闇と影   作:春の雪舞い散る

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盛大な別れの宴も終わり町を出る精霊の巫女を待ち受けていたのは…


お供になりたい

二幕は海や航海を必要とする海などの無いこの辺りには縁の薄い航海の安全祈願と航海の無事の感謝を奉納する踊りを中心に魅せ

大漁祈願と大漁の喜びを感謝し奉納する踊りを舞い再び幕間

三幕は命が歌い四幕は謡華の歌で最後の幕間して謡華の伴奏で命が歌い最後は二人の二重唱で幕を閉じた

舞台を移動しながら歌い踊ったので入れ換えなしで上演した

もっとも客の皆が皆時間を気にしないで居られる訳ではないし

酔い潰れた客は帰らず部屋を取り泊まる者やはしゃぎ疲れた子供達を金を出し合い大部屋を取り寝かせる者

それらが居たから自然と席は空いた大小全ての宴会場を埋めつくし用意した料理は全て底をついた

勿論留美菜とりんが用意した干し肉のスープと生ハムのマリネ

忍達の干物の串焼きも好評だったし童女の着物を着て主に飲物の給仕に頑張ったお蔭で飯屋の酒は底を尽き応援の飯屋が店から持ってこなければならないほどだった

騎士の平服を着た阿とスーツ姿の瑞穂は各々に酒をすすめられて閉口した

しかしそれが嫌で宴が始まってからは一人で魚を焼いていた忍はその難から逃れ命や謡華の歌声を離れた場所で楽しんだ

童女の着物姿の留美菜とりんが主に飲物の給仕をして回り

酒の消費量を増やすことに貢献しその衣装は幼い女の子達が羨望の眼差しで見ていた

そして命がうとうと仕始めたのを見て瑞穂を呼び

「命様と留美菜達を連れて休んで下さい

阿さんも頃合いを見て抜けてくださいね、今夜は呑まれてない忍さんにお任せして良いと思います」

そう言われた阿が

「貴女とミナは?」

そう言っていつの間にか姿を消しているミナを探して聞くと

「ミナさんはエプロン作りを始めてますし私も一応未成年ですからそろそろおいとまして収支報告書を付けてから刺繍をするつもりです」

と、答えるのを聞いて

「貴女達もたまにはゆっくり休んだらどうなんですか?」

そう阿に言われた春蘭が

「何故だか知りませんけど私もミナさんも王宮を出てからあまり眠りを必要と感じなくなりました

ミナさんを見て気付きませんか?

出発前は寝不足が顔に出てたのに今はその気配すら感じませんよ?」

そう言われその事に気付き

「旅立ちが精霊の巫女としての成長を促した?」

そう聞かれて

「そうなのかも知れませんけど留美菜や…

特に私と同じ刻に精霊様の導きを受けたりんが未だ目立った変化がありませんし…

何よりも命様はその事に全く触れませんから私達では何とも言いようがありません…」

そう答える春蘭だった

そんな春蘭に命の寝顔を見て来た謡華が春蘭に

「春蘭さんにお願いがありますが今宜しいですか?」

そう聞かれて

「大丈夫ですけど謡華さんは私より目上の方なのですから私の事は春蘭で良いですよ?」

そう言われた謡華は

「そうですか、わかりました…

春蘭にお願いがいしたいのは今暫く命様のお伴をして歌の指導をしたいのですが宜しいですか?」

そう聞かれて驚いた春蘭は

「命様は謡華さんは一緒に旅して歌の指導をしてくれると思ってましたから私達もそのつもりでしたが?」

そう言われた謡華は

「私だけが自分の気持ちに気付いてなかったみたいですね?」

と苦笑いしながら言うと春蘭が

「私達は舞台を盛り上げるお手伝いはできますけど歌そのものは何もお手伝い出来ません

どうか私達の大好きなみこちゃんのご指導宜しくお願いします」

そう言って頭を下げる春蘭の手を取り

「共に大好きなみこちゃんの為に…ですね?」

そう謡華が言うと二人は笑顔で頷きあった

宴の興奮は命達が退場しても全く衰え無い所か逆にエスカレートする一方

だから宿の客の朝食を出さねばならない宿屋の弟だけは先に休ませてもらい後を任せた

仮眠から目を覚ますと既に夜長の客に料理を出していた二人が夕べの残り物の良い物を選び弁当箱に詰め

窯に火を入れ飯を炊く支度もしてくれていた

だから飯屋の親父達も気合いを入れて三十人前の弁当の用意を始めた

部屋では既に荷物の積込を終え命と春蘭に阿が宿屋の帳場で宿屋と四人の飯屋の親父達に出発の挨拶に向かった

「長かったような…それでいてあっという間の八日間お世話になりました」

そう言って助っ人で入った三人の飯屋の親父達には鶏と戯れる命、樹の上で待機する命、舞台に舞い降りる命を描いた物を渡し

給仕や仲居達には春蘭の刺繍とミナが作ったエプロンを人数分…十五枚ずつ渡し

「このエプロンは美月のデザイナーのユカ様の監修でミナさんが作った物…

美月の新ブランド若月の製品です

こちらは…私が刺繍を施したハンカチですから喜んで頂けると嬉しいのですが…」

そう言って渡されたエプロンは(ちょっと若い子向けかな?)

そう思いながらも洒落たデザインはさすが美月製と思ったし春蘭の刺繍も

「私も趣味で刺繍をするからわかるけど細かい所まで丁寧に仕上げた良い物だよ

観月様は貴女が刺繍をする事はご存知なのかい?」

そう聞かれて

「いいえ、命様のお側に参りましてからは暫くやってませんでしたから…」

そう答えると

「なら観月様の目に止まれば…

アンタ等、もしかしたらこのハンカチは物凄い値が付くかも知れないよ?」

と、言われてガヤガヤ話ていると

「これはワシ等からの気持ちだよ」

そう言って弁当を三十人前と温泉卵と温泉まんじゅうを五十個ずつに命が気に入っていた手拭い五十枚、それぞれの店の漬け物を一樽を土産として渡され馬車に運ばれた

命が窓から身を乗りだし手を振り春蘭が

「危ないですからあまり身を乗り出さないで下さいっ!」

そう叫んでいるのが丸聞こえで別れの切なさや寂しさに混じり笑いを堪えきれず

「可愛らしいけどお側でお仕えするのは大変そうな王女様なんですね…?」

そう言って苦笑いする一同だったけど

(本当に夢のような一夜だったね?)と、考えながら板場と宴会場に残る洗い物の山と言う現実が頭の痛い事実だった

 

馬車が町の中心にある広場の入り口に差し掛かると多くの人が待ち構えていて命達が馬車から降りると

「王女命様にお願いしたい事が有りご無礼の段は重々承知いたしておりますが何卒お聞き届け下さいます様平に、平にお願い申し上げます」

そう言って石畳に額を擦り付けんばかりの勢いで頭を下げる…

多分町長らしき男を見ながら難しい顔をして見る命とその命を見守る者達が息を詰め見守る中…

「おおっ、そーかっ!命王女様ってみこの事なんだ…

すっかり忘れてたけどいちおーみこって王女様になったらしいよね?」

そう言われた春蘭は眉間にシワを寄せ

「一応ではなくれっきとした歌の国の王女様ですよ?」

そう言って溜め息を吐き

「今ご覧になった方ですからお話は私が代わって承ります」

そう言われた町長らしき男が

「私はこの湯下の町の町長を務めさせて頂いて居る者ですが我が町の少年少女達が是非とも王女様のお側でお仕えしたい

王女様の為に戦う騎士になりたいと申しまして両親共々私に相談に来まして共にお願いに上がった次第にございます」

そう言われた春蘭が阿を見ると

「この国の兵士、使用人の雇用は縁故がないと難しい事は勿論しってますね?」

阿の言葉に一人の少年が立ち上がり

「勿論知ってます…でも、思ってるだけじゃ夢が叶わない事も同じ位知ってるから先ず声を上げました、命様にお仕えしたいと…」

その答えを聞き他の少年達が頷くのを見た阿がその闘気を爆発的に膨らませ少年達にぶつけた

少年達が歯を喰い縛り闘気に立ち向かう中柳の枝が風を受け流すが如く阿の闘気を受け流す者が居た

温泉で命を受け止めた女性で

「この闘気には殺気が無ければ敵意も無いのだから受け流せば良いのです…がまだ無理でしょうね…」

そう呟くと

「貴女の名は?」

その女性に聞くと

「私の名は風華、命様にお仕えしたい騎士希望の者以後お見知り置きを」

そう名乗ると

「あっ、昨日お風呂場場てぶつかったお姉さん…」

そう言ってせっかく留美菜達が春蘭に伏せてくれていた事をついうっかり口を滑らせ留美菜達もあちゃーって顔をして居る

振り向くとこめかみをピクピクさせた春蘭が

「命様、どういう事でしょうか?お風呂場では走らないお約束でしたよね?」

そう言われて返事に困っていると

「大丈夫ですよ?よそ見していた命様はぶつかったと感じたかも知れませんがその前に受け止めましたから問題有りません」

そう言われて

「そうなんだって、良かったね春蘭…優しいおねーさんでっ♪」

そう言われて

(貴女がそれを言いますか?)

そう思ったけどそれを言うのも命なのだと思い出し頭の痛い思いの春蘭をなだめながら

「風華といいましたね、貴女の言う通りですが本気でないとはいえ私の放った気をずぶの素人の少年達が耐えきったのは賞賛に値する

それ故先程も言いましたたが縁故を持たない貴方達がこの国の兵士や使用人になるのは難しい…」

そう言われて肩を落とす人々に更に阿は

「この国では難しいが抜け道はある

私達や侍女のこの子達は命様のお供をしてますがその実王家ではなく大公家…

更に言うなら公女宮に所属する騎士であり見習い侍女です」

そう話すと町長が

「つまり公女宮所属と言う立場を気にしなければ問題無いと…ですが何故?」

町長が疑問を口にすると

「命様達が王家の養女となる前はその立場は公女宮の預かりで有ったゆえ側に居る私達も自然とそうなり…

命様を慕った彼女達の身分もまたそうなりました

ですからこの旅の同行も王家の依頼を受け観月様が私達を付けると言った変則的な状態

少年達が望むならば私達が鍛える故観月様にも推薦しよう…音を上げずついてこれますね?」

そう問われ

「勿論今諦めるより辛い事なんて想像つかないからよろしくお願いしますっ!」

一人がそう叫ぶと残る三人も

「お願いしますっ!」

そう叫び頭を下げたので

「解わかりました、荷物は用意しましたか?」

と、聞かれて

「勿論皆用意しましたが…」

と、言うとそれまで黙っていた町の者達が

「昨日のお礼です」

そう言って様々な贈り物を持ってきて完全に馬車に乗せきれない量になり春蘭が頭を抱えていると車輪の音がして四台の馬車が現れた

二台の馬車と二台の幌付きの荷馬車で町長が

「四人の騎士希望の者達の父親達からの餞別です」

そう言われて春蘭は溜め息を吐き

「今頂いた物を積み込み…」

そう言って考え込んで居ると阿が

「君とその隣の少年は馬車の馭者出来ますね?」

そう聞かれて

「俺達稼業の手伝いで毎日乗ってますから任せてください」

そう言われて

「忍はこの一番背の高い少年の馬車に、私は一番背の低い少年の馬車に乗ります

後の二人は荷馬車を頼めますね?」

そう聞かれて

「はい、大丈夫ですっ!」

二人もそう答えたので

「謡華さん、子供達を頼みます

侍女希望の娘達は朝食迄は私と同じ馬車に乗りなさい

その休憩の時に振り分けを考えますから…頼みますよ?春蘭」

そう声を掛けると

「承知しました」

やっと気を取り直した春蘭がそう答えた

荷物の積み込みが終わり

「お別れはもう済みましたね?」

そう確認して命を促し

「皆が立派な騎士や侍女になったよって報告できるよーみこもおーえんするから待っててあげてねっ♪じゃあみこ達出発するから…」

命がそう言うと阿も

「お子さん達、しかと預かりました」

と、言われて

「頑張れよ、俺達にはこんなチャンスなかったんだからな」

誰かの兄らしき人物が声を掛けると皆それぞれ叱咤の声をあげその声を受けながら馬車は走り出した

 

 

(言うだけあって中々上手い手綱さばき…

忍等徹夜明けもあって居眠りしてますね…)

その様子に安心して窓から見える景色を眺めていると馭者の少年が

「この先に見晴らしが良くて馬達が喜んで食べる草の生えてる所が有りますから休憩にしませんか?

未だ朝飯には早いけど馬達が喜びますから…」

そう言われて

そう言われて

「私達はこの辺りには縁の薄い者で当然地理にも疎いのだから君の判断に任せる」

そう言って貰い前の馬車に合図を送ると先導の荷馬車が進路を脇道に入り後続も続いた

暫く走ると視界が開けた場所に出て馬車を止め

完徹で居眠りしているミナと忍以外が馬車を降り身体を伸ばしている

がそこから見える景色に息を呑む一同だったが阿の目配せに気付いた春蘭は

「さすが地元の人ですね?私達だけでは気付かず通り過ぎてたでしょうね…」

その春蘭の言葉に顔を真っ赤にして喜ぶ少年と悔しがる二人に聞かせるように

「勿論他の三人も知ってる筈でしょうが荷馬車の二人に伝える相手はないし忍もあの状態ですからね…」

と言うのを聞いて笑みを溢す一同を見て

「命様もここで踊りのお稽古をしていきますか?」

そう春蘭に聞かれて

「うん、未だお歌のお稽古もしてないから…」

と、答えたので

「貴方達は朝食を持ってきてますか?」

そう春蘭に聞かれ見せたのは乾パン等の携行食だったから

「食欲が有りお弁当を食べきれる人は挙手」

そう言われて手を挙げなかったのは命だけで

「わかりました、私も余り食欲が有りませんから命様と二人で分け合います

今からお茶を沸かし食後に熱いお茶を出しますからそれまでは各自水筒のお茶を呑んでいてください」

と、言うと阿も

「馭者の五人は申し訳無いが馬の世話をしてから食事をしてください

つぼみは春蘭の手伝い、留美菜、りん、つぐみは簡単なスープを頼みます

他の娘達は取り敢えずござなど敷いて食事の準備をする私を手伝いなさい

命様は踊りのお稽古で謡華さんは夕べしてませんから三弦の手入れをしながら命様を見守ってください」

そう言って皆行動に移った

食べる場所を確保し終えた阿が辺りを見回すと所々に花が咲き実を付けた草もあり馬車から降りたメイプルも喜んで牧草を食んでいた

視界は開け眼下には少し前まで居た湯下の町の全景が見渡せる

人数的に一番多く弁当と温泉玉子と食器を用意するだけの新しく入った少女達が一番早く終わり

「私、蛍と言いますけどここには時々連れてきてもらってジャムの材料を集めてます

もし宜しければ食事迄の間に集めていても良いでしょうか?」

そう聞かれ命を見ると今からがピークに差し掛かるから暫くは終わらないと判断し

「余り遠くに行かない様に気を付けなさい」

そう答えると

「はい、そんな事で皆様のご迷惑になりたく有りませんから気を付けます」

そう言って仲間達の元に戻り各々篭を手にして散った

次いで馭者達が馬の世話を終え戻ってきて

「俺達は今から急いで枯れ枝拾いしてきますからお二方とお休みください」

と、言われた阿が

「何故枯れ枝拾いを?」

と、聞くと

「何故かこの広場は枯れ枝等が風に運ばれ集まりやすく馬が草を食むのに邪魔になる

ですからここで馬に草を喰わせる者は枯れ枝を纏めて邪魔にならない所に置くか撤去するかが決まりなんですよ」

そう言われて

「成る程、理に叶ってますね…ですが何故二人はしなくて良いのですか?」

と、聞くと

「いくら集まり易いと言っても五人も必要な程じゃないからですよ

それに俺達の狙いはそれだけじゃないですから」

そう言って笑って散っていった

命の稽古が終わり持っていった篭が一杯になった麦と澪が命の元に行き春蘭の指示で命の着替えをりんと共に手伝う事になるはずだった…

―お前達はなんだ?ここは私の縄張りだから間違っても四足獣を側に近寄らせるなっ、わかったなっ!―

そうまくし立てられた二人が目を白黒させ

「あ、あの…貴女様は一体どなた様でいらっしゃいますのでしょうか?」

そう麦に問われたので

―知らぬ、依り代や巫女達は私を花の娘と呼ぶが私はその意を知らぬしどうでもよいことだ…

何故なら私は私だと言う自覚さえあればそれで良いのだからな―

不敵な笑みを浮かべる花の娘に

「あ、あの…もしかしたら花の娘様はメイプルの事がお嫌い…―その様なモノは知らぬし関係無いゆえ私の視界から消え失せろ生臭い獣めっ!―」

感情剥き出しにする花の娘を苦笑いで見守るしかない二人だった

踊りの稽古で汗に濡れた淡い水色のワンピースを脱がせりんの用意した大公領海兵隊の制服命バージョンを着せると

「新しい人達が入ったから私達に巫女としての修行時間が取れる様にと春蘭さんは考えてます

取り敢えずここは私が見守るから二人は先に食事行って下さい

後片付けは私達がして春蘭さんに休んで貰いましょうね」

と言って馬車から出した

手慣れた手つきで命の着替えを手伝う少女に

「私はりん、八歳です」

と自己紹介すると

「私は澪、九歳」

「私は麦同じく九歳」

と答えてくれたから

「じゃあ留美菜ちゃんと同い年かな?

留美菜ちゃんは今年九歳になったんなら…」

と言うと

「じゃあ貴女と蛍が同い年で私と麦、留美菜さんが同い年になりますね

後のライは十歳で風歌さんは十五歳です

あの…貴女達三人も精霊の巫女様なんですか?」

と聞かれ首を横に振り

「春蘭さんも含めて四人だけど未熟な私達は未だ精霊の巫女見習い…ですね」

と苦笑いすると

「みこがいつまでもしっかりしないからだよね?

お着替えひとつまともに出来ないんだから…」

そう言って震える命の身体を見ながら小声で

「二人とも、命様を抱き締めてあげて」

とりんに言われおずおずと言って抱き締めたのだけどその命の身体の細さ小ささに驚き思わずしっかり抱き締めて

(この方をお守りしたいっ!)

と強く思っているとりんの笑顔も私もだよと言っていた

命様の従者の方ってどんな人達なのか不安だったけど私達と同じ命様が大好きな人達なんだと知りホッとした

そう思い命を見るとホンの一瞬では有るけど命が泣いている赤ちゃんに見えた澪が

「りんちゃん…私の目おかしくなったのかな?

今一瞬命様が泣いてる赤ちゃんに見えたなんて…」

そう戸惑い気味に言う澪に

「それは私にも解らないから春蘭さんに聞いてみますね

命様ご飯食べれそうですか?」

首を横に振るのを見て

「じゃあ他の人達に先に食べて貰う様に伝えて春蘭さんに今の事を話して来ますからその間お願いしますね

それと…後で皆の所に戻ったらお友達の嫉妬の視線を覚悟しといた方が良いですよ?

春蘭さんも妹さん達の視線に苦笑いしてた事有りますから」

と言われてやはり苦笑いする澪と麦だった

「命様はもう少し遅くなりますから皆さんは先に食べ始めて下さい

それと春蘭さんはどちらに?」

と聞くと

留美菜が指差しあっちで瑞穂様と今後の予定を話し合ってるよ」

そう留美菜に言われて有り難う難うと言ってそちらに向かった

「春蘭さんにお話がありますけど良いですか?」

と言うとどうぞと首を傾げたので

「春蘭さんが命様の着替えを手伝う様に仰った…澪ちゃんが」

りんの言葉を遮り

「あの子が何かしでかしたの?」

りんの言葉を待たずに聞く春蘭に

「いいえ、命様を…」

「命様が困らせたの?」

と又もりんの話を聞かない春蘭に余裕の無さを感じ観月様に相談すべきと感じる瑞穂だった

「命様を一瞬泣いてる赤ちゃんに見えたって言ったんです」

と今度は邪魔され無いよう一気に話すと

「何故それを早く言わないのですか?」

と眉を潜める春蘭に苦笑いしながら

「自覚は無いでしょうが今の貴女には相手の話を落ち着いて聞く余裕も無いのです

もっとミナや留美菜、りんを頼りなさい

未だ今の貴女が一人で背負うには荷が重すぎますよ?」

と言われて溜め息を吐き

「そうですね、りん…役割分担を決めて貴女達の力を貸してくれますか?」

と言われて

「勿論、私達は仲間なんでしょ?春蘭さん

じゃあ私は命様の所に戻りますね」

と言って駆け出した

そのりんの後ろ姿を見送り

「待ち人来る…ですね」

「これからなのでしょうが…」

「助けが必要な時は迷わず相談しなさいね」

「はい、その時は宜しくお願いします」

 

雫のお腹がなってしまい麦と二人で顔を見合わせ命の前で笑っているところにりんが戻ってきた

「命様、お元気を取り戻されたのならお食事になさいませんか?」

「りんちゃん、みこが馬車から降りるの手伝ってね…みこ、何か疲れちゃった」

馬車から降りた命は機能性重視の海兵隊の制服に白のサンダルと、命が持っている衣装の中では一番地味だが一番のお気に入りの物だった

実際には綺麗な白ではなくなってきていたが今日明日中に人里に出る事も無いって着せたのだ

「さぁ、少年達よいつまでも命様に見とれていないで自己紹介しなさい」

そう阿に言われて

「俺は大樹、三人の中では年長です」

と最初の少年が名乗りをあげ

「俺の名は炎、十四歳で命様の為に戦う騎士になりたくて参りました」

二番目の少年が名乗り最後に三人の中では一番小柄な少年が

「僕は海斗十二歳、腕力じゃ二人に敵わないけど身の軽さなら負けないから命様の為に頑張りますっ!」

そう言って意気込むと少し難しい顔をしながら三人の顔を見る命に代わり

「命様は貴方達位の男の子と余り接した事が有りませんから…

取り敢えず貴方達の呼び方を教えてあげてください」

そうミナに言われて

「それなら俺は大樹で問題有りません」

「俺も炎で」

「僕も海斗で」

そう言うと風華も

「なら私もついでですから風華で願います」

そう四人に言われて

「たいき、ほむら、かいとにふうかだね?うん、覚えるよ」

そう言うと春蘭が

「次に澪と麦以外の見習いの侍女の子達も自己紹介しなさい」

そう言うと

「僕はライ十歳、宜しくねっ命様っ♪」

真琴以外の女の子から初めて僕と言う聞いて何と無く嬉しくなり

「ライもまこちゃんみたく僕ってユーんだねっ♪」

そう言われたライが

「おかしいですか?」

そう小さな声で言われ驚いた命が

「じゃあまこちゃんも変なの?」

そう聞かれたミナが

「変じゃありませんよ?

ライも命様にとっては逆に何故真琴様以外の女の子が僕って言わないのか不思議なんですよ」

そう言われたライは

「なら命様はご自分の事を何て言ってるんですか?」

そう聞かれた命は

「みこはみこだよ?」

そう命が言うと

「命様がそう何度も口にされてるのを聞いてませんか?

それこそ両陛下や観月様の前でもそう言ってますからね」

ミナが言うと春蘭も

「もう少し王女としての自覚と立ち居振る舞いを身に付けて頂きたいのですけどね?」

そう言われた命は

「あははっ、自覚以前にオーじょさまになったの忘れるみこにはむりだよ?」

そう言われた春蘭が溜め息を吐くと

「取り敢えず今は気にしなくても良いですよ?

次の子、自己紹介を続けて下さい」

そうミナに言われて

「私は美景八歳」

「私、蛍七歳です」

そう順番に名乗るのを聞いた命が

「みこね、多分皆に一杯一杯迷惑掛けるけど宜しくね?

みこなんにも出来ない子だから…」

その命の言葉に言葉に溜め息を吐きながら

「余り迷惑を掛けないようにしようとは思わないのですか?」

と呆れ声で言う春蘭に

「うん、みこだって迷惑掛ける気無いけどいつも春蘭に怒られてるんだもん

何をどうしてらいーのかさっぱりわかんないんだよ?」

情けない声で言う命に驚いた少年達と少女達に

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