今回三枚の原画の服はピンキーエンジェルと人魚媛も持ってきているけど命の希望でピンクのバニーにしたのだ
もっとも留美菜とりんが良い顔をしなかったは言うまでもないけど命に言われてダメと言えない二人に任せたのがそもそも失敗の元
だがピンクの服を着た少女の後に降りた侍女の服を着た少女が
「命様、大切なものを忘れてますよ?」
そう言いながら愛用の竪琴を渡すの見て
「ま、まさか人魚姫様!?」
そう言って驚き続いて降りた少女の後に降りた人物を見て老夫人が
「まさか春蘭お嬢様?」
そう声を掛けられた春蘭が
「お久し振りですね?お糸さん、楊さん」
と、応えると
「春蘭、知り合いですか?」
そう瑞穂に聞かれ
「昔母の薬草畑を手伝ってくれていた方達です」
そう紹介されるた瑞穂は
「だから会いに来たと?」
瑞穂にそう言われて
「いいえ、観月様に与えられた課題です」
そう言ってお糸さんと呼んだ老夫人を見て
「少しばかり大切な話が在りますからお時間を頂けませんか?」
と言われて昔世話になった家のお嬢様に言われ無下にもいかず
「事務所で宜しいでしょうか?」
と聞かれた春蘭は
「構いませんと言うよりそちらの方がむしろ都合が良いです
留美菜は私についてきなさい
ミナさんは荷物の整理でりんはミナさんを手伝って下さい
命様はどうされますか?」
そう聞かれた命は
「今日はあんまし踊りのお稽古出来なかったからお稽古したい」
そう命が言うのを聞いて
「ミナさんとりんが稽古着に着替えさせてくれるのなら稽古の間は私が見てますが?」
そう忍に言われ
「ミナさんとりんは着替え手伝ってから荷物の整理お願いします
忍さんも命様の事宜しくお願いします」
と云い自らは留美菜を連れ糸の後に続いて事務所に向かった
「まず本題の前に干物や塩漬けは要りませんか?
私達では食べきる前に傷みそうな位持たされましたから」
と、笑顔で言われ
「では私達の造っているハムやソーセージと交換致しましょう」
と、言われ
「ではその件については後程と言う事で…
こちらで紡績している毛糸を見せていただきたいのです」
そう言われて毛糸玉の入った箱を部屋の片隅から春蘭の前に置くとその中の一玉を手に取り観月から預かったサンプルと見比べて
「もしお糸さんさえ良ければ美月に推薦しようと思いますがどうでしょうか?」
と、聞かれ
「このような地味な物をですか?」
そう言われて
「この無着色の物を自然な風合いが良いと好む方も居ますし…
染色なら木綿糸や絹糸の染色も手掛けている美月が指導してくださるはず」
そう言われて
(あくまでも観月様がお決めになるのだろうから結果はわからないけど見てもらおうかね…)
と、そう思い
「お嬢様に任せます」
と、応えたので
「箱ごと譲っていただきますがいくらになりますか?」
と尋ねると
「一玉二百で百玉入ってますから二万ですが…在庫がダブついてますからただでお譲りしても良い位です」
そう言われた春蘭は
「これは貴女一人で作った物ではない筈なのにその様な事を言ったらその方達や毛を刈られた羊も可哀想ですよ?
それにただで頂いてしまったら私が観月様に叱られてしまいます
美月の新素材買付を任されたのに私情とただで貰ったから推薦したのですか?と…
勿論物を見ていただけれはその様な事が無いのはわかっていただけますが…
それが慣習になり美月に扱ってほしいと思う人達がただで持ってくるようになれば収集が着かなくなりますからね」
そう言われて
(元々しっかりされていたお嬢様が…)
そう思うと嬉しくなり
「承知しました、二万kcになります」
そう言われて支払いを済ませると
「お嬢様達のこの後の予定はどうなっていますか?」
と、聞かれた春蘭は
「魚を見て頂き毛糸を積み込んだら街に降りて宿を探そうと思います」
そう答える春蘭に
「決して騎士の方達を軽んじてませんがこの先には怪異の噂が絶えない所が在りますしなにより月の明かりも届かず片方が深い谷の狭い山道は馬借すら日がくれてからはこの道は通りません
ですからもう日も暮れていることですし空いてる部屋も在りますから今夜はこちらに泊まっていかれては?」
と、言われていると命の手を引いてきた幼女が
「えーっ、みこちゃんもういっちゃうのぉーっ?お泊まりしてってお姉さんにお願いに来たのにぃ~っ!」
と言うとその後ろから
「春蘭、私もその方の意見に賛成です
まぁ怪異についてはなんとも言えませんが狭い谷あいの道を暗くなって走るのは自殺行為です
旅は始まったばかりですし留美菜とりんは初めての旅ですから初日から無理はさせない方が良い」
阿が言うと瑞穂も
「ここの様な人里離れ牧場や農場を営む人達は基本的に娯楽に飢えてます
ですから命様のこの旅の最初の舞台にし皆さんに楽しんで貰うべきだと私はそう思いますよ?」
そう言われて
「私は焦りすぎなのでしょうか?」
そう春蘭に聞かれ」
「もう少し皆を頼りなさい
貴女は貴女にしか出来ないことを頑張り留美菜やりん、私達の出来ることは私達に任せなさい
と、言う事で取り敢えずハムやソーセージ等を試食させて頂き鬼百合が喜びそうだな?
と、瑞穂と話していたら二、三日中には馬借が王都にむかう途中寄るから馬借に渡す手間賃込みでなら馬借に頼むよ?
そう聞いたので注文に来た」
そう阿に言われて
「なら私が注文しますから瑞穂さんと忍さんは馬車から干物や塩漬けなど持ってきてください
留美菜は命様を連れてミナさんとりんと一緒に命様の舞台の支度をしなさい」
と、言うのを聞いた幼女…絃の孫ミミが
「今日みこちゃんお泊まりする?ミミみこちゃんとおねむして良い?」
と、聞かれ絃は目を丸くして驚いたけど阿が
「ミミが良い子で今夜は早く寝ると約束出来るなら命様の隣で寝ても良いです、約束しますね?」
そう言って左の小指を立てて見せるとミミも
「約束出来るっ!」
そう言って阿の指に自らの左の小指を絡ませ
「約束、約束指切ったっ♪」
と、二人で誓約を交わす
「留美菜、この娘も頼みますよ?」
そう言われて留美菜は命とミミを連れてミナがいる場所に
瑞穂と忍は味噌漬けと塩漬けに一夜干しを持って事務室に戻ってきた
「一度に送れる量はどれ位ですか?」
そう聞かれて
「馬借の荷の状態にもよるけどうちの枠は今回他に注文無いから十貫なら大丈夫だよ?」
「ならハム、ソーセージ、干し肉を適当に十貫分詰め合わせて王宮の鬼百合さん宛に送って下さい
あ、魚が来たみたいです」
そう言われて見せて貰ったのは一夜干しと塩漬け味噌漬けの入った中位の壷でどれも旨そうだけど確かに一行だけでは食いきれる量では無い
特に一夜干しは急いだ方が良いだろうと思い
「じゃこれは売る分と別にして渡しますね」
そう話していると
ー見本一足先に持ってたろか?ー
頭に響く翔の声に
(小鳥のお前がか?)
そう皮肉られるの予想の範囲内で
―ペン程ちゃうけどボクかて魔力解放したら大きゅうなれんねんで―
そう言われると(大きく…か?どれくらい大きくなると言うのだ)
翔の言葉を真に受ける気が無いその口調にムッとした翔は
―まぁ翼を拡げたら四尺ちょいやけど魔鳥化すんねんからまぁ五十貫は軽く運べるわなっ!―
得意気に言う翔に
(そんなに?)
そう驚く阿を他所に
―せやから魔力を持つ魔鳥やゆーとるやん?―
面白そうに言う翔に
(そうですね、では少し篭に入れて貰いますから頼みますよ?)
そう言われて
―あぁ、任しとき…ただし夜や無いと具合悪いさかい今夜の内に出発したいから安生頼むでー
翔がそう答えると
―おい駄鳥、私も連れてけ…もうこれ以上私を貪り喰らう獣臭い奴とは一緒に居りとうないっ!―
その花の娘の訴えを無視して
(夜で無いと都合悪いとは夜で無いと巨大化出来ないとか?)
瑞穂の頭に浮かんだ疑問に
ーそんなんちゃうで?別にペンの飛行形態ちゃうんやからそない縛りはない
ボクの身が危ないんよ、ボクの魔力は人間や精霊には向けられん…
つか攻撃出来ひん縛りがあるさかい人の目に着きた無いんよ…って今笑たやろ?
まぁ魔鳥ゆーたかて見た目は朱鷺色の…極楽鳥にかてひけをとらん別嬪なんやで?後で謝らしたるから覚悟しときやー
そう言われて
(そうだな…楽しみにしている)
そう言われて
ーふんっ…ー
と鼻を鳴らすと念話を打ち切る翔だった
阿の指示でハムの塊、ソーセージ一貫、干し肉一貫、毛糸玉、牛肉の燻製の塊、毛糸玉を篭に入れ翔の待つ馬車に行くと
「翔…なの?」
そう言って言葉を失う春蘭と絶句する阿に
ー納得したようやからそんでええ…
これとおんなじ霊気の所ゆけばえーんやろ?
ほなちょっくら行ってくるわっ♪ー
そう言って魔力のみで浮き上がると物凄い勢いで飛び去る翔に
―こら、駄鳥っ!私も連れて行けっ、置いてかないでくれ、見捨てるなっ、駄鳥っ!―
そう心の叫びを上げたが誰にも相手にしてもらえなかった
「行ってしまいましたね…」
そのユウの呟きに観月は
「祭典までには戻ってきますし何より未だ国内に居るんですよ?」
そう言われて
「それはそうですけど国王様は一体大公宮をどうなさるおつもりなんでしょうか?この先私達は一体…」
不安気なユウに
「大公宮を廃止し王女宮を創設します、つまり命達のお城になるわけですね
そして王女宮は公女宮同様政治不介入を原則としますから私がこれ迄同様に四人の後見役…
私は女神の依り代として大公領に戻りますから貴女達の内の誰かが私の代理人として私の部屋、父の執務室兼私室に詰めて貰います」
そう聞いて
「では私達はこれ迄通り命様達のお側に?」
そうユウに言われて
「妬ましいですが…
まぁ冗談は置いておくとして実際には命は十六夜とユイの婚礼の儀式の際には一時帰国するとはいえ国本を離れますし…
チサには基本的に東の大公領に詰めて貰いますから…」
寂しそうに言う観月に
「阿吽のお二方が離れていても意志疎通が出来るのなら精霊の巫女のお三人と命様の双子の真琴様達ならいずれ可能でしょう
何方かのお側に居られれば良い気がしますが女神の依り代たる観月様も命様達側の人だと思いますよ?」
そう笑顔で言われ
「そうだと良いのですけどね?
取り敢えず真琴の部屋になる睦月兄さんの部屋の私物を纏めて置きなさい
朝食の後から鬼百合達が加勢に来ますから力仕事は任せれば良いのですからね
真琴の部屋が終われば侍女は、貴女、マミ、雪華、スー、はな
戦士の部屋は鬼百合、吽、白浪、柳水の構成になりますから任せます」
そう言われ鬼百合と一緒なのにホッとするユウだった
その日の夕方には模様替えが終わり早速先程名前の上がった者達の引っ越しをした
晩餐が終わり食後のお茶で寛ぐ一同に緊張の色が走る
魔力を持つ何者かが急速接近しているからだが隠れて窓から様子を見る戦士達
しかし緊張感は接近者が窓から浸入する事無く壁に激突すると言う結末に呆れたが…
呆れながらも鬼百合が受け止め無ければ更に地面に激突するのは免れ無かっただろう
その魔鳥のチョーカーに命の勾玉と霊玉が着いている事に気付くとみるみるその体は縮んで
鬼百合の片手に収まるサイズになり意識を失っても放さなかった篭を手放した
落ちた篭を拾い小鳥になった魔鳥…と言っても感じる魔力はすっかり小さくなっていたのだが…を観月の元に連れて行くことにした
鬼百合が持って来たそれは確かに接近者の魔力を感じるけどその身は小鳥の大きさになっていてすっかり魔力を感じられないレベルまで低下している事に驚いたけど真琴は警戒を緩めずに
「みこの使い?」
そう聞くと
「多分な…」
そう答え勾玉と霊玉を見せ観月の前に
「こいつが持って来た」
そう告げると用心の為吽が篭を開けると
「ほおっ…」
と、吽が声を出し観月も
「春蘭からの手紙ですね?」
そう言って目を通すと
「ユウ、この毛糸玉の品質をどう見ますか?」
そう言われて受け取り暫く観察した後
「細かい判定迄は出来ませんが美月で扱う水準は余裕でクリアしてますが?」
それがどうかしましたか?と言う表情のユウに
「楊と言う者の一族が経営する牧場で紡績しているそうですが美月で扱う事は可能かと春蘭が推薦してきましたが貴女の意見は?」
そう聞き返され
「あのサンプルだけで推薦出来るのでしたら、バイヤーの資質があるかも知れませんね?」
と、答えると
「みこの側付きだけでなく共に旅し色々な無名の名品の発掘が期待出来るかも知れませんね?」
嬉しそうに言う観月に
「今までは意識してませんでしたが命様は人を呼ぶ方なのかもしれませんね?
最初に呼ばれたのは翼様とチサ様、次に鬼百合様と戦士の皆様達
ミナだってあの娘の眠っていた才能を目覚めさせたのは命様との出会い…」
と、神話を語る様に言うユウに
「私もその例に漏れませんが鬼百合、このハム等は阿達が貴女に食べて欲しいと持たせた物です」
そう言われてハムの塊にナイフを入れて削ぎ切りにして食べ驚き更に王に渡すと王も驚き
「鬼百合殿、このハムに合いそうな葡萄酒があるがこの後一緒にどうかな?」
そう言われてユウの視線を気にし
「あぁ悪くない話だが葡萄酒なら呑む者同士で注ぎ合うよりは注いでくれる者が居た方が良い、ユウ頼めるか?」
そう聞かれたユウが観月を見ると
「伯父様はあまり強くない癖に量を呑みたがりますから呑ませ過ぎないよう気を付けなさい」
と言うと言うと王妃も頷いたので
「頼むぜユウ、だが…」
と言って更にハムを削ぎ切りにして王妃、観月、翼、真琴、チサと渡し試食させるとやはり皆驚き
「明日の朝飯に出してもらって良いか?」
と言うと王妃が
「貴女の分が減ってしまいますが良いのですか?」
と聞き返すと
「アタイは大喰らいだが旨い物を独り占めする趣味はねぇ
同じモン食ってたって一人で喰うより気の合う仲間と一緒に喰うんじゃ味が全然違うからな」
と言い観月も
「阿から後日十貫分を詰め合わせて送るから楽しみにしとけと言ってますしこちらでは焼肉も楽しめますよ?
そう書かれてますから一度ユウを連れて行きませんか?」
と観月に言われた鬼百合が溜め息を吐くと
「闇に唆された者が手下を使い悪事を働いているらしいですから闇の者と遭遇する可能性が否定出来ません、ユウを頼めますね?」
そう言われてはさすがにイヤとも言えず
「あぁアタイの名誉に掛けユウの身は守る」
そう言うと喜んだユウが鬼百合の手を握り
「宜しくお願いしますね鬼百合様っ♪」
そう言われて辟易する鬼百合だった
「所で観月様、この子については何も書かれてないのですか?」
翔を鬼百合から預けられたユカがそう聞くと
「みこの使役獣の翔としか書かれてませんが暫くこちらで連絡係に使って良いそうです」
そう聞いた真琴が
「その子から感じる魔力はみこに近く火と冷気を感じるからチサが面倒見るのが良いんじゃないのかな!」
そう言うと
「私達の持つ蒼い霊玉の霊気を目指しどの窓から入れば良いのかわからず壁にぶつかるような子ですから…」
そう聞いてあの朝の事を思い出し笑いするユイとそれとは関わり無く
「有る意味みこちゃん以上に世話の焼けそうな子ですね?」
チサがそう笑いながら言うと皆も笑い合う中翔が目を覚ましチサがてを差し出し
「おいで」
と、声を掛けるとパタパタっと飛んで差し出された指に止まると
「どうやら翔もチサを気に入ったみたいだね?」
真琴がそう言うと
「チサと言います、宜しくね翔ちゃん」
チサが言うと
―うん、安生頼ンます、チサ…様?―
そう言うと
「チチチッ」
と鳴いてみせる翔だった
翌日は翼の部屋で侍女はユキ、サエ、弥空、スエ、なみで戦士は沙霧、斬刃、千浪
その翌日にはチサの部屋が済み侍女はユウ、マキ、深潮、スズ、小明で戦士は修羅、拳火、モリオン
更にその翌日とその翌日の二日掛けて観月の部屋の整理が終わるとユリ、マイ、マナ、マユと残りの見習い侍女と嵐に二人の教師が住む事になった
その日の夕方の少し前に馬借が鬼百合宛の荷を運んできたが改めて見たその量の多さに
「鬼百合、勿論それは貴女に送られて来た物ですから貴女の判断に任せますが…
貴女が嫌で無ければ海軍寮で海軍の兵士達とこれで酒盛りしてはどうですか?」
そう言われて
「成る程…さすが観月、目の付け所が違うぜ
今から声掛けてくるがお前等も来るんだろ?」
そう言われた戦士達は頷き真琴も声を掛けて貰いたいけど王妃の手前自分からは言えずにいると
「真琴…行きたければ何故そうはっきりと言わないんですか?」
呆れて言う観月に鬼百合も
「アタイは構わねぇが曲なりにも王女様だからな…」
そう言って真琴と二人で王妃を見ると王妃も溜め息を吐いて
「行ってきなさい真琴、海兵達喜びますからね
翼は今夜は私のお供で招かれている夜会に行きますからチサも真琴と一緒にどうですか?
それを聞いた王が
「チサ迄で行かれては私はどうなるのだ?」
と言われて
「息子達にユイと観月に美月のスタッフがいますっ!」
とピシャリと言われて口の中でブツブツ言う父を見ながら
「兄上、ああはなりたくないものですね?」
とこっそり言ってきたが
(既に手遅れだよ…)
そう思いながら
「そうだな…」
そう言って苦笑いする兄だった
命の支度と食事の支度が整う命の舞台の幕が開いた…幕はないけど
奉納の踊りを舞い歌い始める頃にはが終わり竪琴を受け取り歌い始める頃には十世帯六十人全員が揃い楽しい夜が始まった
命はいつものようにアンコールを含め十曲歌い歌い終えると着替える為一旦下がる事になった
皆の顔は笑顔に満ちていた
瑞穂の言葉通り娯楽のない牧場の
生活は忙しく充実感は有るがやはり刺激の少ない毎日
そんな集落に久し振りに噂に聞いた
歌う人魚姫が訪れのだ
子供達の笑顔を喜び大人達も料理用の葡萄酒を提供して貰い魚を食卓に出し
久し振りの葡萄酒と焼き魚を堪能した
一行はその代わりに留美菜やとりんの勧めでどぶろくと酒粕を譲り受けた
風呂が沸いたと言われ春蘭とミナが若い母親達に
「宴会場は私達が見ますから子供達をお風呂に入れてきてくださいっ!」
そのキツい言われようにブツブツ文句を言っていたがすぐにそれが間違いだったと知る
湯槽に入った命の身体が人魚化しているのを自分達に見せる為なのだと気付いたからだ
命の人魚姫姿を見た母娘達の喜びの声は後々迄の語り草ではあるけど本人達の幸せは立ち合った者以外には理解できないモノだろう…
翌朝いつものように歌の稽古に軽い散歩をしてからお祈りをして朝食になり出された乳粥が気に入ったらしくミナですら驚くほどの食欲を見せ
た
だから午前中は命に踊りの稽古をして貰いミナは色々なレシピを教えて貰い春蘭は留美菜とりんに勉強を教え昼食後に峠の町を目指した
未だ陽は高いけど先に進むには既に遅い時間だから今日はこの街に泊まることにした
街に一軒しか無い宿屋に行くと割合大きな店で団体用の大部屋借りる事にした
少々広すぎるきらいはあるものの別々の部屋よりは良いと判断したのだ
仲居のもてなしのお茶を呑みながら寛いでいると
「女将が部屋を訪れ人魚姫様に町長が面会を求めてきましたが?」
そう言われて
「命様との面会を?」
そう言われて小首を傾げる命に代わり面会理由に見当がついている春蘭が
「構いませんから入ってもらってください」
そう告げると
「少々お待ちください」
そう答え部屋を一旦下がると町長を案内してくると恭しく頭を下げるその男に
「命様は勿論私達の誰一人その様にかしこまった挨拶には慣れてませんからお気になさらないでください
それよりどこを予定しているのですか?」
いきなりそう聞かれ驚く町長に
「命様に歌の披露を頼みにいらっしゃったのでしょ?ですから歌の舞台となる場所をお聞きしたのですが?」
そう春蘭に言われて
「お願いしても宜しいのでしょうか?」
そう問い返すと
「この旅は命様のお披露目の旅ですから命様を知っていただくのは歌を聞いていただき歌う姿を見ていただく事が一番早い
それに新に覚えた踊りを見ていただくのも命様ご自身が楽しい事ですしね」
町長が驚きのあまり言葉を失っているのを見かねた女将が
「うちの宿の裏には遠い昔舞いの女神、舞彩様が歌の女神、ハーモニー様を訪ねて来られ
再会を喜び踊った際供をしてついてきた小鳥が落とした実が芽吹き御神木と祀られた十二一重の樹の前に奉納の演舞台があります…
勿論先程の話の真偽の程はさだかではありませんが私の家は代々御神木のお世話と舞台の管理を行って参りました」
女将がそう話すと
「それは真の事で私もその場に立ち合いした…ってアクエリアスちゃまがゆったよ?」
そう命が告げると
「だそうです、良かったですね?女将さん
町長さんも何かご意見は?」
と春蘭に問われ
「公演料は如何程でしょうか?」
と言われ
「こちらの舞台をお借りしますからこちらの料理を召し上がっていただくと言うのはどうでしょう?」
そう春蘭に言われて
「命様の報酬の事です」
そう話していると
「留美菜ちゃん、りんちゃんこのクッキー美味しいね
ママにお土産に持って買えったら喜ぶかな?」
その命言葉に
「旅の途中で食べちゃって全部無くなりますよ?」
留美菜に言われて珍しく
「そうだね…沢山有っても割れちゃうしね…」
と話すのを聞いて
「だそうですからあの香草入りのクッキーを幾らか分けて頂ければ良いです」
そう春蘭に言われて
「もうひとつ然程大きな街ではありませんがそれでも私共だけで
料理を賄い切れませんしそもそも食材も…」
その女将の言葉に
「留美菜にりん、昨日習った干し肉のスープ出来ますね?
ミナさんは本番まで内職をしお湯を沸かして置きますから本番ではそれでソーセージを茹でてください」
そう三人に指示をし町長と女将を見て
「串を作りたいのですが近くに竹は生えてませんか?」
と春蘭が訪ねると
「多分その程度の竹なら竹細工を生業にしている者の所行けばいくらでも余ってると思いますからご案内しますよ?」
そう言われた春蘭はの
「阿さん、忍さん、瑞穂さんは留美菜達が作るスープの食材とソーセージ私が用意する生ハムのマリネ
他に馬鈴薯にキャベツ
女将さんに渡す塩漬け、と味噌漬けの魚を荷下ろししてください
留美菜とりんはスープとマリネに必要な野菜を説明して野菜を下ろしてたら刻んでくださいね?」
当面の予定を告げると
「宜しくお願いします」
そう言って町長に頭を下げる春蘭だった
竹細工の工房には竹製のザルを始め日曜雑貨が何点か並んでいて今も制作中だった
「こんにちは」
そう挨拶して工房に入ると町長が
「精が出るね、マダケさん
こちらのお嬢様は人魚姫様のお世話係をしてる方でね…」
そうそう話していると
「町長、アンタの目は節穴かい?そのお嬢様の顔をよっく見てみるんだね」
そう言われて春蘭の顔を改めて見て
「あっ!」
と、驚きの声をあげ
「た、確かにあの方のお若い頃にそっくりだ…王都の市長、劉啓吾氏の奥様に」
そう言われて驚き