闇と影   作:春の雪舞い散る

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内需拡大への布石、掘り出し物発見


経済復興

(これに懲りたら二度と身の丈に合わぬ欲望は持たぬ事だ

それがわかったのなら寝てるそいつをつれてさっさと立ち去れっ!)

そう怒鳴りつけると二人の男達は真っ青になって言われ通りに寝てる男を担ぐと一目散に逃げて行きそれを見ながら

(我等も偉そうに言えた義理ではないがな…)

そう思いながら命が差し出す蒼い霊玉を受け取るとそのまま呑み下し二人の霊たいから吹き出た蒼い霊気が包んだ

そのまま暫く様子を見ていると霊気は再びその二つの霊体の中に還りドサドサっと落ちた

(霊体の二人に体重は無い筈…)

そう思いながら忍が音のした方を見ると山賊の風体をした中年男が二人居た

「ふむ、生身の身体は久方ぶりだが悪く無いな…霊体は気楽で良いが生きているわけではない」

そう一人が言うと

「取り憑いた状態で何かしても所詮他人事で何をしても面白味に欠ける

久し振りに自分の身体で思いきり汗を流してみたい…」

そう話していると

ー面白く無い程に魔女の命の思惑通りですね…ー

アクエリアスが霊体で現れそうぼやくと

(私の眠りを妨げた貴女の罪が巡り巡っただけ)

そう言われ

ーその罪は私だけの物ではない筈?ー

アクエリアスにそう言われ

(真琴ならばこの旅立ちの際にかなり手酷い悪戯をしたし私達が生きている限り何度でも繰り返すのだから貴女の気にする必要は無い)

そう言い返され苦い顔をするアクエリアス

ーが、貴女の言う事にも一理ありますー

そう言って二人の男を見て

ーだからと言って無条件で貴方達を許す訳にはいかない私の立場はがわかるのなら私からの条件も呑みなさいー

そう言われ

ーアクエリアス様の条件をお教え願えますか?ー

背が高く弓を背負った男が言うと

ーみこを守りなさい、今いる魔女の命ではなく幼い無垢なる命を…ー

そう言われ舌打ちをしたものの反論の余地の無い命に構わずずんぐりむっくりの髭男が

ーアクエリアス様、それは話が逆になります

大恩有る命様の守護を願い出る我等に一度は闇に落ちたお前達の言葉は信用ならん

そう言われたら何も言い返せぬ我等に

我が巫女を守る盾となれとそうお命じくだされば良いのですー

ーそれこそが我等に取り最大の許しにして我等に出来る巫女様へのご恩返しとなり我等の生きる意味ー

ーですからお命じ下さい、貴女様の御名に於いて我が巫女を守れとー

そう言われてやっと決心したアクエリアスが

―我が名は水の精霊アクエリアス、その名に於て汝等に命ずる…我が巫女命を守る盾となれっ!―

そう言われて二人は畏まり

―我等に過ぎた大任慎んでお受けすると共に鍛え直す時間を頂きたいと申し上げます―

そう答えるとアクエリアスは

―然程時間が無い今私が用意する結界に隠り修業しなさい―

そう言って結界に入る扉を開けると二人はその中に入り姿を消した

 

人の子である三人の時が動き始め魔女も命の中に隠り考え込む命…

バンッ!

勢い良く扉が開き鬼の形相の春蘭が現れ

「命様、また何を勝手な亊をなさってるのですかっ!?」

その春蘭の怒りも露の怒鳴り声に首を竦める命を見かね

「今回はお一人で暴走せず後方で私と共に有り海斗を指揮してました

小競り合いも有りましたが命様の手を煩わせる程の物でもありませんでしたから安心しなさい」

その話を聞いていたたけが

「なぁ父ちゃん…俺も命様のお供をしたら海斗師匠みたいに強い男になれるかな?」

そう聞かれた父親は

「さぁな、そいつはお前次第だがその前に命様のお供を許して頂くのが先決でわしはお前が本気なら宜しくお願いしますと頼むだけだ」

そう話す父親に目を覚ました娘が

「父ちゃん、私も命様についていきたい」

そう懇願する娘に

「それも頼む相手が違う、許すも許さぬも決めるのはわしではない」

そう言われた兄妹は

「俺を…

「私を命様のお供をする亊をお許し下さい」

その申し出を受け父親に

「お嬢さんはともかく息子さんは跡取りではないのですか?」

そう聞かれた父親は

「別に継いで貰う程の屋号があるわけでも継がせる山を持ってる訳でも無い

だから悪い道に走るのなら許さんが王女様の騎士を目指すと言うのなら男として応援せぬ訳にはいかんでしょう?」

その父親に春蘭は

「わかりました、息子さんとお嬢さんはお預かりします」

そう答えると

「勿論海斗、お前達も兄貴分として二人を見てくれるのだろ?」

そう言われた海斗は逆に

「やだな、おじさん…今更そんな水臭い亊を…

だからさっきだってたけを本気で叱ったんだからさ」

そう聞いて

「そうか、ちゃんと叱ってくれたか…」

そう呟くと

「そう言えば折角ここに立ち寄ったんだから炭を見せて貰いませんか?

きみには悪いけどこのおじさん、厳つい顔してるけど良い炭を焼きますよ?」

そう言われたので

「厳つい顔は余計だがこの様な上品なお嬢様に炭の良し悪しがわかるのか?」

訝しげに聞かれた春蘭は

「私の父が王都の緊急用備蓄品の管理を任され炭を見回る時には同行してましたし家の庭でするバーベキューは父の趣味

勿論料理は母から仕込まれてますから炭の良し悪しは多少わかるつもりです」

そう言われたので改めて春蘭の顔を見て頷くと

「わかりました、わしの焼いた炭を見て頂きましょう」

そう言われて共に炭置き場に向かう父親と春蘭を見ながら

「きみの蔓草細工、春蘭様に見ていただかないか?僕も推薦するからさ」

海斗のその言葉を聞き

「興味有りますね、見せてもらえますか?」

そう忍にまで言われたきみに

「きみ、折角の機会なんだからダメ元で見てもらえよ?」

と、本人は応援のつもりで言うたけに

「たけ、兄貴のお前がダメ元って言ってどうするの?

それじゃ推薦する僕の立場はどうなるのさ?」

そう笑って言われて

「…はい、自信有りませんけど持って来ます」

そう答えると自分の部屋に走っていった

 

命の隠れ蓑とも言うべき篭の中に蠢くモノがあった…

(ここは…どこ?なんで私はこんなとこでうもれてるの?

タオル…かな?これ…)

そう思考を巡らせるそれが肝心な亊に気付いた

(わ、私…誰?何者なの?)

と、言う事に…

(取り敢えず誰かに見つかる前に逃げ出さないと…

敵と味方がわからないんじゃ誰も信用できないんだから逃げなきゃ…)

そう考えた時には既に手遅れで

「何者だ、馬車に隠れているのはわかっている、大人しく正体を表せ」

そう叫ばれて

(こ、怖い…私は何もしてないのにいきなり怒鳴るなんて野蛮人だ

関わりたくない…逃げなきゃダメ…でも何処に逃げたら良いの?)

そう迷っていると別の声がして

「大樹、敵かどうかもわからないのにそんな怒鳴り声上げたら怖がって余計出てこないよ?」

そう少女の声が言うのを聞きホッとしていると

「大樹、何を騒いで居るのですか?

そろそろ出発すると言うのに…」

また別の人物が現れ身を固くしていると

「何者かがこの馬車に浸入してますから問い詰めてます」

そう答える大樹を見ながら

(何故?命様の魔力を感じる?命様は…)

この場に居ないはずの主人の気配に戸惑うミナに

「ミナ、どうかしましたか?」

そう聞かれたミナは

「何者かは知りませんけど敵意は感じ無いどころか逆に怯えきっている様に感じます

それこそ何にそんなに怯えているのか聞きたいくらいに…」

そう聞いた瑞穂も

「私にも震えていると感じられますが…」

そう言いながら気配のする篭にてを突っ込み手に触れたそれを一気に引き抜いた

まるで畑から大根を引き抜く様に…

勿論、その相手も大人しく引き上られた訳じやない

が、その抵抗は精々自分の身体を埋め尽くすタオルにしがみ着いただけなので何の効果も無かったが

「大樹、目を閉じろっ!」

そう叫ぶ少女の声が聞こえ慌てタオルが自分の体に巻かれるのを感じた

―貴女は誰ですか?氷雨の精の巫女よ…

私は雨水と山谷風の精の導きを受けるミナと言う者

決して貴女に危害は加えませんから貴女の事を教えてください―

そう言われて

ーわ、私が精霊の巫女?いきなりそんな事を言われても知らない

私がどこの誰で何でここに居るかなんてもっと知らない

だから私なんか構わず放っておいてっ!ー

そう叫ぶと

「瑞穂様、何ともややこしい事にその娘には記憶が有りません…」

そう言われた瑞穂が

「それを信じろと?」

そう聞かれたミナは

「あくまでも私がその娘から感じた印象ですし今の所は瑞穂様に信じていただくようお願いせねばならない理由は有りません」

そう答えると

「私には霊力とか無いから何もわからないけど今その娘を怯えさせているのは大きな声で威嚇する大樹

騎士様の瑞穂様でも精霊の巫女様のミナ様でも無いのは私にもわかります」

そう麦が言うのを聞き

―良いから私なんか放っておいて、その二人には厄介払いで問題ない筈?―

そう言われた瑞穂が

「記憶が無い今身を守る術を持たぬ貴女をか?」

そう聞き返されたけど

―そんな事貴女に心配して貰う必要ないし関係ないでしょ?―

そう言い返された瑞穂はそれ以上言うべき言葉が見当たらずミナも

「大樹、麦…どちらでも良いから留美菜を連れてきて…」

その意味がわからない二人が顔を見合わせていると

「意味なんかどうでも良いから早くっ!」

飛び去ろうとする少女の身体を掻き抱きながら叫ぶとさすがに焦って留美菜を呼びに走る大樹

そして留美菜を一目見た少女の表情も一変し

―お姉さま…―

そう呟き留美菜も一度目を閉じ

―なぜ貴女がここに?貴女もアクエリアス様に呼ばれたのですか?―

そう聞くと

―わかりません、気が付いたら私はこの者と強制的に契約を交わされこの者の中にいました…

が、記憶と声を失いしこの者の怯えも本物で私もどう判断するべきか全くわかりません…―

そう話す氷雨の精に

「取り敢えず命様、水の精霊の巫女様の判断を仰ぎましょう

私達にわかる事態ではありませんね?」

ユカのその言葉に言い返すものはない

あらゆる意味に於て判断を下せる者は無いのだから

「馭者は映見さんが王家の馬車に、阿様は寝台付きの馬車に

瑞穂様はもう一台の馬車で大樹、炎は荷馬車を

謡華さん、ライ、つぐみ、しずく、りんは王家の馬車に

ミナ、澪、美景、つぼみ、蛍は寝台付きに

私と留美菜、麦がもう一台で留美菜はその娘を頼みます」

そう言ってそれぞれの馬車に分乗する一行

馬車に乗り込むとタオル二枚取り出し裁縫を始めたユカに興味津々で

「ユカ様、一体何をなさっているのですか?」

そう聞いてくる麦に

「今後のその娘をどうするかは命様の判断にお任せするにしてもいつまでもタオルを巻き着けたままは可哀想とは思いませんか?」

そうユカに言われて

「え、あ…じゃあ何かお洋服を?」

そう聞き返す麦に

「取り敢えず何か一着作ってあげないとね?」

そう言ってウィンクするユカが作っているのはホルターネックタイプのワンピースで

真っ白なタオルだけにかなり地味に見えるのを気にした麦が

「ユカ様、良かったら私がこの子達を使って可愛く仕上げましょうか」そう言ってハートや星形のワッペンを見せる麦に仕上がったばかりのワンピースを見せながら

「私がしなくても大丈夫ですか?」

そう訪ねると

「落ち着いて作業すれば大丈夫です

刃物を扱う裁縫なのだから常に周囲に気を配りなさいます

怪我したり人を傷付けない為にね…そう厳しく何度も言われてますから」

むぎのその言葉を聞いて「そう、大事な事を心得ている方なんですね?貴女のお母さまは…」

そう言って暫く考えた後に

「そう、大事な事を心得ている方なんですね?貴女のお母さまは…」

そう言って暫く考えた後に

「貴女にその気が有るのなら見習いの侍女としてではなく一人のデザイナーとして貴女の指導をしますがついてこれますか?私は厳しいですよ?」

そう言われて

「はい、ついていかせてください」

その問い掛けに力強く応える麦に出会えた事を感謝するユカだった

 

枝道に止まるシーホースに気付いた大樹がその事を知らせ

「この先には何が有るのですか?」

そうユカに聞かれた大樹が

「炭焼き小屋が有って父子三人が暮らしてます」

そう答えるのを聞いて

「取り敢えず私達も炭焼き小屋に向かいましょう」

そう言って上がっていくとシーホースもついてきた

「留美菜はその娘にその服を着せなさい

麦は取り敢えずミナに待機しておく様に伝えて」

そう言って馬車から降りると春蘭の話し声が聞こえてきた

 

「これがわしの焼いた炭だ…」

俵から出したそれを受け取り父がしていたように耳元で打ち鳴らしその音を聞いてみた

現在市庁舎の備蓄倉庫に有る輸入物と全く遜色の無い澄んだ音に

「確かに良い炭ですね?これならわざわざ手間隙掛けて危険を冒して輸入する必要有りません」

そう春蘭に言ってもらい

「僕達もおじさんの炭の良さを知ってるだけに高い輸入物が幅を聞かせてる現状が嫌だったんですよ」

そう話していると春蘭の手元から炭を取り上げ

「海斗、この炭は夕べ泊まった無人宿に置いて在った物ですね?」

そう聞かれて

「ほお、お嬢さんは見ただけでそれに気付くとは…」

そう言われて

「料理人として炭の良し悪しは叩き込まれましたからね…」

そう答えるユカに

「さすがユカ様ですね…」

そう感心している春蘭に

「私達の連名で国王様と観月様に推薦状を書きその上で認めていただいたら御墨付きを頂ける様にお願いもします」

そう言われて難しい顔をする男に

「御墨付きが付けば価格が跳ね上がり今まで支援してくれた近在の顧客に迷惑を掛けると気にしているのなら

近在者は大抵こちらに買い取りに来ると思いますが?」

そう言われて

「近在の者と言うより馬借達が引き取ってくれている」

そう答えるのを聞いて

「ならば馬借達の送料込みで請求し貴方の方で馬借達には送料を払えば送料の要らない馬借達は今まで通りで問題有りませんよ?」

そう言われて

「う~ん…」

唸る男に

「確かに値上がりは痛いけどおじさんの炭の知名度が上がって沢山売れたら家の仕事か増えるし…

自分で買い付けに来るなら道中の温泉街の客も増えるんじゃないの?」

海斗がそう言うのを聞いて

「そう、海斗が言う通りの事を私達は期待してます」

そう言うのを聞いて驚く男に

「それに海斗、現在馬借の組合と専属契約を結び楊牧場と王都間の駅馬車を再開させる話しも浮上してますよ」

そう言われて

「そうか、そんな話が有るから最近打ち合わせが多かったんだ…」

そう感心している海斗に

「命様を中心に色々な事が動きを始めてます

勿論ご本人に自覚はありませんけどね

それよりそろそろお昼時、差し支えなければこちらで食事を済ませていっても良いですか?」

そのユカの問い掛けに

「家は見ての通りに狭いんだが?」

と、答えると

「天気が良いし魚も焼きますから馬車を停めてる広場で良いと思いますよ?」

その思いがけない返答に

(そこいらのつまらん奴等とは器が違うと言う事か…)

そう思いながら

「海斗、今年も旨そうに実ってるから炎も居るなら一緒に採ってこい

大樹には昨日の雨で魚影が濃い

大物が期待できるぞと言っておけ」

そう言われて

「うん、わかった…ユカ様、そう言う訳ですから一寸行ってきます」

そう言って駆け出そうとする海斗に

「その前に炭の買い付けしますから積み込みを済ませてから行きなさい」

そう言って百貫の炭を買い取り大樹達に積み込みを任せ謡華には命の稽古を頼み書類作成を終えた春蘭、ミナ、留美菜、りんは踊りの自習でライ、つぐみ、しずくはそれを見学しユカが指揮して残りの見習い侍女達と昼食の支度を始めた

支度を終えたミナ、留美菜、りんが命の支度をさせて

その間春蘭には風華に運ばせる荷物を用意させそれが終わりいよいよ湯下の町から仲間に加わった九人とたけときみの歓迎の宴が…

謡華の演奏に合わせ舞い踊る命、そのまま謡華に習った歌を歌い…

竪琴を受け取ると元からの持ち歌を歌い始めるとライが

「たけにきみ、あんた達なら即興で命様の歌に合わせられるだろ?」

そう言われて二人が竹笛を取り出す取り出すと吹き鳴らし始めた

それに合わせる様にいつの間に戻ったのか翔も合わせるかの様に囀ずり始めた

一人を除く全員が浮かれる宴…いや、もう一人と一羽居た…

翼を持つ少女にとっては他人事出し鳥の翔にとっても興味の無い事

ただ一人、留美菜はその身に宿背し氷雨の精が妹の精霊を気遣う思いが伝わり楽しめないでいた

その二人に気付いてしまった翔は仕方無しに少女の前に降り立つと

―なに辛気くさくしとんねん?―

そう言われてやっと翔に気付き

(大して面白いと感じてない貴女に言われたく無い…)

抑揚の無い思考の少女に

―ここに居るもんでそれに気付けるんはみことあんたさん位のもんやから気にせんでよろし

所詮ボクの事なんぞ変な鳥位にしか思われてへんのやからこっちから頭下げてまで仲良ーしてもらわなアカン理由は無いんやからね―

そう言って

―みこ、いつになったらこの娘の事ユーんや?

宙ぶらりんのまんま放置てほんまもんのアホちゃうっ!?―

そう言われて

(全く翔ってば口が悪いんだから…)

そう言って溜め息を吐くと

―来て…―

少女に向かい手を伸ばす命に向かいその胸に飛び込むと

留美菜と麦、この娘に名前付けて呼んでたよね?それ教えて」

そう命に言われて互いに顔を見合せ二人同時に

「媛ですっ!」

そう答えるのを聞いて

「貴女の本当のお名前わからないからそう呼んでもいー?」

命に聞かれた少女にとっては他人事にしか思えないので頷くと

「この娘を媛って呼ぶことになったから…皆も仲良くしたげてね

留美菜とおんなし氷雨の精の巫女で二人の精霊は姉妹なんだって」

そう簡単に説明を済ませる命を訝しげに見る翔の視線に気付かない命

宴も終わりに近付き

「命様、風華に使いを頼んで宜しいでしょうか?」

既に支度を済ませてある状態を見て

(あざとい…)

そう思っていると

「うん、ふーか…翼ちゃんに会ってくるといーよ」

そう命が答えるので

―ボクもついてくからね―

そう宣言する翔に

(うん、初心者のふーかを宜しくね)

そう応えるだけで用意された荷物を受けとり王都に向かい飛び立つ風華だった

 

後片付けも済みたけときみの荷物を積み終え

「たけときみの二人にお言葉を、命様…」

そう言われて

「みこはフツーが出来ないお馬鹿なんだよ…だから二人…特にきみには一杯助けて貰うから宜しくね?」

その命の言葉に

「お前達、命様がこんな事仰ってくれたんだから一生懸命お仕えするんだぞっ!」

そう言われて

「そーゆー父ちゃんこそきみが居なくなってもちゃんと飯を食えんのかよ?」

そう言われて

「あー、お前等には黙っていたがわしの妹の旦那が病気で退役したから手伝いに来る事になってたんだが…」

そう言われて

「全く親子揃って鈍いからやになるよヤになるよ」

そう呆れる女(父親の妹)に

「済まん済まん、今日は色々有ったからな…」

そう言われて

「まぁ、良いけどね…お前達も良かったじゃないか

アタシなんか王宮の下働きだって羨ましがられたんだからね?

兄貴の尻は義姉さんの分までひっ叩いてやるから安心して旅立ちな」

そう言われて馬車に乗り込むと

「元気でなっ、父ちゃんっ!」

そう叫ぶたけの声を残して走り去っていった

 

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