私はこれで失礼しますから貴女は入り口迄来ていただき私が出た後内鍵をお願いします
それと人魚姫様のお着替えを持ってくるよう伝えましょうか?」
そう言って貰い
「侍女の子達のも頼んでください」
そう応え
「留美菜、貴女達も一緒に入りなさい脱いだ服は纏めて東屋に置いて置けば良い」
そう言って親父を見送りに出ると
「入浴が済みましたら帳場のワシに知らせてください」
そう言うと帳場に戻っていった
着替えを持ってきたのはりんで
「春蘭さんが貴女も入りなさいって言って下さりました
瑞穂もご一緒にどうぞと聞いてます」
そう言って着替えが入った篭を持ってきたがその後ろに隠れて近付く人物に気付きりんを先に行かせその人物を招き入れると
「王妃様に旅の様子を描く様頼まれたのですね?映見さん」
そう言われて驚いて
「何故私と気付いたのですか?」
瑞穂に聞くと
「上手に隠して居るつもりでも貴女の体臭には長年掛けて染み付いた絵の具の臭いがしますからね
勿論阿や忍は気付いてまし春蘭も…」
そう言われて
「それではもう顔を隠す意味は…?」
映見が聞くと
「まだ暫くはいまのままで…その内仲間内では隠す必要無くなりますが…
貴女が表に出れば人は貴女を交渉窓口に選ぶ為春蘭の成長の妨げになるからです」
瑞穂がそう言うと
「やはり春蘭さんが若いからですか?」
そう聞き返す映見に
「ええ、残念ながら…私達は春蘭の優秀さを知ってますが知らぬ者には若い娘に過ぎませんからね…」
命を部屋に送り留美菜達に任せ帳場の親父に知らせに行く瑞穂を見送り二階に上がる六人だに入ると奥の部屋で仮眠を取っているらしい阿と忍の姿は見えない
ミナは既に荷物の整理と買い出し品のリストアップに洗濯を済ませいつもの内職をしていた
いつもの書類のチェックをしていた春蘭は六人が戻ってきた事に気付いて
「瑞穂さんはどうしたんですか?」
そう聞くと
「帳場に貸し切りが終わったことを知らせに行きました」
留美菜がそう答えると
「命様、私は瑞穂さんが戻られたら買い出しに行きますがどうなさいますか?」
そう聞くと返ってきた返事は勿論
「一緒に行く」
の一言だったので
「皆はどうしますか?ついてくるか留守番するか?」
そう聞かれて
「勿論命様のお供をします」
と全員が応えたので
「わかりました、買い出しを手伝って貰いますね
ミナさんは阿さんと忍さんが目を覚まされたらお風呂に行かれるように伝えて下さい」
そう言いながら命にフード付きマントを纏わせ五人には鞄をそれぞれ用意し持たせていると瑞穂が戻り
「瑞穂さん、買い出しに行きますからお付き合い下さい」
と、言いながらマントを渡し命の背を押し
「命様はマントの中で抱いて下さるようお願いします」
と、言うと瑞穂の返事を待たずに
「行きますよ」
そう声を掛けると階段を降りる春蘭のを後を溜め息を吐き階段を降りる瑞穂だった
宿を出て右に曲がると少し進んだ所に大きな篭を扱う店が有り店内に入り物色して…
ようやく目当ての品を見付けた春蘭が近寄り手に取り確かめると頷き
「これより大きな物は有りませんか?」
春蘭に聞かれた店主が春蘭を眺め
「お嬢ちゃんには今手にしてるので十分だろ?」
そう答えると
「ええ、私の分はですけどこの人に背負ってもらう物が欲しいんですけど?」
そう言われた店主が瑞穂を見て仕方無いとばかりに立ち上がり
「それより大きい物は奥に置いて有るからついてきな…」
そう言われて
「瑞穂さん、命様を下ろしてください
留美菜、命様を頼みますね」
そう言って命の顔をフードで隠すと留美菜達も命を囲むように立つことにした
先に出た店主と瑞穂が大きな篭を見ていて遅れて出てきた春蘭に向かい
「これがうちの一番大きい物だがお嬢ちゃんが三人入ったって壊れない自信作だ
何を入れるかは知らんがこれなら文句あるまい?」
そう得意気に言う店主に
「はい、とても素晴らしい物ですね
ふたつ合わせておいくらになりますか?」
春蘭に聞かれた店主がじっと春蘭の目を見るとその気迫のこもった眼差しに負け
「六千と一万五千で二万千を負けて二万kcでどうかね?」
そう呈示されて財布を取りだし
「二万kcですね?お確かめ下さい」
そう言って手渡すと
「確かに受けとりました」
店主が応えると
「瑞穂さん、宜しくお願いしますね」
春蘭がそう言うと
「ああそれは見てわかると思うが背負って表口からは出られんからこのまま真っ直ぐ行った裏口から出てくれ」
と言われたので春蘭も
「そう言うことだそうですから入り口で待ってますからお願いしますね」
そう言うときびすを返し入り口に向かう春蘭の後ろ姿を見ながら
「アンタ…苦労してるね?」
そう同情のこもった声で言われ右手を上げて苦笑いする瑞穂だった
瑞穂と合流し再び命を抱き上げて貰い更に歩を進めると繊維関係の店が有り
バスタオルからハンドタオルまで各種サイズを買いそろえクッションもひとつ買うと瑞穂の篭に入れた
木綿のハンカチやネッカチーフに刺繍糸は個人的な買い物だから自分の財布からだして買った
その店からでて暫くすると
「歌声が聞こえる…」
と言う命の声に反応した瑞穂が耳を済ますと
「確かに聞こえますね?聞きにいきますか?」
瑞穂にそう聞かれて
「うん、連れてって」
命がそう答えたので揃って向かうことにした
明らかにアマチュアの歌い手の歌が終わり舞台を降りると司会兼受け付け担当者が
「本日最後のエントリーの方の歌が始まるよぉ~っ!
この方の歌が終わるまでに新たなエントリーが無ければ本日は終了になるから希望者はお早めにぃ~っ!」
そう声を上げるのを聞き
「命様、出られますか?」
と、春蘭が聞いたけど三弦を手に歌う女性の歌に聞き入り上の空で
「あのお姉さんの歌素敵だね…お姉さん、教えてくれないかな…」
と、呟くのを聞き
「りんはしずくを連れて受け付けに
、留美菜はつぼみとつぐみを連れて今歌っている方に私たちの主人が頼みたい事がありますからお時間を下さいと言ってきて」
そう言うと自分は会場外の舞台に近い木の根元で命のマントを裏返し水色のマントにチェンジし
「命様、出番までこの木上で待機して呼ばれたら舞台に降りてください
そして歌が終わったらここで待つ瑞穂様の所にお戻り下さいね」
と言って瑞穂と頷き合うと受け付けに向かう春蘭
(やはり揉めていますね…)
そう思いながら杓子定規に
「本人がエントリーしないと受け付け出来ませんっ!」
受け付け孃に向かい
「本人に来させても良いですが残念ですがご自分の名前すら掛けませんから来ていただいても…
それにあの木上に居るのが誰かこれで見なさい…
あの方がここに来てパニックが起きても責任は負えませんから」
そう言われて遠眼鏡で木上に居る者を見ると表情が変わり
「あの小さな顔にコバルトブルーの長い髪…まさか…」
そう呟き改めてりんの顔を見て
「思い出した…お嬢ちゃんも舞台に立ったモデルの一人だよね?」
そう言うとしずくも驚いてりんの顔を見ると
「わかりました、貴女が代わりに記名すれば受け付け完了です」
やっと命がエントリーされ
「どうでしょうか?あの方の名は出さず貴女の驚きをそのまま紹介に使っては」
と春蘭に言われて面白いと感じた受け付け孃は今の歌い手が歌い終わるのを待ち
「謡華さん、お疲れ様でしたぁ~っ!貴女の後に歌う強者なんて居やしないと思ってたけど凄いエントリー者が現れたぁ~っ!
神が起こした奇跡か悪戯か、歌う人魚姫のご光臨だぁーっ!」
と絶叫すると青いマントを靡かせパステルカラーの青いワンピースを着た命が舞い降り奉納の踊りを舞いアンコールも含め全十曲を歌い上げると
「今日はみこの歌きいてくれてありがとねっ!
暫くはここに通うから又聞いてくれると嬉しいなっ♪じゃ、又明日ねっ!」
そう言うと会場外の瑞穂が待つ所に飛び出した
思わぬ飛び入りに大興奮の内に幕を閉じた路上ライヴ会場だった
「今の方が私に頼みたい事があるから会いたいと伝えるよう命した貴女達の主人だね?」
と言われ
「いいえ、一寸違いますっ!
未だに王女の自覚の無いあの方には命ずると言う発想はなくお願いする甘えん坊
だから私達は私達の可愛いみこちゃんを守りたい側にいて助けてあげたいって思ってるしそう思わせる子なんですっ!」
と留美菜が力説し
「その子達に指示を与えたのは私です」
そう言って頭を下げ
「差し支えなければ落ち着いて話せる所でお話できませんか?」
春蘭が言うとその春蘭を値踏みするように見る謡華と呼ばれた女
その沈黙を破る
「春蘭、引き受けて…」
「お断りしますっ!」
瑞穂の言葉を遮り断言する謡華に
「ですが未だ何も…」
と言い掛ける春蘭に
「ご本人が直接お願いすれば彼女の返事も変わるかも知れませんが眠ってしまわれましたから…」
そう言われて
「貴女方の事情は知りませんけどその眠ってしまった主を一人にして何処に置いてきたのですかっ!?」
と詰問すると瑞穂はにやりと笑い
「一人に等してませんよ?」
と答えるのを聞いて大きな篭を背負っている事に今更ながら気付き
「ま…まさかその…」
と、戸惑う謡華に
「その思い込みが見えている物すら見えなくしますから気づく者は有りません
お時間を取らせ申し訳有りません
私達はまだ買い出しの途中ですから買い物に戻ります…それではは失礼します…」
そう言うと更に先へと進む一行を見送りながら
「…………………まあ私には縁の無い人達だから気にする必要ないか…」
そう言うと命達とは反対の方向に歩いていった
その後ミナのリストを参考に買い物し又市場調査に新しい特産品等を買い付け宿に戻った
「何やら帳場が騒がしいようですね?」
何故だか気になった春蘭が帳場を覗くと謡華が
「この時期何処の酔狂があの高い部屋を借りてると言うのですかっ!」
烈火の如く怒りも露の謡華の後から春蘭が
「どうかなさいましたか?」
と、親父に声を掛けると
「顔馴染みのお客さんだが貴女方の部屋に泊まりたいと言われて空いてないと申したら
この時期にそんな事は有り得ないとと、お怒りで…」
その会話と聞き覚えのある声に振り向くと溜め息を吐き
「そう、貴女達でしたか…少し落ち着いて考えればわかる事なのに…」
そう呟くのを聞き
「取り敢えず私達は今からお茶にしますから貴女もご一緒にどうでしょうか?
色々ご不満も有りましょうが差し支えなければ今夜は私達と過ごし明日からの事は明日の朝までに考えれば良いと思いますよ?」
そう言われて
「確かに頭に血の登った状態で行動してろくな目に合った試しはない
ここは貴女の心優しい気遣い、助言に従いましょう」
そう謡華のが言うのを聞きなんとか丸く収まりそうな雰囲気にそっと息を吐く親父だった
部屋に戻り奥の部屋に行くと既に阿と忍の姿は無く
「お二人なら春蘭さんの勧め通り温泉に入ってます」
と、ミナに言われて命を布団に寝かし付けお茶を淹れ呑む事にした
お茶を淹れ茶菓を用意するとミナも休憩に入りお茶にする事にしてテーブルに着いた
出されたお茶の香りは初めて嗅ぐ臭いで驚いていると
「薬草や香草に詳しい母が独自に調合した物です」
そう説明されその爽やかな香りに感心していた
茶菓は峠の街で頂いた土産の干した木の実でそれを味わいながら
「ミナさんは今何を?」
と、春蘭が尋ねると
「夕べ迄作っていた命様の服をサイズを変え量産品の為の型紙作りを終え試作品を作ってます」
そう言うと手元にある行基から命用の服を出し
「春蘭さんに預けます」
そう言って預けられた服は騎士の平服をアレンジしたワンピースの為出来はともかく自尊心だけは人一倍高い騎士達の反応が怖い物だった
お茶の時間が終わり冷めたお茶が残されているのを見た謡華が贅沢な…と思い
「その冷めたお茶はどうするのですか?」
と、春蘭に聞くと
「これは呑み残しではなく猫舌の命様用に冷まして置いてあるお茶です」
そう言うと留美菜も
「熱々が美味しい鍋も冷まさないと食べれない命様ってかなり人生を損してますよね?」
そう言うと
「これでもかなり改善されたんですよ?
公女宮に居られた頃は食べる事自体拒まれてましたから…
みこお腹すいてないから…と」
そうミナが言うと
「何故そんな贅沢な事を…」
そう詰る様に言う謡華に
「命様はご自分の存在自体を否定されてますから…りんも知ってますね?
私もレム様から伺った話なんですけど…
元々高位魔導師が転生されたらしい命様はそれ程食事を必要としない代わりに育ち盛りの身体が必要とする栄養が全く足りて無いそうです…」
その話に重くなった空気をなごませたのは午睡から目覚めた命で
迷う事なく指定席(ミナの膝)に座ると用意されたお茶を一口啜った
いくら養女とは言えその王女に相応しいとは言えない振る舞いに驚いていると湯上がりの阿と忍が部屋に戻ってきた
「阿さん、忍さん、一寸早いですけど早目に夕食にしませんか?」
そう春蘭に言われて
「そうですね、フードで顔を隠しているとはいえ未だ目立つのは好ましくないですからね…」
そう阿が答えると
「謡華さんはどうなさいますか?」
春蘭の言葉で謡華の存在にやっと気付いた命が春蘭に
「お姉さんが居る、もしかして?」
そう聞くと
「あの話しは残念なから断られれましたから…」
そう言われ
「そっか…」
小さく呟くだけだった
夕食は阿、瑞穂、忍は大盛りのカレーで春蘭は中盛りに少女達は一人前でミナだけはシチューのセットでパンとサラダ付きを命と二人で食べる
馭者の映見にはミナと同じシチューのセットを出前してもらえるよう宿の親父が口添えしてくれた
食事終えて部屋に戻ると春蘭はつぼみ、つぐみ、しずくの三人にテキストを渡し
「明日から午前中は勉強をして貰いますからその道具です」
そう言って学習セットを渡し
「留美菜とりんは王宮を出てから、三人は馬車に乗ってから今まで思い出した範囲の日記を書きなさい
ミナさんはいつもの内職で命様は竪琴のお手入れをしてくださいね」
そう言って春蘭も何やら針仕事を始めて静かな時が流れた
竪琴の手入れをしながら謡華が最後に歌った曲を口ずさむけどやはり自身の本番前だけに覚えきれてない
三弦の手入れをしながら命の様子を見ていた謡華がついに我慢出来ず指導を始めた
乾いた大地に雨水が染み込むように謡華の指導を吸収する命に教えるのが楽しく教えを受ける命の顔も嬉しそうで
「良かったですね、命様…願いが叶って」
その呟きを耳にした謡華が
「まさかそれが貴女達の頼みたい事だったんですか?
私はてっきりお姫様の退屈しのぎのお相手をさせられるのかと思ってお断りしましたのに…」
そう言う言葉の端々に悔やむ気持ちが滲む謡華に春蘭達は何も言わないし謡華も
(結局なるようになった…と言う訳ですね)
その後謡華による命の指導は命がうとうとしだすまで続き一足先に床に就かせると他の者達は
留美菜とりんは長い日記を書き終え三人は針仕事をする二人を見て
「私達春蘭様に見て頂きたい物が有ります」
そう言ってつぼみが出したのは組紐で未だ複雑な模様は表現出来てないけど丁寧な仕上がりで
「うちの内職を見て覚えました」
と言うつぼみに
「観月様に見ていただきますから預かっても良いですか?
それと材料を持ってきてるなら他のも作ってみて下さい」
そう言われて
「はいっ!」
と答えたつぼみに続きつぐみは竹細工でその技法を見て
「まさかあの店の?」
と春蘭が言うと
「はい、春蘭様がいらっしゃいました店の娘です」
と答えるのを聞いて
「店の跡は…」
その言葉に
「店の経営は兄が、職人技は兄嫁が受け継ぎますから私には好きに生きなさいって以前から言われてました…
ですからね命様の側に行きたいと言う私の願いも賛成してくれたんです」
そう答えたから
「わかりました、貴女のも預かり別の物をこさえてください」
と言い最後のしずくは編み物で五本指の手袋を見せ
「女神の祭典後月影の国を皮切りに他国の訪問が始まる命様の為にと思い急いで編んだ手袋とこれはその前に編んだショールです」
そう言ってショールも渡された春蘭は二人に言ったのと同じく観月に見せる事にし…
別の物を造る様指示しそれが一区切り付きミナもキリの良い所で手を止めお茶にする事にした
その隙を突き春蘭の手元を気にしていた阿がひょいと春蘭の手からそれを拐うと
「ほう、これは中々の物ですね?これならば王妃様に贈っても恥ずかしくない物だと思いますよ?皆も見なさい」
そう言って阿が広げたスカーフには命の横顔の刺繍が施されていて
「春蘭さん凄いっ!」
と言い留美菜も
「私達のはもっと小さいので良いから作って欲しいよね?こずえちゃん達も」
未だ緊張感が抜けず中々話しに入れない三人に振ると
「はい、本当に素敵です…」
と、こずえが代表で答えるとこくこくと頭を降る二人に合わせ謡華も
「アタシも三弦入れに施してほしいくらいだよ…」
と、言われてますます照れる春蘭に
「取り敢えずこの子達の分と謡華さんの三弦入れに施して見なさい
少なくともお世辞で大切な三弦入れに施して欲しいと言うタイプの方でないのはわかってますよね?」
そう言われて
「はい、がっかりさせないよう頑張ります」
そう答える春蘭だった
急須を二つ用意するのを見て不思議に思っている瑞穂に
「お茶と茶菓を下の方に持っていってくださいますか?
私とミナさんもあまり人の事は言えませんがお茶と茶菓で休憩されてはとお伝えください」
そう言って盆を渡すと湯呑みに注ぎ皆に配った
瑞穂も戻り最初に口火を切ったのは春蘭で
「所でミナさんはどんな服を作り始めたのですか?」
と聞かれ閉じていたスケッチブックを開き
「この服です」
そう言われた服は遠い昔に滅んだ国が崇めていた神に使える巫女の装束に似た物で現存する物はなく資料も乏しい
その為デザインした御法自身もほぼ想像で描いたものをユカの指摘で手直しした作品で
「ミナ、命様のが完成したら留美菜、りん、春蘭、貴女のと作り更に翼とチサのを完成させたら二人に贈ると良いでしょう」
と、言われた留美菜が
「私が命様の次で良いんですか?」
そう聞くと春蘭が
「私はお披露目のドレスではないパーティードレスと着物
りんはモデルのご褒美にやはりパーティードレスも頂いてますから貴女から命様とお揃いの服を頂きなさい
ミナさん、エプロンは有りますか?」
と聞かれたミナが
「完成品は五枚有りますけど…」
と、答えると
「では三人に一枚ずつ渡してあげて下さい」
そう言われて春蘭の考えを理解し取り敢えず五枚だして
「好きな色を選んで下さい」
そう言われてエプロンとミナ、そして春蘭の顔を順番に見る三人に
「既に見習いの侍女だったりんは別だけど私達は見習いの侍女になる前に頂いてますから遠慮しなくても良いですよ?」
そう留美菜言ってもらい頷き合った三人はこずえがパステルカラーのグリーン、つぐみはレモンイエローでしずくはパステルカラーの水色選び春蘭とミナの二人に
「ありがとうございます」
そう礼を言うと苦笑いで
「りんも欲しいんでしょ?もう二色しか有りませんけどどちらかで良ければ選びなさい」
そうミナに言われて恥ずかしそうに桜色のを選ぶと留美菜が
「勿論私も持ってきてますから五人お揃いですね?」
と言うと誰からともなく笑い合う五人とその五人を微笑みを浮かべ見守る春蘭達だった
そしてその立ち上がったついでに襖を開け穏やかな寝顔に安心したミナが
「私は未だユカ様のお手伝いしか出来ませんから特技を持つ春蘭さんが羨ましいです…
それに私はたまたま運良く命様のお側に居られるだけですから…」
そんな事は無いっ!そう言おうとするりんを制し黙って成り行きをみまもると
「あの夜…高熱に魘される命様が大公様のお屋敷を訪れた命様の事を貴き方ゆえ粗相の無いようにと言われたのはたまたま宿直だった私
その命様を一目見てこの方が元気になるよう私に出来ることは何でもしよう
お側に居たい、居られる様頑張ろう…
公女宮からお声の掛からなかった落ちこぼれの私はただそれだけを考えお仕えし幸い命様にも気に入られこの旅の同行も許されましたが何故私なのかは未だわかりません…
ですがこんな話をされても皆さまのご迷惑でしたね…申し訳有りませんでした…」
そう言われて阿が
「全く主が主なら長く使える貴女も貴女だ…
何故お二人がこんなにも自己評価が低いのか不思議でなら無い…」
そう言うとりんも
「ミナさん聞いてないんですか?ファッションショーの後ユウ様、ユキ様、ユミ様のお三方の誰がミナさんと組んで仕事をするか競ってたんですよ?
美月のデザイナー四天王の三人が…
その貴女に価値が無いなんて誰も思ってません」
りんが言い留美菜も
「いつも大事な時には命様の側にいて命様を支えるミナさんは命様にお仕えしたい私達のお手本ですよ?」
と言い謡華も
「食事の前寝起きの命様は迷わず貴女の膝に座られましたよね?それ程気を許し信頼されてる
命様が甘えられる存在なんですよ?
それに私は偶然とか奇跡は信じません
今皆さんが言った才能を開花させる為貴女は命様と出会った
勿論無事出会えた事を奇跡と言われればそうかも知れませんが命様は貴女を目覚めさせるために貴女の前に現れた私はそう考えますそしてその後の事は貴女自身の努力によるものだと思いますよ?
現に貴女自身言いましたね?この旅のお供も許されたと…
選抜に漏れた子も居るのでしょ?なのに選ばれた貴女がそんなこと言ってたら来たくても来れなかった子達が可哀想ですよ?
自信が無いなら今まで通り頑張れば良い、その貴女の後姿を見て後輩達はついて行きますからね?」
そう言って少女達を見ると五人も力強く頷き春蘭も
「私も貴女が居てくれなかったら行程の責任者の重圧に耐えきる自信はありません
それに始めて聞いたミナさんの本音
命様への思いを迷惑なんて思いませんよ?
そんなことを気にすることを水臭いとは思いますけどね」
春蘭がそう言うと
「旅の仲間が親睦を深める有意義な時間だったがそろそろ五人を寝かさないと良く無いし謡華さんも隣で寝ると良いでしょう、瑞穂も
春蘭はこの後収支報告書を書きミナはまた今夜も遅くまで内職をするんでしょ?
私と忍は昼寝をしてますから見張りを兼当分起きてますから瑞穂はいつでも起きる気構えだけは忘れず休みなさい」
そう言うと寝室に向かわせた