闇と影   作:春の雪舞い散る

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王公貴族にも情けない人もいるのが世の中です


帝国の恥

 

 美月のスタッフとなられたミサさんならどこの誰が見初めたって不思議じゃないんですよ?

 

 ましてあの三バカ公子に目を付けられてしまったら嫌な思いをするのはミサさんなんですよ、アーレスさんっ!?

 

 ミサさんの事を守ってあげないと言うのですか?」

 

 シューのその言葉に顔を歪ませ

 

 「帝国の恥…あの連中の事だから呼ばれなくても涌いて出るんでしょうね…全く鬱陶しい

 

 ですが、あの連中なら私がミサに目を配っておけば私の目を盗もうとなどという度胸もなければ素面で私やユカ達の前に顔を出せる勇気は持ち合わせてませんからね」

 

 そう言って鼻で笑うユウに

 

 「ユウ様、それは一体どういう意味なのでしょうか?」

 

 そう問い掛けられたので

 

 「私達は観月様に対するいかなる無礼な振る舞いは許しませんからあの連中が観月様にちょっかいを出した数だけ私達に投げ飛ばされてます」

 

 そう言われて驚くシューに

 

 「独自の騎士団を持たず美月のスタッフだけで他国を訪れていた観月様の身近で仕える方達なのだからな…

 

 山賊退治の話も伺ってますよ?」

 

 そう言われて嫌な顔をして

 

 「つい条件反射で投げ飛ばしましたが鬼百合様にお任せし大人しくしていれば良かったと後悔してます…」

 

 そう言って嘆き

 

 「元からそれなりに名の通ったデザイナーですから女性からも憧れの目で見る方はいましたが…

 

 あの件がしれわたってからはまるで女騎士を見るような目で見られるのは辟易します」

 

 そう言われた一同は複雑な想いをしたが顔には出さずに

 

 「で、ですが今まで良くご無事で…」

 

 そうシューに言われて

 

 「二言目には、男の面子を口にするあの連中が女の私達に投げ飛ばされたなど口が裂けても言えませんし…

 

 仮に誰がその事を国許に報告したらどうなると思いますか?」

 

 そう言われてもわからないシューに代わってアーレスが

 

 「知られたくない恥を国許にばらしたその者を逆恨みする恩を平気で仇で返せる恥知らず…

 

 だから余程の事態にならねば関わりを持ちたく無いから見て見ぬふりなのだ」

 

 アーレスにそう言われて

 

 「痣くらいで止めておきますからその場に居合わせている方達は自業自得としか思ってませんが…

 

 それでも因縁をつけてくるようなら観月様に類が及ばぬよういつでも喉を突く覚悟で私達はお仕えしてます」

 

 そうキッパリ言い切ると

 

 「…許さないし観月様だって喜ばないよ、そんな事されたって…」

 

 涙をにじませたりんにそう言われて

 

 「りん様だって命様の為ならいつでも命をなげうつ覚悟を持ってますよね?」

 

 そう言われて頷いたけれども

 

 「それでも今の話なら絶対相手が悪いのに…って思いますから…」

 

 そう言われてりんの頭を抱きながら

 

 「貴族の誇りが僅かでも有れば良いのですが連中には貴族の驕りしか有りませんからね

 

 ですが心配は要りませんよ、次のパーティーで連中が絡むのは女の子ではありませんからねっ♪」

 

 そう面白そうに笑うユウを見て不思議そうにしているシューら若手に

 

 「大樹様の事ですね?」

 

 アーレスに言われてやっと気付いたシューが

 

 「確かにっ!今あの連中が一番面白くない存在は大樹様でしょうが大樹様ならあの連中には近寄る事すら出来ませんでしょうからねっ♪」

 

 そう嬉しそうに言うのを聞いて

 

 「どのみち侯爵家のお嬢様が一人も居ない現状とウルズ様とヴェルサンディ様の事は同日の同時刻位に発表した方が良いと思います

 

 ですから、ヴェルサンディ様の帰国後にパーティを開いて女神の依り代のりん様のお披露目、ヴェルサンディ様と大樹の婚約発表及び大樹の侯爵家移籍の公表

 

 歌の国では十四夜様とウルズ様の婚約発表が行われていることの報告とウルズ様とスクルド様が精霊の巫女となられた事を発表しては如何かと思いますが…

 

 勿論私達も喜んでお手伝いさせていただきますよ」

 

 そう言うことで話は落ち着きミサのパートナーの話はあやふやなまま立ち消えたけど

 

 (あと三ヶ月すれば15になる僕にだってパートナーを指名する権利はあるんだからいつまでもぐずぐず言ってたら僕だって遠慮しませんよ?アーレスさんっ!)

 

 そう心に誓うシューだった

 

 

 鬼百合が王城に着くと翔は調理場でパンや焼き菓子をどんどん焼いているが昼が近いこともあり昼食の準備が始まりそちらの手伝いも始まっている

 

 午前中の勉強が終わり、翔の元に来たセレナは酔仙亭で貰った童の衣裳でお手伝いする事にして春蘭に指示を受け賄いのパンとスープの食事を摂っていた

 

 自分達を見守ってる鬼百合に気付いた翔は辛炎ハムを炙り、爆酒の小壺を渡すと喜んで受け取り辛炎ハムをかじりながら爆酒の小壺を煽っている

 

 それを境に調理場の者達も代る代る翔に賄いの串物を焼いてもらいさっと済ませたのと翔のお陰で冷たい飲み物は事欠かないので暑い調理場の仕事がいつもより格段と楽だった

夕方になり出番を待つ料理の山の前に満足気に微笑む翔に嫌な笑みを浮かべた鬼百合と媛歌が近寄ってきて

 

 控え室に連れられていき白銀の第一正装の忍と媛歌に手を引かれて連れられて現れた青い旧型の第一正装のドレス(勿論紋章は着いてない)を身に纏った翔

 

 当然の事ながら、作製に当たり事前に王家の了承は得ている

そして家臣達は養女として迎えては居ないもののそれに準ずる扱い… 娘の様に可愛い、そう思っていると解釈した

 

前回は不機嫌そうな顔をしてただじっとしていた翔だったが、今回は命や媛歌同様に宙を舞う姿は天使か妖精の様ではあるけど顔を真っ赤に染め恥ずかしそうにしている姿は女の子だったし

 

 その様子を見ながらなみがいった言葉を思い出していた

 

 翔の事を 『 お嬢様 』 と、言ったことを

 

 城の外ではセレナも給仕の仕事を頑張っていたので翔と別行動は寂しかったけどいずれ命と共に旅立つ翔との別れは避けられない事…

 

 そう思っていたのに胸が苦しいのは何故だろう?

 

 (私はどうしたら…一体何がしたいのだろう?)

 

 セレナはようやく見えない答えを探し求め手を伸ばし始め、自分の本音と向き合う事にした… いや、せざるを得なくなったと言えよう

 

 

 

 

 命の今回の訪問は前回より短く上陸の挨拶代わりに踊りを奉納し大公の胸に「ただいまっ!」

 

 笑顔でそう言って飛び込む姿はひたすら可愛かった

嵐と海斗の二人に

「准騎士候補達を国境警備隊に預け代わりにケンとコウは女神の騎士団の准騎士となりますから海斗…二人の面倒を見てあげてください

今夜四人の任官式の後明日の昼位に、サクとコウにきみを王宮に送ってもらい…

観月お姉さんの元では何人まで預かってもらえますか?」

そう命に聞かれて

「志帆、ミナモ、美帆、小雪の四人共私の元で育てましょう

勿論美景も手伝ってくれますね?」

そう言われた美景も

「勿論喜んでお手伝いします」

そう力強く答える美景を嬉しそうに見ながら

「後程きみと美景は水の精霊への奉納の踊りを見てもらいなさい」

観月がそう二人に言うと

「後程と言わす今ここで…」

命が言い大公も頷いたので二人が水の精霊への奉納の踊りを舞うと四人の新米巫女が二人を尊敬の眼差しで見ているので照れていると

「貴女達にご褒美です…それと後程二人には新しい踊りを覚えてもらう為暫し結界にて稽古を着けてもらいますが宜しいですね?」

青い霊玉が飾られたバレッタをた渡しながら命がそう言うと

「わ、私達ももっとお稽古したいです」

そう言われて頷き

「わかりました、慌ただしくなりますがお茶の後踊りの稽古をしてもらい夜見習い騎士達の儀式を行います

きみ、美景、志帆、ミナモ、美帆、小雪も手伝ってくれますね?」

そう言われて

「はい、喜んでっ!」

そう答える六人を見ながら微笑む命に

「伯父様と海軍将軍と海兵隊提督に鬼百合を交えて話し合いお父様の了承を得て王女宮水軍を創設します

それに当たりお百合の船と海兵隊の巡視船が新型船を購入しましたから中古ではありますが王女宮に一隻譲っていただきます

それに伴い鬼百合の仲間達に鬼百合の船とに分かれてもらいケンとカンと海軍と海兵隊の見習い兵から募った見習い兵も鍛えてもらおうと思ってます」

その観月の言葉を受け

「その話を聞いた私も鬼百合殿を通じ陛下や元帥の許しを得て見習いの乗組員に希望者を募り

同数の若者達も両国の王女、精霊の巫女様達を守る栄誉を果たすべく鍛えていただきたいと思います」

二人の話を黙って聞いていた命は頷いて

「うん、そーゆー事はみこわかんないから観月お姉さんにお願いするしケンとカンも頑張ってっ♪

みこに出来るのは頑張ってってお願いするのと応援することだから会った時にちゃんとお願いするねっ♪」

そう言って笑顔を見せる命

午後のお茶の後に二人に教える踊りは当然の事ながら豊作祈願で新米の巫女達は未だ足さばきの段階

なので明明後日の出港までに美景には後は自習で高められる位には覚えて欲しいし志帆、ミナモ、美帆、小雪は足さばきを終え航海の安全祈願の触りくらいは教えておきたいから頑張ってほしい命

夕方からは美月主催のパーティーに招かれパーティーの開催に先立ち准騎士候補のケン、カン、サク、コウの准騎士昇任の認証式を行い

今夜のパーティーが命の歓迎と四人の若者達の前途を祝うものだと言われ四人の国境警備隊基地指令から四人の実積報告が読み上げられ乙女達の注目を集めた

特に観月の女神の騎士団所属になるケンとカンの二人が凄まじく本気で婿養子にと望む一人娘の親達が少なくなかった

そして見習い騎士達に試練の時が訪れた

剣斗を導くのは保冷の勾玉で赤松を導くのは蓄熱の勾玉でタヅナを導くのは朱鷺色の勾玉で陸人を導くのはスチームエクスプロージョンの魔玉

ロッドを導く蒸気の魔玉にてつを導く熾火の勾玉にそらを導く給水の魔石、さいを導く火怒雷の魔石、しんを導く飛火蜥蜴の魔石と千を導く飛雷蜥蜴の魔石が選び

きみの霊力で見習い騎士を導き美景を頂点に新米巫女四人の霊力を併せて五芒星で結界を作り見習い騎士を導きを受け午前中を休みにして午後の時間に身体測定を受け

翌朝巫女達は踊りの稽古の後一日休日となり命は朝食後に准騎士候補達を見送りユマの案内で絹の紡績業を営む紡の家を訪れ一日を過ごし

夜は大公漁騎士団の為に剣舞と水の精霊の癒しの舞いを踊り騎士達を労った

その翌日は木綿の元締め宅を訪れ一日を過ごし夜は夜は地の精霊への奉納の踊りから豊作祈願に豊作に感謝の気持ちを捧げる踊りを舞い花の舞で締め括り…

早朝の結界内の修行で命は歌と踊りのお復習に舞姫から韋駄天疾風陣の舞いを習い

美景の踊りも豊作祈願を奉納しても良いとお墨付きを渡し

「自習でもっと高みを目指し四人の踊りの指導お願いするね」

そう告げて基本の足さばきを終えた四人に航海の安全祈願の触りの部分を教え嵐も剣舞を修得し終えたので美景に教えて欲しいと頼んで解散

夜が明け食事の後に大公に出港の挨拶をして港で航海の安全祈願、大漁祈願、剣舞、水の精霊への奉納の踊りを舞い最後の命が柳水と乗船して出港した

鬼百合の船の陣容は鬼百合の分身、白狐、けん、召喚戦士10人に海軍、海兵隊各二名の20名

柳水が指揮する巡視船は鼓、カン、召喚戦士20人

志願兵各四名35名の配置となり命達の乗る船に訓練を兼ねて随伴航海をする

因みに大公領の都合により貨物船二隻を所有する事になった美月は大公領の輸出品を満載し月影の国に同行

商人達は二手に分かれて一方は伯爵領を抜け可能なら白夜の国で商いしたいが無理ならば侯爵領の商人経由で輸出したい…

なのでこちらは未定グループと侯爵領のグループは商品の販売も去ることながらやはり爆酒などの輸入がメインだったりするのでそちらの商人が主力ではあるのだが…

いずれにせよ世界の経済は歌の国と月影の国を中心に回り始めたのだけは確かだった

命が同行する一団は相変わらずの爆釣で各船はせっせと干物や塩漬けにしているし命が釣った魚のご褒美は旅の軍資金

他の供の者達は各々の小遣いになるから皆張り切っている

因みに出港して暫くしてから柳水、鬼蓮の元にはシーホースが現れカンの元には炎雷馬(えんらいま)ケンの元には黒炎馬(こくえんば)が現れ従う事になり

遊軍の活動範囲を広げ又戦略の幅も広がった

 

新米巫女達の踊りの稽古は航海の安全祈願はなんとか踊れるようになり後は自習で高めさせ上陸後は航海の無事に感謝の気持ちを捧げる踊りを始める事に…

王城で朝食の仕度を終えた翔を迎えに来た鬼百合共に鬼百合の船に向かい朝食用の焼き魚を焼き

薫製を作り干物にしたりしたので月影の国の海軍や同行の商人が喜んで買い求めてくれ翔の小遣いにもなった

いよいよ上陸準備が始まり翔も鬼百合に同行し王城城に戻り昼食の支度の手伝いをした

 

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