そう割り切ると命が言っているの誰なのかはすぐにわかった
ミナもそうだが結局は命が甘えられる人物なのだから
「わかりました…太夫、着付けの手配をお願い出来ますか?」
開き直ったユカが面白そうに笑いながら言うと
「一番着物が似合いそうな娘に着ないのが勿体無いと思ってましたし…他の子達も喜んでお手伝いしますよ」
(こんな面白そうな話し見逃すわけない、ですか?)
(勿論)
と二人が目で会話しているのには気付かないみこに
後の細かい事は私と太夫に任せて下の人にも頼んできてくださいね」
その命の後ろ姿を見ながら太夫が
「でも、本当に宜しいんですか…この様な…(本人の同意も得ずに…)」
そう心配顔で聞かれ
「ミナも精霊の巫女の一人…そう考えるといつまでも命様を影から支えるだけではダメですしいずれ他の巫女達の着物も命様の着物の後に作る話は出る話ですから…」
そう言われて納得した太夫は頷き
「私達はミナと言う花の蕾が綻ぶ瞬間に立ち合えるのかもしれないのですね?」
そう言って二人はその瞬間を想像し微笑んだ
音もなく忍び寄った命が耳元で
「鬼百合ぃっ、みこ鬼百合にお願いが有るんだけど聞いてくれるよね?」
言外にユウさには黙っててあげるからと言う言葉が滲み出ている命の顔を暫く見ていたけど諦めた鬼百合が溜め息を吐き
「で、アタイに何をさせたいんだ?」
と言われいたずらっ子の様に瞳を煌めかせている命は
「みこが呼んだら座敷に来てくれたら後はユカさんが教えてくれるよ」
と言われ
(みこに聞いたアタイがバカだった…)
と心の中で呟き
「解った、呼ばれたらすぐに駆け付ける」
片手を挙げながらそう答えとその答えを聞いた命が階上に戻っていった
その命の後ろ姿を見送りながら
「しっかしみこの奴にも困ったもんだぜ…階段を使うって発想はあいつの頭ん中にゃねぇのかよ?」
そう言って愚痴を溢す鬼百合に笑いながら
「そんなオチャメさが人魚姫様らしいしそんなお姿を見せていただいてるアタシ等にゃ有り難い事なんだから良いんじゃないのかい?」
そう言ってもう一度笑う女に
「まぁな、拝んでる奴まで居やがんだからしょうがねぇっちゃしょうがねぇんだがな…」
そう言って苦笑いを浮かべる鬼百合に
「まぁここは王宮じゃないんだから良いんじゃないのかい?としかアタシにゃ言いようがないよ」
そう言われて互いに苦笑いを浮かべ合うしかなかった
春蘭達の支度が終わり座敷に向かうのを見て別の芸妓達がこっそりと控え室に入りミナの為の支度を始めた
そして取り敢えず着物の礼儀作法の説明を受けていたミナの前にー今だよ、来てっ!ーそう言って呼び出された鬼百合が現れ
「百合様、ミナを控え室に…連れて行ってくれれば後はお姉さん達が着付けしてくれますから」
と言われ
(成る程、経緯は解らんがこの三人の共犯か…面白れぇっ!)
何をさせられるのか解らぬうちは不安だった鬼百合も
(こんな美味しい話なら喜んで手伝うぜ)
と思いミナを抱え上げると
「任せろっ!」
と言って駆け出した
着付けを終えて座敷に戻るミナを見た女将が
「このままうちで働いて欲しいくらいだよ」
と溢すほどだった
照れながら俯き加減で歩くミナを見て何も知らない客達は
「あの初々しさは今日から座敷に上がる娘なんだな?」
と言って微笑んでいたが
「本当にそうなら嬉しい事なんだけど生憎な事にあの娘は人魚姫様の従者の一人にして雨水の精の巫女様なんだよ…
それでもたまにくらいならうちで芸妓をやってくれても…」
後半は聞き取り難い呟きをブツブツと心底残念そうに言ってるの苦笑いを浮かべた仲居達が聞いて居るのに気付かない女将だった
「どうでしょうか?着物の作法の為にもこの娘達に踊りの師匠を紹介して頂けないでしょうか?」
と言うと
皆さんせっかくの着物姿をこのまま何もしないでいるのは勿体無い話し
今日のところは私達が基礎をお教えましょうか?」
と言われて命の目が輝き
「太夫にそう言って頂けるのなお座敷をお借りしますからその代金は…
「いいえ、座敷より二階の演舞台でお稽古を公開稽古にして頂ければ手の空いてる者が誰か必ず着くように手配しましょう、命様宜しいですか?」
「んーんっ…良く解らないからユカさんに任せるね」
「え…」
春蘭とマイ達は驚いたが既に自らの意思にかかわらず着付けをさせられたミナは開き直って平然としていた
「店にに居合わせた著名人達は練習の合間にジュースを差し入れたりミナや春蘭に名刺を渡して知己を得ようとしてきた
「これが目的だったのですね?」
「ここが密談に使われる事があると言うのは聞きました
そういった要人と知己を得るのはこれからの彼女達の財産になる
それが観月様の考えですから」
「成る程大胆にしてユニークな発想ですね」
「では、日取り段取りは以上で宜しいですか?」
「構いませんが侍女の全員のサイズまで把握しているのですね」
「でないと制服を用意できませんし健康管理も私達の責任だと言うのが亡くなられた大公妃様からの教えですから」
「素晴らしい方だったのですね」
「私達には生んでくれた亡き母、孤児の境遇から救いだしてくれた前大公妃様、私達に礼儀作法の手解きをしてくださったワイマール男爵夫人の三人の母が…」
そう答えると
「そうですか…良いところのお嬢さんが花嫁修業で侍女をやっているイメージしか持ってませんでした…すいません」
と詫びる太夫に
「確かにこの国の王宮もそれなりの紹介状を必要としますから大公家が特殊なんです
ですからそのイメージはおおよそ間違ってませんからお気になさらずに」
そう言われて
「あ…だからですか、りん達漁師の娘達が見習い侍女になれたのは…」
と太夫が言うと
「彼女達の身分は公女宮の見習い侍女ですから紹介状を必要としませんからね」
そう言われて
「運が良いと言うのか運命と言うのかはわからないけど羨ましい娘達だよ」
そう呟く太夫だった
夕方前懇親会になるはずの食事会が他の座敷客達の希望で三階の座敷の襖を取り外し各々に料理を注文すると
侍女達を誘っての食事会になりそのまま宴会に雪崩れ込んだ
日が沈む前には既に満席の店を見て顔を青褪めさせる女将は更に念の為にと声を掛けておいた総菜屋に使いを走らせ店の物を全て買い取らせたが未々不安は抜いされず
迷っている女将の前に仕出し屋の女将が現れ
「良い意味で期待を裏切られたね?うちの追加で用意した料理、引き取ってくれるよね?」
そう言われて
「勿論見せびらかしに来ただけって言われたら首閉めてでも置いてかせる位に欲しいからね、感謝するよ」
そう言われて
「負けず嫌いのアンタのその言葉を聞けただけでも板さん達に頑張らせた甲斐が有るよ」
と言われて
「今回思わぬ伏兵が居てね…」
そう言って女将が向けた視線の先には恐ろしい勢いで大皿に盛られた串焼きと酒壺に口を付けグイグイ煽る鬼百合が居た
「言っておくがあの方が呑ってるのは月影の国から取り寄せた侯爵領の爆酒だしあれは既に二皿目なんだからね」
そう言われて絶句する相手に
「まぁそう言う訳なんだよ…」
そう力なく笑う女将だった
命の歌が始まり留美菜とりんと仲間達は一階の手伝いで春蘭以外の侍女は二階の配膳を手伝い春蘭は本当なら休みだった太夫にお酌をしている
命の歌が終わり暫しの休憩の後航海の安全祈願と無事に終えた事に対する感謝を奉納する踊りを踊り酒場を盛り上げた
四人の精霊の巫女達も注目を集め特に一階の居酒屋スペースでは留美菜とりんが活躍し大いに盛り上げた
この夜は何とか凌ぎきれたものの次にの観月が訪れる日と命の前衛基地慰問と帰還兵とその家族を労う海軍の慰労会の日を考えると未々検討課題は多かった
そして岬の日
益々訪れる人は増えてはいたが既に定番化ししている為特に目立った混乱は無い
命も海女達の漁の手伝いを楽しんだし鬼百合も柳水とすっかり船酔いを克服した女神の騎士団の三人と漁の手伝いと魚の仕訳の間に釣りを楽しんだ
勿論鬼百合と柳水の釣った高級魚はいつものように市場に出しその分の魚と騎士団達の釣った魚を持って岬に向かい宴会を楽しんだ
翌日は明日命が訪れる海軍の前衛基地の士官達に差し入れる為の菓子を作る事にし命は踊りと歌の稽古で過ごした
一部の高級士官を除き酔仙亭に向かうと士官達の家族が待ち構えており士官達が席に着くのを待っていた
王宮に向かった高級士官達も
「えい、融通の効かん奴等だワシと陛下が折角こうして公務を早めにこなしみこちゃんの所に行こうとしてるのがわからんのかっ!?」
そう言われしどろもどろの部下に
「至急報告せねばならぬ案件があれば聞くが無いなら明日にしなさい」
国王に言われて
その後ろに控える観月達を見て
「明日午前中にお時間を頂きます」
そう答え酔仙亭に向かう事になった国王の馬車の同乗者は海軍将軍と副官、観月、嵐、チサ、留美菜、りん
の七名
当然の事ながら留美菜とりんはいつもの服を着て一階のお手伝い
国王の入室に一瞬シーンとなったが
「皆ご苦労だった、このような席で野暮な言葉は要るまい?」
デビュー前の将軍や副官の孫や高級士官達の娘達
一般士官の子供達が命やチサの周りに集まり観月やミナや御法を含めた美月のスタッフの周りにはご婦人達が集まった
宴も闌になり命の歌が始まると一階の客達も盛り上がり酒と肴が次々に追加注文されては客達の腹に消えていった
国王や命達が帰った後もその賑わいは一向に衰えを見せずその騒ぎは深夜にまで及んだ
それでも協力者の奮戦も有り売り切れ品はいくつも有ったが出せる物が全く無い…
そういった情けない事態には至らず女将も満足そうに笑い掛け他の者も笑顔で応えた
命達の数度の訪れがこの界隈にもたらした経済効果は計り知れず酒屋は抱えていた在庫が激減したので国内の蔵元は勿論大公領からも買い付けしていた
更には軍の協力により近隣の諸国から輸入の検討も始めていたまずは国内の流通の活性およびと大公領交易の再構築が緊急課題として浮上してきたのだ
逆にこの歌の国本国と大公領の好景気に目を付けた他の国の商人達が人魚姫の訪問要請で歌の国訪れる使者に目を付けた
商人達の身と荷物の安全の代わりに訪問に掛かる費用の一部を負担することにしたのだ
商人達が共同で陳情し補給艦を運搬船代わりにして貰い歌の国の同行を願い出ると
「歌の国に頼るのは癪だが魔物のせいで世界中の経済が停滞する中に現れた水の精霊の巫女と彼女がもたらした影響と考えれば良いか?」
等と言い訳して自国の商人達を連れて歌の国に向かった
そして観月と着物関連の業者が会談を行う日になり観月に同行するのは命、嵐、ユウ、ユミ、ミナ、春蘭、マイ、マキ、マナ、マユ、留美菜、りん、忍、瑞穂、映見
「瑞穂は映見さんの荷物を頼みます、忍の着物も用意して貰いましたから今日は貴女も着付けをして貰いなさい」
そう告げられた一同は置屋で着付けをする事になった
その間にまず釵屋が
「どうぞお確かめ下さい」
そう言って渡された五本の釵は命から預かった霊玉と勾玉をメインの飾りにした物で各々に霊力と魔力を感じる物に仕上がっていて
「護身用の意味合いもあるようですね…」
そう呟く観月に頷きながらも
「叶うならそうしたしい使われ方にはならない事を願いますが…」
そう悲しげに微笑む釵屋の女将だった
その次に観月に紹介されたのは呉服屋の女将で
「太夫に頼まれた物です」
そう言って差し出されたのは人魚姫をイメージした着物でそれを手にした観月は軽い後悔の念を覚えたが
「ユカ、みこの仕度を急がせ連れてきてください」
そう告げ下がらせると引き続き櫛、組紐、帯、匂袋等の業者と話し合っていると命を連れてユカが戻り
「みこ、チサと連絡は取れますか?無理なら使いを出しますが急いでチサに来て貰いたいのです」
そう言われて
「今日はチサちゃんここも呼んだげても良いの?…うん、わかった」
そう答え目を閉じて
―チサちゃん、修羅、ママ聞こえる?観月ちゃまがチサちゃんに来て欲しいって言ってるんだ…だから修羅、チサちゃんを連れてきて欲しいんだ…ママもそう言うわけだからゴメンね―
そう伝えると目を開け
「修羅に頼んだからすぐに来るよ、後ママにもちゃんと話したからね」
そう聞いてこの成り行きを理解できないでいる呉服屋の女将に
「まだ世間には公表してませんからここだけの話にして欲しいのですが間も無く従者に連れられて火の精霊の巫女が来ますが本人を見て彼女の為に仕立てをお願い出来ますか?」
そう言われて
「な、何と…水の精霊の巫女様に続き火の精霊の巫女様の着物を私共に仕立てさせていただけるですか?」
そして微妙な問い掛けに
「私達がデザインしたいのはあくまでも精霊の巫女様の着物
ですけどこのみこの為に仕立てられた着物は人魚姫の為に仕立てられた物…違いますか?
ですから本人を見てイメージして仕立てて欲しいし勿論四人の巫女達のも貴女のイメージで仕立てて欲しい…
それともう一人公表を控え大公領に居ますが間も無く本国を訪れる風の精霊の巫女の着物も仕立てて貰えますか?」
そう聞いて
「な、何と言う事でしょう四大精霊の巫女様が三人も我が国にお出でになられしかも七人の巫女様の着物を仕立てさせていただける
何と果報者何でしょうか?私達は」
そう興奮する女将に
「反物に必要な生糸は美月の方で責任をもってご用意しますから遠慮なく仰って下さい」
そう言って暫く待っているとチサを連れた修羅がが現れ朱い霊玉をあしらった釵を渡されるとその釵を握りしめ
「観月様、今日お城に戻りましたら陛下に精霊の巫女で有ることの公表をお願いしようと思います
ミナさん、春蘭さん、留美菜ちゃんとりんちゃん達は自信が無いから何て甘える余裕すら無いのに私達はいつまでも甘えてられません」
そう告げるとその決意が霊力を高めチサの右手小指を飾る指輪が完全に朱に染まった
それは形は異なるものの朱い勾玉とも呼ぶべき物進化を遂げたモノだった
そうして話が進む中退屈顔の命に気付いた太夫が
「私は今から座敷の予約が有りますから行かねばなりませんけどみこちゃん…
今日の座敷では今までと違う踊りを舞いますから見に来ませんか?
勿論後から教える物ですよ?」
そう言われて素直に
「うん、見たい」
そう答える命に対して宜しいのですか?と聞く視線の観月に
「その我儘が許される方達ですから私の方からお許しを頂きます」
太夫がそう答えると
「みこの為に太夫がお骨折り下さるのをお断りするのは野暮ですね?
わかりました、みこの事宜しくお願いします
みこもちゃんと太夫の言う事を聞くんですよ、わかりましたね?」
そう言われて軽く陽気に
「はーいっ♪」
と答える命に苦笑いする観月だった
座敷の前で
「私が呼んだら入って来るのですよ?」
そう言われて命が頷くの見て
「失礼します」
そう告げ座敷に入っていった
「本日のお招き誠に有り難うございます
不躾なお願いを招致でこの座敷に呼びたいのですが呼んでも宜しいでしょうか?
そう聞かれた客達は
「太夫がそう言う子なら問題ないよ」
一人がそう言いもう一人も
「逆に太夫にそう言わせる娘がどんな娘か興味津々ですよ?」
そう言って貰い
「みこちゃん、お許しを頂きましたから入って来なさい」
そう声を掛けると座敷のマナーを無視して襖も開けっ放しにして入って来た少女を見て
「に、人魚姫様?」
そう言われて
「みこお姫様じゃ無いのに…」
と言って唇を尖らす命を苦笑いで見守る客達から視線をずらし襖を見ると通り掛かった仲居が目配せして閉めていった
「ところで太夫、みこちゃんをここに呼んだのは何故なんだい?」
そう聞かれた太夫は
「今日お二方に披露する踊りを今日から教えるつもりでしたので一度通しで踊るのを見ていただこうかと思いまして」
そう聞いた客の一人が
「水の精霊の巫女様にあの踊りを…」
そう言葉を詰まらせるともう一人は
「そう言う話なら私達に遠慮は要らないどころか早く巫女様に習得していただきたいくらいですよ、太夫っ!」
そう言われて
「ぉ二人ならきっとそう仰って頂けると思いみこちゃんを呼んだのです
さぁ、始めますがお礼はみこちゃんが上手に踊れるようになる事でから頑張りなさいね
最初に踊りますから目に焼き付けなさい」
そう言うと踊り始め終わると息ひとつ乱さない太夫に
「今度は私のお踊りをを真似て踊りなさい」
言われて踊る命を見て話を聞いた時には何て無茶なと思った自分が恥ずかしい二人だった
太夫は命に出来ない事を要求した訳ではないのだから
そして三度目は命一人で舞いその後ミスを指摘し四度目には無難に舞える様になりこの段階でようやく
「お姐さん、この踊りはなんて踊りなの?」
そう聞いてきた命に
「この踊りは通称大漁祈願の踊りと言ってね…みこちゃんにわかり易く言うと留美菜やりんのお父さん達のお舟にお魚が一杯獲れますように…
お母さん達海女の皆さんが海女漁で良い物が一杯獲れます様にって海の幸を司る神様にお願いする踊りなんですよ」
そう言われて驚きながらも
「じゃあみこが一杯一杯お稽古しておじさんやおばさん達の為に踊れるようになったら皆喜んでくれるのかな?」
そう聞かれた太夫に代わり
「勿論、私としても是非とも漁港で踊って欲しいですよ?」
その時ちょうど襖が開き
「面白い話ですね、ユカ…今度は私の居る所でやって下さいよ?
まぁあのジミっ娘のミナに着物を着せた事は喜ばしい事ですから評価してますけど…」
その観月の言葉に苦笑いを浮かべるユカに苦笑いで応える太夫は
(本当にユカさんの仰ってた通りの反応ですね…)
そう思って苦笑いの禁じ得ない太夫だったのだが
「みこがお世話になりましたお礼も兼ね私達の座敷にご招待したいのですが宜しいでしょうか?
ただいまより私達は美月の商談を無事に終えた懇親の宴に入りますが生憎未成年が大半の私達では相手も遠慮してしまいますから是非ともお酒の呑める方に同席していただきたいと思いましてお誘いに参りましたのです」
そう告げられ
「勿論みこちゃんとともにすることを断る者など居ませんよ
喜んでお招きを受けしましょう」
と話していると会話が途切れたのが見たのでやっと命が
「何でおじさんが漁港で踊って欲しいって言うの?」
と聞いてきたので
「みこ、このお二方に見覚えはありませんか?
まぁ大欠伸の貴女が覚えてないと言っても驚きませんけどね…」
と、観月に言われた命が暫く考えて右の拳を左の掌に打ち合わせ
「おおそうか、ミナさんが雨水の精の巫女になった日に会ってたんだ」
観月の言葉でやっとその事を思い出した命だったけど
(全く…あの人にはろくな影響を受けてませんね…)
と観月が考え太夫もその命らしからぬ仕草にパッと鬼百合の顔が浮かび…
(あぁ、あの人の影響なんですね?)
そう思いながら苦笑いする太夫
今日はランチタイムからの為若い女性客が多く観月達の居る座敷をチラチラ見る者が少なくない
だから常連客のグループに話し掛け
「良かったら美月のスタッフ達のファッションアドバイスを受けられないか私から観月様にお願いしてみようかい?」
そう言って貰い
「はい、宜しくお願いしますっ!」
意気込む娘達に
「じゃあちょっと待ってな」
そう言って部屋を出ると観月達の座敷に行き
「宜しければ美月のスタッフの皆さんにファッションアドバイスをしてあげて欲しいし娘達が居るんですが良いでしょうか?」
そう聞かれた観月が
「ユカ、ユミ、ミナ…頼みますよ」その観月の突然の言葉に戸惑う
ミナに
「大丈夫、困ったら私達がフォローしますから私のアシスタントのつもりで居れば良いのだから」
とユカがそう言えば
「そうそう、ユカより面倒な人なんてそうそう居やしないをだから自信を持ちなさい
少なくとも貴女のセンスは私達は勿論観月様すら一目置いてるのを忘れないようにね」
そう言われて三人は女将の案内でその座敷を訪れ相談に乗ることになった
その様子を見た他の女性達が中の様子を伺い始めたのに気付いた座敷の客の一人が
「皆様のアドバイスが欲しいのはあの方達も同じですからお招きして宜しいでしょうか?」
そう聞かれたユカは
「ここは貴女方の座敷なので貴女方が構わないのなら私達に断る理由は有りませんよ?
但し男子禁制の公女宮の住人である私達は恋愛経験有りませんからその手の相談にはお答えできませんからね」
そう言われて
「社交パーティーでは座る間も無いくらいダンスに誘われてるって有名ですのに?」
そう言われてふんっ!と鼻で笑い
「その殿方の大半は私達の誰かと親しくなりあわよくば観月様にお近付きになりたいと言う下心が見え見えですからね…
初な頃は勘違いする事もありましたけど…」
そう言って苦笑いするユカとユミだった
日暮れが近付き命の歌が始まり夜の部が始まった
今夜の酔仙亭いつもと違いはそろそろ若い娘や子供の姿が見えなくなる時間にも関わらす若月ブランドの服を着せた子供連れの姿が目立っていたので急遽二階の座敷を子供連れの家族を迎え入れたらその姿で溢れだした
幼い男の子の中には海兵隊風のパンツスタイルの子も居たのでその後のユカとミナの検討課題となった
②再会の時は笑顔で
「人々から歌う人魚姫って呼ばれてるらしいよ?」
そう言われて
「そう言えば命様の事を海兵隊の旗艦の乗り組み員達は俺達の人魚姫って呼んでますね…
歌も何故あんなに自分の歌に自信が持てなかったのか不思議な位でしたから…」
そう言って首を捻るユマに
「みこは自分が許せない…嫌いなんだよ自分の存在が…
生きている事を否定する自分と僕と生きたいと願うもう一人の自分に揺れながら生きている…
まあ、全部アクエリアス様からの受け売りなんだけどね…」
そう言われて考え込む一同に
「まぁいざとなたったらみこの使役する霊獣ペンギンの力を借りれば大公領まで二刻程で移動出来るそうだよ?」
との真琴に
「まさか…」
というユマの呟きに
「うん、普通じゃ考えられない事を可能に出来るからこその魔獣、霊獣と呼ばれる者達なんだよ」
そう言われて
「そう…ですね、私達の理解を越える存在ですから恐れ敬うのですからね…」
そうため息混じりに言うユリに
「チサはペンちゃん…みこちゃんはそう呼んでるのですけど…小さい状態だと徳利のような体型の可愛い子なんだよっ♪
って言ってましたから多分可愛いんだと思います…多分」
そう言って明言を避ける翼に苦笑いの侍女達だった
そして出港の朝になりワイマール男爵夫人、翼、真琴、吽、沙霧、白浪が帆風の案内で乗船すると旅行鞄をサエに押し付け
「貴女ねぇ、翼様の側離れたくないんでしょ?
だっらユマ様にちゃんとお願いをしなきゃダメじゃ無いのよっ!
ほら、ご覧なさい…翼様も笑顔で貴女に手を差し延べてます…」