強いて言えば踊りを習った子達はお手伝い用の着物を着て配膳の手伝いをするくらいで酒場を苦にしないのならば遠慮は要りません
国に帰ってからは春蘭かミナに指導が受けられる様に手配しておきます」
観月がそう言って会話が途切れたのを見て
「後はお留守番の巫女達と踊りを習ってる侍女に…着付けとか習ってる人も居るんでしょ?その人達も連れてく
あーっそーそー、退屈かもだけどスクルドもついてきてね」
そう命に言われて
「私も踊りを習わせていただければ退屈な訳有りませんっ!何故私だけ踊りを習わせていただけないのですか!?」
そうスクルドに聞かれて
「え、えっと…だって侯爵様に申し訳無いから?だよ」
命のその言葉を聞いて悲しそうな顔をするスクルドに代わり
「命様、それは違います…スクルドは精霊の巫女として精霊様の導きに従い貴女と共に生きること選び父もそれを認め貴女のお供を認めました
それに陛下が王女様達にお許しになっている事なのですからスクルドも問題無い筈ですよ?」
ウルズにそう言われて
「ヴェルサンディ様もそう思う?」
上目遣いでそう聞くと
「はい、私もそう思いますよ…ですからスクルドも習わせてあげてください」
そうヴェルサンディに頭を下げて言われて
「うん、明日の朝から結界でのお稽古呼んであげるね」
その望んだ答えをやっと言って貰いホッとするスクルドを見ながら
「先程の続きになりますがみこだってお金を払ったこと有りませんよ?
その分お店で歌い、習った踊りを披露してますからね
国に帰った後の事は私から瑞穂に言っておきますから巫女達が貴女の指導してくれます
それに貴女が豊作祈願と豊作の感謝の気持ちを捧げる踊りを舞ったらお祖父様やご両親、町の人も喜ぶしそれで少しでも収穫量が増えたら女王様もお慶びになりますよ?」
そう笑顔でセレナに言いながらあれこれと先の事を思い巡らす観月を見て
(又何か企んでますね?)
そう思う王妃と命以外の王女達に美月のスタッフ達
「それと折角海に行くのですから水着を用意してありますから…
ウルズは十四夜を、ヴェルサンディは大樹を悩殺してがっちりハートを掴んでおきなさい」
そう言いながら横目で自分を見る観月の視線とその視線の意味することに気付いた媛歌が自分を見てニヤっと笑ったその笑顔が怖くなり
「あ、あはは…ボクお腹痛くなってきたから行くの止めよかな?」
と、言い出したので
「お腹が痛い…そう、それは残念ですね?貴女が好きそうな物を出そうと用意してましたのに…」
そう言って蓋付きの小鉢の中身の蚕蛾のサナギの佃煮を見て
「だ、大ジョーブ…お腹痛いのあっチュー間に治ったさかいそれチョーダイ、観月様っ♪」
そうお願いして小鉢を貰うとニコニコ顔で摘まむ翔に呆れる一同だった
今朝の結界でのお稽古はいつもの様に歌の自習、命と媛歌の自習に舞姫からは歌姫を合わせた三人が剣舞の指導を受け
真琴達には羊祭りを媛歌が指導し命はスクルドに基本の足捌きに留守番の巫女達は歌姫が指導を受け持ち
翔はアットレーのコントロールの修行
を黙々としていたが…
「あ、あんな…みこお姉ちゃん…又新しい術出来たんとグリエとケベックがバージョンアップしたみたいなんよ
せやから岬で見たって欲しいんよ」
そう言われた命は
「うん、わかった…楽しみにしてる
翔も色々頑張ってくれてるからご褒美だよ、チサちゃん、翔をお願いだよ」
そう言われたチサが両手を広げるとチサの胸に飛び込む翔だった
早朝漁港に立ち寄り航海の安全祈願と大漁の感謝の気持ちを捧げる踊りと大漁祈願を奉納
軽く朝食を取ってから岬に行く事になり同行者は王妃と真琴、翼、チサ、媛歌、スクルド、深潮、しずく
他に風歌、炎、剣斗が騎乗で護衛で同行する事になり王妃の訪れに感激した漁港関係者達に漁師達は
「王妃様や踊りを奉納してくれた巫女様達のお陰で大漁が出来そうだっ!」
そう言って喜び勇んで出漁し市を見てから食事を済ませ岬に向かう途中
「何で深潮としずくを選んだかわかる?」
そう言われてわからない二人は身体ムズムズしない?」
その命の言葉を聞いて
「二人にもその時が来た?」
王妃にそう聞かれて
「うん、来たんだよっ、その時がねっ♪」
命が嬉しそうに答えると
「岬が賑わいそうですね?」
そう話すのを聞いて二人もやっと気付いたから
「今日は二人が沖に付き合ってねっ♪」
その会話を羨ましそうに聞いているスクルドに
「何他人事みたいな顔してるの?
出水の精の巫女の貴女だっていずれはその仲間入りするんたがらね?」
そう言われて驚いてると
「その時を待ってるからね」
命が言うと深潮としずくも微笑みながら
頷いた
馬車が止まり真琴が最初に降り王妃、チサ、翼、スクルドと下ろしタオルを巻き付けた命、深潮、しずくに水着姿のスクルドが降り海に向かい人魚になった三人からタオルを預かり一旦上がり
命達は沖へと向かい媛歌は空から三人を追ったのでホッとして油断したのが間違いで危うく水に引きずり込まれる所だったけど屋台が開店の準備を始め
(あっ、甘薯に玉蜀黍…)
そう思いながら見ている翔に少女達が
「翔ちゃんお腹すいたの?」
そう話し掛けるのを聞いて真琴が笑いながら
「多分違うよ…翔の特技見せてよ僕がお店の人に頼んであげるからさっ!君達もついておいでっ♪」
そう言って焼き玉蜀黍の前に行き話し終えると手招きして翔を呼び
「取り敢えず論より証拠見せてあげなよ?」
真琴にそう言われた翔は
「アットレー、集合っ!」
そうスペルを呟き現れたアットレーを一本手に取り玉蜀黍の芯に刺そうと悪戦苦闘の翔に呆れ声で
「翔、そーゆーのは僕に言いなよ?取り敢えず何本要るの?」
そう聞かれて
「グリエならこんだけ…」
そう言って両手を広げて見せる翔に
「翔ちゃん、それはいくつですか?」
王妃に聞かれた翔は得意気に
「沢山っ♪」
そう答えると溜め息を吐いて
「わかった」
そう言ってアットレーを刺し翔を見ると頷いた翔は目を閉じると玉蜀黍に刺さったアットレーを操り宙に浮かせ横一線に並べると
ーグリエっ!ー
そうスペルを唱えたが魔力を持たない者には何の変化も無いけど真琴がほおっと感心するのを見て自分達じゃわからない何かが起こってるんだ…
そう思って様子を見ていると玉蜀黍が焼け始めたので店主を呼んで
「タレ塗らんでエエの?」
翔がそう言って一本抜き出して見せると慌ててタレを塗るとそれをグリエに戻し順にタレを濡らせ何度か繰り返し
「はい…まこお兄ちゃん、味見したって…おじさんも」
そう言われて渡された焼き玉蜀黍は香ばしい香りが漂い思わずかぶり付く二人が無心に食べるのを見て
「翔ちゃん、私達にも頂けますね?」
王妃にそう言われたので頷いた翔は王妃、翼、チサ、ウルズ、ヴェルサンディの順に渡し頷く十四夜、十六夜、雅の順に配ると最初に食べ終えた店主が
「翔ちゃん…だったね?どんどん焼いてくれないかな?」
そう言われた翔は
「うん、でも焼き玉蜀黍は今の数で一杯やし待っとる人もぎょーさんおるやろ?
せやから蒸し玉蜀黍はどやろか?
そっちやたらタレ塗らんでエエのんちゃう?」
そう言われた店主が
「そっちだと一度にどれだけ用意できるんだい?」
そう聞かれた翔は
「イッコのスチーマーで今の分とこんだけ出来る」
そう言って再び両手を広げる翔に
店主と風華と炎に剣斗がアットレーに刺すのを見て隣の見て焼き甘薯の店主が
「家のも焼いて貰え無いだろか?」
そう聞かれて
「焼くだけで蒸かさんでもエエの?」
そう翔に言われて
「一度にそんなに沢山大丈夫なのかい?」
そう心配そうに聞くと
「術自体はよゆーよゆーっ♪なんやけど焼き玉蜀黍は出したり入れたりしなアカンから今のボクにはイッコのグリエで一杯一杯なんよ…」
そう言って苦笑いすると
店主も宙に漂うアットレーを掴むと串に刺し始めたので吽、喧火、修羅、沙霧も手伝いに加わり
「炎はりんのお母さん達と山に入り色々探して来なさい期待してますがチサ様もそれで宜しいですね?」
そう聞かれてチサが頷くとユキも
「海斗は見えますね?あの木の実を取りに行きなさい」
そう言われて頷くとシーホースに飛び乗って木の実を取りに行くのを見送ると溜め息を吐いたヴェルサンディが
「大樹も釣りに行きたいんでしょ?我慢しないで行って来れば?」
そう言われて
「ありがとー、大物期待してっ♪」
そう言って竿を馬車から持って岩場に向かう大樹をもう一度溜め息を吐いて苦笑いで見送りヴェルサンディを苦笑いで見守る一同だった
スチーマーで玉蜀黍と甘薯を蒸かしグリエで焼き甘薯と焼き玉蜀黍を焼いてると早速大物を釣った大樹が持ってきたクロベニダイを見た王妃が翔に
「氷を頼めますか?」
そう聞かれたので
「アライに使うんやったら氷水の方がエエのんちゃう水入れて持ってきたらちゃっちゃっと済ますけど?」
会話を聞いていた甘薯屋の店主が
「俺が汲んでこよう」
そう言ってバケツを持って水を汲みにいきユミは早速クロベニダイを捌き始め大樹は再び釣りに戻った
「ん~…アットレー全然足らんな…又みこお姉ちゃんに頼んで増やしてもらわなアカンな?」
そう呟く翔に
「みこの霊玉や勾玉を埋め込んで作るんだろ?ならアットレーを買ってくれば僕がみこの代わりに作るよ?まぁチサや翼にだって出来るけどねっ♪」
そう言われて
「お兄ちゃんがやってくれるゆーたんやからお兄ちゃんがやってーな」
そう言われて驚く真琴に
「口の悪さは照れ臭いのを誤魔化す為のもので恥ずかしがり屋の甘えん坊のくせに素直じゃ無いから益々憎まれ口を叩くんだよね…」
そうチサに言われて真っ赤に染まって
「なっ…絶対内緒にしといてって約束したやん…」
照れてるせいかいつもの勢いを失ってる翔に
「私の事嫌いになっちゃった?」
瞳を潤ませたチサにそう言われて
「ぼ、ボクにとっては重要な事やけどチサ様に比べたら大した事無いからかめへん…」
そう答えたから
「そのアットレーが有れば未々術は使えるのかい?」
そう聞かれた翔は
「同時発動出来るんは10個やから楽ショー楽ショーっ♪」
そう答えたから
「それなら家のを使って貰いこの烏賊を焼いて欲しいのですが…」
そう言うと他の者も言う中
「家は串は使わんからな…」
と呟くの聞いて
「おっちゃんの売り物は何なんよ?」
そう聞いたら
「大アサリや牡蠣等貝だから…」
そう呟くのを聞いて笑いながら
「なんや、それやったらグリエの上に乗せれば焼けんで?」
そう言われて乗せてみるとすぐにじゅうっという音がして大アサリが焼ける芳ばしい臭いがしてパカッと開くと
「味付け要らんの?」
そう言われて慌てて特性の出汁を入れて王妃に出すと驚きながらも
「良い味だしてますね?」
と言われ店主は
「王妃様にお誉め預かり光栄です」
と言われ
「この場においてそのような堅苦しい言葉は要りませんよ、今日の主役はみこと二人の人魚媛達…そして翔ちゃんのはず?」
そんなやり取りにお構いなしの翔が
「結構丈夫いけど発動時間に制限有るんやから焼くんなら早せなアカンよ?」
翔に言われて慌てて焼き始めた店主
甘薯玉蜀黍が蒸かし終わり次々に売れていき
「あ、あんな…お父ちゃんと二人のおっちゃんは焼いた甘薯好きやし兵隊さん達は蒸かした玉蜀黍好きやってゆーとったから…」
「そう話すのを聞いた二人の店主が
未々有るから心配しなくて良いよ」
そう言われて安心した翔は
「ならエーねんけど烏賊は大きいから…
ーケベックっ!ー」
その様子を見ていた他の串物屋もアットレーを真琴に渡し錬成してもらい食材を串に指して焼いてもらい
竹串はレンジで調理してどんどん売られていった
命は海女の潜れない深場で自分の漁と海女達の手伝いをし深潮としずくは留美菜となみの母親達の手解きを受け漁の手伝いをして楽しい一時を過ごした
媛歌は媛歌で海女漁の規制対象にならないないと言うよりは危険な鮫等を仕止め市を賑わせたが海女達にはそれ以上に久し振りの人魚姫達の独占…
共に漁をする海女ならではの水中で戯れる人魚姫達の姿を見れたの何より嬉しかった
漁を終えた命達は浜に戻ると胸まで水に浸かったスクルドが待っていた
「お疲れさま、命様…人魚媛様達」
そう言って出迎えたスクルドに
「あんまし疲れてないけどありがとー……」
そう答えた命の声には覇気が無く
「…来なきゃよかった」
ぽつりと漏らした命の呟きに顔を見合わせる深潮としずく
「楽しく無かったのですか?」
穏やかな口調で聞いてくるスクルドに
「そんな事無いけどね…りんが居ないんだよ…振り向いても居ないし見回して探しても何処にも居ないんだよ…
知らなかった…りんと一緒に泳いだのはたったの二回なのにりんが居ない海がこんなに寂しいなんて…」
そう言って肩を震わせ涙を流す命を見た媛歌が
ーみこを抱き締めて…みこは人が思ってるような強い子じゃないんだ…
勿論凶悪な呪文と聖なる呪文とを操るみこは強いよ…でも人の強さってそれだけで決まるの?ー
そう言われて何と答えてよいのかわからないスクルドは
「私には…分かりません」
そう答えると媛歌も
ーそんなの私にもわからないよ、でも私達はそのわからない答えを探してるんだからね?ー
そう答える媛歌に答える代わりに命を抱き締めるとその小さな身体に改めて気付き震える身体をぎゅっと抱き締めた
(私がこの方を…いいえ幼児の魂を持つこの子を守らななきゃ…)
やっとその想いに気付けたスクルドがその時を迎えた
ーす、スクルド…そ、それ…ー
慌てる媛歌が何かを指さしその方向を見ると見覚えのある布切れがプカプカ浮いていて恥ずかしさのあまり真っ赤に染まっていると
ーそんな布切れより貴方自身の身体の変化に未だ気付かないの?ーそう言われ改めて自分の身体を見下ろすと
「え、下半身が…」
そう言って言葉に詰まったものの頭を降って気持ちを切り替えて
「命様、私にはりんちゃんの代わりにはなれないでしょう…私は私でりんちゃんはりんちゃん
ですがりんちゃんに代わって水の中までもお供をする位の代わりにはなれますよ?」
そう言われて
「じゃあもう少し一緒に泳いで…」
そう言ってスクルドの手を取り沖に逆戻りする命を見て溜め息を吐き
ー私はスクルドの水着を持ってこの事を伝えてくるからみこが暴走しないよう見張っててー
(まぁ新米の人魚媛には荷が重いだろうけど…)
「人魚媛になったばかりのスクルド様にあまり無理はさせないと思いたいですが何とか努力します」
そう答えるのを聞いてスクルドの水着を手に取り浜に戻った
「媛が一人で戻ってきたけど…あ、あれスクルドの水着じゃ…」
そう言って驚きを隠せない真琴に
ー大丈夫、予想外に早い人魚媛の目覚めを迎えただけだから…
安心してとは言え無いけど取り敢えず深潮としずくの二人の人魚媛になったばかりのスクルド様に無理させないよう見張りを頼んである
じゃあそれ報告に来ただけだからみこ達を追うー
そう言ってスクルドの水着を投げ渡すと沖に向かった
その水着を受け取り王妃に掻い摘まんで話しスクルドが水に上がる際の支度をしてもらって待つことにした
が、心配する程長くは掛からず命達は帰ってきて
「スクルド…これを貰って」
そう言って自らの髪を飾る蒼い霊玉の髪飾りを外すしスクルドの髪に髪飾りを留めると
迎えに来た吽にスクルドを任せ深潮はモリオンにしずくは斬刃に任せ
「大丈夫、人魚化は解けないから…」
探るように命を見て
「わかった」
その答えを聞いた命はまずユキの元に行き
「これ、新しく人魚媛になった三人に食べて貰って…
で、こっちの二つはママとまこちゃん達と雅お姉さんに食べて貰ってみっつは鬼百合達とユキとユミで食べてね
後のふたつはパパ達へのお土産だよ」
そう言って沖アワビの入った魚籠を預けると人魚姫の姿ままで宙に浮き大漁を感謝の気持ちを捧げる踊りを奉納
明日の漁のりんの母親グループの大漁祈願の踊りを奉納し人魚媛達とお茶を飲み…
いつもの様に冷たいお蕎麦を啜りながら鍋が冷めるのを待って居ると留美菜の母親達が市場から戻り翔の術に驚きながらも岬では初めての焼き魚を味わった
ただ…男達にとり目のやり場に困るのが深潮とスクルドで二人の特に深潮の胸の膨らみは…
その二人の姿を見て思わず見惚れた十四夜、十六夜、大樹が各々にウルズ、ユイ、ヴェルサンディに叱られたのは言うまでもない事
今日鬼百合と漁の手伝いをしたのは鼓と白狐に海軍、陸軍に海兵隊から二人ずつでいつもの様に仕分けの間に釣りをしていると鬼百合の竿に大物の引きが…
一間級の大マグロと三尺の花鰹を二本釣り上げ白狐は二尺五寸の花鰹に尺級の大アジ四本
鼓は二尺の桜鯛二本と島アジ三本とで兵達は飛び魚やホシカイワリ等30本
で、いつもの様に花鰹二本を王宮に持ち帰り代わりの酒を貰い白狐達には花鰹と桜鯛は岬に持たせ残りは漁師の魚と交換で岬に運んでもらうのはお約束
酒壷はいつもの様にりんの母親に預け未々活躍中の翔を誉めにいった
「えへへ、お父ちゃんに誉められてもーたやん?」
そう照れ臭そうに笑う翔に
「ホレ、食え」
そう言われて口を開ける翔に煮干しを食べさせると嬉しそうに食べさせてる
「姐さん、翔ちゃんが姐さんに食べて欲しいって取っておいた奴です」
そう言われて受け取る翔の頭をわしゃわしゃ撫でていると
「翔、翔の言ってた新しい術見せて…」
命にそう言われて頷くと
ーレンジっ!ー
そう唱えると焼き魚がグリエやケベックより短時間に仕上がり受け取った鬼百合がふうふう言いながらかぶりついては煽る酒をセレナが注ぎ
漁の手伝いしていた者達も鍋を分けて貰いに行くと
「今日の漁のお手伝いしてくれた皆さんからはお金は取れませんっ!」
そう言われて驚いた兵達に
「可愛い事言ってくれるだろ?今日ん所はゴチになって本職頑張って国を…この子等を守りゃ良いし明日からの活力になる笑顔だろ?」
そう言われて
「そうですね、勤務表見て王女達様にお供出来る者を皆羨みますからね」
留美菜とりんになみの父親が戻り三人の両親が揃ったのを見て
「皆さんにお話ししなきゃいけない事があるんだ…」
そのいつに無い命を見て
「伺います」
そう留美菜の母親が
答えてくれたので
「りん…りんちゃんは大海原の女神に選ばれて依り代になって内なる海の守護者になったんだ…
だからりんちゃんは勿論多分りんちゃんを守り助けたいって言ってくれるだろう留美菜となみの帰国も儘ならない」
その命に向かい
「このりんの新しい運命を命様がどう思ってるいるのか命様のお気持ちをお聞かせ願えませんか?」
そうりんの母親に聞かれ唇を噛み締める命に
「正直に仰りなさい、今までずっと一緒にいたりんちゃんの姿をつい探してしまい見付からなくて泣いていたのは何処の誰ですか?」
そうスクルドに言われて
「りんちゃんが初めてじゃないしみこは甘えていちゃいけない立場なんだ…
だから使命を…運命を受け入れたりんちゃんの門出を祝わってあげなきゃいけないんだよ…」
その命の独白に
「初めてのお友達のりんちゃんは特別でしょ?私だって寂しいんだからみこちゃんが辛くないわけ無いよ…
それにりんちゃんが女神の依り代になったのみこちゃんがこちらに帰ってきてからの事でその事を未だ整理出来てないんだもの…」
チサにそう言われて俯いて肩を震わせる命の身体を抱き締め背中を撫でられているうちに本格的に泣いていた
声を出さずにただひたすら涙を流し続けていた
その命の涙に応えた精霊達が現れ
ー私は海風の精…なびき、人々に天候の変化の前触れを報せる潮風の様に人々に危険な兆候を報せる者になりなさいー
「はい、潮風の精様のお導きを喜んでお受けいたします」
ー私は霙の精…アラレ、私と共に焼けた大地を冷ましなさいー
「はい、霙の精様のお導きを喜んでお受けいたします」
ー私は霧雨の精…カスミ、霧雨が乾いた大地をゆっくりと潤すように人の心を潤わせなさいー
「はい、水の事が原因のいさかいを見て育ちましたから…お導き下さい、霧雨の精様」
ー私は陸風の精…凪、沖に向かう船後押しをする様に水の精霊の巫女達の後押しをしませんか?ー
「はい、私が命のお力になれるのならば喜んで…お導き下さい浜風の精様」
そう四人が答えて精霊達を受け入れた
日が暮れてきたけど未々飲み足りない鬼百合と明日非番の者達が入れ替わりに岬に現れたので
「もうちょい残って料理したるわ、お父ちゃんのダチやねんからなっ♪」
そう言って魚を焼き始めたので
「じ、じゃあ私も翔ちゃんと居たい」
そうセレナ迄言い出したので溜め息を吐いて吽が
「頃合いを見計らって二人は連れて帰る、それで良いな?」
そう言われて不満顔の翔に
「うんと言わんと今すぐに連れてかれるぞ?」
そう言われた翔が顔を蒼くして
「は…はい、わかりました…吽様」
そう答える翔に
「確か瑞穂や忍、阿は呼び捨てだった筈?」
そう聞かれて
「今はちゃんと忍様、瑞穂様て呼んどります」
翔にそう言われてセレナを見ると
「そう言われてるお二方の方が微妙な表情をなさってましたよ?阿様と言う方はお会いした事が有りませんから存じませんが…」
セレナにそう言われて複雑な表情の吽は命達を見送ると翔とセレナを見守った
④悪戯三度
早朝の結界内の稽古はいつもと違い命の歌の自習で始まりその間に真琴、翼、チサは精霊の巫女の修行に翔はアットレーのコントロールと媛歌は冷気を操る修行をし歌姫は羊祭りのお復習を中心に自習をしていた
その後命と媛歌と歌姫は剣舞の続きで真琴、翼、チサは自習
その後留守番の巫女達とスクルドも結界に呼ばれ媛歌が真琴達に羊祭りを指導し命は留守番の巫女達を各自のレベルに応じて指導しスクルドは歌姫が指導する事になった
稽古が終わる頃翔は真琴に
「熾火の勾玉、焔の勾玉、蒸気の勾玉、スチームエクスプロージョンの魔玉、蓄熱の勾玉に朱鷺色の勾玉に煙玉ってゆーんよ」
そう言って各20個ずつ入った鞣し革の巾着袋を渡し
「お姉ちゃんが渡してゆーたから受け取ったってや」
そう言われて受け取ると
「有り難う、大切に使わせてもらうよ」
そう言って翔の頭を撫でると
「えへへ、お兄ちゃんに誉めてもろたっ♪」
そう照れ臭そうに笑う翔の身体を真琴が抱き締めると益々真っ赤に染まる翔だった
第一陣で向かうのはユキ、命、真琴、チサ、翼、媛歌、サエ、マキ、マユ
それと修羅がセレナと翔を乗せ同行しようとしたら
「私が修羅様に乗せていただきますから二人は馬車に乗りなさい」
マキにそう言われても
(五人の王女様と一緒なんて)
そう言って尻込みするセレナに
「遠慮しないで良いからお出で…」
真琴王子に微笑まれ真っ赤に染まる真琴王子の隣に座らされ俯いたまま顔が上げられないセレナだった
到着後ユキはまず女将に翔の特技を見せ
「宜しかったら厨房のお手伝いをさせてあげるわけには…」
と言われた女将は
「いや、ソイツは勿体ないから串焼き屋達に食材を持って上がらせこの串を使わせりゃ良いんだね?
それを演舞台でやってもらったらその奇跡に魅了されるのは間違いないからさ
翔ちゃんもそれで構わないかい?」
そう聞かれた翔は笑いながら