「みこはりんの事を初めての友達といってます…」
そう言って一息入れると
「翼ちゃんとチサちゃんはまこちゃんとおんなしで家族なんだよ?って答えました」
その答えに
「みこもそう考えてくれたんだ……
養女の話を始めて聞いた時翼は不思議がってた…
みこと双子の僕とフレア様の巫女のチサはわかるけど何故私まで?
って驚いてたけど…」
真琴のその言葉を受け
「多分みこの家族の一言は大きかったでしょうけど…
伯母様は十六夜に私に代わりに社交界に参加しているのを聞いて娘を連れ歩きたい夢を持ってたから結局は伯父様を説得してたでしょうけどね」
そう笑いながら言うと
「不思議な縁と言えば貴女達と翼とチサだって同じではありませんか?
ぎりぎりのタイミングで出会った四人も…」
そう言われて
「誰が人の運命を決めてるんでしょうね…」
真琴の苦々しいの言葉は観月には聞こえず真琴も少女達に引っ張られていった
留美菜とりんはいつの間にか宴を仕切っていて二人に口喧しく言われている網元と船頭のロンが形無しだったがまぁ久し振りにあった愛娘の前じゃあんなものか?
皆呆れつつもその父娘のやり取りを見ていた
楽しい時間は瞬く間に過ぎ明日岬で会うことを約束して命達は帰っていった
明日は早朝のお稽古は無しで漁港で踊りを奉納する事になっている
だから浮かれ気分でいた命達は冷水を浴びせられたような話を聞く事になる
「みこ、明後日早朝王宮を発ち一部ではありますが国内を回って欲しいのです…」
その言葉に反発したのは真琴で
「祭典が近いのに何故?」
その予想の範囲内の質問に
「近いからです…今まで貴女達は大公領の公女宮=美月預かりの立場にありましたから政治不介入の原則で祭典まではと断ってきました…
ですが貴女達が王女となった今その言い訳が使えず祭典出場者と見た目はともかく最年少のチサ
未だ本国入りしたばかりの翼には配慮しているようですがみこに対してはもう我慢出来無い…
そんな空気になりつつあります」
そう言われて
「つまり、あまり遠くまでいかなければ国内ならなんとかなるけど他国にいってしまったら何ともなら無い事態に陥るかもしれないから…ですか?」
翼の答えに溜め息を吐き
「主に一部の王都市民にしか姿を見せてませんし貴女達の王女としてのお披露目もしてませんからね」
観月に皮肉たっぷりそう言われて
「申し訳ない話だがな…」
国王に苦笑いでそう言われて黙り込む三人と未だ事態を理解出来無い命はただ黙ってキョロキョロ見回すだった
「取り敢えず同行者の発表をします
阿、瑞穂、忍、ミナ、春蘭、留美菜、りんの以上八名になります
その為一部侍女のシフト変更になりますから部屋で発表しますから食後全員集まるように」
その為暗い雰囲気になった食欲は良くも悪くも命以外の者達は減っていた
因みに鬼百合は朝食以外は滅多に顔を出さなくなっていたから今も居ない
命が不在の間マイは観月の側で修行し留守の春蘭に代わり雪華がチサと共にはな達の礼儀作法を指導
その間先に命の部屋付き以六人以外の見習い侍女は先にダンスレッスンを受け
その間マサはスー、スエ、スズを連れマチはスミ、セイ、セツをそれぞれ引き連れ巡回
マツはマイに代わり観月の側で仕事を代わりマホはマナ、マユに代わり王妃の手伝い
その間マイ、マキ、マナ、マユは酔仙亭から芸妓を派遣してもらいユカも含め踊りの稽古を着けて貰うことになっていた
又、翼は年長の王女としての役目として代表でサロンやパーティー等に出席し他国の大使との面談にも立ち合い緩衝材の役割を果してくれる事になる
そして早朝漁港に向かい着物を着た命が深夜の漁から戻った漁師達に航海(漁)の無事の感謝の気持ちを奉納して踊り
これから出漁する漁師達の為航海(漁の)安全祈願と大漁祈願の踊りを奉納して出漁を見送った
そのお陰かこの日を境に漁師達に活気を取り戻させ
漁師達は皆この日を人魚姫様が魚を呼び戻してくれた日と呼び不漁続きに喘いでいた漁師達に恵みをもたらした…らしい
昨日は浸水式で漁を休んだ為網を仕掛けていないこの朝は早朝前から漁に出掛け
明るくなってから網を仕掛ける予定で最初から釣りを楽しむ鬼百合達
漁師達の方も新しい船は従来の物より一回り大きかった為本来なら漁に出るのは未だ少し早い子等を乗せねばならないから初の出漁にはちょうど良かった
今日は底物を狙うため皆竿は使わない
勿論一番乗りは平べったい姿が特徴の一間はありそうな比目魚で続いて
柳水が刺鰒を釣り上げると他の者達もボチボチ連れ始め
当たりが止まるまでに釣り上げたのは鬼百合が一間クラスの比目魚二枚、刺鰒五匹、紅鯛が三枚、大鯵十本と今日も絶好調
柳水は刺鰒十匹に紅鯛が五枚、大鯵二十本とこちらも好調で騎士団の三人は刺鰒二十匹、紅鯛が十枚、大鯵三十本とこちらも好調
いつもの様に大鯵以外の魚を市場に出させ代わりの魚を岬に運んで貰うことにした
ただ毎回の事だけど鬼百合達から譲られる魚の価値は高く持って行く分では割りが合わないので
干物や塩漬け等にしてとりおいてあるがかなり貯まっていたが命が王都を離れ他の町を訪問すると聞き持っていって貰うことにした
海女漁の方は手伝いで活躍する話を聞いた漁港関係者が命に漁業権を認め与えた為手伝いではなく自分の漁と皆の手伝いになった
もっとも出荷に関しては
「みこに出来る訳無いのだからお二人が代理でお願いしますね」
そう観月に委託された留美菜とりんの母親達に任されている
そして戻った漁師達に航海の(漁の)無事の感謝の気持ちを奉納する踊りを舞いそしてて歌い一時の別れを惜しんだ
旅立ち前の晩餐を終えた命はミナが用意してくれたいつものリュックを背負い窓に立っていた
その悲しげな横顔に声を掛けるのを躊躇っているとすーっと宙を舞い王宮から出ていった
それに気が付き慌てて追い掛けようとする真琴の肩を掴み
「慌てなくても行く先はわかってます
観月様は予測していたし荷物を用意したミナにも確認しましたから
何も無いでしょうが疲れて自分で帰って来れないでしょうから様子を見守り
終わり次第連れて帰りなさいと観月様にいわれてますから一緒に行きますね?」
そう聞かれ真琴の返事は
「勿論行きます」
だったので二人で命の向かった先に後を追うことにした
窓を叩く音がし訝しげに窓の外を見やると今にも泣き出しそうな表情の命が居て慌てて窓を開け命を招き入れると
「お姐さんとの約束守れなくなっちゃった…」
命が暫く王都を離れる話は既に太夫の耳にも届いていたけど
別れより約束(新しい踊りを習う事)が出来無い事を詫びに来たことに驚き
「仕方無いよ、みこちゃんは王女様になったから今まで以上に沢山の人に笑顔を届けなきゃいけないんだからね…」
その太夫の言葉に
「みこはりんの事を初めての友達といってます…」
そう言って一息入れると
「翼ちゃんとチサちゃんはまこちゃんとおんなしで家族なんだよ?って答えました」
その答えに
「みこもそう考えてくれたんだ……
養女の話を始めて聞いた時翼は不思議がってた…
みこと双子の僕とフレア様の巫女のチサはわかるけど何故私まで?
って驚いてたけど…」
真琴のその言葉を受け
「多分みこの家族の一言は大きかったでしょうけど…
伯母様は十六夜に私に代わりに社交界に参加しているのを聞いて娘を連れ歩きたい夢を持ってたから結局は伯父様を説得してたでしょうけどね」
そう笑いながら言うと
「不思議な縁と言えば貴女達と翼とチサだって同じではありませんか?
ぎりぎりのタイミングで出会った四人も…」
そう言われて
「誰が人の運命を決めてるんでしょうね…」
真琴の苦々しいの言葉は観月には聞こえず真琴も少女達に引っ張られていった
留美菜とりんはいつの間にか宴を仕切っていて二人に口喧しく言われている網元と船頭のロンが形無しだったがまぁ久し振りにあった愛娘の前じゃあんなものか?
皆呆れつつもその父娘のやり取りを見ていた
楽しい時間は瞬く間に過ぎ明日岬で会うことを約束して命達は帰っていった
明日は早朝のお稽古は無しで漁港で踊りを奉納する事になっている
だから浮かれ気分でいた命達は冷水を浴びせられたような話を聞く事になる
「みこ、明後日早朝王宮を発ち一部ではありますが国内を回って欲しいのです…」
その言葉に反発したのは真琴で
「祭典が近いのに何故?」
その予想の範囲内の質問に
「近いからです…今まで貴女達は大公領の公女宮=美月預かりの立場にありましたから政治不介入の原則で祭典まではと断ってきました…
ですが貴女達が王女となった今その言い訳が使えず祭典出場者と見た目はともかく最年少のチサ
未だ本国入りしたばかりの翼には配慮しているようですがみこに対してはもう我慢出来無い…
そんな空気になりつつあります」
そう言われて
「つまり、あまり遠くまでいかなければ国内ならなんとかなるけど他国にいってしまったら何ともなら無い事態に陥るかもしれないから…ですか?」
翼の答えに溜め息を吐き
「主に一部の王都市民にしか姿を見せてませんし貴女達の王女としてのお披露目もしてませんからね」
観月に皮肉たっぷりそう言われて
「申し訳ない話だがな…」
国王に苦笑いでそう言われて黙り込む三人と未だ事態を理解出来無い命はただ黙ってキョロキョロ見回すだった
「取り敢えず同行者の発表をします
阿、瑞穂、忍、ミナ、春蘭、留美菜、りんの以上八名になります
その為一部侍女のシフト変更になりますから部屋で発表しますから食後全員集まるように」
その為暗い雰囲気になった食欲は良くも悪くも命以外の者達は減っていた
因みに鬼百合は朝食以外は滅多に顔を出さなくなっていたから今も居ない
命が不在の間マイは観月の側で修行し留守の春蘭に代わり雪華がチサと共にはな達の礼儀作法を指導
その間先に命の部屋付き以六人以外の見習い侍女は先にダンスレッスンを受け
その間マサはスー、スエ、スズを連れマチはスミ、セイ、セツをそれぞれ引き連れ巡回
マツはマイに代わり観月の側で仕事を代わりマホはマナ、マユに代わり王妃の手伝い
その間マイ、マキ、マナ、マユは酔仙亭から芸妓を派遣してもらいユカも含め踊りの稽古を着けて貰うことになっていた
又、翼は年長の王女としての役目として代表でサロンやパーティー等に出席し他国の大使との面談にも立ち合い緩衝材の役割を果してくれる事になる
そして早朝漁港に向かい着物を着た命が深夜の漁から戻った漁師達に航海(漁)の無事の感謝の気持ちを奉納して踊り
これから出漁する漁師達の為航海(漁の)安全祈願と大漁祈願の踊りを奉納して出漁を見送った
そのお陰かこの日を境に漁師達に活気を取り戻させ
漁師達は皆この日を人魚姫様が魚を呼び戻してくれた日と呼び不漁続きに喘いでいた漁師達に恵みをもたらした…らしい
昨日は浸水式で漁を休んだ為網を仕掛けていないこの朝は早朝前から漁に出掛け
明るくなってから網を仕掛ける予定で最初から釣りを楽しむ鬼百合達
漁師達の方も新しい船は従来の物より一回り大きかった為本来なら漁に出るのは未だ少し早い子等を乗せねばならないから初の出漁にはちょうど良かった
今日は底物を狙うため皆竿は使わない
勿論一番乗りは平べったい姿が特徴の一間はありそうな比目魚で続いて
柳水が刺鰒を釣り上げると他の者達もボチボチ連れ始め
当たりが止まるまでに釣り上げたのは鬼百合が一間クラスの比目魚二枚、刺鰒五匹、紅鯛が三枚、大鯵十本と今日も絶好調
柳水は刺鰒十匹に紅鯛が五枚、大鯵二十本とこちらも好調で騎士団の三人は刺鰒二十匹、紅鯛が十枚、大鯵三十本とこちらも好調
いつもの様に大鯵以外の魚を市場に出させ代わりの魚を岬に運んで貰うことにした
ただ毎回の事だけど鬼百合達から譲られる魚の価値は高く持って行く分では割りが合わないので
干物や塩漬け等にしてとりおいてあるがかなり貯まっていたが命が王都を離れ他の町を訪問すると聞き持っていって貰うことにした
海女漁の方は手伝いで活躍する話を聞いた漁港関係者が命に漁業権を認め与えた為手伝いではなく自分の漁と皆の手伝いになった
もっとも出荷に関しては
「みこに出来る訳無いのだからお二人が代理でお願いしますね」
そう観月に委託された留美菜とりんの母親達に任されている
そして戻った漁師達に航海の(漁の)無事の感謝の気持ちを奉納する踊りを舞いそしてて歌い一時の別れを惜しんだ
旅立ち前の晩餐を終えた命はミナが用意してくれたいつものリュックを背負い窓に立っていた
その悲しげな横顔に声を掛けるのを躊躇っているとすーっと宙を舞い王宮から出ていった
それに気が付き慌てて追い掛けようとする真琴の肩を掴み
「慌てなくても行く先はわかってます
観月様は予測していたし荷物を用意したミナにも確認しましたから
何も無いでしょうが疲れて自分で帰って来れないでしょうから様子を見守り
終わり次第連れて帰りなさいと観月様にいわれてますから一緒に行きますね?」
そう聞かれ真琴の返事は
「勿論行きます」
だったので二人で命の向かった先に後を追うことにした
窓を叩く音がし訝しげに窓の外を見やると今にも泣き出しそうな表情の命が居て慌てて窓を開け命を招き入れると
「お姐さんとの約束守れなくなっちゃった…」
命が暫く王都を離れる話は既に太夫の耳にも届いていたけど
別れより約束(新しい踊りを習う事)が出来無い事を詫びに来たことに驚き
「仕方無いよ、みこちゃんは王女様になったから今まで以上に沢山の人に笑顔を届けなきゃいけないんだからね…」
その太夫の言葉に
「お姐さんはみこと離れるの寂しくないの?」
命が思わず漏らしたその言葉に
「私は貴女の踊りの師、二人が踊りを続けていれば側に居なくてもいつでも一緒…」
そう言うと命の背にあるリュックに気付いた太夫が
「着物を持って来てますね?暫しの別れの前に新しい踊りを教えておきましょう、二人を繋ぐ絆ですから…」
障子を開け下の階に向かって
「お前達、さっさと上がってきなっ!」
太夫の呼び声に
「太夫の座敷は未だなのに…」
等と口々にブツブツ言いながら上がると太夫の部屋にいる命に気付いて
「いつの間に?って言うか人魚姫様のお越しなんて聞いてないし供も連れずに一体何故…」
そう戸惑う芸妓達に
「その辺りはアタシも聞いてないけど約束が守れないって泣きそうな顔で来てくれたんだ
だからアタシも着物を持って来てるみこちゃんに予定通り今から例の踊りを型映しで教えることにしたからお前達、急いでアタシ等の舞姫様のお支度をお手伝いしなっ!」
そう指示され喜んで命の着付けを始めた
何だかんだと言って社会的地位は低い芸妓達にとって
命が太夫との守れない「約束」を詫びに来るという筋を通しにわざわざ王宮を抜け出して会いに来てくれたのが嬉しかった
「水の精霊の巫女の人魚姫で人々からは歌う人魚姫と愛され…国王夫妻からも愛され…王女様になった命様がアタシ等芸妓に…」
そう呟きながら着付けや髪を結っていた
最初の出会いから自分達の踊りを喜んでくれたし着物を着たいとも言ってくれた
自分達はお姉さん達、太夫はお姐さんと自分達が姐さんと呼ぶのを倣ってそう呼んでくれている
「いつか基礎だけとはいえあの命様に踊りを手解きした事が有るんだよ?」
そう自慢話を出来る日が来るんだろう
そう考えると自然に頬の緩む芸妓達だった
支度が終わり向かい合って座る命に太夫は
「今から行う稽古は型映しと言って師と向かい合って踊る踊りの稽古で今ではこれを行える師弟は殆ど居ませんが…やってみますか?
これが出来れは一応踊り自体は覚えられますから後は一人でお復習を続けるだけで習得出来ます(水の精霊の巫女の貴女ならば…)」
そう言って立ち上がり命も立たせ稽古を始めた
稽古が終わり
「暫く頭の中で今の踊りを思い出しなさい」
そして稽古を見物していた芸妓の一人に
「みこちゃんにお茶を頼むよ、それとあの方が来ていただいたらみこちゃんも連れていきますからそのつもりで…」
そう言って太夫も又先程の稽古を思い返していた
お茶が運ばれ芸妓達にも伝わっている猫舌の命の為にお茶を冷まし渡すと
「ありがと」
そう言ってにっこり笑う笑顔が可愛く思わず抱き締めたい芸妓達だった
そしてて太夫が言うその方が訪れたのを聞いて
「みこちゃんに今から会わせる方は私の踊りの師匠、その方に貴女の踊りを見てもらうつもりですが宜しいですね?」
太夫にそう言われて難しい顔をして考え込み
「お姐さん、師匠って何?」
そう聞かれた太夫からたら
「貴女が悩んでいたのはそこ?」
と言いたいのを「私に踊りを教えて頂いた方です」
と言われ再び左の掌に右の拳を打ち付けて
「オーっ、なるほど…お姐さんの先生なんだね?」
そう言って一人納得する命だが初めて見た芸妓達を驚かせたけど皆の頭には鬼百合の顔が浮かんだ
「問題なければ参りましょう」
そう言って命を座敷に案内して
座敷の客も当然初めて会う者ではあるけれど命の事を知っていたし弟子の翠蘭が手解きしている話も耳にしていた、だからただ一言
「踊ってみなさい」
一言告げると命も今倣い覚えた踊りを舞った
ただ、命の無難に踊れました…と言うレベルの踊りに失望を隠さず
「どれくらいお稽古しましたか?」
命が何か言うより先に答えた太夫は
「いいえ、一度も…この子は少し前に型映しでなんとか型を覚えたばかりですから…」
そう言われて改めて命の顔見て
(成る程、水の精霊の巫女だからと言うだけではなさそうですね)
そう思い
「もう一度頭からおどりなさい」
そう言われて踊ると一度目より滑らかに踊り
「今度は貴女と…」
そう言われて太夫と踊ると太夫の踊りにより高見に引き上げられ上達の速度を早め
「最後に全員で…」
そう言われて立ち合っていた芸妓達が全員で踊ると命の高まった霊気が身体から溢れ出て命の身体を包んでいた
踊り終えへたり込んでいた息を整え命が太夫に手を借り座り直し
「有り難うございました」
そう言って頭を深々と下げると
「ご褒美です」
そう言って至高の踊りと呼ばれる踊りを見せてくれた
感動の涙を流す命と久し振りに見る師の踊りに見惚れる太夫
そして忽然の表情の芸妓といつの間にか襖は開け広げられ様子を見守っていた客達も又茫然と見ていた
師の踊りが終わり窓に向かい
「隠れて見ている貴女達、入ってきなさい」
太夫にそう言われてばつ悪そうに座敷に入ってきた真琴と瑞穂は
「みこ、もう気は済んだでしょ?明日は朝が早いんだから早く帰って寝ないとね…」
と、勝手な外出を咎める真琴に
「あれ程の踊りを見たのですから踊れますね?」
そう太夫に挑発され下を向いて唇を噛み締めているといつか見た瞳の輝きの命がそっと太夫に耳打ちした
それを聞いた太夫は手近な芸妓にそっと指示を与え一人は一階に降りていった
暫くの時が経ち考え事をしていた為音も無く忍び寄る鬼百合に気付くのが後れ担ぎ上げられると
「鬼百合ぃ、よろしくねぇーっ」
無責任に言われてとにかく控え室に真琴を連れていくと
「頼むから大人しく小悪魔みこの言う通りにきせかえ人形になってくれっ!」
と拝み倒す鬼百合に
「全く…いつの間にそんな悪い子になったのさ…」
真琴が呆れ顔で言うと真顔で
「お前で二人目だ、最初の犠牲者はミナだった…」
着付けされる真琴に苦笑いで話す鬼百合だったけど着付けを終えた真琴を見て鬼百合も思わず口笛を吹くほどで
「本当に何でうちで働けないんだろうね?」
と何度聞いたかわからないぼやきに
(留美菜やりん達みたいに給仕ならともかく未成年の娘に芸妓をやらせたら不味いでしょ?)
そう思ってるけど口には出さない仲居達だった
着物を着た真琴が腹を決めてさっきさんざん見た踊りを踊り舞うと
「良ければ貴女も踊りを覚えませんか?」
そう太夫に誘われたけど
「興味深く有り難いお誘いだけど今は祭典に集中しなきやいけない時だから遊びに来るだけならともかく
きちんと習うなら祭典が済んでからでないと今まで歌を教えてくださった方に申し訳無いです」
そう言われて
「そうですか、では踊りを教えている侍女の子達と遊びに来なさい、見てるだけでも違いますからね」
太夫がそう言うと太夫の師匠も
「祭典後一度遊びに来なさい、待ってますから」
と、言い
「そろそろ二人連れて帰りなさい」
そう鬼百合と瑞穂に言うと
「みこはともかく僕は着替えてお返ししないと…」
真琴のその言葉に
「その子等と一緒に又来てくれりゃ良いんだよ」
女将が言い鬼百合も
「見な、周りを」
そう言われて見回すと自分が踊り始める前より更に人が増えて皆酒を酌み交わしていた
「お前達は十分店に貢献したんだから遠慮するな」
その鬼百合に
「お前は二人と違う形で毎晩貢献しているようだがな」
と、痛い所を突かれ
「街中を見回ってるんだよ」
と、あまりにもの苦しい言い訳に芸妓や仲居にまでくすくす笑われたけど
実際の話し、鬼百合がこの呑み屋街に現れる様になって呑み屋街に付き物のトラブルが減っているのも事実だ
だからといって店で酒を呑む言い訳にはさすがにならないとは太夫も思わざるを得ない事
「真琴、礼を言って有り難く貰っておきな」
そう鬼百合に言われ
「有り難う御座います、又来たときも着付け宜しくお願いします」
そう答えると命は瑞穂、真琴は鬼百合の肩に乗り王宮に帰ることになった
(なんでさ、みこ…今夜はゆっくり二人で過ごしたかったのに…)
そんな真琴の思いに気付いた鬼百合が
「みこを許してやんな、あの踊りはみこには特別な意味がある」
そう言われて鬼百合を見ると
「あれは水の精霊への奉納の踊りと言って水の精霊のみこには覚えなきゃならん義務みたいなものだからな…」
そう言われても真琴が納得出来ないのは理解出来る鬼百合は強いて真琴の同意は求めなかった…