闇と影   作:春の雪舞い散る

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畜産の神に感謝を捧げるための羊(毛刈り)祭りの踊りを祭りで奉納する水の精霊の巫女は水の精霊の舞姫と呼ばれ始めていた


羊(毛刈り)まつり

巫女や見習い侍女達は屋台の手伝い…勿論若月も出店している…と言う形で祭りを盛り上げるのに貢献したし何より

「私達もみこちゃん同様に妹…そう思って扱ってくれたら嬉しいのでそうお願いします」

それが翼のした挨拶の言葉で既に街中にも広くて伝わっていたしアリエスもそう扱っていたし二人も姉を慕う妹として振る舞っていた

そして祭り本番…

三人の中でも観月の代理も務めた実績を持ち社交界でも活躍する翼に開会の宣言とスピーチが任され祭りが始まった

オープニングの地の精霊への奉納の踊りに豊作祈願の踊りが奉納され命はフリーになりミナとスーを従えいつもの様に肩車で散策

今回これなかった真琴や先に王都に向かわせた巫女たちや留守番の見習いの侍女達が皆で食べられるお菓子等を買いながら散策を楽しんだ

霊獣の三騎士は短いながらも霊獣の力を借り少女や少年達を大空へと誘い祭りを盛り上げる一大イベントになっていた

マイと麦、冬実他八人見習いの侍女は若月の手伝い

特に麦はパッチワークや着回しのアドバイスに買ったワッペンを借り止め等大活躍しお客の少女達は勿論見習いの侍女達も尊敬の眼差しで麦を見た

留美菜とりん、ライと蛍に美景は各々に屋台を手伝って祭りを盛り上げ頑張る少女達

勿論見習いの騎士達も祭りの見物客の整理などの裏方の手伝いで奮闘し混雑緩和に一役買った

そして翼も純白の翼を背負いしその女神か天使の如き姿を惜しむ事無く人々に披露したからその姿を見て拝む者も少なくなかった

メインの毛刈り祭りの踊りを奉納して盛り上がる中いよいよクライマックスに向かうべく水の精霊への奉納の踊り

祭りのフィナーレを飾る命の歌が流れる中奇跡は祭りで賑わう人達の前で起こった

ー私は陽炎の精、なつきその名に相応しく熱く生きなさいー

ー私は蜃気楼の精、かがみよ私と共に見えぬ物映し出す鏡になりなさいー

ー私はオアシスの精、荒野のオアシスの様に潤いを与える者になりなさい,良いですね?水樹ー

ーさぁ、我が主人達の為ひとつになる時です…私達を受け入れるなら左手を掲げなさいー

精霊達の受け入れを求める声に応え北の町からついてきた少女達が左手を差し出すと精霊達はその手に口付けを落とし少女達の身体に吸い込まれていった

感動的な奇跡が祭りを締め括った

勿論屋台は皆用意してきた商品を売りつくしてからその後は客として楽しんだし元々店を構えている者達は折角の機会だからと在庫が残ってるうちは…

と、営業を続けたから未々盛り上がり続けていた

お祭り騒ぎの熱が…夢が覚めてしまうのを恐れた人達が足掻き続けていた

 

翌日は祭りの関係者達を労う宴が開かれ勿論翼やチサも招かれ予想以上の人出に警備を手伝ったけど沙霧や修羅は勿論風華や炎達も労う…

そのハズが命からして率先して歌い踊り三人の霊獣の騎士達も

「昨日お手伝いしながら並んでる娘達を羨ましそうに見てましたね?」

そう言って風華が一人の少女に手を差し出すと海斗と炎も思い思いに手を差し出し少女達を空へと誘った

だからそう、少女達の羊祭りは未だ終わってはいなかった…

元締めもそんなつもりで誘ったわけではないけどその主従の気遣いが嬉しかったから敢えて水を挿す様な詰まらない発言は控えた

特にアリエスはその立場上痛い程少女達の気持ちがわかるだけに彼女達への気遣いが我が事の様に嬉しかった

更に一夜が明け…

翼はライと共に一足先に帰り炎は蛍と美景を連れ海斗は沙霧と麦を乗せて翼に同行して王宮で一休みの後に命とチサの元に帰り

ライはそのまま翼の部屋付きになり蛍は勿論チサの部屋付きに決まり留守を預かるマキ、スエ、小明が蛍の到着を歓迎したのは言うまでもない

麦は観月の部屋付きでファッションに関してはユウが指導する事になり美景は当面真琴の部屋付きになり各々の修行に励むことになった

オアシスの街にとり一年で最大のイベントを無事に終え落ち着きを取り戻しつつあった

 

慰労会の翌日翼達を見送チサは命に

「みこちゃんに謝らなきゃいけないことがあります…」

そう言ったチサの真剣な面持ちに

「翔の事?」

いきなり核心に触れられビクッとするチサに

「大丈夫、翔の身に何が有ったのか教えて?」

そう言われて修羅を呼び

「私の霊玉戯れてた翔ちゃんがうっかり飲み込んじゃって…」

そー言うと修羅に抱かれた翔が命の前に姿を表すと

「力が貯まらないみたいだね?それに身体も思う様に動かないんだ…チサちゃん、翔を見守ってくれる?」

そー言われて涙ぐみながら

「当たり前だよ、みこちゃん…私のせいだし少なくとも翔ちゃんが私の霊玉を受け入れたのは紛れも無い事実なんだから…」

そー言って修羅を見ると

「心配要らない、真琴様は勿論翼様に観月様、王妃様もこの姿を歓迎してるしユウを始め美月のスタッフも大喜びで受け入れているし…」

「いるし?」

そう命に聞かれた修羅は苦笑いを浮かべ

「鬼百合の奴等はユウが翔を構ってくれるお陰でユウから開放されてると他の者とは異なる意味で歓迎している」

そー話すのを聞いて命とミナ迄苦笑いを浮かべその雰囲気から察したアリエスも苦笑いするしかなかった

その夜遅く命に呼ばれたたけ、りゅう、れん、たかの四人とかがみ、チサ、夏樹、水樹、りんが集まり

「いよいよ貴方達を導く時が来ました…勿論貴方達にその覚悟はありますね?」

そう問われた少年達は

「勿論っ!」

短くはあるけど力強く応え

「チサちゃんはみこがする事を見てて

りんは女神の祭典後の事も有りますから今日は貴女の霊力に干渉し彼らを導きますから貴女もそれを学びなさい」

そう言って取り出した霊玉と勾玉達はたけの元に向かったのは白い勾玉で朱い霊玉はれんを選び

りゅうを選んだのは黄色と緑のマーブル模様の霊玉(春蘭の霊玉)で白銀の霊玉(媛の霊玉)が向かったのはたか

 

翌日は見習い騎士達と巫女達に休暇を取らせその夕方炎と海斗に四人を王都に送らせたがその際火炎剣をれんに渡すのを見て修羅も炎の剣を炎に渡した

その様子を見ていた命は修羅に

「修羅にはこれ渡すね、紅蓮竜ってゆーんだよっ♪」

そう言って渡したのは深紅の黒炎竜とも言うべき一振りだ

翌日の早朝チサは修羅と帰還

その三人に付き従い海斗はなつきとかがみの二人を連れて王都に向かう事に

なつきとかがみは真琴の部屋付きに決まった

 

アリエスを始め多くの人達に見送られまた…

オアシスの町からも供を願う少年9人少女13人を受け入れ旅立っていった

いよいよ最終行程に入った命の旅だった

無人宿に二度宿泊して最後に立ち寄る村がそろそろ見えてきた

 

 

 

②謡華

 

最後の昼食を取る一行は間も無く終わる旅の思い出に浸っていた

「師匠…」

その謡華の呟きを聞いた命が

「師匠って先生の先生?」

そう聞かれて頷く謡華の表情は何処かを寂しげで

「この先の枝道に入ると師匠の庵が在るのですが…」

そう言い淀む謡華にユカが

「顔を合わせ難い?」

そう聞かれて

(さすが美月の情報網)

そう内心舌を巻きながらも

(ですが…そうやって得た情報で政治不介入の公女宮を守ってきたのでしょうね)

独自の騎士団を持たない公女宮には情報こそが唯一身を守る武器なのだから…

「ええ、ご存知かもしれませんけど師匠と喧嘩別れで師匠の元を飛び出してきましたからね

今更どの面下げて会いに行けば良いのかわかりませんから…」

そうユカ問い掛けに答えるけど命の耳には全く入っておらず

「みこ、先生の先生に会ってお願いしたい事有るんだけどなぁ~っ…」

そう呟く命に謡華の答えは

「多分会ってくれないと思います…

不肖の弟子と会うほど暇な方ではありませんからね…」

そう答えると

「不肖の弟子…って何?」

命のその言葉に苦笑いを浮かべる謡華に代わって春蘭が

「それより命様、謡華さんの師匠に会われて何をお願いなさるのですか?」

そう聞かれて

「うん、このまま先生にお歌を習いたいから月影の国についてきて欲しいんだ

だから先生の先生に会って先生に月影の国についてきてもらってもらって良いですか?って…」

そう言われて難しい顔をする謡華に

「どうかしましたか?」

と、ユカが聞くと

「それこそが喧嘩の原因ですから…海外で腕試ししたい私とそれを許さない師匠との意見の食い違いで…」

そう聞いたユカは暫く考え込んで

「取り敢えず命様を伴い師匠を訪ねてみませんか?

会っていただけるかは私の決める事ではありませんから何とも言えませんが逆に言えば貴女の師匠が決める事を今私達が話し合って結論が出る事でも無いと思いますが?」

それが今この場に居る者に出せる結論ではないか?

ユカがそう言っているのがわかり目を閉じて考えて

「わかりました、会っていただけるかはわかりませんが本気で袂を別ちたいなどとは思わない以上いつかは会いに行かねばならないのなら…

今がその時なんですね?ゆかさん…みこちゃんが私の背中を押してくれる今この時こそが…」

そう自分に言い聞かせるように問い掛けてくる謡華に

「少なくとも私はそう判断します」

「指導者としても姉弟子に譲り庵を結び隠遁生活に入られている師匠の住む庵は然程広く有りませんから…」

そう言い淀むと

「忍が御者で命様、謡華さんにマイとスー、留美菜、りん、冬実だけで庵を目指してもらい私達は先に村に入り今夜の宿をとっておきますね」

そう言って馬車を走らせる様に指示するユカだった

馬車を止め馬車から降りると大声で

「お邪魔しまぁーすっ!」

と叫ぶ命は良くも悪くも謡華に迷う暇を与えずそのまま母家から離れた門の潜り戸を抜け石段を上がって行くとその人は玄関て待っていた

「お帰りなさい、謡華さん待っていましたよ…

早速ですが旅の成果を聞かせてもらいます、宜しいですね?」

そう言って稽古場に案内され三曲歌うと

「随分上達しましたね?」

師匠にそう言われて

「稽古の量は減りましたのに?」

そう不思議そうに答えると

「人に教えることにより初めて気付くことや改めて気付くこと

教えるにはより深く理解せねば人に理解させることが出来ない事を学んだはず

ですから無駄に稽古の時間を取る以上の稽古が出来たはず

命様に教えながら貴女もまた学び直していたのですよ?」

師のその言葉に考え込む謡華を他所に

「命様、宜しかったら謡華に習った歌の成果を聞かせて頂けますか?」

そう言って歌う事を促された命が謡華の歌った同じ三曲を歌うとじっくり聞き入る謡華の師

歌い終えた命に謡華の師は

「命様は女神の祭典後月影の国を皮切りに他国を歴訪されると伺っておりますが差し支えがなければ私の弟子の謡華の同行をお許しを願えますでしょうか?」

師のその言葉に驚いた謡華が師に

「お師匠様、私が国を出るのに反対だったのではありませんか?」

そう尋ねると

「やはり私の話をちゃんと聞いていませんでしたね?

私は貴女一人で海を渡る事に反対したのであって他国に行って歌う事自体は見聞を広げる意味でも大いに行うべきです

が、今この国以上に平和な地がない現状では安心して送り出せません

ですが…もし命様の旅に同行を許されるなら私も安心して貴女を送り出せますからね?」

そう話す師弟に命は

「違うよ、みこが先生についてきて欲しいんだ、未々先生に習いたい事は沢山有るし一緒にお歌も歌いたいんだ、だから先生の先生…

謡華先生がみこと一緒に国を出る事を許してくださいっ!」

そう言って頭を下げると

「本当に良い出会いをしましたね?羨ましい位です、命様…謡華の事を宜しくお願いします

貴女達も仲良くしてくださいね?」

そう言われて驚いた留美菜が

「いいえ、謡華さんに教えを頂いてるのは命様だけじゃ有りません…私達も着物の着付けや立ち居振舞いを習ってますから私達にとっても素敵な先生なんですっ!」

そう言うとりんもも共に旅する仲間…みこちゃんが大好きって言う仲間なんですからね?

そう言って積極的に私達の指導をしてくださりますからユカ様からの信頼も厚い方で私達にとっても素敵なお姉さんなんです」

そう言われて嬉しそうに

「謡華も貴女達を可愛い妹達の様に思ってるのでしょうね…」

そう言って微笑みながら

「命様が謡華から習った歌を聞かせてもらえませんか?」

そう言われて一番最初に習った曲を含め三曲を歌うと

「最後に二人で歌うようにアレンジしたと言う曲を聞かせてもらえますか?」

そう言われてやはり三曲歌い

「謡華はあまり他の音楽に引き摺られ無いように気を付けなさい

命様は臨機応変に基本通りに歌う時と自由に歌う時を区別出来る器用さが有りますから細かい決まりに囚われず自由に楽しんで歌うと良いでしょう」

師の言葉に謡華も

「私もみこちゃんと出会いその一番大切な事を思い出しましたから…」

そう答えるのを聞いて

「楽しんで歌ってきなさい、いつか土産話を聞かせに来なさいね

責任者のユカさんや陛下にも宜しくお伝えください」

そう言われて見送られた一行はユカ達が取った宿を探して合流した

その夜命は

「いよいよ女神の祭典が近いから忍には黒龍双牙に大樹きにはこの大太刀を預けるからお城に帰ったら今持ってる武器はまこちゃんに預けてね」

そう言って取り敢えずの陣容を固めた命は最後の夜は小さな村の宿屋で最後の公演を務め旅の終わりを締め括り早朝の出発故一睡もすること無く出発の時を迎えた

早朝のの出発にも関わらずまるで村人総出?みたいな見送りを受けての出発

徹夜の命、春蘭、ミナの三人は馬車が走り出すと眠りに落ちた三人は命は夢の中からアクエリアスの結界で引続き歌と踊りの稽古をし春蘭とミナは朝食迄の仮眠

以後はいつもの様に過ごし王宮に帰り着いたのは既に夜半を少し回っていたが多くの者達が起きて待っていた

夢現の命を瑞穂、媛を抱いたミナ、ユカと謡歌が同行春蘭が帰還報告を行い命と媛は王妃の寝室で眠り

春蘭は妹達と薬師の里の少女達(美輝を含む)と翼の従者の部屋で眠り留美菜とりんは岬の仲間と命の従者の部屋

眠り湯下の街と峠の街から来た少女達はチサの従者の部屋でスーは王宮の見習い侍女達と真琴の部屋

残りの少女達は四階の侍女達の大部屋で眠り見習いの騎士達は三階の騎士の部屋に暫定的に決まり

命の国外訪問旅立ちの際の正式な配置までその状態を維持することになった

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