクりと頷く命に

「お粥用意するからその間待ってられる?」

そう聞くと寝惚けたままコクりと頷くのを見て

「じゃあ用意するね?」

そう言って二人の部屋を出ると大きな欠伸をしながら朝の仕度をしていたマイに

「チサちゃん、命様に何か?」

と、言われ苦笑いしながら

「夕べご飯食べずに寝たからお腹空いてるみたいなのでお粥用意しようと思って…」

と、答えると

「それでしたらお粥は私が用意しますからチサちゃんは命様のお側に居てください」

眠気が吹き飛んだマイに言われ苦笑いしながら部屋に戻るチサだった

そのチサが命に向かい

「ねぇみこちゃん、今日昨日みたいにご用無かったらどうする?

いつもなら昨日皆で岬に行ってたよね?」

そう聞かれた命は

「ユカさんとミナさん達忙しいみたいだしみこも昨日習った踊りのお稽古したいしお昼からはお歌のお稽古の日だし…」

そう答えると

「そう…ならお昼からの王妃様のサロンのお供は私がするからお稽古頑張ってね」

そう言うとやはり上の空の声で

「うん…」

と、答える命だった

その日の午後命はいつもの様にアリア女史の指導を受け歌のレッスン

チサは王妃が招かれた伯爵夫人のサロンのお供

そしてりん達見習いの少女達はユキの指導を受け針仕事を基礎から習うことにして雑巾作りを指示されその製作に励み当日を迎えた…

既に生活サイクルが新しい物に馴染んでいる命の朝は早い

それでも慌ただしく出掛けねば為らないこの朝は命をしても着替えるのが精一杯でユキの手伝いで着替えを終えると鬼百合に担がれ馬車に乗り込むとイベント会場に向かった

第一陣は命、鬼百合、ユキ、瑞穂、阿、ミナで出店の受付は鬼百合とユキでマスコットとして命も同席

予め申請順と飲食品コーナーを分けてあり来場時間も指定して有るため

ユキの計画と鬼百合の指導力、何より受付に座る命の笑顔を見てせっかくのイベントを台無しにする様な愚か者は居なかった

ミナは瑞穂と阿の力を借りて馬車の荷物を所定の場所に運び込む担当及び馬車を控え室にする仕度出店の陳列棚等大道具の準備

それらを予定より早く終え控え室で休んでいると

「観月様のご注文の品お届けに上がりましたぁ~っ♪」

馬車の外から留美菜の明るい声が響いて

扉を開けると台車を支える留美菜が立っていて

鍋と握り飯が山盛りの大皿と鍋を盛る器が意されていてそれを鬼百合が控え室に入り留美菜が器によそい皆に配った

それを受け取り握り飯と鍋をがっつく隣の命はユキとミナの手が空いてないため熱い鍋をぼんやり眺める命に鬼百合が

「しょうがねぇ猫舌だぜぇっ…」

そう呆れ声で言うと留美菜が

「歌を唄うみこちゃんの舌はデリケートなんですっ!」

そう言うと命から器を受け取り冷まして食べさせ始めた

二人の手が空いたのは命の食事が終わる頃で放って置いたら鬼百合が鍋も握り飯も食い尽くすから予め取り置いた物を二人に出した

提供を終えた留美菜に

「今日屋台に来てるのは何人ですか?」

ミナの問い掛けに留美菜が

「子供は私を含めて七人です」

と答えると

「もしも嫌でなければこの子達を身に付けて屋台に出てもらえると嬉いんですけど…」

そう言われて

「あの…私達お小遣い持ってきてないんですけど…」

そう申し訳なさそうに言う留美菜に

「最初の予定ではこれは今回のイベントに出すつもりはなかったんですが貴女達が出店するのを知ってならいっその事貴女達にモデルをやって貰ってはと言う話になりまして…

報酬はそのエプロンになりますけど美月のユカ様がデザインした物です、引き受けていただけますか?」

ミナにそう言われて

「あ、有り難うございます、皆喜びます」

そう言って頭を下げると皆の所に戻っていった

第二陣はチサ、りん、マイ、マキ、マユ、マナ、スー、スエ、スズに嵐、忍、ユウが到着

モデルをする者達は命と共に舞台の下見でユウ、ユキ、ミナは命以外は最初の服を着ている為二着め以降の衣装の準備

そして最終便で国王一家とユイ、観月、ユカが到着し他の戦士達は然程遠くないため適度にバラけてトラブルが無いよう見回りをしている

治安維持局のアナウンス課のウグイス孃、ヒバリの

「ただ今から噂の人魚姫みこちゃんの歌とファッションショーを開催します」

と言う開会宣言で始まった

「ではまず主催者の美月代表観月様のご挨拶」

そう言って呼び出され観月は苦笑いしながら

「今日の主役は命なのですから私からは出店の皆さん、出店料を記して無いのは頂くつもりが無いから

代わりにこのイベントが盛り上がるよう皆さんの力をお貸しください

お待たせして申し訳なく思いますがみこの歌を楽しんでください」

そう言って一礼すると舞台袖に下がると

「では早速人魚姫みこちゃんを呼んで歌ってもらいましょう

さぁ皆さん、大きな声でみこちゃーんっと呼びましょう」

そう言われた観衆達がバラバラでは有るけど大きな声で呼ぶと

「もおお姉さん、みこぉ姫様じゃないよ?」

そう言って頬を膨らますと

「大丈夫よ、みこちゃん

私の小さい頃にも姫って呼ばれてた子が居たけどみこちゃんと同じで別にお姫様じゃなかたのよ?」

そう言われ

「ふーん…そうなんだ…まっ、いっかーっ♪」

と言うと頭をぺこりと下げると

「今日は沢山集まってくれてありがとね、こんなに沢山の人の前で唄うの初めてだから間違ったらごめんね」

そう言ってぺろっと舌を出し竪琴を奏で歌い始めた命

明るく陽気な祭りの歌を中心にアンコールを含めて全十曲を歌い上げ

「今日はみこなんかの歌を聞きに来てくれてありがとー

一旦下がるけどまだまだ終わりじゃないから楽しんでもらえると嬉ーな」

そう言って舞台袖の忍に飛び付くとセットが代わりチサを先頭にモデル達がまるで磯遊びを楽しむようにはしゃぎ始めた

そして暫くすると嵐の肩に乗った着替えを終えた命が現れマイに飛び付くと一層弾ける笑顔を見せる少女達とそれを見守る嵐と忍

命とチサにりんは青、赤、白の大公領海兵隊の制服で見習いの少女達はそれのスカートバージョン

四人の侍女は青と白のハーフパンツとショートパンツバージョンをそれぞれ身に付けていた

一同が退場しセットが組み直され今度はマイに手を引かれ身体を宙に浮かせた命の二人を先頭にチサとりんに見習い侍女達が後を追い

その後を侍女達と荷物を持った嵐と忍が現れ草原を駆け回る命達を嵐と忍に侍女達が見守ると言う構図だ

命が着ている服は空色のノースリーブのミニのワンピースでチサはオレンジにりんはモスグリーン

見習い侍女達が同色の半袖で膝丈のワンピースでマイとマキは空色とオレンジの長袖でロングのワンピース

マナは空色のブラウスにセミロングのスカートでマユはモスグリーンのブラウスにスラックスで登場

再び一同が退場しセットの組み直しになり現れた命は嵐に肩車されているその後ろにチサの手を引く忍りんの手を引くマイといった感じで黙々と山道を歩くイメージの一行

命が濃紺のデニム地のサロペットデニム地に淡いピンクのタンクトップでチサは薄いオレンジの半袖に濃紺のショートパンツ

で、りんはイエローグリーンのシャツに濃紺のジャンパースカートで三人の見習い侍女は各々の色違い

侍女達はデニム地のショートパンツにノースリーブとハーフパンツにポロシャツ

ロングパンツに白いシャツをは来て着てデニムのベストを羽織り最後の一人がデニムのワンピース

そして最後はパステルカラーの一同が現れ

皆色違いではあるけど同じデザインのミニのワンピースを町中を模したセットの中をウィンドウショッピングの様に散策している

そして全員が横一列に並びその前に観月が現れ

「今回美月初の試みにお集まり頂き誠に有り難うございます

今日見ていただいた服はデザイナーとして知られているユカとそのアシスタントが手掛けた物

今日のイベントも近々若月と言う美月の姉妹ブランドとして立ち上げる物のデモンストレーション

皆さんの熱いご支援を願いつつ今日のファッションショーは終わります

この後のパフォーマーは芸処と呼ばれていた歌の国の芸自慢復活のため頑張ってください」

そう言って美月主催のイベントは幕を閉じた

 

もっともその閉会の宣言を皮切りに美月も含む出店の本格的な営業が始まり…

りんとチサ以外のモデル達は美月のお手伝いでりんとチサは年相応にお小遣いを貰い留美菜達の屋台に向かった

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