闇と影   作:春の雪舞い散る

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水の精霊の舞姫の前に現れたた運命のこ…その赤子の正体とは?


赤子が空から降ってくる夜に

運命の子

 

 

①小旅行

 

ユウが侯爵家に来てから三日目の朝…漁港に訪れたのはりんとなみに喧火だけで

「ごめんなさい、今日から九日間は私となみしか来れませんし奉納し終えたら私達もこちらの霊獣の騎士様に案内していただき…

北東平の豊作祈願祭行脚に向かわれる侯爵様の後を追っていただきますのでこちらで奉納している時間以外は留守になるのをご承知ください」

そう言って奉納し終えると喧火の焔馬に乗せてもらい侯爵の後を追って宙を翔ていく焔馬を見送る漁港の者達だった

 

侯爵の行脚の同行者は地の精霊の巫女の忍、水草の精の雪華、氷の精の巫女の留美菜、美月スタッフのミサ、侯爵家のメイドのリリー、ロゼ、ともえ

それと遅れて合流する大海原の女神の依り代のりん、小波の精の巫女のなみ喧火の10人で六人乗りの馬車二台に分乗しての移動だ

騎馬でアーレスとヨーゼフが護衛として同行

シューは残念ながら命の出迎えの為首都に向かっている途中でミサの側から離れるのがかなりショックだったりする

 

最初の街には何とか祭りの開会宣言に間に支度を整え祭り役員達すら知らされていないサプライズ

女神の依り代と四人の精霊の巫女達の地の精霊への奉納の踊りと豊作祈願を無事に奉納しで人々を大いに驚かせた

踊りを終えたりりんや留美菜、なみ達はあまり盛り上がってない祭りの様子を気にして

「お祭り全然盛り上がってないよね?」

そう留美菜となみに声を掛けると二人も頷いて

「私も気になってましたが本当に元気無いですね…」

「はい、盛り上がってませんね」

留美菜となみも答え

「ここはやっぱり私達が屋台のお手伝いして盛り上げるしかないよね?」

そう言ってりん、留美菜、なみの三人は各々お気に入りの若月の服に着替えミサからお小遣いを貰い屋台を巡り未々盛り上がらない祭りを屋台の手伝いをして盛り上げるための店選びをしているのだ

その結果りんが選んだのは角豚肉饅頭の店でなみは侯爵領風の焼きソバ屋に留美菜は炙りハムと酒を売る店を手伝う事にして各々の店に行き…

(せっかく美味しそうな臭いがしてるのになんで…)

そう思いながら見回したけど店番をしてる爺さんからしてやる気が全く感じられないし…

通行人もこう言ってはなんだけど生気が感じられず行く宛もなく彷徨くその姿はさなが亡霊の群の様にも見えた…

だから取り敢えずまんじゅうを買い自分で味を確かめてから

「おじさん、なんでお客さん呼ばないの?せっかく美味しいお饅頭が食べ頃になってるのに…」

見知らぬ少女にそう言われて余計なお世話だと思いながら

「しょうがなかろう?わしゃそうゆーのは苦手なんだよ…」

そうぼやきながら酒を煽るじいさんに呆れたりんが

「じゃあ私がお店手伝っても問題無いよねっ♪」

そう言って振り返ると

「美味しいお饅頭が食べ頃になってるよぉ~っ!食べなきゃ勿体無い美味しさだよぉ~っ!」

活気の無い祭りの会場に透き通る様に響くりんの明るく可愛い声に人々が振り返り

「ほう、そんなに美味しいのかい?」

それを聞いた通行人の一人の男がりんに聞くと

「うん、私も初めて食べたけどスッゴク美味しかったしさっきも言ったけど蒸かし具合が今一番丁度食べ頃の状態なんだよっ♪」

そう言われて店番の爺さんに向かってそうなのか?と言った視線を向けると爺さんも驚いて

「お前さん…よくわかったね?」

そう感心して言うじいさんに

「この味は初めてだけど近所のお饅頭屋さんのお饅頭はよく食べてたしお店の手伝いをした事も有るからねっ♪」

そう言って笑い再び声を上げ客を呼び込むりんを見ながら

「親爺、こんな可愛い売り子さんを一体何処で見付けてきたんだよっ!?」

笑いながら聞く男に

「なんや知らんが饅頭を食って手伝うと言って声を上げとる…」

そう言って不思議そうに見ていたが仕込みが終わり注文を取り出したソバ屋もなみの呼び声で人が集まっていたし…

いつの間に現れたのか留美菜が手伝う串焼き屋には辛炎ハムをかじりながら爆酒を煽る鬼百合がいてそれにつられた男達と酌み交わしている

りんの手伝う饅頭屋はじいさんが用意した分は全て蒸かし終わりそれも残り少なく様子を見ていると夫婦者らしい二人が台車を台車を押してきたの見た爺さんが二人に向かって

「わしが用意した分はじきに売り切れるから準備してはよ蒸かせ」

そう言われて

「はぁ、何言ってるんだよ?親父にそんな事…「おじさん、おまんじゅう蒸かした分は売り切れたから蒸かし終わったから呼んでねっ♪私はちょっとおソバ食べてくるからねっ♪」

そう言って駆け出すと強い風が吹きつけりんが被っていた麦わら帽子が飛ばされりんの独特な色の…

マリンブルーの髪が人々の目に晒されようやく目の前で売り子をしていた少女の正体に気付く者が居た

「えっ、まっ、まさか女神の依り代のりん様?」

店番のじいさんの孫娘ベルの呟きで他の者達も気付き饅頭屋の爺さんが

「なんで女神の依り代様が…」

そう呻くと

「祭りが盛り上がっていなかったからだろうな…」

アーレスが言うと共に見守っていた忍も

「折角の祭りを楽しまなきゃ勿体無いのに…と、言ったところですね?そう言ってましたから」

そう答えると再びアーレスが

「見なさい、あの様子を…」

そう言われ指差された方を見ると豪快に酒を煽る女美丈夫と見知らぬ少女(留美菜)に注いで貰いながら酒を飲んでおりその二人に引き摺られる様に他の物達も明るい笑い声を上げながら飲んでいて

「折角の祭りを女神の依り代様と地の精霊の巫女様が奉納の踊りを舞って下さったのに辛気臭い顔をしていてどうする?

アレク様達にお酌している少女も氷の精の巫女様でその手前の焼きソバ屋の手伝いをしているのは小波の精の巫女様

その幼い依り代様や巫女様達が祭りを盛り上げようと頑張ってくださっているのに恥ずかしくないのか?お前達は…」

そう言われた饅頭屋の爺さんは

「そうですね、少なくともわし等は女神の依り代様のお陰で饅頭がよう売れたのだからいつまでも辛気臭い顔をしていては申し訳無いですな…」

そう言ってりんが落としていった麦わら帽子を拾い上げると孫のベルに渡し

「りん様にお届けしなさい」

そう言ってベルの背中を押すと

「はいっ、わかりましたっ!」

と答え笑顔でりんを追うベルの後ろ姿を見送る一同だった

最初ソバを買うための客達の列の最後尾に並んでいたりんを見た他の客達が先を譲り順番になり

「焼きソバ下さい」

そう言ってソバを受け取ろとするりんになみが

「中に入ってその椅子に座って食べたら良いですよ」

その距離の開いた口調に寂しさを感じながらソバを啜るりん

その後りんは饅頭屋親子の知り合いの金平糖(命と媛歌の好物)を売る店の手伝いをしながら

「命様と媛歌様が大好きなんですよね、こう言った甘い砂糖菓子って」

と、客の会話を聞いた店主が

「お二人の王女様はそんなに甘い物が好きなのかい?」

そう聞かれたりんが

「好きと言うかお腹の弱い命様に食べさせて良い物にはかなり制限ありますから…おまけに猫舌ですし」

そう笑いながら言い溜め息を吐くりんに向かい

「だがその分好き嫌いがはっきりしているのでは?」

そう言われて

「命様はお肉よりはお魚が好きみたいですし辛いの酸っぱいのは苦手みたいですけど媛歌様は辛いの以外平気ですけど逆に言えば特に好きな物が無いみたいです」

そんなことを話していると侯爵が命、媛歌、翔の為に土産物を買っている

命と媛歌には甘い砂糖菓子に翔にはイナゴのつくだ煮を始めとする虫料理を…

そんな感じで全く盛り上がっていなかった祭りをりん達の活躍でもり上げ今夜の宿泊地に向かう一行の前に饅頭屋の父娘が現れ

「侯爵様にお願い申し上げます…私達の娘のベルがりん様に様にお仕えしたいと申しておりますがお許し願えますでしょうか?」

そう言われて忍を見ると忍も頷いたので「受け入れるのは構わないが人数によっては馬車に乗り切らんが?」

そう言って饅頭屋の父娘の後ろに控える親子を見ながら答える侯爵に

「希望者は七人の様ですから私はヨーゼフ様の後ろに乗せていただき雪華は喧火…頼めますね?」

そう言ってミサを見ると

「私は乗馬に馴れてませんから…馭者席の隣で宜しいでしょうか?」

そう答えると

「私は乗馬に…私自身は乗れませんが父や兄達に乗せてもらってましたから…アーレス様、宜しいでしょうか?」

そうリリーに言われてアーレスも頷き

「では私がもう一台の馭者の隣に座りますから…」

ロゼもそう言ってりんを見ると

「命様にお仕えしたいと言って命様の元に集まった私達は美月のスタッフの皆様から礼儀作法を始め…勉強やお菓子作り等を習いましたし霊獣騎士になった男の子達も鬼百合様達に鍛えていただき正騎士や准騎士になりました

ですから私に言えるのは皆さんも頑張ってください…だけです」

そうりんに言われて力強く答える少年少女達に忍が

「わかりました、荷物は用意してありますね?」

そう言って荷物を見せる少年少女を見て

「りんと ベル…でしたね?と侯爵様に留美菜と貴女と貴女はその馬車に同乗し後の子達はなみとともえと同乗しなさい

ご両親と別れの挨拶をしたら馬車に乗り込むように」

忍にそう言われて両親に別れを告げると馬車に乗り込む少年少女達に手を振り見送る両親達に

「お子様達は確かにお預かりします」

そう言って頭を下げヨーゼフの手を借り馬に乗ると馬車はゆっくり走り出した

 

移動中の馬車の中でうとうとし始めたりんと留美菜になみ…

「早速お前達に出来る事だ、りん様に留美菜様が揺れる馬車の中ずり落ちないよう支えて上げなさい

確かに特別な事ではない、だが今そうしてお二人の身体をお支え出来るのは一緒に馬車に乗っているお前達だけなのだからね」

そう侯爵に言われベルはりんのさとは留美菜の頭を膝に乗せなみはともえが

「さぁ小波の精の巫女様…なみ様が馬車の揺れでずり落ち無いように支えて上げなさい…」

そう言われてやはりなみの頭を膝に乗せて抱き締めるササだった

翌朝結界での修行の後喧火に送って貰い漁港で奉納の踊りを舞い侯爵家で馬車を回して貰い食事のを済ませ

明日の豊作祈願祭の会場に向かい翌日無事二ヶ所目の祈願祭で踊りを奉納の踊りを舞い屋台の手伝いで祭りを盛り上げた

 

 

 

 

②弥生

 

ケンとカンと先に上陸した命は航海の無事に感謝の着物を奉納する踊りと水の精霊への奉納の踊りを舞い出迎えた

上陸後伯爵領班には独鈷杵と錫杖を持つ金剛とケンと五人の准騎士候補が同行する為馬車の手配をして手配をして出発した

侯爵領に向かう班は命に同行する為首都で商いをする班と共に女王に挨拶に向かう為命と共に入城する事に

昼食の支度の手伝いをする翔は相変わらず忙しく命の訪問によりいよいよ翔の旅立ちが近い現実を突きつけられた

夜は命の再訪問と忍と媛歌のと王女としてのお披露目と忍の地の精霊の巫女としてのお披露目を兼ねたパーティーが催されるはずだった…

春蘭達に土産を渡し王妃から預かった忍と媛歌への贈り物と女王と王太子への土産を渡しそろそろ支度に掛かろとした時の事

舞姫がその気配に気付き

ー人魚姫、お願いします…あの娘を助けてっ!ー

そう言われて命も気付いていたその赤子らしい気配とそれを追って近付いて来る闇の者の気配に

「ライラ、一緒に来てっ!」

命のその声に闇の者の気配に気付いた戦士達だけど既に命はライラと共に上空に翔んでいたのでその後を追って紫煙、カン、柳水、鬼百合、鬼蓮が霊獣と共に飛び立ち

媛歌は准騎士候補達に翼を与えてから翔の槍に座った翔と共に命の後を追い春蘭とミナはユカ、澪と共に女王の警護に回り見習い騎士達に警戒を促し瑞穂と阿の指揮下に入らせ王城の防衛に当たらせた

 

手続きが済み忍と媛歌の二人を正式に養女として迎えたことを報告し今更ながら忍の地の精霊の巫女としてのお披露目も発表された

月光もその場を借りて改めて瑞穂にプロポーズして瑞穂も頬を紅く染めながらそれを受け入れ

二人を祝福するね…瑞穂お姉さん、口笛を吹いて」

命にそう言われて頷くと思い切り口笛を鳴り響かせると瑞穂の為のシーホースが二人の前に舞い降り

「今日はもう遅いから初乗りは明日暇な時に二人で楽しんでね」

その様子を見ていた人々は皆『姫騎士(瑞穂の敬称)が霊獣の騎士になった』と、この事実を喜んでいた

又、瑞穂が女王で親衛隊隊長の兄の子爵と養子縁組をする手続き中であることも併せて報告された

その裏では命が救いだした赤子は授乳期の子を持つ下働きの女に乳を分けて貰い飲んでいるが従来の王城のしきたりでは産休産後の者は子供がある程度育つまで仕事を外される事になっていた

それがたまたま裁縫が上手くそれがユカの目に止まりミナの手伝いを始め産後は身体に無理の無い範囲でいわゆるパートタイマーの様な感じで働いていた

それを見た他の休職者達が羨ましがりユカに訴えて裁縫のテストを受け合格したので今度はユカが女王に休職中の下働きの女達を預かって良いかを聞き…

了解を得たので十人の下働きの女達を若月のお針子として契約し暫くはエプロン作りをしてもらい

若月専用のアトリエが与えられてからはミシンを十台買い更に効率アップした

更に裁縫が得意でない女達を裁縫する者達の子を一緒に見させる為に集め手当てを払っている

歌の国の六花を改めて新たに歌の国八花は観月、ユイ、雅の女神の依り代達

そして精霊の巫女の翼、真琴、命、チサに王家の者ではないが翔も選ばれ本人は厭な顔をしていた

継いで月影の国は瑞穂、ウルズ、忍、ヴェルサンディ、スクルド、媛歌に伯爵家の孫娘八人が加わり14花となりその両国の乙女達を歌の国と月影の国の花々と呼んではどうだろう

と言う声があがりこの場では名前が上がらなかった春蘭達等両国の友好に貢献している乙女達が居る事

鬼百合達は戦姫と呼び兵達から敬われている等が語られた…

翌朝の結界内は大賑わいで媛歌、翔は最初から参加し媛歌は自習に翔はアットレーのコントロールを最初から最後まで

命の歌と踊りの自習が終わると媛歌と二人舞姫から手解きで韋駄天神速の舞を習い

忍とスーは羊祭りに春蘭とミナに澪は自習で

新米巫女達は航海の無事に感謝の気持ちを捧げる踊りを媛歌と共に指導

瑞穂には剣舞を習って欲しいので基本の足裁きを稽古してもらうことに

稽古終えた翔は命に頼みガーディアンの勾玉を埋め込んでもらい魔鎧ガーディアンを纏った姿を現して皆を驚かせ命を羨ましがらせ

「みこもそれ欲しい」

そう言われて

「ガーディアンの勾玉ならもう一個有るから要らん甲冑もろて朱鷺色の勾玉と一緒に埋め込めばみこお姉ちゃんのは出来んで?」

そう言われて

「ホントに?」

そう言って確かめると

「うん、チサ様の霊玉ん中のフレア様が教えてくれたから大丈夫っ♪」

そう言って笑ってガーディアンの勾玉を翔から受け取り以前貰った甲冑を呼び寄せ埋め込むと翔とお揃いの魔鎧ガーディアンに変わり命の身を被うと…

その背に生えた羽を羽ばたかせて二人の身体を宙に浮かせて暫くの間飛行訓練をし

「明日からはこれを使いこなすお稽古もしなきゃ、だね?翔」

そう笑って言われ翔も

「うん、ボクも又戦力としてちゃんと認めてもらいたいから頑張んでっ!

それとあんな、春蘭様…今の進化でボクの服消えてもーたらしいんよ…せやから…」

そう言って口ごもる翔に

「わかりました、セレナに言って着替えを用意させます」

そう言ってもらいホッとした翔だった

そして結界の外に出て翔は朝食の仕度を手伝いに調理場に行き春蘭達は持ち場に行き己の仕事に取り掛かる事にして

命は中庭で久し振りに謡華に稽古を着けてもらっていると王妃を連れて真琴が来て厳しい表情で女王陛下の執務室に来るように告げると先に女王に挨拶に向かった

謡歌とのお稽古を終えた命は

(あの娘の事…だよね?)

そう舞姫に聞くと

ーおそらくはそうでしょうね…ー

そう言って執務室を訪れると王妃が問題の赤子を抱き抱えていた

ー人魚姫、弥生…なんですね?ー

他の誰が命に問い掛けるよりその気配に気付き霊体で姿を現した歌姫が問い掛けると

「みこは何も知らない…舞姫からあの娘を守って欲しいとしか聞いてないけどとても大事な娘だとは感じてる」

そう答えると

ー…やはりそうでしたか…私は何をしてきたのでしょうか?私は何の為ここ迄わざわざ…ー

そう言って涙する歌姫に

「泣いてるだけじゃわからないから事情を話してよ、歌姫…その弥生と言う子は貴女の何?」

そう真琴が優しく問い掛けると

ー弥生は私がお腹を痛め産んだ愛しいあの方の忘れ形見…愛しい愛娘ー

そう言われて

「なら何故舞姫とやらは先に命に告げなかったのですか?」

女王に問われた命は

「その真実は歌姫自らの口から話すべき事だから…それに歌姫は気が付いちゃったんだよね?歌姫…」

そう命に言われて頷き

ー時空を越えてまで探し求めた娘との再会…なのに私は乳を与えてやる事はおろか抱き締める事さえ出来ないどころかそれ以前に触れることすらも出来ません…ー

泣きながら告白する歌姫に

「その娘の父親名を告げるのなら貴女の願い叶えますが?」

遅れてきた観月がそう問い掛けると

ーその名を告げる事によりこの世界(真琴)にどのような影響を与えるかわかりませんから答える訳にはいきません…ー

そう答えるのを聞いて

「わかりました、その判断は私がしますから私にのみ告げなさい」

そう言われて溜め息を吐き観月に触れその想い人の名を告げた

「その姿は生前の貴女の物なんですね?成る程…確かに貴女はその男の好むタイプではありますがその男に教えてやる必要はありません

春蘭、鬼百合をこの場へ連れて来てください」

そう言われて調理場の控え室で食事を摂っている鬼百合に

「鬼百合さん、観月様がお呼びですから陛下の執務室にお越しください」

そう言われて口の中に入っていた物を飲み下してから

「わかった」

と答え翔も

「春蘭様、お湯沸いとりますけど…」

そう小さな声で言われて溜め息を吐く春蘭に

「ポットはアタイが持つが翔、お前もついてこい」

そう言われて

「こないな格好で女王様の前に出てもエエの?お父ちゃん」

そう言われて笑いながら

「みこと真琴が揃ってるしアタイも居るんだから良い子で居られるな?」

鬼百合がそう言えば

「最近とみに仲良しになった月光お兄ちゃんもいらっしゃいますからね?」

そう春蘭に言われて

「えへへ…兄ちゃん優しいしボクのボケに乗ってくれるから好きなんよっ♪」

そう答えたので飛んでついてこさせポットを持つと連れだって執務室に向かう三人が執務室に入ると

「鬼百合、早速ですけど隠し腕を分けて貰えますか?」

観月に言われて

「代わりに他の腕も使って新しい仲間を呼び出してくれるならな」

鬼百合にそう言われて

「舞姫はどうしますか?」

そう観月に問われた舞姫は暫く考えた後に

ー任せます…ー

そう答えたので

「真琴は歌姫の神玉を命は舞姫の神玉を埋め込んで…」

「残りの腕は翼お姉ちゃんとチサちゃんの魔玉を埋め込んで…」

観月の言葉を継いで命が言って鬼百合の左腕に舞姫の神玉を埋め込むと真琴ももう一本の左腕に歌姫の神玉を埋め込み二本の右腕には各々に翼とチサの魔玉を埋め込むと…

魔玉はすぐに二人の戦士を召喚したけど歌姫と舞姫は変わりきれず見兼ねた音の精が歌姫に

ー異世界から訪れし歌姫よ…私では女神の代わりにはなれませんが私の霊力を受け取りなさいー

そう告げると

ーその申し出に感謝し力を受け取りますー

そう答えて鬼百合の腕が宙に浮くとその腕に口付けを落とすと腕は発光に包まれた

ー異世界より訪れし舞姫様、水の精霊の舞姫様を導く貴女の力になりたい私をお受け入れくださいー

そう申し出ると舞姫も

ー力を持たなかった弱い私をお導き下さいさいー

そう言って歌姫同様に鬼百合の腕を浮かせると鏡の精も又舞姫と契約を交わし真琴を小さくしたような妖精の羽を持つ舞姫と命が大きくなったような天使の翼を持つ歌姫が姿を現した

共にビキニタイプの甲冑を身に纏っており歌姫は薙刀に舞姫は一対と戦舞用の扇子を持っている

「取り敢えず休ませるか?」

鬼百合のその呼び掛けに真琴も

「そうだね…、みこ、二人は任せるから僕はお母様を連れて国に帰るよ」

そう言うと

「国を出て嫁いで以来に再会する妹ともう少し話したい…そう思うのは私の我が儘ですか?」

女王がそう言うと

「夕べの埋め合わせで今夜開く美月主催のパーティーに王妃様と真琴様にご出席していただいては如何でしょうか?」

春蘭がそう言うと

「貴女達の経験以上に長い年月を離れ離れに過ごした姉妹の気持ちを全くわからぬ真琴ではありませんね?」

観月にまで言われて

「ですが僕達は霊獸と共に訪れた非公式の訪問…」

そう言い訳すると

「我が国においてその様な気遣いは無用、山賊達を一蹴に臥した大樹の英雄譚とたけと言いましたね?

怪力無双の男との力比べの話は既に国中に広まり霊獸の騎士は我が国においても既に当たり前の…憧れの存在なのですから」

そう言うと楽しそうに笑うと王妃も立ち去り難い表情を浮かべているのを見て

「滞在中男装で居る事が許されるのならお招きに預かりますが?」

溜め息を吐き答える真琴に笑いながら

「それは微妙だね、君のドレス姿を見れない男達は落胆し男装の君を見て頬を赤く染める乙女達…

どちらかには諦めて貰う他はないのだからね?」

翔と結構気の合う月光が面白そうに言うと

「面白がり屋の月光様は翔に兄ちゃんと呼ばせて翔を可愛いがってますからね」

そう春蘭も笑いながら言うと

「可愛い末っ子だからね、真琴王女が嫌で無ければだけど?」

そう言われて溜め息を吐き

「そう思われるならボクの事を王女と呼ぶのは止めてください、みこの事だってみこって呼んでるんじゃないですか?

なら僕の事は真琴で良いですし翼やチサもそう言いますよ?

翔は僕達の可愛い妹なんだからお母様と伯母様もそう扱ってあげてください…

僕達の事は五人の兄さん達もそう呼んでますからね」

そう言われて

「五人の?」

そう呟いて首を傾げる月光に

「兄の如月の海軍士官学校時代の親友の帆風と言う者で四人の兄の様に振る舞ってます」

そう言われて驚いた月光は

「その男は翔ちゃんの事は?」

そう聞かれた観月は

「いいえ、翔は間が悪く一度も会ったことは有りません…帆風は大公家の海兵隊の者で王家の海軍の者ならば王都の陸上勤務も有りますが命が大公領に立ち寄った際も海上勤務の為顔を合わせてませんから…

それにこちらを訪れる前の翔は人見知りが激しくごく一部の者にしか気を許してませんでしたからね…」

その話を聞いて

「確かに入城の際も姿を隠していましたしあまり人前にも出たがりませんでしたね…」

女王もそう言ってしんみりする空気の中

「陛下、明日のパーティーの際に夕べの騒ぎで活躍した准騎士のカンを正騎士に…

准騎士候補の者達を准騎士に昇進させ正式な認証は伯父様の花押を頂いた上で認証式を行います」

そう宣言がなされ盛り上がる中

「所で何故翔もついてきたのに姿を見せず鬼百合の背に隠れているのですか?」

そう観月に言われて

「武装状態で女王の前に出るのを申し訳無いって躊躇っているんだ…」

そう言うと振り返り翔の姿を一同に見せると

「翔、着替え無かったの?」

そう命に聞かれた翔は

 

 

 

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