第七章 国内ツアー開幕
①いってきます
いつもより早く目覚めた命はほぼ同時に目を覚ました真琴に
「まこちゃん、ペンちゃん暫く預かってくれる?」
そう言って可愛いがっていた霊獣ペンギンを真琴に渡すと
「どうして?あんなに可愛いがってたのに…」
と真琴に聞かれ
「みこの代わりだよ、それにママに聞いたらみこの行く範囲にペンちゃんが活躍出来るような川や湖無いから残ってまこちゃん達のお手伝いして貰った方がいーって思うんだ…それとこれも預かって」
そう言って渡されたのは勾玉と霊玉で
「又よろしくね」
そう言われて意味がわかり
「ん、やっておく」
と答えると
「ごめんね、まこちゃん…勝手ばかり言って…」
そう言って目を伏せる命に
「良いよ、みこ…みこが自分の意思で頑張るのなら応援するからね?
僕はみこのお姉さんなんだからさ」
そう言って笑って見せると
(そうだ、大事なことを忘れていたよ…今のみこには踊りが生きる意味になりつつあるなら今みこを応援しなくていつするのさ)
そう思って
「旅先でも踊りの稽古頑張るんだよ?」
そう言って部屋にマイを呼ぶと着替えを手伝わせ寝室を出ると既に他のメンバーの支度は終わっていて命を待っていた
その中に白浪を見つけると
「これを白浪に預けるね、双竜牙って言って白炎竜と青竜の牙って意味だよ」
そう言って渡されたのは白い勾玉と蒼い霊玉が柄を飾るスクラマサクスで
「ほおーっ…」
と言って目を細目柄を握ると
「成る程…」
と呟き
「確かに預かった」
と答え
命の手に現れた長槍の柄には石突きではなく金剛杵の半身の様になっていて恐らくは懐に入られた時の物だろう碧の霊玉で飾られていて
「沙霧にはこの碧風竜槍を預けるね
真空の刃を貼るかに上回る真空竜を放てるんだよ」
更に千浪を見つけて弓と矢筒を渡しこの矢筒から取り出す矢は一本一本が黒炎竜になるから祭典の時頼もしい存在になるよ」
そう言って三人に神剣から生まれた魔剣、霊剣、霊槍、魔弓を渡した
そして最後に
「チサちゃん…指輪を見せて」
命に言われ右手を差し出すと
「翼ちゃんとまこちゃんはこれがなんだかわかる?」
そう聞かれた二人がその霊気とも魔力とも判別し難いそれを見て首を横に振ると
「これは記憶に無いみこがチサちゃんの身体に埋め込んだみこの勾玉がチサの試練の時に姿を変えた勾玉
それがチサちゃんの高まりに応じ黒い魔力を紅く染め上げた紅い魔玉とでも言う物だからはい、これを…」
そう言って粒の小さい黒い勾玉のネックレスを二人に渡し
「これを二人の霊力で染め上げた魔玉を産み出してまこちゃんに渡して欲しいんだ」
命に言われ
「みこちゃんはいらないの?」
チサに聞かれ
「みこに力を貸してくれるけどみこは触れちゃいけない力…らしいんだ…」
そう言われてチサが
「誰がそんな事を言ったの?」
そう聞かれ
「みこじゃ無いみこが言ったの
それはお前が手にすれば大切な者達に厄をもたらすモノ故に決して触れてはいけないモノ…ってゆわれたんだよ」
そう言われて一人考え込むチサ
「わかりました、その言葉の意味はわからないけど真琴に預けますね」
翼に言われて笑顔で
「うん…お願いだよ、翼お姉ちゃん」
その言葉に侍女達は今この時姉妹の様ではなく姉妹になったんだと感じた
旅立ちの時はっきり言って観ている者が思い切り未練がましい国王に皆引いていた
「あんたが決めたんでしょうがっ!」
と言いたいけどその様子を見てそれこそ血を吐く思いで決断したんだろな…
と、思い王妃を見たら彼女もドン引きしていた…
そんな感じの旅立ちだったけど馬車は順調に王都の街中を駆け抜け山岳地帯へと入っていった
山道走り続ける馬車は順調だけどただ一人納得仕切れない留美菜が
「命様はペンちゃん居なくても平気なの?」
真琴に抱かれ留守番になったペンの事を聞くと
「みこについてきたってペンちゃんの活躍の場はないよ?」
そう言われて何と言い返そうか迷う留美菜に
「落ち着きなさい、留美菜…旅立ちの時ペンちゃんは
ー真琴達は僕が守るから早く帰って来てね、命様ー
と、言い霊力の無い真琴様は気付いてななったけど翼様とチサ様は肩を震わせ笑ってましたよ?」
そう言われて驚いていると
「留美菜、私達の旅は始まったばかり…もっと力を抜かなきゃ持ちませんよ?
ね、命様…ミナさん?」
そういきなり振られ元々何も考えず踊りで頭が一杯の命と旅の不安で頭の一杯のミナには聞こえてなくて
「は、はい申し訳ありませんっ!」
と、裏返った声で言われては緊張から来る不安にさいなまれる留美菜さえ吹き出した
その一同を見て意味がわからず顔を見合わせる二人の姿が更なる笑いに誘った
「命様、慌ただしい出立でしたから取り敢えずお祈りをしませんか?]
そう春蘭言われて
「あぁ、なんか忘れてる気がしたのはそれかっ♪」
そう言って朝のお祈りをする命
山岳地帯に入り見晴らしの良い場所で朝食を摂る事にし命は踊りの稽古でミナは踊りの稽古の後の着替えの準備と同行する山羊のメイプルの乳搾り
春蘭と留美菜、りんはそれらを使い朝食の支度の為重い行基と格闘していたがそれに気付いた三人が駆け寄り
「力仕事なら何故私達に言わないっ!」
そう阿に強く言われた春蘭が
「貴女様達は命様にお仕えする騎士様、故に命様同様お仕えする方達と思ってます」
春蘭が正直に自分の考えを言うと
「ここは王宮では無いし旅の途中の今気にすべき事ではないっ!」
そう阿に強く言われ更に
「それは私達にも言える事で私達では命様に食事をさせたり着替えさせたりなど出来ない
ですから私達には命様同様お守りする存在ですから互いに自分達の出来る事で命様にお仕えすれば良いのです」
それでも気にする様子の春蘭に
「ユカ様が妬きもち妬く様な事さえしなければ良いんですよ?春蘭さん」
と言われ
「り、りん…貴女は誰にその様な事を聞いたのですか?」
困惑しながら聞く阿に
「そんなの皆言ってますよ?阿様のお世話を甲斐甲斐しくするユカ様
鬼百合様のお世話するユウ様を見れば…ねっ、留美菜ちゃんっ♪」
そう言われた留美菜も
「観月様も時々お二人の事新妻達って言ってますよ?」
そう言われた阿が渋い顔をするの見て
「確かにその気遣いは忘れない様にしないとユカに有らぬ疑いを持たれますから気を付けなさい」
完全に他人事の瑞穂が無責任に言い忍もくすくす笑っている
「あっ…」
留美菜の呟きに命を見ると尻餅をついて座り込無と頃だったから慌てて駆け寄る忍とりん
忍が命を立たせりんがお尻に付いた土を払い落としスカートの襞を直すのを見て
「あの様にお仕えするれば良いんですね…」
その呟きに
「私達もそう思いますが春蘭…忍もですがこの格好で騎士様と言われても正直微妙です」
そう言われた瑞穂は黒いレディースのスーツ姿で騎士と言うよりは秘書といった感じだし
忍に至っては白のブラウスの上に紺のブレザーで深紅のリボンが胸元を飾っていて勿論スカートを履いている
一転して今度は瑞穂が渋い顔をするのを見て
「良いじゃ無いですか?お二人とも良く似合ってますし瑞穂様は岬で海軍の方達にモテモテだったじゃないですか?」
そう言われた瑞穂は溜め息を吐きながら
「先々頭の痛くなる難題です」
そうぼやく瑞穂だった
「留美菜、りん踊りの稽古で汗を掻いた命様のお着替えを頼みます
その間に私とミナさんで食事の支度をします
阿様と瑞穂様はござを敷いてくださいますか?
忍様には私達の手伝いを頼みますから」
そう言って食事の支度に取り掛かった
食事中阿が
「留美菜とりんに以前から気になってた事を聞きますが何故鬼百合だけ鬼百合さんで私達には様を付けるのですか?」
そう阿が聞くと
「最初は鬼百合様でしたけどご本人が様って柄じゃねえんだからよ
本当はみこみたいに鬼百合で良いんだがそれが無理ならせめて鬼百合さんにしてくれって言われましたから」
そう聞いた阿が
「なら私達にも様は不要だし他の者も同じだと思いますし、春蘭…貴女もですよ?」
そう言われた春蘭が
「わかりました阿さん、でしたらこの際ですから命様も私達を呼び捨てでお願いします」
と、ボーッしていた命に言うと
「え、何で?みこの方がお世話になってるのに…」
そう答えると
「命様は王女様になられましたし…それに戦士の皆様は呼び捨てですよね?」
そう指摘され考え事をする時の仕草で考えてから
「鬼百合は鬼百合で良いってゆったし他の皆はお互いに呼び捨てでゆってるからかな?」
そう言われた春蘭が溜め息を吐きながら
「確かに命様以外のお三方は様ではなくさんでしたね…
わかりました、ではこれからは呼び捨てでお願いしますね」
そう言われた命は
「う、うん…気を付ける…」
と自信無さげに答え春蘭に溜め息を吐かせ二人のやり取りを見てる一同を笑わせた
食事の終わりに命以外にはすかり冷めていたお茶を飲みながら
「命様の出立後のご予定は?」
そう春蘭に聞かれて
「今朝未だしてないお歌のお稽古したい…」
そう聞いた阿が
「そう言う春蘭達はどうするのですか?」
聞かれ
「私とミナさんは色々観月様達から宿題を出されてますからそれをします
留美菜とりんは今まで命様のお世話を受け持っていたマイさんに代わってお世話させる様に言われてますから頑張ってね」
そう言われた留美菜が
「何故マイさんは選ばれなかったんでしょうか?」
その留美菜の呟きに
「さぁ、詳しくは聞いてませんがマイさんは観月様の元で私達とは違う新しい勉強を…
私達とは違う事を学び月影の国にを訪れるみ命様のお供をする為と聞いてます」
そう聞いたりんが
「ミナさん以外の私達三人は候補者に名前があがってますからこの旅の成果次第ですが…
もっともミナさんは命様のお供と言うよりユカ様の助手、パートナーとしてユカ様の希望ですけどね」
そう聞いたりんが
「ミナさん一人占めのユカ様が羨ましいってユウ様やユキ様、ユミ様が言ってるの聞いた事有ります」
と言えば留美菜も
「ユカ様がデザインしミナさんが作ったエプロンは私達の宝物です」
と言い
「ユカ様も口にこそしなかったけどミナさんの今回の同行に難色を示してましたから…」
と、当のミナ自身が知らない話しに驚いていると
「ミナさんってミナ様って呼ぶべきなんだけど今みたいな表情するのを見るとお姉ちゃん可愛いって思っちゃうんだよね?」
留美菜にそう言われたミナが更に照れると
「確かに春蘭と違いミナの印象はある意味雪華に近い
弥空や深潮より年下に感じる時が有りますね…」
と阿に言われて今度はさすがに複雑な表情をすると
「だから留美菜に可愛いと言われるんですよ、素直すぎて感情がすべて顔に出てます」
と、瑞穂が言うと
「でも…そこがミナさんの良いとこじゃないですか?
ユカ様が私が言うと立つ角も裏表無いミナが言えば立ちませんからねって…」
春蘭にそう言われた瑞穂も
「確かに皮肉を言うミナは想像出来ません」
そう言って苦笑いすると
「取り敢えず留美菜とりんは朝早かったから少し寝なさい
今日は未々先が長いですからね」
と、言うと
「なら夕べ宿直の私と忍も仮眠をとります」
と、言うと
「じゃあみこお稽古止めて静かにした方が良い?」
そう落ち込みぎみに言うと
「命様の歌なら歓迎しますがスローで穏やかな歌なら良く眠れますし夢見も良くなりそうですからその方向でお願いします」
そう言われた命は
「うん、わかった…そう言う歌にする」
そう言って早速稽古する歌のチョイスを始めた
そのミナが仕事に戻りエプロン作り春蘭は分厚い書類の束のチェックする二人に
「馬車の揺れは苦に為らないのですか?」
瑞穂の問い掛けに暫くして春蘭が
「何か仰いましたか?」
そう問い返すと
「何ですか?その書類の束は…」
と呆れ声で聞く瑞穂に
「今見ているのは美月の取引のある有力者のリストです
継承権の無い命様達に政治問題に巻き込ませ無い様に観月様の公女宮同様に政治不介入を宣言されるそうですが…
王家の決定でいくら政治不介入を唱えようとも藁にもすがりたい者には通じません…
ですから美月のモデルスタッフの命様達に影響を与える可能性…
即ち縁故の生じる美月の顧客を私に把握する様に渡されたものです」
そう言われて
「そんなに?」
と言われて
これ以外にも知っておくべき…頭の片隅にでも入れて置かなければいけない情報の一部に過ぎません」
そう言われた瑞穂が深い溜め息を吐くと
「で、ミナは何を作ってるんですか?」
そう言われたミナがやっと自分に話し掛けられている事に気付き
「はい…私がどうかしましまでしょうか?」
と、ピントのづれたミナの言葉に
「貴女は何を作ってるんですか?と聞いたんです」
今度はちゃんと耳に入ったので
「馬車の中ではエプロン作りをします」
そう言って元々作り掛けだったそれは完成したようで
「成る程、留美菜が宝物と言うのも頷けますね…」
そう感心している間にエプロンは折り畳まれ行基にしまわれ新しいエプロンの製作に取り掛かるミナだった
馬車が当初の昼食を摂る予定だった峠の茶屋に着いたのは未々昼食には早すぎる時間で弁当を買って先を急ぐ事にした
馬車は見晴らしの良い開けた場所で止められると瑞穂はお茶を沸かす為のコンロを下ろし春蘭がお湯を沸かし始める
阿と忍は弁当を下ろし馭者に弁当を水筒とと共に渡し
先に食べて貰うことにし子供達を起こすと三人に冷たい濡れタオルを渡し目を覚まさせた
取り敢えず渡されたお茶を飲みながら頻りに首を傾げる命に
「命様、どうかしましたか?」
そう忍に聞かれたけど
「何かおかしいんだけどそれが何なのかわからないんだよ…」
そう答えると
「調べますか?」
そう忍に聞かれた命は
「うん、みこが考えたってわかるわけ無いから気配を頼りに探ってみる、忍手伝ってくれる?」
そう聞かれた忍は
「命様はただ命じれば良いんですよ?」
そう言われてフワッと浮き上がると目を閉じて
「ついてきて忍、阿は皆と先に食べてて」
そう告げると水の音がする方に進んで行く二人を見送る三人だった
「水量が減ってるよね?」
小川とも言えないその水量だけどそれが本来の水量でないのは一目でわかる忍
「闇の者気配は勿論闇の者が力を振るった痕跡も感じられませんね?」
そう命の反応を見ながら言う忍に
「そうそれが一番わからない事なんだよね…ただの自然災害ならとっくにアクエリアス様からそう告げられていますが…
あまり良い予感はしません…」
忍にそう告げると水源地に向かう事にした
宙を舞う命の後を黙々と歩く忍の目に小高い丘が見え水の音がそこから始まっている事に気付いた
「さぁ、何が出てくるのでしょうね…」
面白くもなさそうに呟く命に
「やはり闇の者の気配は有りません…」
その言葉に何も言わない命が何を考えているのか忍にはわからなかった
その丘を上りきり丘から水源らしき小さな水溜まりと化した泉が見付かり
その水溜まりに近寄ると肉食、草食大小を問わず獣達が集まり水を呑んでいたけど命達が近付くのに気付き二人に向かい威嚇してきた
―皆、その方達なら大丈夫です
何故ならば私の主、アクエリアス様の巫女とその従者の方なのですからね―
その声の主である精霊が姿を表すと
「泉の精よ、貴女の泉に一体何が起こったと言うのですか?」
そう問われて
―人間の男の投げ込んだあの岩が水源を塞いでしまいその隙間から僅かな水しか湧き出せなくなりました…―
そう言われて
「そうですか、そうで無ければ良いとは思っていましたが…
ですがおかしな話しですね?
その者が闇に操られていたのであれば貴女も気付いたはずですし…
貴女も無事では済まなかった可能性もありますからね
ですから何故普通の人間が正確に水源を塞げたのか?いえ、何故そのようなことをしたのかすら疑問です」
そう言って溜め息を吐き
「犯人が何を考えているかは知りませんが炙り出すのは簡単だし泉を元に戻すのはもっと簡単な事」
命がそう言うと
「そうですね、多少骨は折れますが私一人でも動かせない程の物でも有りませんね」
忍がそう言うと首を横に降り
「取り敢えず岩はそのまま残します」
そう言うと蒼い霊玉を取り出し祈りながら岩に埋め込むと霊玉から水が染みだし徐々にその量を増やし始めた
「泉の精よ、霊力の源である水源を断たれた今の貴女の霊力の低下は著しい
力を回復するまでは私の中にいらっしゃるアクエリアス様の結界に隠りなさい
アクエリアス様もそう仰ってますからね」
そう命に言われて
―確かに今の私では小魔相手にも苦戦は免れませんが…―
そう渋る泉の精に
「その為に岩をどかす事無く霊玉を使ったのです
岩をどけただけなら又塞がれますが犯人がこの事に気付いた時には既に頭が出ている位でしょう
ですから何故水が出るようになったか理解出来ないでしょうし泉の中に入ったとしても人間がどうこう出来る訳ではありません
まして泉の中に入った者をこの子達が許すとも思えませんしね」
命のその言葉に同意しているように忍には見えた
―そこまでお考えでしたか…感謝してお世話になります―
そう言うと命の中に入っていく泉の精に
「取り敢えず今後の事も有りますから今回の犯人は私達で捕らえます」
そう言うと忍に向かい
「見張りを残し私達は食事に戻りましょう、翔…」
と、命が呼ぶとどからともなく紅い鳥が現れ命が差し出した右手に止まり
「何者かがこの泉に近付くのを感じたら知らせなさい」
そう言われると近くに有る木の中で一番高い木を選び先端に止まって気配を探るのが忍にもわかり
「水が流れ出すのにも時間が必要でしょうから戻りましょう、皆も心配している事でしょうからね…」
そう言うと身体を預けてきた命の身体を受け止め馬車に戻っていった
二人が馬車に戻ると一行は既に食事を終えていて二人の帰りを待っていた
「ン~っと…、取り敢えず忍とご飯先食べるね?」
そう命に言われて
「留美菜、みこちゃんの食事を手伝いなさい、ミナと春蘭は出発が遅れそうですからどうしますか?」
瑞穂が聞くとミナは躊躇わず
「先程の続きをします」
春蘭は暫く考え溜め息を吐き
「私も続きをします」
そう答えると
「留美菜とりんは二人の食事が済んだら後片付けをしなさい」
そう指示して二人の食事を見守った
先に食べ終えた忍に大まかな話を聞いて
「確かに命様の言われる通りにあまり良い予感はしませんね…」
阿が言うと瑞穂と春蘭も頷いて
「留美菜とりんは後片付けを終えたら私が水を汲んできますから命様が着替えた物を水洗いして干しておきなさい」
春蘭がそう指示すると瑞穂が
「春蘭、水は私が汲んでくるから貴女は続きをしなさい」
そう言われて
「わかりました、よろしくお願いします」
頭を下げそう答えると書類のチェックを再開した
暫くして既に留美菜とりんは洗濯を始め阿と瑞穂、忍は座禅を組命も目を閉じて意識を翔に向けていた
ー来たでっ!ー
翔の報せが届き
「阿…頼みます、忍はついてきなさい
瑞穂は皆を頼みますよ」
そう言われて手を差し出す命を抱き上げる阿と立ち上がる忍はすぐに泉に向かい瑞穂は
「仕方無い…私はござを片付け出発の支度をします」
そう瑞穂に言われて
「ミナさんは先に馬車に戻って続きをしてください私は瑞穂様と出発準備をします」
そう言って残った者達は自分達がしておくことをすることにした
泉に着いた三人に
ーそれは獣達の礼やー
そう言われて三人が見ると木の実や草の実等が山の様に積まれていた
「有り難いですね…」
そう呟くと
ー来たでー
そう言われて人が上がってくるの気配がする方を見ているとあまり賢そうには見えない大男が現れ
「どう言うことだ…言われた通りに俺が投げ込んだ岩はそのまま有るのに何故水が湧き始めたのだ?」
そう言って考え込男を見て
「どうやらあの男は直接闇の者に支配されてないようですね…
しかも意識を失わせ街中に放り出せば自らボロを出す程度の愚者の様です
頼みます、阿…翔は案内を任せます」
そう言われて返事をするより先に男の意識を奪い担ぎ上げると
「頼みます」
と告げると
ーわかった、ついてきなー
そう翔も応えた
二人はマントに獣達からの贈り物を包むと馬車に戻る事にした
大男を担ぎながらその男が来たであろう獣道より険しい道を苦もなく駆け降りる阿
町外れに男を放り投げ山から様子を伺うことにした
暫くして意識を取り戻し茫然自失の体で座り込む男に街の者が気付き
「水源地の様子はどうだった?また水量が増え始めたのか?」
そう聞かれたけど男は
(泉の様子を見ていたはずの俺が何故街中に?)
と、すっかり混乱していたから一人の小太りな男に
「議長さん、俺があんたに言われた通りに投げ込んだ岩はそのまま有るのに水が湧き始めたのだ
だから俺のせいじゃない、残りの礼金はきっちり払ってもらうからなっ!」
声を荒げる男に議長と呼ばれた男は
「お前は何を言っているのだ?ワシはそんな事頼んだ覚えはない」
そう慌てて言うと
「今更そりゃないぜ、あんたが丸い岩か大きな岩を投げ込み水源を塞いだら褒美をやるって言ってきたんだろっ!?
まさか残りの礼金は初めから払う気が無かったんじゃないたろうな?」
そう言われて更に焦って
「な、何の話だワシはそんな事言った覚えはない、ワシは知らんからなっ!」
そう叫んだが
「その男を連行しろ、議長…あんたにも色々聞かなきゃいかん事が有るようだな?ご同行願おう」
そう言われて保安官に連行される男を見て
(あの男も闇の支配を受けてる気配が無い…)
そう考えていると
ーせやけど闇のモンの臭いはする、おおかた旨い話しに乗せられたんちゃうの?ー
そう言われて
(成る程…命様の言われていたあまり良い予感がしないのはこの事ですね?)
そう考えていたが
ーみこの元に案内したるからついてくるんやでー
そう翔に言われて
「頼みます」
と応え翔の後を追った
街中では人の視線を感じた保安官が阿のいた辺りを見たが既に阿は姿を消した後で気のせいだと思うことにした
阿が命達と合流したのは道が二股に別れている所で既に日も傾き始めていた
阿が馬車に乗ると
「命様、本当は先を急ぐべきなのですが右の脇道に寄りますが宜しいですか?」
そう春蘭に聞かれ
「良いよ、春蘭に任せるね」
翔に草の実を与えながら応える命の手に止まる翔に留美菜とりんが興味を示し
二人が別の草の実を掌に乗ると二人の掌の草の実をついばみ二人を喜ばせた
馬車が暫く走ると楊牧場と書かれた看板が見え牛や羊に馬や豚等の家畜が飼われている様だった
そして一番大きな家屋の前に馬車を止めてもらうと馬車から降りる事になりまず阿が降りて命を下ろす事にした
②初演
日没前のこの時間に牧場を訪れる者等ほぼ皆無でその訪問者達の乗る馬車が王家の紋章を付けていればその驚きは尚更だ
馬車が止まり最初に降りて来たのは騎士の平服を着た女戦士で女戦士が抱き下ろした少女を見て人達の目は点になった
少女が着るその奇抜なデザインの服に…
その服はミナが御法原案のひとつでピンクのバニーだ