闇と影   作:春の雪舞い散る

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水の精霊の巫女の周りに集い始めたのは人ばかりではなかった…


迷子②

「みこちゃん独り占めして姉さんズルいっ!」

と、言ってる様な妹達の視線は痛かったので三人を呼び

「私はユウ様達にお茶をお出ししてきますからみこちゃんの事、貴女達に任せますからよろしく頼みますね

それと多分一人じゃ食べきれませんから残した分も任せて良い?」

そう言われて三人は

「任せておいて」

と応え弥空が春蘭から器を受けとると命も食事を再開し食べ始めるのを見てユウ達の方に歩き始めたけど一度振り返ると

「やっぱり…」

そう呟き心配していた通りいつの間にか命のフォークを取り上げ雪華が食べさせていた

(みこの意思で食べている時は手を出さない様にと観月様に言われてるのに…)

そう思い溜め息を吐く春蘭だった

三人の世話で蕎麦四分の一人前と鍋を命用のお椀一杯食べて皆が楽しみにしていた歌の時間に

定番の曲に新しく覚えた曲を織り混ぜいつものように十曲歌い終えた

しかし少しずつ体力がついてきて未だ元気な命は留美菜達を誘いユカにお菓子を買って貰い

春蘭に頼んでお茶の用意してもらってお茶の時間にした

そして太陽が沈み始める頃帰り支度を命達に反して岬に集まってきたもの者達が居る

今日の勤務を終えた海軍の兵士達で明日の為の肴を夜釣りで賄うためだ

残念ながら命達や町の者達は帰ってしまう

それでも漁師達の一部は未々呑んでいるし何より鬼百合が夜釣りに付き合って酌み交わしてくれる約束になっている

おまけに魚は買い取ってもらえる上賞金の掛かった勝負でもある

皆それぞれに静かな闘志を燃やしていた

 

王宮に戻り食事も終えて寛ぎの一時の筈が命だけは観月からみっちりお説教を受け

挙げ句の果てに苦手で嫌いなお習字をさせられたが誰もが仕方無い事と思ったのは言うまでもない

 

そして一夜が明け命はいつものように過ごしチサ達の午前中は月餅作りに決まった

今日付けで男爵の位を拝任する春蘭達の父に贈る物を今日のお題にする事になり

「ご両親が喜ばれるお菓子はありませんか?」

そうユウに聞かれ

「深い理由は知りませんが何故か劉家は祝い事の度に月餅を作り隣近所等にも配る習わしが有ります」

四人を代表し春蘭がそう答えたので

「では今日のお菓子作りは月餅で決まりですね」

そう言う訳で時間一杯の月餅作りがはじまった

その一方で市庁舎で昨日付けで退任になった劉啓吾の挨拶の挨拶

新市長の李宗吾の就任及び李宗吾の就任に伴い空席となる市長秘書の席に指名された陣由哉の挨拶が行われ

その後

「急な交代劇のため暫くは市庁舎で書類上の手続きを処理に登庁するのでよろしく頼む」

そう言って先ずは新市長の為私物を整理から始める事になった

そして夕方になり王宮からの新男爵迎えが来て

良い機会だからと新市長とその秘書を国王に就任の挨拶に同行させる事になり二人も向かうことになった

王宮の控え室で着替えを済ませるとドレスアップした妻がりんに案内されてきた

今宵は男爵令嬢として社交界デューを果す四人の娘達

その他にお披露目のドレスを着て命の部屋の見習い侍女達とマナとマユが社交界デビューを迎える事になった

娘達を従え妻と腕を組歩く姿は既に貴族の風格があった

そして国王夫妻の前に並び立つと

「今宵は私の為この様な宴を催していただき感謝の言葉もございませんしどの様に現せば良いかもわかりません」

と、挨拶すると命やチサ、りんや留美菜他見習い侍女達が篭を持って現れまず命とチサが新男爵夫妻にりんや留美菜、小明にはなが令嬢達に渡すと

「お父さん、お母さん、中身を見てください」

春蘭にそう言われ布巾を剥がすと

「やはり月餅だったか…だが何故これが?」

と不思議がる夫に

「臭いでわかりませんか?これは店で売ってるものではなく私が貴方のお母様から受け継いだレシピ通りに作ったもの

春蘭達だけで焼ける量とは思えませんから皆さんに手伝って頂いたようです」

そう母が言うのを聞き

「これが劉家の幸せのお裾分けでしょ?皆様にお配りしましょう」

そう言って両親を促し月餅を配り始めた劉一家

その間に前市長秘書として面識の有る後任の新市長李宗吾と国王に拝謁の機会を初めて得た陣由哉を紹介すると

「啓吾と宗吾の推す者ゆえ大丈夫だろうが二人に恥を掻かせぬよう尽力して欲しい」

そう言われ感激の余り顔を紅潮させる由哉だった

二人宛に各関係者が祝いの品を届けに来ていたし二人に挨拶をしていた

勿論新市長にも挨拶を忘れないし総務課と言う地味な裏方の由哉自身は知らなかった

だが誠実で親切な対応で市民に接する彼は市民からの信頼も厚くさすがな人事と納得する者が多かった

そして観月にすら知らされていないサプライズ

ダンスの時間は未だ先であるのに演奏の支度を始める楽士

そして準備が整い命が入場し会場の参加者に一礼をして演奏が始まり命が歌い始めたのは歌の国の国歌で歌の女神を讃える唄…女神と共にだった

本来はソロの唄である曲だが声量、声域、表現力の求められる水準が高く歴代の祭典優勝者でも歌いこなせる者は少ない

そして数少ない一人であるが故にアリア女史には音楽に対する我儘が許される特権を持つ者の一人だった

その女史に比べれば表現力は未だ遠く及ばないものの声量、声域共に人並み外れたその歌唱力は女神の祭典に出ない事を惜しむ者が少なくない程

「みこと楽士の皆からのお祝いの代わりに頑張りました」

そう言って頭を下げる命の身体を抱き締め

「何よりも嬉しい贈り物を有難う、みこちゃん…そして楽士の皆さん」

そう言って涙を流し喜ぶ夫妻に

「私にすら秘密にしていたこの歌の初披露…

伯父様、これから国の行事にみこの歌は欠かせませんね?」

そう言うと国王も治安維持局局長の御法に

「海難事故防止のキャンペーンで最初に唄ってもらわなくてはな?」

「それは勿論是非ともお願いしますね、みこちゃん」

そう言われ

「もっともっと一杯お稽古するから楽しみにしててね」

と笑顔で答えと奇跡が起こった

二つの光が春蘭とりんの前に現れると

ー私は潮風の精…春蘭、私は主ウィンディーの為に…そして貴女は大好きなその巫女の為共に力を合わせませんか?

貴女にその意志が有るのなら私を受け入れ私の巫女になりなさいーー

そのとつぜんの申し入れに戸惑いりんを見ると

ー私は海原の精…りん、貴女の大好きな命の力になりたくば私を受け入れ私の霊力を我が物としなさいー

そう告げられたりんは迷う事無く

「私は決して忘れない…ウィンディー様の救出に向かった真琴様と翼様を助けに行くと言って出掛ける命様についていけなかった事を

ついていっても足手まといにしかならないのはわかっていてもついて行けないのが悲しかった

私に力を下さい、みこちゃんについて行ける力をみこちゃんの力になれる霊力を…」

そう願うりんに

ーそれはアクエリアス様のお力になりたいと言う私の願いと重なります

さぁりん~左手を掲げなさいー

そう告げた海原の精は人の姿をとり掲げられたりんの左手を受け取るとその甲に口付けを落とす再び光の固まりに戻った海原の精はりんの身体を包み込み…

やがてその光はりんの身体の中に還って光は治まりそれを見ていた春蘭も又

(私は何を畏れ躊躇って居たのだろう…みこちゃんの側に居たい、力になりたいのはりんは勿論チサちゃんにだってまけないつもりだったのに…)

そう思い

「お待たせして申し訳ありません…私にもお力をお貸し下さい、潮風の精様

みこちゃんの側にいてお力になりたい願いを叶えて下さい…」

そう思いを告げ左手を掲げると

ー互いに力を合わせ私は主の盟友の為、貴女は大好きなその巫女の為共に手を携え歩みましょうー

そう告げた潮風の精は海原の精同様に春蘭の左手を受け取るとその甲に口付けを落とし春蘭の身体を包み込み春蘭の中に還っていった

人々がこの奇跡に言葉を失う中ただ一人国王が

「此度の人事を精霊様達も祝福してくださった証し

我が国の未来を占う吉兆…観月、新たに精霊様に選ばれし二人の巫女達に暫し休んでいただきなさい」

ぐったりする二人を見ながらそう声を掛けると男爵夫人が

「春蘭に預けた茶葉をお持ち頂ければ私が淹れますから二人に呑ませれば落ち着くはず」

そう話すとミナが

「私が茶器と共にお持ちします」

そう言い残し部屋に向かった

そして…命の歌で始まるダンスの時間になり命やチサ、ミナを含めた美月のスタッフに新男爵令嬢の四人に男達が群がり

それ程ではないけどマイ、マキ、まな、マユ達をアプローチする者達も少なくない

それでも王宮の侍女達は確実に

変わりつつあるしそれも王妃の望む方向に

観月が連れてきた二人の巫女達のお陰で長年燻っていた不満が解消されようとしている王妃の表情は明るかった

 

 

 

 

 

②みこぉ~っ…

 

翌日からはチサ達も通常通りの生活に戻りついに海難事故防止キャンペーンの初日を迎えた

ミナを含めた美月のスタッフと忍、瑞穂以外の戦士達全員が集められて着替えなさいと言われた服はかなり微妙

命の部屋の住人ではないのに呼び出された嵐もその服を仏頂面で掲げ見ていた

それでもその服(イメージはミニスカポリス)を見て喜んでいる命とチサを見たら他の者達もあからさまに不満も言えず皆揃って微妙な顔付きをしていた

命はミナに手伝ってもらってチサも嬉々としてその服に着替えている姿を見て渋々着替えを始めた

命が嫌と言ってくれたら観月も考え直すかも知れないけど大喜びで着ている以上

「みこ達が喜んでいるのに何が不満なのですか?」

そう観月に言われて言いたい事はあっても言い返せるのは美月のスタッフか鬼百合位の物

因みに鬼百合以外の戦士達ならあれこれ言わず

「断る」

の一言で済ませるし阿は不本意ながらユカに勘弁して欲しいと頼み込んででも回避するだろうは予測できたから免除された

そして治安維持局から迎えが来て命達の姿を見た女性の局員達も又

「可愛い…でも自分が着るのはやっぱりイヤッっ!」

とその服を制服に採用する案に反対して良かったと思っていた

命達が会場入りすると命とチサに負けない程の歓声を受ける春蘭とりんの二人が精霊の巫女になったのは既に知れ渡っている事の証し

そして来賓達の退屈な挨拶が続き残るのは男爵と御法だけで終わるその男爵が

「男爵となり皆様の前に初めて立つ今日の緊張感は市長就任の挨拶をした時を思い出します…」

そう言った時だった

小さな命の口がこれでもかと言う位に開かれた大欠伸をして隣に座る春蘭が慌てて口の前を覆ったけど…

観月と美月のスタッフは目を覆い鬼百合を始め戦士達や来賓達は苦笑いし観衆達は必死に笑いを堪えていたが

「まぁこの様に突然起こるアクシデントも落ち着いて対処しさえすれば難なく乗り越えられる場合も有ります

ですから常々もしかするとこんな危険があるかも知れないと予測出来自分達ではどうしようも無い事に気付いたら…

迷わず私や市長、治安局に知らせて下さい

それらを解決するのが私達の役目なのですからね」

そう言って命の欠伸を逆手に取ったスピーチで無難に収め一礼をして来賓席に戻ると代わって御法が

「来賓の皆様が色々語って下さりその上で尚も私が人魚姫様をお待たせしてまで言う事は無い」

そう言って一礼をすると舞台脇に立つ司会のヒバリが

「それでは我等の可愛い歌う人魚姫に唄って貰いましょうっ!それではせぇーのっ!みぃっこっちゃーんっ♪」

そのヒバリの呼び掛けに応えた観衆達も大声で叫ぶと竪琴を抱えた命が現れ竪琴を置くと歌い始めた

"女神と共に"を…

「アリア女史に習ったのか…」

その一人の男の呟きは誰もが思った事で数多居る現役の歌い手中唯一ソロで…

現在ソロで歌えるのはアリア女史のみでその中でも一、ニを争う歌姫とも呼ばれている

そのアリア女史に公称十二歳の命がこの歌の指導を受けた才能を考えると

「今年の女神の祭典に出られないのが残念だ…」

と漏らす者も居るがその声に訳知り顔で

「確かにそうだが今年は人魚姫様の双子のお姉さんが出場されるそうだ

だから生涯にただ一度だけしか出場出来無い祭典に敢えて二人を同じ年に出す必要はねぇだろう?」

そう言われて皆納得したが何はともあれ命の姉の歌を聴くのが楽しみな人々だった

そしてアンコールにも応えた命が歌い終えると再び奇跡が起こった

光の固まりがミナの前に現れ

ー私は雨水の精…ミナの水の精霊の巫女の力になりたい気持ちに応えたい者

貴女が命の為にと思うならば私を受け入れ私の霊力を我が物としなさいー

そう言われ

「私にそのような力を与えて頂ける資格があるのでしょうか?」

そう雨水の精に問うと

ー私は貴女の命に対する思いの強さ、深さを知ってますから資格があるとそう判断しました…

が、それ程心配なら潮風の精と海原の精の巫女達の意見を聞きなさい

貴女の命に捧げる無償の愛をー

そう言われて

「私は大公様からお給金を頂いてますから無償とは…」

狼狽え口ごもるミナに

「私より付き合いの長いりんにききますがミナさんにプライベートな時間って有りますか?」

と聞くとりんも

「僅かな時間でも都合がついたらみこちゃんの顔を見に行くミナさんにはプライベートな時間って無いに等しいです」

そう答えると

「そんなの給金を貰ってますからの人に出来ますか?

今日だってユカ様と二人で明け方近くまで仕事をしてたのでしょ?

忙しさからみこちゃんの側に余り居られないから今日の様に側に居られる機会を逃したく無い…でしょ?」

そう春蘭が言うと

「私に技術的な事じゃなくみこちゃんへの想いを教えてくれたのはミナさんですよ?

何でもこなせるユカ様やユウ様に混じってただひたすらみこちゃんの為にと頑張ってるミナさんは私の目標でお姉さんみたいに思ってます」

そう叫ぶように言うと

ーわかりましたね?二人の巫女も貴女が私を受け入れる事を認め望んでいる事を…ー

雨水の精のその言葉に

「そう言われてさえ私には自信等有りませんが命様の為…いえ、命様のお側に居たい気持ちに偽りはありません

ですから雨水の精様、私に命様のお側に居られる様にお導き下さい

今の私には命様のお側に居られないより辛い事はございません」

やっとの事そう本心を明かしたミナに

ーその為にこそ私は貴女の前に現れました

さぁ契約の代わりに私の霊力を受け取りなさいー

そう言われて左手を掲げるミナも又精霊の巫女となった

この誰にも予測の出来ない奇跡にいつもなら地味な行事が都合が着かず見に行けなかった者達を後悔させた命の歌の後は命達のパレード

そして港の教会で水の精霊の巫女が祈りを捧げて終わった今日のイベント

それが数日前誕生した二人の精霊の巫女と先程誕生した巫女の四人が教会に向かうパレード

残念ながらミナは身体を休める為馬車で横になってるが誰にもそれは責められない

精霊の巫女と言う試練を受け入れたミナが身体を休める事を心配して声援を送るものなら沢山いたが非難する者等は一人として居なかった

ただ一人チサだけがそんな様子を見て

(私も自信が無いなんていつまでも甘えてちゃいけない)

そう自分に言い聞かせていた

 

 

その夜の晩餐会に男爵夫妻、りんの両親に治安維持局の局長以下広報課の映見、救護班の愛と賜恵(めぐみとたまえ)防犯課の操と純の六人が招かれていた

その他に今日命の供を務めた命の部屋付き侍女達も労う為呼ばれている

その為給士役もいつもより多く

「何故彼女達は給士なのですか?」

不思議そうに観月に聞く男爵に

「彼女達は指導者で有りチサを除けば通常の務めに過ぎませんしミナは今日それ以上のものを得ました

それに彼女は席に着いて食事するよりみこの側で世話する方が好きなのですよ?」

そう言われて夫妻がミナの顔を見ると命に笑顔を向けられ幸せそうな笑顔を見て

「そうですね、あの幸せそうにしている様子をみれば…それに初めてお会いした時の彼女もみこちゃんの世話するのが嬉しくて仕方無い…

その思いが全開で放たれていてみていて微笑ましかったですよ」

そう男爵が言うと

「これまで気付いてあげられなかった彼女の才能が花開き忙しくなって中々命の世話する時間が取れませんからね」

そう言ってミナを見守る三人だった立場上このような席に慣れている局長と局長程では無いにしろ目立つポジションのヒバリも招かれる事が少なくないが…

一局員に過ぎない他の四人はガチガチに緊張し未だ最初の一皿目が手付かずの状態に気付いて

「マナーを気にしていらっしゃるなら大丈夫

いくら不慣れでもあの方程は酷く無いでしょ?」

かつて大公邸で初めて食事した時に観月に言われた事をそのまま言うと

「それで宜しいのでしょうか?」

と映見に聞かれ

「私だって初めからマナーを身に付けてた訳じゃ有りませんよ

先程の言葉も私達が初めて大公様からお食事に招かれた時に観月様に仰っていただいたお言葉

それでもご心配なら私が助言いたしますから安心してお召し上がりください」

そう言われてようやく食事に取りかかった四人だった

そしてりんの両親はさすがに王宮は初めてでも網元の信頼も厚い一番船の船頭

そして四人の船頭のリーダーでもある彼は網元の供で宴席に訪れることも少なくない

場合によっては妻も招かれるし逆に網元の自宅に招く場合も有りそんな時は女房衆総出でもてなす事もある

そんな感じの二人に育てられたりんだから礼儀作法は比較的早く身に付いた

そして最後の御法は今日着た服が御法のデザインだと知った命とチサに挟まれあれやこれやと質問攻めにあっていた

最初の方は観月が気になり上の空だった御法も笑顔であの服が大好きだと言ってくれる二人につられいつの間にか子供の様なしゃべり方になっていた

そのいつもの威厳が消え失せた御法の姿に目を点にした局員が唖然としたが今の御法には全く気にならなかった

話が盛り上がった三人は

「明日は勤務が休みだから子供の頃から書き留めた落書きみたいなデザインを見せようか?」

と話して居るの聞いた観月が

「それは是非とも私も見たいですが他の六人も明日は休みですか?」

と聞かれ

「勿論彼女達も休みで今回の各部署の担当者ゆえ暫く休み返上で頑張って貰いましたから」

と答えると

「わかりました…ユウ、六人を今夜貴女達の空いている方の部屋に泊めますから後で案内しなさい」

そうユウに指示し

「貴女達の身柄は治安維持局に要請し王宮に出向して貰いますので暫く滞在し侍女達に護身術や手当て等の急救術を指導して貰います

ヒバリもりんに貴女の話術を習わせてください

そして映見、貴女のその絵の才能暫く王家に貸して貰えませんか?」

そう言われて互いに顔を見合わせ局長を見たけどとても良い返事をもらえそうに無い局長の溜め息を吐き

「局長の判断に任せます…」

六人を代表してそう答えるヒバリだった

 

食事が終わりりんの両親は

「明日も漁で朝が早いから」

と言って歩いて帰ろうとする二人に

「お招きしたお客様を送りもせず歩いて帰らせるような失態をさせぬようご理解下さい」

そう言ってなんとか説得し馬車で送らせてもらった

二人を送りユウ達の部屋に行くと既に六人は春蘭から出されたお茶を飲んで観月の訪れを待っていた

その観月が今までに無い真剣な面持ちで現れると

「良いですか…今から話すことは貴女達が他言しないと信じ明かすことだと言う事を肝に命じなさい」

そう前置きし六人を見回し頷くのを見て

「これは公女ではなく和泉の女神と水の精霊からの要請によりこの国の何処かに封印された歌の女神、ハーモニーの救出の為の一環で私達は既に水の精霊、火の精霊、風の精霊…そして我が女神、和泉の女神救出に成功していますが逆にこれから闇の反抗は避けられないでしょう…」

そう言われて息を呑む六人に

「勿論私達とて命の守護者達の協力で戦力を上げる努力は怠ってませんが…

ですから有事の際には王宮も怪我人を受け入れ医者でなくとも出来る手当てを出来る人材を一人でも増やし

治安維持局と共に市民達を守る備えをしたいのです」

そう言われてやっと得心の言った六人だけど一人映見だけが

「それはわかりますがそれなら何故私の絵が必要なのでしょうか?」

と聞かれ

「絶対ではありませんが辛い時にみこの絵を見れば辛い時に力になれるかもしれないとは思いませんか?」

と答えると映見も

「わかりました、私の拙い絵がそのお手伝い出来るのなら喜んでみこちゃんを書かせて頂きます」

そう答えた

 

男爵は国王用の居間で国王と鬼百合の三人で酒を酌み交わし四方山話で盛り上がり…

王妃はやはり私室のティールームに男爵夫人を招き春蘭に香草茶を淹れてもらっていた

「有り難う春蘭、下がって休みなさい」

そう言われて春蘭が部屋を出ると

「変わりましたね、春蘭…もっとおっとりした娘でしたのに」

その言葉はどこか嬉しそうで

「みこちゃんも春蘭にすっかりなつき美月の仕事が忙しくなってきたミナに代わりみこちゃんの世話をする者の一人になってます

観月を始め美月のスタッフ達に未だ公表を控えていますが火の精霊の巫女のチサからの新任も厚く

幼い見習いの侍女達にも慕われています」

そう告げると

「下の娘たちは?」

と聞かれ

春蘭とチサ共に午前中の勉強は自習しながら雪華とりんの指導

午後は春蘭とチサ、弥空と深潮にわかれ各々にダンスと礼儀作法を指導してますから既に三人は見習いの肩書きを外しても差し支えないと思います」

そう言われて

「そう言っていただき恐縮ですがそろそろ本題に入られては如何ですか?

その話をする為だけに私を呼んだとは思えません」

そう言われて溜め息を吐き

「どう切り出せばよいのか迷いましたが…

単刀直入に伺いますが薬師に復職する意思はありますか?

無論王家に縁の深い薬師の里の事ですから貴女の資格が永久剥奪なのは存じてます

ですが既に里の長は貴女の父上、その後を継いだ兄上が相次いで亡くなり貴女の姉上が継いでます

ですから私の方からもなんとかならないか働き掛けようと思いますが当の貴女の本心をお聞かせ下さい」

そう言われて

「里の掟を破り里を出た私にはその可能性が有るとは思えません…」

そう答えると今度は王妃が

「それは貴女ではなく里長の決める事ですよ?

それに歌の女神の祭典に合わせてハーモニー様の救出の戦いに赴くみこちゃんの為に打てる手は全て打ちたい

その手始めが貴女の薬師復職だと考えてます」

そう告げられ

「みこちゃんの名を出すのは反則ですよ?王妃様…

その名を出されて断れる者等一人として居ますまい

わかりました…復職の可能性はわかりませんが当面は薬師の掟に触れない範囲の薬草で色々な薬をご用意致します…私達のみこちゃんの為に」

そう夫人が言うと王妃も微笑みながら

「私達の可愛いみこちゃんの為に」

そう言って笑い会う二人だった

 

楽しい時間はあっという間に過ぎ去り命がうとうとし始めたので御法が命をベッドに運ぶと観月が現れたので

「本日はお招き有り難うございます、私は局の様子を見て寮に戻りますから部下達の事を宜しくお願いします」

そう言って帰ろうとする御法に

「引き止めるみこの手を振り切って帰るのですか?」

そう言われて意味がわからなかい御法に

「みこを見なさい」

そう言われて振り向いて命を見下ろすと眠ったままの命の左手がしっかりと御法のジャケットを掴んでいた

「どうですか、それでも貴女は帰ると言うのですか?

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