「は、はい確かに私の父は劉啓吾ですが今は国王様より男爵の位を賜りその任を拝命しましたから市長の役職は別の方に引き継がれましたけど…」
と答えると
「さすが陛下、あのお方なら陛下の期待は裏切らないでしょうね」
そう言われて
「父をご存知なんですか?」
そうどちらにともなく聞くと
「貴女のお祖父様からのお付き合いですから幼馴染みと言っても良いでしょう
植物学者だった啓太博士に連れられよくこの街を訪れましたからね」
そう工房の主に言われ
「父をご存知なんですか?」
そうどちらにともなく聞くと
「貴女のお祖父様からのお付き合いですから幼馴染みと言っても良いでしょう
植物学者だった啓太博士に連れられよくこの街を訪れましたからね」
そう工房の主に言われ
(お父さんはあまりそう言う私達が生まれる前の事は何も教えてはくれませんから…)
そう思っていると
「人魚姫様に喜んで頂いたクッキーのレシピを考えて下さったのは貴女のお母様ですよ?」
そう言われて更に驚きのあまり言葉が出ない春蘭に
「ところでそのお嬢様は何のご用件でお越し頂いたのでしょうか?」
と言われ
「料理に使う竹串の材料の竹を分けて頂きたいのですが…」
春蘭に言われて笑いながら奥に入り太い竹筒を二本持って来ると
「わざわざ作らずとも私が作った物を使ってください」
そう言われて
「有り難うございます、代金は…」
と聞かれた主が春蘭の顔を見て
「無料と言いたいのですがそれでは貴女が由としないでしょうからその竹串を使った料理を私にも分けてください
因みにおおよそ五百位入ってますから合わせて千kcで売ってますよ?」
そう言われて
「わかりました、今夜は奉納の演舞台で命様の踊りと歌がありそこで宿屋の方と共に料理を提供しますからその時に召し上がって頂きたいとますが?」
そう言われて
「それはどちらも楽しみですね…」
そう言って微笑み
「今日の仕事は早めに終え見物に行くとしましょう」
そう主が言うと作業をしながら聞き耳を立てていた者達も目を輝かせ作業を急ぎ始めた
春蘭が宿に戻ると既に野菜を刻み始めていて湯を沸かし始めていてそれを見た春蘭は串の入った竹をテーブルに置き皿を用意してもらうと短い串を一本取りだしソーセージも一本摘まむと縦に串刺しに干物は頭から串刺しにして見せ
「阿さん、忍さん、瑞穂さんはこの様に干物とソーセージを串刺しにしてくださいませんか?」
そう頼むと阿が
「承知した」
と答え忍と瑞穂も頷き串を刺し始めた
春蘭自身は馬鈴薯の皮を剥き丸のまま鍋に入れキャベツはざく切りにして置きマリネ様に野菜を刻み始めた
馬鈴薯に火が通り小さいソーセージを入れざく切りのキャベツを敷き詰めるとその上に突き立てるように串に刺したソーセージを立て終わる頃
王都に比べ早いに日没の早い山間部の夜が訪れようとしていた
留美菜にスープを見させりんにミナの手伝うよう指示し着物に着替えさせた
今夜は人魚姫の着物で髪型も右側で束ねるだけにしておくに止めた
奉納の踊りを舞い竪琴を受け取り全十曲を歌い上げ今夜の舞台を無事務め宴の本番になった
久し振りに入荷された海の魚は飛ぶように売れたし串に刺したソーセージも人気が高いしマリネも若い女性を中心に売れた
そしてソーセージとスープが尽きると代わって今まで煮込まれていたソーセージにキャベツ、馬鈴薯が盛られた椀と厚切りのハムを炙ったものが提供され再び人達の食欲はそそられた
最終的に結構な数の家族が酔っ払いの父親に手を焼き宿の部屋まで位なら阿や瑞穂に忍が運んだから宿に泊まり
宿の食材と酒も大半が売れ一行も準備した料理は完売しミナがこの二日で完成したしたエプロン十枚も完売した
それらを観月への報告書に纏めたのは夜明け近くの事だったけど未だ起きて針仕事をするミナに声を掛け共に眠る事にした
いつもの様に…とはいかず踊りの稽古をしお祈りを済ませ朝食を摂っていると春蘭の予想外の事態になった
街の人達が色々な贈り物を持って宿を訪れて来たのだ
命に仕えたいと望む少女三人とその親達も訪れてきた
町長は変わった馬車を持ってきて通常の馬車より長く背が高い
扉は前の方に有り窓は小窓が三つに中央に大きな物が1つ見える
受け取って良いのか受け入れて良いのか悩む春蘭に
「命様の意見をお聞きしては?」
ミナが言い
「命様は彼女達三人が供として受け入れても良いですか?」
本当は命と三人が仲良さそうに話していたのを見掛けていたけど敢えてそう聞くと
「うん、一緒に来てくれたら嬉しいよ」
命が答え忍も
「観月様は命様の意思を優先する様仰ってますから命様が三人を受け入れるのなら馬車は必要ですよ?」
と言い阿も
「それでも一目見ただけでわかる特注品の高そうなこの馬車は頂くのではなくお預かりするのだと思いなさい」
そう諭し瑞穂も
「皆さんの命様への感謝の気持ち…貴女も感謝の気持ちを忘れずに有り難く受け取りなさい」
そう言うと命が
「皆ありがとねっ♪」
笑顔で言うとそれまで躊躇っていた春蘭も
「有難うございます」
そう言って頭を下げたので町長が阿と春蘭に馬車の説明する間ミナが贈り物を分類訳しておくことにした「この扉から中に入ると前部は八人掛けの座席と簡易の寝台が二つ
後部は天井の高い簡易の調理場になっていますから天候の悪い時でも簡単な調理なら行えます
そしてその奥に入りますと内扉がありそこは貨物スペースとなっていますから食材はこちらに収納する事をお勧めします」
そう説明を受けその進言を受け入れ持ってきた荷の食材と今貰ったばかりの食材を借り受けた馬車に入れ
食材以外の贈り物を乗ってきた馬車にしまうと瑞穂が
「こちらの馬車の馭者は私がします」
そう言うと
「それでしたら午前中は互いに自己紹介を兼ねて親睦を深めたいですから乗ってきた馬車に全員乗り
昼食の後午睡の命様と見守る者が瑞穂様の方にと別れましょう」
そう決めもう一度
「皆様、有難うございました」
そう言って頭を下げると一同も下げ命も
「またいつか来るねっ♪」
そう言って馬車に乗り込む
馬車が走りだし暫く走ってついてきた子供達
命との別れを惜しみ、友との別れを惜しんで…
「私の名はつぼみです、八歳になりました」
「私はつぐみ、七歳になります」
「私はしずく、今年七歳になります」
そう名乗ると一同も名乗りその後命は歌の稽古をし春蘭とミナはいつもの作業、阿と忍は仮眠になり三人は留美菜とりんに命の事を色々聞いていた
出発が大幅に遅れた為に昼食は早く宿から贈られた弁当を食べることにした
「春蘭さん、つぐみちゃんとしずくちゃんは私と殆んど変わらないから予備の制服渡して良い?」
と聞かれ
「制服は観月様への報告後にしましょう」
そう答える春蘭に
「吽を通して観月様から三人の受け入れ承諾を頂いてます」
そう言われて留美菜も
「じゃあつぼみちゃんは私のサイズみたいですから早速着替えますか?」
そう言って三人を連れて馬車に戻る留美菜とりん
その五人の後ろ姿を見ながら
「今程度の事なら私に言えば王宮の吽を通し観月様から指示して頂けますから聞きなさい」
そう言われて
「その様な力をお持ちとは存じませんでしたから…」
そう言われて少し考えて
「まぁそれが当たり前ですが私達にはこうして連絡係をするのが当たり前になりすぎてその事を知らない者がいる事を忘れてました」
そう言って苦笑いする阿だった
着替え終えた三人と共に戻ってきた留美菜とりんに新しくお茶を淹れ一休みした後再出発した瑞穂の馬車のベッドで午睡の命と内職をしながら見守るミナと二人を見守る忍
残りの全員がもう一台に乗り込み春蘭の説明を受ける三人だった
馬借達は通常峠の街と湯元の街の間は微妙に距離が有るため途中にある無人宿で一泊するのだけど馬借以外には殆ど知られてない
知識として多少は知っている春蘭も勿論そこまで詳しく知っている訳ではない
「阿さん、夜も更けてきましたからこの先に見えてきた怪しげな宿に今夜は泊まりませんか?」
そう聞かれた阿が
この辺りに土地勘の無い私には貴女の判断に任せますが…
この様な町外れの宿は何処の国でもあまり良い評判は聞きませんが?」
そう聞き返すと
「あくまでも聞いた話ですがこの辺りに現れる盗賊の類いはお三方の手を煩わせる程の者は居ないそうです」
そう春蘭に言われて
「確かにこちらを伺う気配は感じますが苦にする程のモノは感じませんから今夜は私と忍で不寝番
瑞穂は宿で仮眠を取らせ馭者は馬車のベッドで休ませます」
そう言って宿を目指させた
宿は廃棄された別荘地だったのを修繕したらしく上品な造りをしていた
春蘭が選んだのは馬車が二台入る車庫のある部屋
取り敢えず着替えとお茶に軽い食事を用意するだけの荷物を下ろし部屋に入ると
ミナさんは寝付けないでしょうから内職をし明日馬車で寝ると良いですよ
留美菜につぼみ、つぐみ、しずくは命様とお風呂に入って下さい
留美菜、先輩として三人を頼みますよ?
りんは私と蕎麦を湯掻きましょう」
そう言って湯を沸かし始める春蘭の後ろ姿を見守る瑞穂だった
三人前の蕎麦と取り敢えず眠気覚ましのお茶を水筒二つに詰め干し烏賊を刻んだ物を皿に乗せりんと馬車に向かう瑞穂
馭者は蕎麦を食べ終えると寝台で横になり瑞穂とりんは空の器を受けとると部屋に戻り風呂上がりの命達と蕎麦を食べ
少し休んでから瑞穂と入り先に寝ている命達と同じキングサイズのベッドで眠る事に
瑞穂は春蘭が絨毯の上に敷いてくれた召し使い用の布団に潜り込むと目を閉じ仮眠する事にした
命の周りには無数のペンギンが群れていた
「ぺんちゃん?」
命がそう声を掛けると
ーそのもの達に固有の姿はなく貴女が見ているのは霊獣に対するイメージが見せてるものに過ぎないー
いきなりそう語り掛けられた命は
「貴女は誰?」
そう尋ねると
ー我が名はライラック、全ての霊獣を統べる者
アクエリアスにペンギンを預けたのも我なりー
そう言われて
「そのライラック様がみこに何のよーですか?」
今度はそう聞くと
ーお前にペンギン同様にその者達も受け入れてもらい進化を助けてやってほしいと願っているー
その命の理解を超えた答えに
「進化を助けてやってってみこどーしたいーのかわかんないよ?」
命が困惑気味にそう言うと
ーお前がそのモノ達の存在を認め受け入れてお前の霊気に触れる事が進化に導くゆえ特にする事は無いー
そう言われて霊獣に向かって
「みこが貴方達を受け入れたら嬉しいの?」
命が聞くと受け入れを求める想いが命に訴えてきた
ー受け入れて欲しいっ!ー
と、訴えてきたから…だから命も両手を広げ
「わかった、みこの所に来て…」
そう告げると歓喜の咆哮を上げ命を包み込むと姿が薄れていった
ー感謝する、アクエリアスの巫女よ…ー
そう言い残しライラックも姿を消しそれを確かめホッと息を吐き出すとゾクッ…
例えようの無い悪寒に思わず両腕を抱き締めそっと振り返るとそいつは目の前に現れ鼻の頭をなめられた
ー八青龍神っ!ー
そう唱え呪文を放つも手応えは全く感じられず全身を舐めるような粘り着く様な視線は消えない
ーお前は俺のモノだ…ー
まるで耳元で囁く様に言われて右の頬を舐められ絶叫する代わりに
ー清瀧大瀑布っ!ー
そう唱えたけど今度も手応えは全く無く
嘲る様な笑い声を残しそいつは姿と共に一切の気配を消し弄ばれて居た事実に気付いて絶叫した
(ここは…どこ…)
心臓の鼓動が煩く響き寒気がしたため横になったまま体を丸め両腕を抱き締めると命が目を覚ましたことにミナと春蘭が気付き二人が側に行くと焦点の合わない目の命がガタガタ震え歯の根も合わない位怯えていた
「ミナさんは命様の汗を良く拭いて着替えをお願いします
私はその間にお茶を用意しておきますから」
そう言われて寝汗でぐしょ濡れの命の服を脱がせ乾いたタオルで汗を拭き取り空色のミニのワンピースを着せテーブルの前に座る二人
その二人に命には冷ましたお茶を渡し自分とミナにはまだ熱いお茶の入った湯飲みを渡し命の様子を見守りながらお茶を啜った
「出発の時間迄そんなに有りませんから夕べ着替えた物と合わせて脱いだ服を纏めてください
私は食事の支度をしますから」
春蘭に言われて脱衣篭に畳んで置いてある服を自分達の篭に入れると自分たちの作り終えた服と作り掛の服を仕舞い出発の準備をした
瑞穂が目を覚まし子供達を起こして身仕度が終わる頃にパンとハムエッグとスープとうシンプルな朝食を用意
馭者と阿に忍の三人はハムエッグサンドにしてスープと共に運んだ
③謡華
今朝は朝食の時間がかなり早く胃の負担になら無いよう量を控えたこともあり昼食の時間にはまだ未々早いものの店を探す一行
その一行が無国籍料理の店と言う看板の店を見付けてその店に入ることにした
店内は昼時には少し早い為他に客は居らず給仕の女性も油断して大欠伸をしているところだった
「十二人ですが良いですか?」
そう春蘭が声を掛けると
照れ隠しで
「お昼の定食は未だだよ?」
そう言われたものの未だ半刻は有るのを見て
「構いません、もう皆待てる余裕はありませんから…」
「じゃ適当に座っとくれよ」
そう言うと奥の六人が卦のテーブルに別れ座ると人数分のお茶を用意して朝のメニューを渡し
「決まったら呼んどくれよ?」
そうそう言うと
調理場に
「団体さん入ったからねっ!」
そう叫ぶと
「おぉっ…」
とくぐもった声の返事があった
阿と瑞穂に忍の三人は朝のお任せ丼大盛りを頼みミナと春蘭は土鍋の雑炊で命にはそこから分ける事にし
留美菜とりんはパンケーキセットでつぼみ、つぐみ、しずくの三人はオムレツセットに決め注文した
給仕の女が気になるのは勿論命で小さな身体ながら周りの者達の態度は丸きり幼い主に支える騎士や侍女のそれ
それに雑炊を食べる匙を持つては小さくまるで日に当たったことなど無いかのように蒼白かった
阿もその視線が気にはなったけど逆に言えばそれが普通の反応だとも思い女を呼ぶと
「済まないがこの方は我々が主に任された大切な方だが初めての陸路の旅にお疲れの様子だから暫くは身元を隠したいがそんな宿は無いだろうか?」
そう言われて
(やっぱり何処かの御曹司かご令嬢なんだね…)
好奇心一杯の女は嬉しそうに
「この店の裏に店の親父の兄貴がやってる宿が良いよ
そこなら訳アリの男女が隠れて密会出来るは離れもあるから身元を隠したいならぴったりじゃないかい?
宿の親父を呼んでくるから待ってなよ?」
そう言うと裏口に消え宿の親父を連れてきた
「お前さん達が身元を隠したいお方はこちらの方かい?
だが宿の親父の立場上ワシ位は把握しとらんと不味いのは理解してくれるな?」
そう言われて阿は主を手招きしそっとフードをずらして主にだけその素顔を見せた
「成る程…確かに大層顔色が悪い…
うちの宿は天然温泉が売りで美人の湯とか疲れを癒す効能があると言われてるからお客さん達にはお勧めの湯だ
食べ終わったらさっきの女に案内させるがこの人数なら馬車は二台だろ?
団体客用の離れが空いてるから余裕で二台入るから今の内に馬車を入れておくと良い」
そう言われて一足先に食べ終えた瑞穂が二人に頷くと二人もそれに応じ頷き馬車に向かった
食べ終えた一同は店先に並ぶ弁当も買い求め支払いを終えると
「さぁ、行こうかい?」
と、陽気に言われて
「なんか申し訳ないのですが…」
そう阿が言うと笑いながら
「本当は渋ってた宿の親父をああもあっさり納得させたこの方の素性、気になってしょうがないじゃないか?
だからこの方がその素顔を見せる時になるべく近いとこに居たいってゆーアタシの好奇心が主な理由だから気にしなくても良いよっ!」
笑って言われてやっと納得し
「感謝する」
とだけ言う阿だった
宿の帳場で宿帳を持った親父が待っていて
「部屋に案内します」
と言われ他の離れより二回りは大きい部屋に案内されると
「一階は馬車の車庫と洗濯の出来る洗い場になっている他馭者が寝起き出来る休憩室になっとります」
そう言われて二階に上がり
「この部屋は芸妓…と、言ってもろくな芸も持たないのを呼ぶか流派の師範が金持ち相手の手習い教室を開く部屋だから防音対策済み
人魚姫様が心置き無く稽古ができます
奥には十二畳の座敷がありますから一面に布団を敷き詰めれば全員で眠ることも可能でしょう」
そう言われて成る程と頷く阿
「右手には簡易の調理場が有り湯を沸かし足り簡単なスープ位は用意出来ますよ」
そう言われて
「至れり尽くせりですね…料金の方は?」
そう春蘭が聞くと
「この離れは一泊十万kcで連泊すると割り引き料金になる」
そう親父が答えると
「なら七泊を予定してますからその割り引きの代わりに一日に一度貴方の自慢する温泉を貸し切りにして頂きたいのですが?」
そう春蘭が申し出ると
「そうですな、目立つその方が温泉で他の客と鉢合わせしたら身元を隠す意味が無い
わかりました、貸しきりの件承知しました」
と、答えると
「ただ…これだけの部屋で一泊十万kcは安すぎる気がするのですが…」
と、言う春蘭に
「うちは素泊まりの宿で飯は近在の飯屋で食べてもらうからさ
もっとも弟の店で食ってくれりゃ割り引きサービスはさせてもらうがねっ♪」
そう言って笑われて春蘭は
「温泉を貸し切りにして頂くのにですか?」
そう聞き返すと
「うちの温泉は宿泊客以外にも有料で開放してるからね
女神の祭典が近い今の時期に温泉を貸し切りにする者がいれば貸し切りにしているお人は何て方だ?
そう言う噂はすぐに広まり皆さんが旅立たれた後に
「実はうちの宿に人魚姫様がお泊まり下さり温泉を貸し切りにして下さってたんだ…
つまり人魚姫様御宿泊の宿を名乗る栄誉を賜り温泉はもし姫様がお気に召されたら人魚姫様が喜ぶ湯と銘打ちたいのです」
そう言われて春蘭は
「わかりました、命様の回復状況にもよりますが宿の宴会場の予約状況はどうなってますか?
と、聞かれた主は
「歌の女神の祭典が近いこの時期、うちに限らず泊客は勿論宴会場を貸し切る客はまず居りませんよ?」
そう聞いてた春蘭は
「わかりました、宿泊最後の夜に宴会場の予約する事にしましたから出発が決まりましたら知らせます」
そう言われて何故離れの客が宴会場の予約するのか不思議だったけど敢えて聞くことはせず
「わかりました、その日の訪れは寂しいがいつかは来る日、楽しみに待ちましょう」
そう話していると轍の音が近付いてきたので
「馬車を仕舞いましょう、それが済んだら温泉の説明をしますがどなたにしましょうか?」
そう阿に声を掛けると
「お店で食事をしていた馭者の方に聞いて頂きます
私は取り敢えずお茶の支度をしますからミナさんはその旨を瑞穂さんにお伝え下さい
阿さんと忍さんはお茶を飲んだら奥の部屋で休んでいてください」
春蘭のその言葉を聞き命が瞳を輝かせ
「みこもお風呂見たいから一緒に行くっ!」
そう言うと宿の親父が目を丸くするのを見て
「驚かれましたか?精霊の巫女である命様の素顔は従者の少女達より幼い子なんです」
そう春蘭に言われて
「驚いたが納得もしましたよ…精霊の巫女様と可愛いと言う形容詞が何故結び付くのかわからなかったがご本人を見てわかりましたよ」
と穏やかな目で命を見る宿の主に
「まぁそう言う訳ですから宜しくお願いします、りんはミナさんの荷物の整理を手伝って下さい
留美菜はつぼみ、つぐみ、しずくと一緒に命様を頼みますね
私は馭者の方に暖かいスープを用意しますから」
そう春蘭が言うと動き出す一同だった
宿の主の誘導で馬車を車庫に入れると
「宿の御主人が温泉の説明をしてくださるので聞いて欲しいと春蘭さんが言ってます
命様をお願いしますとも…」
最後の一言は苦笑混じりに言うミナに同じく苦笑いで返す瑞穂だった
「主、温泉の説明をお願いします」
そう瑞穂が声を掛けると
「わかりました、ご案内致します」
そう親父も応え
「つぐみとしずくは命様と手を繋いで留美菜とつぼみはその後ろからついてきなさい」
そう指示すると親父の後に続き温泉に向かった
湯殿は一部三階建てで基本的には土蔵の様だった
建物の中央に入り口が三つ有り主は躊躇わずに真ん中に入ると
ここは男女の共用スペースで左手に男湯、右手に女湯となっとります
この共用スペースでは一階は持ち込みで自由に食事が出来ますが飲み物はこちらで提供しとります
この扉を開けると女湯の入り口になりこの右手にある扉が貸し切りの要です」
そう言われて扉に触れると
「石作の様ですね?」
そう瑞穂が言うと
「一枚岩で出来たそれは二百貫有りまして中からこの滑車を使わねば開かぬ仕組みになっとりますし簡単に開けられても困りますが…」
そう言われて
(成る程…さすがに自慢するだけの事はあるな…)
そう感心しながら
「その前に共用スペースとの出入り口ですが内鍵があり外からは容易に開けられませんしこの小窓から様子が伺えますか仲間の方が後からお見えになる場合確認してから入ってもらう事が出来ます
親父の説明に頷き
「続きの説明を…」
そう言われて
「ここは脱衣所で食べる物は禁止ですが飲み物はそこの小窓で頼めるし給水器はそちらにと指差した
いよいよ温泉に入り左の扉を示し
「こちらは岩風呂…蒸し風呂になっとります」
今度は小さな泉の前で
「こちらは水風呂で蒸し風呂で火照った身体を冷ませます、そして…」
そう言って現れた空間は熱帯の楽園だった
大きな温泉の周りには小さな温泉がいくつも有り浴場一杯に南国の花や実を着けた樹や草花が生い茂っている
「貸し切り客限定で飲物ならあそこの東屋で飲める事になっとります
以上何かわからない事は有りませんか?」
一通りの説明をし終えると
「みこ入るっ!」
そう叫ぶとワンピースを脱ぎ始める命を見て慌て目を閉じる親父と溜め息を吐き
「留美菜は三人に説明しながら命様の服を急いで脱がせなさい
今日は掛け湯だけで良いですから」
そう言われて急いで脱がせ掛け湯だけすると温泉に飛び込む命を見て
「気遣いに感謝しますがもう開けても構いません」
そう言われて目を開けると奇跡を目に
長年掛け完成させた自慢の温泉に理解しない者達の批難の声は少なくなかったが歯を食い縛り耐えてきた
その温泉に人魚姫様が笑顔で戯れる姿見て
「この笑顔、この瞬間に立ち合う為にワシはここまできたのだな…」
そう言って現れた空間は熱帯の楽園だった
大きな温泉の周りには小さな温泉がいくつも有り浴場一杯に南国の花や実を着けた樹や草花が生い茂っている
「貸し切り客限定で飲物ならあそこの東屋で飲める事になっとります
以上何かわからない事は有りませんか?」
一通りの説明をし終えると
「みこ入るっ!」
そう叫ぶとワンピースを脱ぎ始める命を見て慌て目を閉じる親父と溜め息を吐き
「留美菜は三人に説明しながら命様の服を急いで脱がせなさい
今日は掛け湯だけで良いですから」
そう言われて急いで脱がせ掛け湯だけすると温泉に飛び込む命を見て
「気遣いに感謝しますがもう開けても構いません」
そう言われて目を開けると奇跡を目に
長年掛け完成させた自慢の温泉に理解しない者達の批難の声は少なくなかったが歯を食い縛り耐えてきた
その温泉に人魚姫様が笑顔で戯れる姿見て
「この笑顔、この瞬間に立ち合う為にワシはここまできたのだな…」
親父が呟くのを聞き
(そうかもしれない…)
そう思いつつ
「取り敢えず早速貸し切りにして頂きたいのですが?」
そう瑞穂に言われて
「入る時に念のため貸し切りにして有りますからご安心を