そして火の精霊の巫女に己のうんめいをみいだしたほむらは…
18章 北の町の喧騒と賑わい
①チサと炎と翔と女神の依り代
荷物を預かっている為今回もチサの部屋に直行出来なかった翔
おまけにユウに捕まりサロンから出るに出られないでいる
それにさっき見せられた
「チサ様、俺なんかじゃ役不足の力不足は承知してますけど俺の騎士の誓いを受け取って貰えませんか?」
そう申込み有ろう事かその申込みを
「勿論喜んで受け取ります
側に居れない私の分まで水の精霊の巫女を…
みこちゃんを守って上げてくださいね」
そう言われて嬉しそうに笑っていたのが何故か面白くない翔
「これらの薬草は薬師の里長様から春蘭様のお母様にとお預かりした物
これらは皆で採った薬師の里の山の恵みです」
そう言って差し出すと
「貴方に持たせる荷物纏める間薬草を春蘭達の実家に持っていって欲しいのですが…
チサに案内させますからしばらく待ちなさい」
そう言われて
「な、何故王女のチサ様がその様な使いをするんですか?」
狼狽えて言う炎の声を聞いて
「私とじゃ行けませんか?」
悲しそうな声で言われてさらに狼狽える炎は
「そ、そんな事は決して有りませんっ…俺なんかの案内等申し訳無いだけですっ!」
そう叫ぶ炎に
「ならなんの問題も有りませんからチサ…焔馬に乗せてもらいなさい」
そう言われて送り出された二人だった
ユウから逃げ出した翔はチサの部屋の窓からその様子を眺めていた
チサが嬉しそうに炎の手を借りて焔馬に乗るところを
「珍しいですねいつもの貴方ならチサにべったり貼り付いて離れない癖に…」
「良いの?あの二人を二人っきりにしてもさっ♪」
からかわれているのは丸わかりと言うか隠す気の無い二人に
ーはぁ?ボクは真琴とちごて女の子口説く趣味もってへんで?
チサ様は大好きなお姉ちゃんみたく思てるだけでボクかて一応女の子なんやで?
全く…お姉ちゃん男に取られたみたいでムッとしとるんやからアホなことゆーてくるなや、マジムカつく…ー
そう言い捨てると何処へともなく飛び去る翔だった
「初めて乗るけど馬車よりゆれないんですね?」
そのチサの言葉に
「いいえ、普通の馬はも
っと揺れますよ…
これはあくまでも焔馬様だからこその乗り心地ですから
「そうなんですか…私は未だこの国に来て間も無い事も有りますけど余り出歩く機会が無くて…
良かったら帰りは少し遠回りして貰えませんか?」
そうチサにお願いされ
「わかりました…王都に来たのは初めてじゃないけど空を飛んできたのは初めてで来る時見付けた絶景を見て頂きます」
そう炎に言われて
「本当にぃっ!?」
そう言って顔を綻ばせるチサの顔を見ながら
「本当に、チサ様が気に入ってくれると良いですが…」
そう二人で話ながら元市長の邸宅に着くと門番が出迎えたので
「チサが男爵夫人に面会希望とお伝え願えませんか?」
そう言われた二人の男は目立つチサを見間違える筈もなく
「俺は夫人にお知らせするからお前は手綱をお預りしろっ!」
そう言って駆け出す男を見送り手綱を預け玄関に向かう焔馬に揺られるチサと炎
焔馬が玄関に着くとチサの訪問を知らされた夫人に出迎えられ
「チサ様がいらっしゃるとは聞いて居りませんでしたが一体何が?」
そう聞かれたチサは
「観月姉さんが私に誓いを立ててくださった霊獣の騎士様と出掛けて気分転換をしなさいと気遣ってくれただけです」
そう答えると焔馬から飛び降り
「お嬢様の春蘭様にはいつもお世話になっている炎と言います」
そう言って頭を下げ
「今日は薬師の里長様からお預りした薬草をお持ちいたしました」
そう言って先ずチサの手を取り焔馬から下ろすと鞍から薬草の入った袋を外して見せ
「指示していただければそこまでお運びしますから遠慮無く言って下さい」
そう炎に言われたので
「では遠慮なくこちらに…」
そう言って調剤室に案内し机の上を指し示し
「中身の確認は後で致しますからそちらにお願いします」
そう言って置いてもらった
二人が調剤室から戻ると立っているチサに
「座って待っててくだされば良かったのに…
お茶を淹れますから座ってお待ち下さい」
そう言われたチサは
「その…お手伝いと言いますか男爵夫人様の調合したお茶の美味しい淹れ方を教えてはいただけませんか?」
そうチサに言われて驚いたものの
「わかりました、ではこちらにいらしてください」
そう言って厨房にチサを呼ぶと
お湯の温度から始まり細かく説明するのをメモを取りながら聞くチサの横顔に見惚れる炎
その後暫くは二人に命達の旅の様子を聞かれ話をしていたけど昼食時を迎え
「お二人の食事の予定はどうなってますか?」
と、聞かれて
「私は特に決まってません」
チサがそう答えると炎は
「俺はチサ様を王宮にお送りした後命様の元に戻るから食べられる物を途中適当に探して食べます」
そう答えると
「それではもし宜しければ私と一緒に召し上がって行かれてはどうですか?」
そう言われた炎は
「チサ様がお望みならお食事が終わるのをお待ちしますよ」
そう答えると夫人に
「貴方はどうするのですか?」
そう聞かれて
「半人前でも騎士の端くれ、チサ様のお食事の間は警護に立ちますよ?」
そう胸を張って答えると
「バカね、炎…夫人様の聞かれてのは貴方は食べないのですか?
と言う事なのよ?」
笑いなから告げるチサに
「あ、えーと…俺とだとチサ様に恥を掻かせる事になりますからね…」
そう情けない顔で言うと
「みこちゃんとは一緒に食べてるのに?」
チサに拗ねて言われた炎は
「同じ場所と言う意味なら一緒だけど俺と大樹、海斗は食事の作法がなってないと言われてミナ様とミナ様の膝に座る媛の五人は別卓でミナ様の厳しい指導を受けてるとこなんですよ
強さだけではなく騎士としての作法を身に付けなさい、騎士と戦士は違うのですからねっ!
ユカ様にそう厳しく言われてまして…」
そう苦笑いしながら言う炎に
「たまには良いと思いますよ?私も今日は慣れない王女で有ることを忘れますから…」
そう笑いながら話すチサに
「そうですね…命様は器用に王女で有ることを忘れ去りますから」
と言う
「その話を観月姉さんやお母様が聞いたら頭を抱えそうですよ
いかにもみこちゃんらしい話ですけどね…」
そう言って溜め息を吐くと
「わかりました、では二人の門番の食事と合わせ五人分支度しますね」
そう言って席を立つ夫人に
「夫人様、お手伝いします」
そう言ってチサも席を立つ立つと
「王女様にその様な…」
そう言って恐縮する夫人に
「私はさっき王女で有ることを忘れますからといいましたよ?」
そう笑いながら言うチサに
「そう…でしたね…チサちゃんは料理を習ったことは?」
そうチサに問い掛けると
「お菓子作りは良くしますけど料理はお野菜を刻んだことがあるくらいです
だからちゃんと覚えてお父様やお母様に食べて頂きたいなって…」
そう言って舌を出すチサに
「わかりました、では今日は両陛下に出しても恥ずかしくないけど簡単な料理をお教えしながら作りましょう」
と、言う話しになり炎が
「あ、あの…俺にお手伝いすることはないですか?」
そう言って立ち上がると
「そうですね、特に力の要る料理を作る訳ではありませんから…」
そう夫人に言われた炎は
「いや、別に料理じゃなくてもチサ様がお手伝いしてるのに俺一人座ってるのに耐えられませんから…」
そう答えると
「なら炎君は草むしり…」
そう言い掛けるチサを止めて
「炎君は木登りは得意ですか?」
そう尋ねる夫人に
「はい、結構得意ですが?」
そう炎が答えると
「門の側に実の着いた木が数本有ったのは気付いてますか?」
そう聞かれて
「はい、食べ頃の実がかなりありましたね?」
と言う言葉に
「なら私が貴方に望む事も気付いてますね?」
そう言われて
「はい、篭はありますか?」
そう夫人に聞くと
「こちらに…」
そう言われて再び薬草の調合室に案内され納戸を開けると大きな篭が最上段に置かれているのに気付いた夫人が
「脚立を持ってきます」
そう声を掛けると
「いいえ、大丈夫です」
そう言ってスッと飛び上がると丁度こちらを向いていた背負い紐に腕を通し着地すると
「この篭に入るだけで良いですか?
見た感じこの篭に収まりきるかきらないか位の実が食べ頃な感じだけど?」
そう言われた夫人は
「なら入りきらない分は気にせず食べ頃だけを摘んで下さいませ」
そう言われた炎は勇んで樹に向かった
二人が料理を終える頃木の実を取り終えた炎が戻ってきた
篭の中には炎の見込み通りに山盛り状態で
「取り敢えず低い枝の実を残してとりました」
そう報告すると目を丸くした夫人が
「もう篭を一杯に?」
そう言われた炎は
「これ位は命様の祝福を受ける前の海斗でも朝飯前です
アイツは実の選別と剪定の手際が凄いんですよね…元々身の軽い奴だし」
そう話す炎に
「じゃあ炎君の特技は?」
そうチサに問われて
「俺は茸とか草の実…香草も得意かな?
大樹は魚釣りが得意でそっちじゃ名の知れた釣り名人で…
風華さんは実は元狩人で弓の名手の親父さんに弓を仕込まれてるから弓の名手なんだ」
そう話す炎に
「ご苦労様、貴方達が訪れてたお陰で一人寂しい食事が思いがけない楽しく過ごせそうです
さぁ貴方も腰を下ろして食事を始めましょう」
そう言われて共に過ごした昼食の一時
「炎君は媛の事をどう見てますか?
風華さんは臆病で人見知りする子と言ってましたけど…」
食後のお茶を飲みながら媛の事が話題になった
「大樹程じゃないけど俺も海斗も警戒されて目も合わせてもらえないから…
基本的にミナ様の側にべったりで他に留美菜と美輝…
確か春蘭様の従姉に当たる子ときいてますがその三人の誰かの側にいますが…
命様とよくミナ様の膝を取り合ってますから決して気が弱いわけじゃなく用心深い子とも言えます」
そう話す炎に
「姉には男の子しかいないはずでは…」
そう呟く夫人に
「はい、長様が亡き弟の忘れ形見と仰ってました」
そう炎に言われて
「そうでしたか…やはり弟はもうこの世には…」
そう呟くと項垂れる夫人に何と声を掛ければ良いのかわからない二人だった
土産に春蘭と王妃にお茶の葉と先程摘んだ木の実、妹達に木の実を預かると夫人と門番達に見送られると敷地を出て暫く歩いた後宙に浮き王宮とは違う方向に進路をとった
北西に向かった焔馬が暫く飛ぶと森に囲まれた小さな湖が在り…
西に傾く夕陽に森と湖が真っ赤に染まっている
その景色を目を潤ませ眺めるチサに向かい
「そろそろ帰りますね」
そう告げると
「有り難う…炎君、こんなの始めて見ました…」
そうお礼を言われて
「チサ様が喜んでくれて俺も嬉しいです」
そう答えて焔馬に合図して王宮に向かって貰い日が沈みきる前に何とか帰り着いた
「炎です、入ります」
王宮に戻ってきた炎は観月の呼び出しを受け王女宮の三階の客間の戸を叩いた
「入りなさい」
観月のその呼び掛けに
「失礼します」
そう答えて戸を開けて中に入ると開口一番
「夕暮れ迄チサ様を連れ回し弁解の余地は有りませんから如何様な処分も受けるつもりです」
そう言って頭を下げる炎に
「チサに頼まれたのなら問題有りませんし近頃塞ぎ混み勝ちなチサの表情が明るさを取り戻させた貴方には褒美を出しても良い位です」
その言葉に
「褒美をと仰って頂けるのならチサ様の騎士になりたいです」
その言葉に一瞬蔑みかけた気持ちを抑え続きを促すと
「一応チサ様に騎士の誓いを受け取って頂いたけど半人前の俺じゃ真似事と言われても言い返せません
それにそんな事悔しがる前に言い返せる自分に…
だからまずは己を磨きチサ様をお守りする騎士だと胸を張って言える自分になる事が先なんじゃないのか?って思うんです
だから俺同様にフレア様の…チサ様の祝福を受けた方に稽古を着けて頂きたい…鍛えていただきたいとそう思う事は我儘でしょうか?俺は強くなりたいんです」
炎にそう訴えられた観月は
「歌の女神奪回の戦いを間近に控えた私達にも力の有る戦士が一人でも多く必要な今…
貴方にやる気があるなら修羅に鍛えてもらい強くなりなさい自分の大切な者の為に
それに彼女も貴女を鍛えてみたいと言ってましたからね
吽、ユカに明日の朝風華をこちらに寄越すよう伝え風華は沙霧、炎は修羅に鍛えさせ…
そちらでは瑞穂は海斗、忍が大樹を鍛えなさいと伝える様に」
そう吽に指示を与え
「炎は今日より兵士の寄宿舎に在る女神の騎士団用の部屋で寝起きをしなさい
修業の進捗率によってはチサのお供の外出も許しますから頑張りなさいね
吽、炎を女神の騎士団の部屋に案内して下さい」
そう言われて
「ユカが日の出前に送り出すと返事したそうです
炎、ついてきなさい」
そう言われた炎は
「すいません、このお茶の葉を王妃様に…この木の実は春蘭様の妹の方達に
そしてその両方を春蘭様にと預かりましたが…」
そう炎に言われて
「わかりました…マキは伯母様と弥空に
ユウは炎に支給品を用意し手渡しなさい」
そう言われた各人が部屋を出ていくとそれまで気配を消し隠れていた修羅が姿を表し
「炎、使えそうですか?」
観月にそう聞かれた修羅は
「多分…私が隠れていた事にも気付いてた様ですし…」
そう答えると
「なら炎は任せます」
観月にそう言われて
「急がねば中途半端な状態で戦場に駆り出さねばなりませんからね…」
そう呟く修羅に
「そうですね、勝利は勿論被害は出来るだけ小さくしたいですからね…」
そう絞り出すように言う観月だった
夜が明けまず風華が姿を見せ次いで
「緊急の用件があって国王陛下にお目通り願いたい」
と、言って王宮に現れた海斗に
「たかが准騎士の分際でっ!」
と息巻く貴族騎士達を制して
「その方の要請なんだね?」
偶々騒ぎを聞き付けた真琴が海斗の誰も居ない背後を見ながら聞くと
「はい、僕にはまだまだこんな大それた事を考え着く度胸はありませんから…」
そう苦笑いしながら言う海斗に
「わかりました…私が案内します、ついてきなさい」
そう海斗に告げると先に立ち謁見の間に向かう真琴
滅多に朝の謁見には立ち会わない真琴が准騎士の海斗を伴い姿を現したのに驚く国王に
―司祭の血を引きし歌の女神の部の民の長よ
貴方に面会を求めたのは私です―
海斗の背後が光だしやがて人の姿をしたそれが語り始めた
「貴女様は?」
その国王の問い掛けに
―私に固有の名は無いがかつてお前達人の子は私を豊穣の女神と呼んでいた―
そう豊穣の女神が名乗ると
「その女神様が如何なる用件で我等の前にお出でになられたのでしょうか?」
そう国王が尋ねると
―豊穣の女神たる私が為すべきは大地に五穀豊穣の恵みをもたらす事
水の精霊の巫女の要請故に今一度人の子等と共に現世にてその力を振るう事にしましたがその為に…―
そこで言葉を区切り十六夜の背後に隠れるユイの前に移動すると
―この娘が居るからこの地に…王宮に来た…この時代の我が依り代、我が器たる乙女に会いに来たのです―
そう告げると
「な、何故私なのですか?」
恐れおののきながら問うユイに
―それは私より高位の神々と貴女の魂の契約ゆえ私には預かり知らぬ事です
私が知るのはただ貴女が我が依り代であると言う事実のみ―
そう宣言すると
「私にその様な重責を担う自信はありません…」
怯える声で言うユイに
「ユイ、貴女が私の元に現れたの偶然じゃなかったのです
大丈夫、貴女は一人ではありませんから…共に女神の依り代として…そして…」
観月と視線を会わせた十六夜が頷いて
「僕も君を守ろう、愛しい人よ」
そう言ってユイの身体を包み込むように抱き締め
「豊穣の女神様…この僕に貴女の依り代を妻として迎える資格は有りますか?」
そう問い掛けると
ー私からの条件は西の大公家の再興と貴方が大公となる事…ただそれだけですー
その女神の言葉に
「それならば再興の話を急がなければなりませんな?女神様」
国王がとえば
ー地の精霊への奉納の踊りに豊作祈願と豊作の感謝を奉納する踊りにより長き眠りより目覚めさせた…
水の精霊の巫女の舞姫の舞いでこの後の豊作は約束されたも同然…
それを貴女が我が依り代となる事で確固たるものとしなさい
ただ案ずる事は有りません…精霊巫女達の様に依り代には力の行使は有りませんから必要な時は私が守りますし…ー
そう言って真琴を見ると
「それは戦士である僕達の役目、そうだろう海斗准騎士?」
そう言われた海斗も
「二人の女神の依り代様達と精霊の巫女様達の為に戦う騎士になる事こそ僕達の希望と思ってます」
騒ぎを聞き付けた鬼百合達も
「みこ達の大切な者の一人のお前はアタイ等が守るから安心して引き受けな」
鬼百合が言うと仲間の戦士達と王国の騎士達も頷いた
「私はやはり自信はありません…ですけどかつて幼かった観月様は自信が有ったから美月の主になられた訳では有りませんよね?」
そう問われた観月が静かに頷き
「お母様亡きあとせねばならないことでしたから…」
そう答えると
「それは今豊穣の女神様を受け入れ女神の依り代になるのも同じ事ならば…私をお導き下さいませ、豊穣の女神様…」
やっと受け入れる覚悟を決めたユイがそう答えると
ー司祭の血を引きし者達よ、共に祈りなさい
我が依り代の為、この地の五穀豊穣を願うため…ー
そう言われ祈り始めた人々を見て微笑みを浮かべるとユイの中に入っていった
その影響で意識を失ったユイの身体を抱き上げる十六夜に
「今日はもうよいから下がって休ませなさい
観月、この件に関しても美月の協力を頼む事になるだろうが構わぬだろうか?」
そう国王が問い掛けると
「勿論喜んでお手伝いしますよ、国王陛下」
そう観月が答えると
「僕達に出来る事を手伝わせて欲しい」
真琴が言うと翼とチサも頷き
「勿論私達にもお手伝いさせてください」
そう翼とチサも言うと
「勿論お前達も妹として、精霊の巫女として色々力を貸してもらう事になるだろう…
だが、それはそれとしてこのざわついた状態では謁見どころではなかろうから例のあれをしてはどうだ?観月よ」
そう国王が言うと
「そうですね…ユウは私の部屋から例の物を、ユミは三人に支度をさせユキは海斗に持たせる大樹の物を準備しなさい」
と、指示を与えると
「なら僕もあれを持ってきます」
真琴もそう言って謁見の間を出ていった
「お父様、一体何が始まると言うのですか?」
翼が国王に尋ねると
「大樹は居ませんが風華、大樹、炎、海斗の准騎士の昇任認証を行います
これにより名実共に大公家公女宮所属の准騎士となる訳です
翼は今夜伯母様と夜会に招かれてましたね?
風華を伴の騎士として連れて行きなさい、風華にそれ以上の褒美は無いでしょうからね
チサは後日炎に付き合い炎の故郷に赴きなさい、炎の主人として」
それを聞いた翼が
「その時は私も風華と行っても構いませんか?」
そう言われた観月は溜め息を吐いて
「ダメとは言えないでしょう?
未だいつとは言えませんが二人の修行の進み具合ですね…」
等と話していると准騎士の正装を着た三人を連れたユミが戻り真琴、ユウ、ユキの順に戻ってきた
「諸卿等には申し訳ないが今暫く付き合いを願いたい」
国王がそう告げると
「風華、炎、海斗、観月様の前に立ちなさい」
ユウがそう三人に呼び掛けると三人が観月の前に並び立つと
「今この場には居ませんが大樹を含めた貴方達四人の准騎士の昇任認証を取り行います」
そう観月が宣言するとユウから紀章預かった真琴と翼、チサが観月の元に行き翼とチサは観月の隣に並ぶと
「観月姉さん」
そう言って紀章を渡し
「翼とチサも」
そう言って二人にも紀章を渡し脇に避ける真琴
「海斗は観月様の前に、風華は翼様の前に、炎はチサ様の前に別れなさい」
そう言われた三人がそれぞれの相手の前に立つと三人の服の襟元に紀章を着けると
「海斗、大樹の分を預けますから命に着けさせなさい」
そう言われた海斗は感極まって
「観月様…僕の女神様っ!どうか未熟者の僕の誓いを受け取って下さい…」
そう思いの丈を告白すると
「貴方の誓いを受け取りましょう
ですが今暫くはみこの警護を任せます
それと祭典の際の活躍期待しますからね」
そう言われて貰い喜ぶ海斗に
「海斗、これは僕の白い勾玉を埋め込んだ剣鉈で君と大樹の分だ
魔力で強化された切れ味は保証するよ」
そう言って渡し風華と炎の二人にも渡した
「風華は今夜夜会に招かれている翼の伴をしなさい、炎は…」
と、言って炎を見る観月に
「お前はアタイ等が祝ってやるしチサも来るよな?」
そう言われたチサも
「はい、勿論私がお祝いしてあげないと…」
と答えると
「海斗、お前は食材持たせるから向こうで料理して貰って大樹と一緒に食いな」
そう話すのを見ながら
「父上、人が力が集まりつつ有りますね?」
そう十四夜に言われた国王は
「全て命が連れてきてくれているのだな…」
そう呟くと
「この国に運命と戦う力をもたらしに来てくれた精霊の巫女…ですね」
そう答える十四夜だった
②大樹の晴れ姿
特に見所の有るわけではない歌の国有数の穀倉地帯である北の町の宿屋は…
穀物の買付に来た商人か湯の町に向かう旅人が一夜を過ごす場所でしかない為基本的に素泊まりの宿である為
「ユカ様、海斗さんの分はどうしましょうか?」
そう美輝に聞かれたユカは
「お昼前後には到着するはずと吽様から連絡があったと聞いてますから用意します
朝も簡単な物で済ませてるからたっぷり用意しておきましょう」
そう話していると外から海斗の声が聞こえてきた
「大樹、ユカ様は何処?」
そう聞かれた大樹は
「調理場に居られる」
そう答えると
「じゃあ手伝って」
そう言って荷物を手渡し二人で調理場に向かう事に
「ユカ様、これは鬼百合様から頂いた肉や魚です」
そう言って荷物を邪魔にならない所に置くと中身を確かめるユカに
「春蘭様はどちらに?」
と、尋ねると
「春蘭は、ミナ、留美菜、りんと裏庭で媛に踊りの稽古を着けてもらってます」
そう聞いて驚いたものの
「じゃあ預かり物があるから渡しに行きます…
と、その前に大樹…これは真琴様から頂いた剣鉈だよ
真琴様の勾玉が埋められた物だから使うのが楽しみだね?
それとユカ様はこれ、観月様が大樹の准騎士の紀章だから命様に着けさせなさいって…」
そう言って渡すと
「海斗達はあちらで認証式を済ませたのですね?」
そう聞かれた海斗は
「はい、だから大樹はこちらでしてあげるよう伝えなさいって…」
そう答えると
「わかりました、海斗はこの町の偉い人にこの話を伝え食後に行う認証式に参列していたたけるように伝えてきなさい」
そう指示された海斗は
「わかりました、春蘭様に荷物を渡したら行ってきます」
そう返事して大樹から荷物を受けとると
「じゃあ大樹、又後でね
失礼します、ユカ様」
そう言って海斗が調理場を出ると
「じゃあ俺は薪割りの続きをします」
そう言って調理場を出ていった
その二人を見送ったユカは
「これで四人も正式に大公家の准騎士の仲間入りですね…」
と、呟くと