お嬢
①羊祭り
早朝の出発にもかかわらず大勢の人達が見送りに集まり
男女合わせて二十人が供を願い集まった
その為益々の大所帯になった一行は6人掛けの馬車二台を譲り受け命が乗る特別車を映見が
紋章入りの馬車を大樹、湯下の町で譲り受けた馬車と荷馬車にはたけ、りゅう、れん、たかがそれぞれ馭者を担当
北の町で譲り受けた馬車は新たに加わっコウとトンが馭者を担当する事になり
命の馬車は媛、美輝、謡華、水樹、かがみ、なつき、冬実
阿、春菜、美景、ユカ、紫帆、ミナモ、美帆、小雪
明菜、きみ、マイ、澪、少女四人
スー、菜月、瑞穂、サク、ケン、カン
忍、蛍、ライ、ナン、シャー、ペイ
しずく、春蘭、つぐみ、つぼみ、ミナ、麦の割り振りで出発する事となった
(この増えすぎた今の人数…取り敢えずしずく、つぐみ、つぼみの三人から王都で腰を落ち着かせ…
創作活動や勉強に精霊の巫女としての修行をさせた方が良いのかもしれませんね…)
そう観月に相談したら
ーしずく、つぐみ、つぼみ、きみの四人を海斗に送らせなさいー
そう指示があり四人に荷物を纏めさせて海斗に送らせる事になった
王都に案内された四人は観月から
「しずく、つぼみは私付き、つぐみときみはユイ付きになりますが精霊の巫女の修行はチサと翼の二人に任せます
後の作法や勉強は他の見習い侍女と何ら変わり有りませんが創作活動を応援して上げなさい」
四人の待遇はそう決まった
昼食後、ミナ達創作活動班の馬車に新しく入った少女達三人が移動する事になったけど緊張したままの少女達は何の変化も無くその夜宿泊予定の馬借の無人宿に到着した
この先暫く荒野が続く為早目に宿泊準備に入り海斗は瑞穂、大樹は忍、阿はそれ以外の見習い騎士達の修行を見ることにしたのだけど…
取り敢えず蛍、麦、ライが次の候補に上がっている等の噂が飛び交う中の宿の到着で立ち消えになった
無人宿着いた一行は海斗と大樹が薪割りを始めるとたけ、りゅう、れん、たかも始めるのを見て少年の一人が
「そんなに沢山薪が必要なのですか?」
そう尋ねると
「要らないよ、でも割っておけば後の人が助かるし何より俺達は体を鍛える目的でやってるんだからやらせてもらってるんだよ」
大樹が笑ってそう答えるのを聞いて
「見てみな、俺達が両手で懸命にやってるのを准騎士のお二人は片手…しかも利き腕じゃない方だけでやってるんだぜっ♪」
そう言われた海斗は
「鍛えていただいたからね、僕達だって最初から出来た訳じゃないよ
確かに強くなるのは腕力だけじゃないけど最後にモノをゆーのは体力
疲れて敵にやられ命様をお守りできませんでした…何て言い訳だけは絶対にしたくないだろ?
だから少しでも強くなるための努力は惜しまないし薪割りをすれば誰かの役に立つ」
照れながらそう話すと
「海斗さんこれ」
そう言ってりゅうが投げた稽古用の木刀を斧と持ち替え振り下ろすと続けて振り降ろしたりゅうが
「な、木刀が風切る音が全然違うだろ?
これが俺と海斗さんとの修行の差って奴で別に特別技を使ってる訳じゃない
つまり頑張って鍛えりゃ俺やお前達だって目指せば出来る事なんだぜ?
だったら頑張っきゃないだろ?」
「俺達の先を行ってる大樹さんと海斗さんが頑張ってるなら後に続いてこうって俺達はもっと頑張らなきゃいつまでも追い付けないぜ?」
そう言って薪割りを再開すると北の町からついてきた少年達も薪割りを始めあっという間に宿の取置きの薪はすぐに使える様に割られ
次いで風呂場に水を汲み入れると風呂を沸かし命と媛、澪、美輝、ミナ、謡華
阿、春菜、美景、ユカ、
春蘭、明菜、麦、水樹、かがみ、なつき
蛍、瑞穂、りん、冬実、新入り二人
マイ、ライ、留美菜、新入り三人
忍、スー、菜月、新入り三人
少年達の順で風呂に入り各々に汗を流し疲れを癒した
少年達が風呂を沸かす間命は謡華に稽古を着けてもらい春蘭、ミナ、麦は各々の創作活動
スー、マイ、りん、留美菜は夕食の準備
巫女達は踊りの稽古
見習いの侍女達はユカに礼儀作法を習っていたそして夕食後は早目に就寝して早朝から朝食とお昼のお弁当作りをの支度をスー、マイ、りん、留美菜が中心になり見習いの侍女達に手伝わせ用意した
そして未だ暗い内から出発してその日も早目に宿泊場所を決め
その後は前日同様に過ごし更にその翌日の昼過ぎ頃に次の目的地、遊牧民達が集うバザーの街に着いた
まずは宿屋を決め荷を下ろした一行は海斗と大樹の案内で命、ユカ、春蘭、忍がある人物に会いに行く事になりその人物の屋敷に着いた
「歌う人魚姫の命様が元締めに挨拶に来たけど元締めの都合を教えて欲しい」
そう告げられた二人の門番が
「お前達がついていると噂で聞いていたから大丈夫とは思っていたがさすがだな
街に入り宿屋を取りその後すぐに案内するとはな」
「元締めがお待ちかねだ、勿論お嬢もな」
「そーゆー訳だからぐずぐずしてないで王女をさっさとお嬢の元に案内しな
待たされてお嬢が機嫌を損ねる前にな」
二人の門番が掛け合いの様に言ったがそう言われて気性の激しい元締めの一人娘の顔が浮かび蒼くなって命達を案内した
命を見た元締めの第一声は
「なんだ、人魚ではないのか?」
だったから
「命様が人魚のお姿になるのは水や湯に浸かったらだから俺達も未だそのお姿は見てません」
大樹の言葉に続き海斗も
「もし覗きでもしようものなら…」
そう言ってユカ達をチラッと見て
「命は無いですよ、間違いなく」
それを聞いた元締めの周りの若い衆も声を上げて笑い
(確かに人魚になる条件がそうなら俺等もお嬢のあられもない姿を覗きやがる野郎を生かしとく気はないからな…)
そう考えながら
「ちげーねえな」
そう言って笑い声を上げる中
「元締めのおじさん、海斗と大樹の二人がこの街で歌ったり踊ったりするならこの街で一番偉い元締めってゆー偉い人の許可が要るんだよって…
だからみこ、おじさんに会いに来たの」
そう声を掛けるとお嬢と呼ばれる女性が
「人魚姫の命様が何人かの供と家に泊まる事、それが条件だよ」
そう言われてすぐに言われた事を理解できない命がユカを見ると
「せっかく知り合いになったんだから家に泊まらないですか?そう仰ってるんですよ、あの方は」
そう言われた命は
「みこ、お泊まりしていーの?」
命にそう聞かれて驚く人々だが
「勿論、逆にアタシの方が泊まって欲しいんだからねっ♪」
そう言われてホッとした命は
「じゃあみこ、お姉さんのお家にお泊まりして良い?」
そうすがるような目で見られ溜め息を吐いて春蘭は
「忍さん、私とユカ様は戻って幼い娘達の指導せねばなりませんからミナさんに命様をお任せしますから彼女がこちらに来るまで命様をお願いします
大樹は忍さんがこちらに詰めますから指導を受ける貴方もこちらに詰めて下さい
海斗は宿からこちらまでミナさんの案内を頼みますよ?」
そう春蘭が指示すると
「それではユカ様と春蘭様の案内をする者が…」
大樹がそう言うのを聞いて
(ファッションに疎いアタシだってユカとゆー名は知ってるしそのユカが黙って見守る春蘭と言うこの娘はそれだけ公女殿下から期待されている証し…)
「大樹、お二人のこれからの予定はどうなってるんだい?」
そう言われ
「北の町から同行した子達に必要な物の買い出しと春蘭やミナ、麦が創作に必要なものを買い付けに行きます」
そうユカが答えるとお嬢が背の高い男に向かい
「お嬢様方の案内を頼むよ、大樹もそれなら安心だろ?」
そうお嬢に言われて
「若頭にそんな事お願いしてもいーのですか?」
そう大樹が聞くと逆に
「それ程の方なんだよ、このユカ様とゆーお方はね」
そう言われて
「私は観月様にお仕えする侍女の一人に過ぎません」
ユカがそう答えると春蘭に向かい
「あんたはどう思う?」
そう聞かれた春蘭は
「確かに侍女の一人には違いありませんけど私達の憧れであり目標のユカ様達は私達とは違って一人に過ぎませんと言ってしまう存在の方じゃ無いと思います」
春蘭にまでそう言われて
「春蘭までその様な事を言ってどうするのですか?
まぁご厚意には甘えさせて頂きましょう」そう言って立ち上がる所作はやはり思っていた通りに優雅なもので
(ここいらの田舎貴族なんか足元にも及ばないよ)
そう感心しているとユカには未々遠く及ばないものの春蘭の十分に洗練された立ち居振舞いはさすがだと唸るものだった
「んとね、お姉さん…みこ今日は未だあんまし踊りのお稽古してないから今からしても良い?」
命との会話の糸口に迷っていたお嬢ことアリエスはそう聞かれ
「あたしが見てても良いのかい?」
そう聞かれた命は
「人に見せられない秘密の踊りとかそーゆー踊りはみこ知らないから見ても平気だよ」
そう言うと中庭に降りて踊りの稽古を始める命
航海の安全祈願、航海の無事に感謝の気持ちを捧げる踊り、大漁祈願、大漁に感謝し海の幸を司る女神に感謝の気持ちを捧げる踊り
豊作祈願に豊作に感謝し豊穣の女神に感謝の気持ちを捧げる踊り
そして水の精霊への奉納の踊り、地の精霊への奉納の踊りと舞い一息吐くと忍から水筒を受け取りお茶を飲みもう一度頭から踊る命に
(何故だろう?)
そう疑問に思い踊りと踊りの合間に
「命様は何故その六つ踊りしか稽古をされないのですか?」
そう聞かれのだけど何も答えない命に代わり
「貴女が命様と呼ぶのが嫌なのですよ命様は…」
忍に苦笑いを浮かべそう言われ益々わからないアリエスに
「命様は命様と呼ばれるのがお好きでないのですよ
勿論私達がそれをハイそうですかと言う訳にはいきませんが貴女の様にそれなりの立場の方ならそれも許されると思うのですが?」
忍にそう言われ
「では私は何とお呼びすれば…」
戸惑いながらそう聞くアリエスに
「みこちゃんで良いと思いますよ?命様に歌の指導をしている謡華さんもそう呼んでますからね」
そう言われ
「みこちゃんで良いのですか?」
アリエスがそう声を掛けるとニッコリ微笑んで
「みこはみこなんだよ?それとみこは未々知らない事が一杯なんだよ…
歌も踊りも…この国の事も他所の国も何も知らないからそれを覚えるために今旅をしてるんだよ」
そう言うと再び稽古を続ける命を見ながら
「あたし等は牧場を持ち定住化の生活の道を選らんたが舞の女神への信仰心を忘れたわけじゃ無い
だからどっちかとゆーと歌の女神の寵児とも言われる歌う人魚姫より最近呼ばれる水の精霊の舞姫の訪れを歓迎する気持ちが強く是非とも舞姫に舞っていただきたい踊りがあるのですが…」
呟くアリエスに
「それは命様ご自身がお決めになる事ですが…
先程命様が仰った筈?何も知らないからそれを覚えるために今旅をしてるんだよ…と
そして私は踊りと謡華さんに歌を習い始める時に立ち会いましたがどちらも命様が興味を持たれ踊りたい
歌いたいから習いたい、教えてほしいと願い叶えられました」
そう言われたアリエスは
「つまりみこちゃんが興味を持つか否かはわからないけど見てもらうのが早いと?」
そう聞かれた忍は
「それ故勉強には一切興味を示さないようです
他の三人の王女達や仲の良い見習い侍女達がどれ程勉学に励もうとも関心を示さないそうです…」
忍にそう言われて
「わかりました…興味を持つ事をを祈り明日案内しましょう」
そう話していると海斗に案内されミナが到着したのは夕食の支度を始める前で色々食事に制約の多い命の食事の支度に間に合いホッとしたミナだった
しかしその事情を知らない元締め宅の飯炊き女達は事情を聞くまでかなり不機嫌だったけど
「お口の小さな命様は基本的に食材を小さく刻まなくてはお口に入りません
お腹の弱い命様は消化の良い食事、味付けは薄目で香辛料も極力控えないと直ぐにお腹を壊します
又、かなりの猫舌の命様は少々冷めたくらいがちょうど良いので他の方から先に召し上がっても差し支え有りません
実際、命様とお茶を飲む場合命様のを冷まさねば命様は飲めませんがそれを待つと言うことは他の皆の分は冷めてしまうことになりますからね
小さく刻む事に関してはは召し上がられる際でも構いません」
ミナに言われた事は確かにどれひとつ取っても特別な事は何も無かったけど命…即ちゲストを迎える者が気をつけねばならない事
だからその事を知った女達は大いに恥じ入ったし逆に命が喜んで食べたラム肉のシチューのレシピをメモしながら真剣に聞くミナに好感を持ったくらいだ
又食卓では命の歓迎の宴なのに隣室の別卓に着く男達を不思議に思った命が
「何でおにーさん達はこっちに来ないの?」
そう聞かれて
「俺達の面見てたら人魚姫様の食欲が落ちるからですよ」
一人がそう答えると
「あはは、大丈夫だよっ♪観月お姉さんが怒ったらすんごく怖いんだよ?内緒の話だけどね
それにみこは元々皆からもっとしっかり食事を取りなさいって怒られてるから余り食べないのはいつもの事なのだからねっ♪」
そう言って舌を出して笑うと言われたミナは
「命様の仰るその通りですけどそれを笑って仰るから観月様や真琴様、ひいては春蘭さんからお説教されるんですよ?」
そう言って
「王宮から供をしているりんと、留実菜と言う少女達の父親達は網元と舟頭
その二人をりんちゃんのお父さん、留実菜ちゃんのお父さんと呼ぶ命様が気になさるわけはありません」
そうミナが言うとアリエスも
「酒場の女以外でお前達の事をお兄さんなんて呼ぶ娘は初めて見たよ?」
そう言ってミナを見て
「アンタは大丈夫なのかい?」
そう聞かれて
「幼い頃から大公邸でお勤めしていた私は騎士様や戦士の皆様達と接してましたから…」
そう答えるとアリエスが
「魔物の住処の監視役、魔物との小競り合いの絶えない大公家の騎士や戦士なら酷い傷跡の者も居るんだろうね?」
そう溜め息混じりに言うと
「はい、気の弱い娘はその方達に会うたびに泣いてましたから…
今の私もあの頃を思い出すと申し訳ない気持ちで一杯です」
そう詫びる様に言うと
「名誉の負傷も幼い娘は理解できないからねぇ~っ…」
その話を感慨深げに頷き命の招きを素直に受け入れる若い衆だった
彼らを喜ばせたのは命が彼等をお兄さんと呼ぶその一言だったのは間違いなく優しい心根と裏腹な強面のせいで寂しい青春を送ったものは少なくない
そんな彼等に他の者と変わらぬ笑顔でお兄さん達と呼ぶ命はお嬢の次に可愛い存在になり…
そのアリエスも妹の様に可愛がってる様子を見てお嬢の妹として扱えば良いんだと考えた
いつもは厳めしい表情の男達にこんな顔も出来たのかと元締め父娘を驚かせたけど悪い事じゃないな…とも思えた
命の歌で、華やいだ夕食だった
③毛刈り祭
一夜明け大樹は忍の指導の元に修行をし命は謡華の歌の指導の歌のお稽古
大樹の忍の指導の元気合いの入った稽古をすると男達の態度は今までの馬借の小倅から未々若いとは言え(准)騎士として扱うのに何の拘りもなくなっていた
剣は使わないけど場合によっては帯刀者とも戦う彼等の目にもそんじょそこらのへなちょこ剣士が束になっても敵うまい
そう思わせる位に力を着けていたから元締めの家で働く女達は結構大樹に好意的で顔を合わせると頬を赤らめる者も居たし海斗もユカに
「命様がお世話になっているのだから」
そう言われて元締めの使いを積極的にこなし飛び回っていたから海斗にシーホースに乗せて貰った者達は大喜びし吹聴して回った
そのお蔭?で祭りの当日は乗せていただけるよう騎士様とその主人の命王女様に頼んで欲しいと元締めの所に陳情書が集まり…
元締めが命にその事を話すと命も
「うん、じゃあ当日は炎と風華の二人も呼んで手伝ってもらおーよ?」
そう答えると阿にその旨を観月に相談してもらうよう伝言すると
「前日の夕方そちらに向かわせます、との返事を頂きました」
その答えを阿が命に伝えたから二人が喜んだのは言う迄もなく
その事を元締め発表と祭りがいよいよ盛り上がっていった
話は戻り元締め宅で初めて迎えた朝、謡華に朝の稽古を着けてもらった後に朝食となり食後の休憩の後にアリエスに誘われ出掛ける事にした命と供のミナ
その三人を見た若頭が
「この街の地理に明るくない命様とミナさんのお二人と方向音痴のお嬢が供の一人も連れずにどちらへ?」
そう聞かれたアリエスは一寸面白くなかっなかったものの
「耳貸しな」
そう言って命に聞かれないように伝えたら
「おい、ちょっと来な」
そう呼ばれたのは背だけなら阿も凌ぐ男が呼ばれ
「お嬢がお二人をご案内したいそうだから任せる」
そう言われて驚いていると更に命にじっと見詰められて両手を伸ばされて意図が見えないミナ以外の者達に苦笑いのミナが
「多分推測されてる通りの事をして欲しいのですよ、背の高い貴方に肩車していただいて見える景色をきっと気に入ると思いますよ?」
そう言われて
「あっしなんかで宜しいのですか?」
そう聞かれた命は
「ヤなら頼まないよ?だから早くして…」
そう言われて命の脇の下を壊れ物を扱うように慎重に掴み頭を越え肩に座らせると
「スッゴーいっ♪」
そう命の嬉しそうな声が頭の上からして耳元に口を寄せると
「おにーさん、きょーはよろしくおねがいします」
そう言われてみっともない位に顔が緩んでいたがその事をからかわれても気にもならない位に幸せを感じる男った
実際露店商の小道を歩くアリエスとその男は目立っていたけど命を肩車して顔を緩ませ後からついてくるミナを見て
(きっと結婚して子供が出来たらかみさんにはこうして三歩下がらせ子供…特に娘にはアマアマな父親になるんだろうね、今みたいに…)
見ている者にそう思わせるくらいに緩みきっていたし本人も幸せそうだからあえて突っ込むものはない
と、ゆーよりは人々の関心は命に有るしアリエスが命を見る目は年の離れた妹を見るそれで命の方も漏れ聞こえる会話から姉に甘える妹のそれだったから
(勘違いだ、あれはアリエス様の幼い頃に重なる
当時の若頭にやはりあーして肩車させて市を廻って居たな…)
アリエスの幼い頃を知る者達はそう感じると命に対する親近感が急に高まりをみせ
また、物腰が柔らかく穏やかな笑顔を絶やさないミナも市の者達に中々好感を持たれていた
何しろ命の好みをほぼ把握している者の一人のミナが味見して命に食べさせて自分の財布から代金を支払い命の為の物を買い物して歩く姿をみて悪く思うものはないだろう
そんな一行がある一軒の邸の前で立ち止まりちょうど命の顔の高さに在る天窓から中を覗くとその中は踊りの稽古場らしく
命には初めて見る踊りを稽古する師と弟子達の姿が見えた
食い入るようにその様子を眺めていたら
「ソコの窓から覗いている貴女、興味があるなら遠慮要りません…中に入って見学しなさい」
そう言われてアリエスとミナを見ると二人が笑顔で頷いたから
「お兄さん、みこ自分の足で歩いて入らなきゃいけないから又帰り道お願いしていーい?」
そう聞かれたので
「勿論、お供させていただきますよ」
そう笑顔で答えてもらい命の方も
「約束だよっ♪」
そー言って中に入る事にした
「命様っ!」
そうミナに小さな声で叱責され慌ててぺこりと頭を下げ継いでアリエス、ミナと道場に入り
「慣れぬ事とは言え失礼しました」
そうミナが命の非礼を詫びると
「いいえ、貴女の身のこなしはさすがと言うべきモノ
貴女、踊りの経験は?」
そう聞かれた命が指折り数えていると
「おおよそ二月になる頃でしょうか?」
そう聞いて鼻で笑う少女達に
「身体の動きだけで相手がどれ程の踊り手かもわからぬ愚か者でしたか」
そう師に言われてシュンとなる少女達に
「その方はその短い間に大漁と航海の無事を祈る踊りに加え忘れ去られし豊作祈願と豊作の感謝の踊りを甦らせ
水の精霊への奉納の踊りに続いて地の精霊への奉納の踊りを会得した方なのですよ」
そう言われて
「えっ、あ…竪琴を背負った蒼い髪の少女ってまさか人魚姫様っ!?」
その声で道場内がざわついたけど
「どうですか、踊ってみませんか?」
そう声を掛けられた命がなんとか無事踊りきるの見て
(もしかしてお嬢は…)
そう思いアリエスを見るとアリエスも真剣な面持ちで頷くのを見て
「命様、宜しければ今年の祭りに奉納の踊りを舞われませんか?
もしもその気ならば私が指導致しますが」
そう言われてにこーっと笑顔を浮かべ
「うん、覚えたいし踊れる様になったら見て欲しいからみこに教えてください」
そう言って頭を下げるとミナを見て
「宜しいのですか?」
そう聞くと
「お止めしなければならない事ならともかく芸事に詳しくなく大公領出身の私でもその様な踊りが有るのは存じてます
それに女神の祭典後諸外国を歴訪予定の命様は他国の牧羊を生業にされる方と交流する事も有りましょう
その命様が自国の文化を理解せずに他国の文化を理解出来ましょうか?逆に是非とも命様をご指導していただけますようお願いします」
そう言って頭を下げるミナに
「貴女の立場は良いのですか?」
重ねて問われ
「観月様からみこがどうしたいか、みこの気持ちを優先して物事を判断しなさいとの御言葉頂いてます」
その答えを聞いてアリエスを見ると
「この方の踊りの才能なら毛刈り祭当日に十分間合いますから私に任せていただけますか?」
そう問い掛けると
「才能は勿論熱中すると寝食を忘れ体力の限界までお稽古をされますから私や共に周りに仕える者…
王妃様や観月様…三人の王女様達の心配の種です…」
そう言って嘆息するミナに
「確かに…既にイメトレに没頭してるこの方の集中力は半端なモノではありませんからね…」
そう聞いたアリエスが
「誉めて良いのか悪いのか微妙な話だね?それは…」
溜め息を吐くアリエスに
「あまり誉めないでください、そーでなくても無茶ばかりされる方が余計調子に乘って無茶ばかりなさいますからこれ以上…」
そう嘆くミナに
「そうだね、昨日踊りの稽古を見せてもらったけど僅か二月足らずであの精度の高みで踊るにゃかなり無茶したんだろうね?」
そうミナに聞くと
「少し前からはアクエリアス様の結界に隠られて時を気にしないで踊りの稽古をなさってますから…」
そう言って嘆息するミナを見て
「そろそろ稽古を始めて宜しいですか?」
そう聞かれたミナは
「そうですね、私のつまらないくり言でこれ以上稽古を遅らせるわけにも参りませんからよろしく宜しくお願いしますそー言って新しい踊り習得の稽古が始まった」
命が毛刈り祭りの奉納の踊りを習得中で早くもかなり踊れると聞いて又ひとつ祭りの楽しみが増えた人々だった
そして祭り前夜訪れた風華は翼と沙霧を伴い炎はチサと修羅を伴って来た勿論六人も元締め宅に泊まり
祭り前日、政治的、軍事的に屈してはいたけど融和にはほど遠かった王家と騎馬の民が話し合いを持つ気運を育み始めていた
勿論王家にはそんな意図は無いが逆に王家が望んで迎えた四人の王女
特に国王がメロメロと噂され今回の旅立ちに際し血の涙を流して送り出したと言われる命を自分達に預けているその事実は政治的な甘言等にはない誠がある
打算、計算の無い誠が
そんなわけで早朝の開会宣言は三人の中でも社交の場で活躍する翼が代表で挨拶し今年の毛刈り祭りが始まった
三人の霊獣の騎士達も平和的な活躍…霊獣の力を借り人々を短いながらも空へと誘い